焼きプリン(簡単でも時短でもない、丁寧に美味しく作る版)
材料(プリンカップ10個分)
プリン生地
卵 8 個
牛乳 1000cc
砂糖 250g
カラメル
砂糖 50g
水 30cc
一言でいうと、「昔ながらの固いプリン」です
一時期流行った、なめらか系や濃厚系ではありません
あれは邪道だと思います
「プリン道」なるものがあるとすれば、これは王道かつ正統派のプリンです
焼プリンの作り方
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鍋にカラメルの材料(砂糖と水)を入れ、沸騰させる。砂糖が焦げ茶色になったら火を止める
お湯(分量外)を、少しずつ加えながら、余熱でスルスルと流れる状態にのばす
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カラメルが熱いうちにプリンカップに注ぎ分ける
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大きめの鍋に牛乳と砂糖を入れ、弱火にかける
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卵をザルなどで裏濾しし、鍋に投入
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静かに混ぜながら60~65度ぐらいまで暖める
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プリン液が充分に暖まったら、プリンカップに注ぎ分ける
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お湯張った鉄板にプリンカップを乗せ、120度のオーブンで60分焼き上げる(余熱は160度)
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竹串を刺して、何もついてこなければできあがり
こちらは、一般的な大きさの「ノーマルプリン」を作るレシピです
子供が大喜びの、
鍋焼きデカプリン(オーブン不要で本格的) は、別ページで紹介しています
おいしいプリンを作るためには?
3つの熱管理を適正に!
焼く前の、「プリン液」の温度管理を丁寧に
高温+短時間よりも、低温+長時間の方が、確実で安定した仕上がりになりますが、時間をかけすぎるのもよくないです
高温短時間で焼くとスが入りがちです
時間をかけすぎると、比重の違いから糖分が下に沈んで、甘さが均一になりません
プリン液の温度管理、オーブンの予熱、焼く際の温度と時間、
以上の3つの熱管理を適切に行うのが重要です
仕上がりを安定させる「お湯張り」
オーブンの鉄板にお湯を張ることで庫内の湿度があがり、熱の伝わり方が柔らかくなります
結果として焼き上がりが安定し、表面もみずみずしく仕上がりやすいです
最も重要な、プリン液作りと液温管理
プリン液の温度を事前に上げておくことで、焼き上げ時の仕上がりが安定し、失敗を防げます
プリン液が固まりだす温度は、おおよそ70度以上ですが、オーブンに入れる前のプリン液の温度が低かったり、鉄板に張ったお湯の温度が低かったりすると、凝固が始まるまでに時間がかかり、最高の仕上がりになりません
一方で、プリン液の温度を上げることにこだわりすぎると、鍋底で凝固を始めるので、適当なところで切り上げましょう
材料は、新鮮で良質のものを
美味しいプリンに仕上げたい場合は、卵と牛乳にこだわって、良質の材料を使いましょしょう!
やたらと高価な材料を使う必要はありませんが、鮮度の落ちたものや、やたらと低価格な材料は避けたいものです
また、このレシピではバニラエッセンスは加えていませんが、特に小細工をしなくても、基本の材料だけでプリンはおいしく作れるものです
人工的な香料を加えなくても、焼き上がり後のプリンはしっかりと香りが立つものです
この、湯気とともに香り立つブリンは、作ったその場でしか味わうことができません
冷やしたプリンで味わえない、際立ったおいしさがあります
是非とも、一度焼き立てを味わってみて下さい
とてもシンプルな材料しか使っていませんが、「プリン最強!」といいたくなるおいしさです
プリン作りの失敗あるある
よくある失敗パターンを事前に予習して、上手に焼き上げましょう!
大抵のレシピ集には、作り方は書いてあっても、失敗パターンまでは書いていません
ですが、本当に重要なのは、
どのような失敗パターンがあり、どうすれば失敗につながってしまうかを、(自分の経験から身を持って)知ることです
カラメル作りでの失敗パターン
失敗1:焦がしすぎ
火力が強すぎて、一気にカラメルを焦がしすぎてしまう
対策:カラメルが色づいてくるにつれて、徐々に火力を落としていく
実際は、少し苦いくらいがおいしいです。焦がしが足りないカラメルは、ただ甘ったるいだけで香りがしません。何度も練習して、ちょうど良い塩梅をつかみましょう
ガスコンロの方が、側面からも火が回るため、焦げやすい傾向があります
逆にIHコンロの場合は、鍋側面が放熱板の作用を果たすため、なかなか色が付かない場合もあります
このように、
コンロの種類によってかなり感覚が変わります。最初は常に同じコンロ、同じ鍋でやって感覚を掴みましょう
また、普段と違う環境(もしくは違う鍋)で作る場合は、より慎重に作業しましょう
失敗2:飛び散る
カラメルをお湯でのばす際、お湯を一度に加えて、飛び散って火傷する
対策:茹で伸ばす時は、ごく少量ずつ湯を加える
カラメルの温度は160℃~180℃になっているはずなので、湯を少量入れただけでも激しく沸騰し、カラメルが飛び散ります(揚げ油に水を加えているようなもの)
飛び散る量を少なくし、火傷を防ぐために、湯をスパチュラなどに伝わらせながら注ぐとよいです
失敗3:注ぐ前に固まる
カップに注いでいるうちに、カラメルの粘度が増して、鍋底で固まってしまう
対策:カラメルの温度が下がると一気に粘度が増し、冷えるとカチカチに固まるので、
プリンカップに注ぐまでは時間との戦いになります。カップ等はすべて事前に並べておくなど、
作業環境を整え、手早く注ぎ分けられるように段取りをしておきましょう
(鍋に付着したカラメルは、冷えるとカチカチに張り付きますが、水に浸けて放置しておくと、次第に溶けて簡単に取ることができます)
プリン液を作る時の失敗パターン
失敗1:鍋底での凝固
液温度が高くなった際、鍋底の方で凝固させてしまうことがあります
対策:
温が55℃を超えたら、かき混ぜる手を止めない(手を止めないと言っても、激しく混ぜないように、あくまでも優しく混ぜて下さい。気泡が入ります)
失敗2:白身の分離
卵の白身は、牛乳にはなじみにくい部分があります(固い部分は特にです)
対策:白身をあらかじめザルで濾して加えることで、馴染みが良くなります
ザルで濾す過程で、なかなか網を通っていかないドロッとした部分がありますが、そういう部分は無理に加えなくて良いです
白身を濾さずに投入した場合、焼き上がりはどうなるのかというと、比重が軽いので表面に浮きます(上の画像のようになります)。浮いたまま焼き上がるので、見た目が悪くなります
また、白身が固まった部分は、他の部分よりも固めに仕上がるので、口に入れた際に違和感が出ます
自分で食べる用などで、全くこだわらない場合は、そのまま投入しても構いませんが、おいしく仕上げたい場合は必ず白身を濾して下さい
上の画像は、白身を濾さずに投入した例です。白身が分離しているのがよくわかると思います
(このページの冒頭の画像も、白身が分離した状態で焼き上げたものです。よく見ると分離したまま焼きあがっていることが判ります)
失敗3:白身がザルを通っていかない
ザルの目の大きさによっては、なかなか白身が落ちていかない場合があります
その場合は、上からスパチュラで押し込む…のではなく、
ザルの底面(下側)をスパチュラ(もしくはスプーンなど)で掻き取って下さい
ザル下面の詰まりを取ると、スムーズに下に落ちやすくなります
また、ザルを鍋内の牛乳に漬けられる場合は、ザルの底を牛乳に浸け、ザルの中に少量の牛乳を呼び込み、ザル内部でかき混ぜて、白身の粘度を下げるのも良い方法です
1.ザル底を牛乳に漬ける、2.牛乳をザル内部に呼び込む、3.かき混ぜる、4.ザルを引き上げる、5.底を掻き取る …この1セットを繰り返すと、卵を素早く濾し落とすことができます
一旦、牛乳と卵を混ぜ合わせてから濾すという手もありますが、洗う容器が一つ増えますので、わたしは濾した卵を直接鍋に入れる手法を取っています
プリンを焼く時の失敗パターン
1.最初の温度管理がいい加減で、低めの液温度で焼き始めてしまい、セットした60分で焼き上がらない
2.竹串を指して確かめているあいだに、オーブンの庫内温度が低下してしまい、焼き時間を10分延長しても焼き上がらない
3.再度竹串を指しても、あまり変化が感じられず、再度10分焼くことになる
この、
「1→2→3」のパターンを繰り返して、なかなか焼き上がらない
防止策1:まずはしっかりとプリン液の温度管理を行う(きっちり温度を上げてから容器に注いで焼き上げる)
防止策2:時間に頼らず、60分はあくまでも目安として、焼き上がりの香りを確かめて判断する(焼き上がると、とても良い香りが立ち上がってきます)
香りが立ち上がらない場合は、むやみにオーブンを開けずに、そのまま10分焼いてみる
防止策3:冬季などで室温が低めの季節は、それを加味して焼き時間をあらかじめ長めに設定しておく(プリン容器の温度が冷たいと、プリン液が冷めることも考慮に入れる)
オーブンの設定温度について
タニタ
オーブン温度計
ここでは、
オーブンの設定を「120度で60分」としていますが、これが絶対だとは考えないで下さい(
あくまでも目安です)
設定温度を120度に指定したからといって、庫内全体が均一かつ厳密に120度になっているとは限らないからです
オーブンに採用されている温度センサーの個体差、庫内の上下の温度差、コンベクションオーブンかそうでないか、庫内に入れたプリンの量、…などなど、さまざまな条件が火の入り具合を左右します
まずは自分の使っているオーブンで、一度この設定で焼いてみて、火の入り方の過不足を実食で判断し、徐々に最適な設定値を突き詰めていって下さい
設定温度は正しいはずなのに、思ったように焼けない場合は、左の画像のような「
オーブン用温度計」で確認してみましょう
実は全く設定温度まで上がっていなかったり、出力が不足して温度上昇に時間がかかりすぎている場合があります
プリンカップが無くても、プリンは作れます
プリン用のカップが無い場合の対応ですが、さまざまな容器がプリンカップの代用になります
見た目は今一つ映えませんが、
容器の耐熱性さえしっかりしていれば、問題なく作ることが可能です
プリンカップを持っていたとしても、数が足らなくて困る時はありますので、そういう時は試してみると良いでしょう
また、プリン容器は金属製のカップでも作れますが、どちらかというと陶器かガラスカップの方がおすすめです
これは、金属製の方が比熱が高く、熱が速く伝わりすぎるからです
とはいえ、オーブンにお湯を張って作れば、それほど大きな違いにはなりません(実食して確認済みです)
上の画像は、茶碗蒸しの容器でプリンを作った例です (茶碗蒸しにしか見えませんが、これはプリンです。本当です)
画像はありませんが、プリン液を注いでいる途中で器が足りなくなり、カップの替わりに湯呑を使って作ったこともあります。(問題なく作れます)
おすすめのプリンカップ
TAMAKI フォルテモア
ココット9
上の画像は、
TAMAKIのフォルテモア「ココット9」で、
わたしがプリンを焼くのに使っている器がこれになります(左の画像の商品です。このページの他の画像にも登場しています)
金属製のプリンカップは、プリンを焼く以外にはゼリーカップくらいにしか使えませんが、この「ココット9」は、普段の食卓でも使える、とてもよいサイズ感の器です
5個セットの器なのですが、おふくろに「
これ、いいでしょう?」と貸してみたら、気に入ったのか、そのまま戻ってこなくなりました(毎日食卓で、小鉢として使われています)
悔しいので、もう1セット購入したら、また知らない間に接収されてしまい、手元には1個しか残っていません(くやしい…)
この「ココット9」は、重ねやすく、割れにくく、耐熱も強いです
内側が光沢仕上げで、外側は半艶消し仕上げになっているからでしょうか、質感が良く、上品な器に感じます
(「春のパン祭り」でもらえる「白いお皿」とは、ちょっと違うのです)
プリンを焼くために購入した容器ですが、我が家では普段使いに重宝しており、お気に入りの器になっています
プリンの補足情報
基本の割合は、砂糖と卵と牛乳を1:2:4の割合
卵一個は約50g
凝固温度一覧
卵白:約80℃
卵黄:約70℃
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