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「タイムドメイン・ミニ」 のスピーカーケーブル交換


「タイムドメイン・ミニ」 のスピーカーケーブル交換

ジュラコンスペーサーとM3ネジ

前回は、 スピーカーユニットの交換 (AURASOUND製のユニット取り付け)でした。

おおよそ全体的なクオリティはあがってきており、音場の再現性や、奥行き方向の定位など、このシステムが得意とする方向性においては、なかなかものを聴かせてくれるようになってきました。

とはいっても、まだまだ手を加えられる場所は残っています。
スピーカーケーブルが、SONY SRS-Z1純正品のままなのです。

SRS-Z1純正のスピーカーケーブルは、何の変哲も無い同軸ケーブルに、モノラルの3.5mmミニプラグが付いたものです。
いってしまえば、「モノラルミニケーブルを半分にしただけ」といった類のものです。

このケーブルを、そのままの状態にしておく手は無いでしょう。 ・・ということで、スピーカーケーブルを交換することにしました。

スピーカーユニット取り付け
3.5mmモノラルミニプラグの調達

通常は、スピーカーケーブルの端末としてこのようなプラグは使用しないのですが、現状のアンプとして「SONY SRS-Z1」を使用しており、スピーカー端子がモノラルミニジャックであるために、モノラルミニプラグを使わざるを得ません。

ミニプラグ付きのケーブルはどこでも購入できますが、ミニプラグ単体となると、なかなか販売していません
いろいろと探した結果、以前ジュラコン製スペーサーを購入した 「パーツ通販」 を通じて入手しました。(1個 \250円くらいでした)

画像には、比較参考用に通常のミニプラグケーブルを入れてあるますが、比べてみると判るように、(ミニプラグとしては)やたらと大きくて重量もあります。

商品の大きさというのは、ネット通販の場合イメージしにくいものですが、もう少し小さめの製品の方が、良かったかな? とも思いました。

大きくて重いと、なにかしら立派なように見えますが、質量の大きな物体は、いちど振動をはじめると振動が減衰しにくいという特性もありますので、「重けりゃいい」というものでもありません

剛性は高く、かつ質量は小さく、というのがベストですが、そういう方向性を突き詰めていくと四十七研究所の製品のようになってしまうのかもしれません。


スピーカーユニット取り付け(背面)
スピーカーケーブルの選択

スピーカーケーブルは、線径の細い単線を使用することにしました

線径の細い単線は、断面積の太い 「より線」 に比較すると、音の 「ぼやけ」 や 「にじみ」 が少ない傾向があります。

良い意味で、ベールの掛かったような雰囲気や、弾力感のある低域を愉しんで聴くのであれば、太めの 「より線」 も悪くはありませんが
バッフル面極小のスピーカーで、澄み切った透明感のある音場ストレートな表現を目指すのであれば、細い単線を選ぶのは、悪い選択では無いでしょう。

アンプのダンピングファクターを考えると、線径の細さはデメリット方向に働きますが、38センチ口径のウーファーに長々とケーブルを引き回した状態で、アンプのパワーに任せて駆動するわけではなく、口径の小さなユニットを短い距離で繋ぐわけですから、線径の細さによる抵抗の増加よりも、再生音のスピード感が揃うなどのメリットの方が大きいと思われます。

手元には、四十七研究所のSTRATOS(薄いブルー色の皮膜のケーブル)、武蔵製作所のオーグライン(銀色のケーブル)、メーカー不明のテフロン皮膜金メッキ銀線の3種類があります。(導体の線径は、すべて0.4mmです)

どれを使おうかと思いましたが、今回は茶目っ気を出して「金メッキ銀線」を選択してみました。

このケーブル、アンプなどの高級内部配線材として売られていたものですが、電気抵抗の高い方の素材が、めっきとして導体の外側に位置しているというのは、電流の流れ方を考えると、いささか邪道という感じもしますが・・最近使用していないので、たまには出番を与えてみるかという気持ちで採用です。

四十七研究所のSTRATOS(ストラトス)ケーブルの方が、色付けが少なくナチュラルで、価格も大幅に安いので、一般的にはこちらをオススメしておきます。



空気漏れ防止用スポンジのカット
スピーカーケーブルを交換(半田付け)

スピーカーケーブルをスピーカーユニットとミニプラグに半田付けして、完成です。

ミニプラグのスプリングを外しているのは、「振動しやすいものは、最初から外してしまおう」と考えたからです。
(その分、丁寧に扱わなければなりませんが・・・)

スピーカーケーブル交換後の音の出方ですが、結構大きく変化しました。

音のあいまいさが減少し、音場の見通しがよくなり、音離れの良さが引き立つようになったのは、おおかたの予想通りでありましたが
高域が伸びることによって、シンバルの余韻、ホールエコーのさわやかさなどが質感良く表現されるようになって来ました。
また、低域も量感が減るかと思っていましたが、芯のあるストレートな低域に変化したことで、かえってベースラインなどが楽しめるようになってきました。

ベタ褒めしているような感じですが、元々が貧弱なケーブルを、それなりの品に変更したのですから無理もないかもしれません。(とはいっても、当の本人もこの変化量にはいささか驚きました。)

音量を上げると、いくぶん暴れてしまうようなところや、部分的に過度になっているようなところもありますが
全体としては 「ようやく、現代的な音になってきたな」 という感じです。

さて、「タイムドメイン・ミニ」 の改造も、ずいぶんと進行し、大まかな部分は完了いたしました。
これ以降は、こまかなチューニング、「詰め」 の作業となる予定です。


四十七研究所のSTRATOSをスピーカーケーブルに変更
四十七研究所 STRATOSにケーブルを交換 (追加記入)

その後さまざまな改造を施した後、スピーカーケーブルを、金メッキ銀線から、四十七研究所のSTRATOS(ストラトス)に変更いたしました。

最初からこうすればよかったのかもしれませんが、STRATOSを使用するためにはケーブル外径の理由からキャビネットへの加工が必要となるため、二の足を踏んでいたというのが本当のところです。

画像では、スピーカーが突然黒くなっていますが、これはエンクロージアの塗装と同時にケーブル交換を行ったためです。

【 ケーブル交換後の音の変化 】
金メッキ銀線から、STRATOSへと変更した際の音の変化ですが、基本的に音暴れの少ない、聞きやすい方向へと変化しました。

音がストレートに滲まずに出る、低域に芯があり膨らんでいない…といった、細い単線特有の表現に大きな変化はありませんが、音の暴れが少なくなりました。

金メッキ銀線では、アンプ(SRS-Z1)のボリュームを11時以上にすると、うるさく感じたりしていたのですが、STRATOSの場合では、2時程度まで音量を上げても大丈夫となりました。

現状では、かなり高品位な再生ができるようになってきています。


【 作業の注意点 】
・ 銀線と異なり銅単線であることから、細い線径であることもあいまって線材が折れやすい。
・ 皮膜をむく際にカッターの刃が接触した部分が折れやすいので、線材に刃をできるだけ接触させない。
・ 必要に応じてSTRATOS自体をテープなどで固定し、皮膜を除去した部分の線材に力が加わらないようにする。

【 補記 】
・ STRATOSケーブルを使用するために、スピーカーケーブルを通す穴を加工し、拡張しています
・ スピーカーの外装色とケーブルの色をマッチングさせるため、STRATOSにSFチューブを被せています。
・ あまりお勧めはできませんが、ミニプラグの外殻シェルも結局取り外してしまいました。


■ 次は、「ユニット取り付けステーの肉抜きをして背圧を解放する」 →   「ステーの肉抜き

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