「タイムドメイン・ミニ」 バッフル面のネジ穴に蓋をする
前回は、
「タイムドメイン・ミニ」 を塗装する
でした。
今回は、バッフル面のネジ穴に蓋をして、エンクロージア形状を
より完全な 「卵型」 に近づけようという試みです。
ネジ穴を埋めることによって外観もスタイリッシュになりますが
実は 「音質向上」 の方が、本来の目的です。
バッフル面に開いている穴というのは、程度の差こそあれ、実は
再生音に悪影響を与えています。
「タイムドメインミニ」 や
「イクリプス」 のスピーカーなど、卵形状のエンクロージアは、スピーカーユニットから拡散していく空気振動に、不要な乱れを与えにくいという特徴を持っています。
今回の「穴塞ぎ」は、その優れたエンクロージア形状をより完璧にしようとするものです。
穴に蓋をすることで、穴の奥で反射・反響した後に、試聴方向に向けて時間的に遅れて放射される
「音の濁り」 を、根本的に無くしてしまおう。 ・・・というのが改造の狙いです。
型取り用に 「おゆまる」 (簡易型取り材) を用意
タイムドメインミニのネジ穴は、開口部が曲面になっていますので、ぴったり嵌るような蓋を作るのは、きちんと型を取る必要がありそうです。
今回は、「型取り」 用の材料として、
「おゆまる」 を調達しました。
「おゆまる」は、暖めると柔らかくなる樹脂(ゴム?)です。
お湯に入れてしばらくして取り出すと柔らかくなりますので、固くならないうちに手早く穴に押し込み、「型」 を取ります。
通常、型取り用材料としては、
シリコンや
アルギン酸ナトリウム(コピック)などが有名ですが、それらを使用した 「型取り」 は、それなりに材料費がかかってしまうものです。
熱を加えると柔らかくなる
「型取り用樹脂」 は、型取り用シリコンなどに比較すると、微細な部分の再現性が低くはなりますが、今回のようなおおまかな形状取りであれば、「型取り用樹脂」で充分だと思います。
「型取り用樹脂」 は、「型取りくん」 や 「おゆまる」 が有名ですが、「おゆまる」 の方が教育用玩具として販売されているせいか、「型取りくん」 に比較して安価な価格設定となっています。
型を取る
ネジ穴に暖めた 「おゆまる」 を押し込み、型を取りました。
失敗しても、暖めなおせば何度でも使えますので、気楽に作業できます。
ちなみに、使用したのは、「おゆまるメタリック」 の 「ブルーメタリック」 です。
さらに型を取る
さきほど取った型を、「オス型」 にして、「メス型」 を取ります。
マスターを作る
メス型に「コニシの接着パテ」を埋め込み、「マスター」 を作ります。
サンドペーパーをかけ、不要な部分を削り落とすとともに、形状を修整します。
マスターの型を取る
現物合わせを行い、マスターの微調整が終了したら、さらにマスターのコピーを作ります。
画像のような型取りでは、型からマスターが抜けないような感じがしますが、「おゆまる」 はカチカチに固まるわけではなく、硬化後も可塑性がありますので、さほど問題にはなりません。
マスターの型からコピーを作る
マスターの型からコピーを作ります。
12個も作る必要はないのですが、どうしても仕上がりにばらつきが出ますので、多めに作りました。
この中から、できの良い8個を選別して使用します。
塗装を施す
塗装完了です。
決して、
「黒く塗った柿の種」 ではありません。
塗装の下地をきれいに作り上げると仕上がりが良くなるのですが、今回は手を抜いてしまったので、良く見ると微細なピンホールなどがあります。
スプレーパテがあれば簡単に修整できたと思うのですが、「正直手抜き」 です。
蓋を装着する
両面テープを使って、スピーカー本体に貼り付けます。
見た感じに違和感も無く、まあまあ満足できる程度に仕上がりました。
もう少し型取りの精度を高くして、塗装をきっちりやりたかったというのが正直なところですが、あまり突き詰めると際限が無いので、このあたりで 「良し」 とする事にしました。
ちなみに 「音」 の方ですが、音場の深みや奥行きなどが、よりしっかりと再現されるようになり、
当初の予想よりも変化量が大きかったので驚いています。
今回の改造では、スピーカーのエンクロージア形状というものは、再生音に与える影響が大きく、本当に奥が深いものだと再認識いたしました。
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