47研究所 - Model 4722 "Lens" フルレンジスピーカー
いつも、今までにはありえなかった造型で、"新しい"オーディオ製品を世に出してきた47研究所ですが
・・・ことスピーカーに関しては、
どう見ても"普通"にしか見えない製品を送り出してきました。
フルレンジスピーカーシステム "Lens" です。
10cmの小口径フルレンジ、ありきたりな円形ポートのバスレフ
外見だけを見てとると、DIY志向のオーディオマニアが
「休みを利用して作りました」・・・そんな風に、見えてしまいます。
このぐらい大きさのユニットというと、まず思い出されるのはBOSE製品ですね。
BOSEがよく使用しているユニットは、11.5cm口径で、低音域を豊かに再生するために独自の技術を使用しており、それはそれで優れた理論なのですが、目指している世界が全く異なっています。
片や、一般人が 「気軽に音楽を楽しめるスピーカー」、を目指しているのに対し、一方は、
「判る人にだけ、わかってもらえればよい」 というような世界になっています。
はっきり云ってしまうと・・・このスピーカー、
フルレンジと思って相対してはいけないのだと思います。
従来のフルレンジスピーカーとは、帯域も、レスポンスも、解像度も、比較にならない領域に達してしまっています。
(ちなみに筆者は、BOSE 121を、サブとして所有しています。)
このスピーカーの音が、どんなものかというと…
マルチウェイ・スピーカー並みの、帯域、解像度を持ちながらも、定位、指向性、位相、などに関しては、フルレンジの良さが、見事に活かされています。(月並みな表現で味気ないですね。スミマセン)
その上、音の立ち上がりがめっぽう早いこともあり、音離れも優れています。
スピーカに求められるべき相反する要素を、高度にまとめ上げている、といえるのではないでしょうか。
楽器が、そこに在るように見えてしまうのは、云うまでもありませんが、この、
滲むことなく"スパーン"と飛んでくる音を浴びていると、
とても気持ちいいです。
「ソースに納められている信号を、色付けすることなく、そのまま音として変換する」ということが、47研究所製品の基調となっていますが、それは、この
"Lens"にも、よく受け継がれているようです。
オーディオ雑誌でしか使用されない、あまり一般的でない用語を駆使して、このスピーカを表現することも、"有り"なのかもしれませんが
それよりも、まずは
この音を楽しんだほうが"良い"です。
目を(耳を)三角にして、ディスクをとっかえひっかえしながら、高域がどうだの、音の艶が在るの無いの、はたまたボーカルのサ行がどうしただの、
そんなことは、どうでもよいのです。 (どうでもよくなってきます)
オーディオを突き詰めていくと、愉しんでいるはずのものが、いつのまにか、苦しくなってくるときがありますが、この音は、オーディオの苦しさを、音楽の愉しさに引き戻してくれる音だと思います。
ちなみに、設計者の木村氏は、47研究所のWebページのなかで、"Lens"を、
マルチウェイ・スピーカーを、軽々と凌駕する存在として紹介しています。
「そんなことがあってたまるものか。」 と、思うかもしれませんが、それはある意味、至極当然だと思います。
世の中には、
"信じる"とか
"信じない"とか、そういう言葉を使って表現する場合がありますが、こと "Lens"が出す音に関しては、
自分の耳で聴くことが無ければ、そうそう信じられるものではない。
…と、そう思うのです。
(ちょっと オーバーかなー)
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