ダマスカス包丁のデメリット 1~2


ダマスカス包丁のデメリット 1

ダマスカス包丁は、見た目重視でコストパフォーマンスが悪い

一般的なダマスカス包丁は、切刃鋼材の両側面に、ダマスカス積層材を張り合わせて作られています
構造的には、切刃鋼材と側面材とで構成された、「クラッド材」に分類されます

それでは、一般的なクラッド材の包丁は、ダマスカス積層材の代わりに何を使用しているかというと、SUS410などのステンレス鋼材が多用されています

三枚合わせ包丁

SUS410は、硬度優先の切刃鋼材と比較して、耐蝕性と靭性に優れているため、錆に強いだけでなく、包丁全体の粘りを上げることができ、衝撃が加わった時の「刃折れ」を防止します
機能的にもコスト的にも、包丁の側面材として最適なものの一つと言ってよいでしょう

ダマスカス包丁の構造

このSUS410の替わりに、ダマスカス積層材を使用したのが、いわゆるダマスカス包丁です

ダマスカス包丁

ダマスカス積層材にも、刃体の靭性を高めるといった機能的要素はありますが、それはSUS410でも可能であり、主目的が刃体側面の装飾であることは否定し難く、なおかつコスト的にはSUS410に大きく劣ります

結果として、ダマスカス積層鋼材を使用すると、コストパフォーマンスが著しく悪化してしまいます

はっきり言ってしまえば、「ダマスカス包丁は、外観を魅力的にするために、コストを犠牲にした包丁」 と、言ってよいでしょう
少なくとも、ダマスカス積層材を側面に配したからといって、切れ味が良くなるわけではありません
ダマスカス包丁を製造・販売している方は、ダマスカス模様の付いた製品を理想的な刃物のように宣伝するかもしれませんが、それはあくまでも商売上の方便です。そういう人には、こう尋ねてみると良いでしょう
「同価格帯の一般的な包丁と比較して、この「ダマスカス包丁」は、誰もが違いを体感できるような、切れ味の差異があるのですか?」…と。 販売側は言葉に詰まるはずです

 ● 関連ページ:ダマスカスよりコスパが良い包丁は?

ダマスカス包丁のデメリット 2

ダマスカス積層材のおかげで、切り抜けが悪くなる場合がある

ダマスカス包丁の切れ味を左右するのは、ダマスカス鋼材の間に挟まれた『切刃用鋼材』にかかっています
たいていのメーカーは、ダマスカス包丁の切刃として、V金10号などの高級鋼材を採用して、優れた切れ味を生み出しています

しかしそれは、V金10号が優れているわけであって、ダマスカス鋼材が切れ味に直接寄与しているわけではありません
むしろ、ダマスカス積層材が、切れ味に対して悪影響を及ぼす場合もあります

ダマスカスの積層模様というのは、地図で言うところの「等高線」と同じ原理でできているため、ある程度の厚み(高低差)がないと、積層模様が引き立ちません

要は、魅力的な模様にしようとすると、刃が厚くなりがちなのです
ところが、刃を厚くしてしまうと、今度は切り抜け時の抵抗が増し、切れ味が悪化してしまいます(※1)

良心的なメーカーは、これらの二律背反をよく理解した上で、実用上差し支えない程度の妥協点を模索してブレード整形を行っているようですが、いずれにせよ「模様を重視してブレード設計を行うと、刃厚が厚めになりやすい」という点は、ダマスカス包丁の2つ目のデメリットと言えるでしょう

※1:刃が厚いと、食材を二つ割りにする際、厚みの分だけ食材を左右に押し広げようとする力が増えます
結果として、切る力の抵抗となってしまうので、刃の厚みがあると切れ味が悪く感じる場合があります(これを、「抜けが悪い」とか、「切り抜けが悪い」などと言ったりします)

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