ダマスカス包丁のデメリット 4


ダマスカス包丁の研ぎ方について

4.ダマスカス模様を優先すると、研ぎ方が制限される

ダマスカス包丁は、研ぎ師の方にとっては、いささか難儀な包丁です

研ぎ師さんの中には「ダマスカス包丁を研ぐことは可能です。しかし、模様が消えてしまいますのでご注意下さい」と、明言している方もおられます

プロの研ぎ師さんの技術を持ってすれば、刃面に砥石を当てることなく、刃筋だけを研ぐことなど、わけもないことなのですが、ここで言っているのは、そういうことではありません

刃筋のみを砥石に当てて研ぐ程度の、簡易な研ぎで済ませるのであれば、ダマスカス包丁であっても、模様に傷をつけずに研ぐのは難しいことではありません

ですが、プロの研ぎ師さんは、必要に応じて、刃の肉抜きを行って切り抜けを良くします。「研ぎ抜く」ともいい、プロの腕の見せどころです
この、肉抜きを行う場合は、砥石の上で刃を極端に寝かせ、刃体の側面下部を削って刃の厚みを薄く削ぐのですが、そうすると、ダマスカス模様は削り取られて消えることになります(上部の模様は残るとは思いますが、ダマスカス模様としては台無しです)

模様を取るか、切れ味を取るか

研ぎ師さんも、好き好んでダマスカス模様を削り取っているわけではなく、包丁としての機能を活かすために「研ぎ抜き」を行っているのであり、凡庸な切れ味の包丁に仕上げて構わないようであれば、刃先のみを鈍角に研いで終わらせることも可能です(商売としてはありですが、プロの仕事としては苦々しい思いだと思います)

このように、研ぎ師さんに「ダマスカス模様に全く傷を付けずに、切れ味だけを良くしてくれ」というのは、(刃の状態によっては)嫌がられる依頼になる場合があります

鋭角に仕上げた、切れ味重視の「攻めの研ぎ」がやりづらいですし、刃の摩耗が大きかったり、刃欠けが生じて刃筋を上げたい場合などに、刃を研ぎ抜いて元の刃厚に戻したり、さらに厚みを抜いて、刃抜けを良くすることが難しいのです(歪取りも、木製の工具を包丁側面に当てますので、なかなか難しいと思います)

もちろん研ぎ師さんも商売ですので、それほど詳しい事前説明を行わず、ダマスカス包丁を「無難な刃付け」に仕上げ、刃の抜け具合はそのままにして、にこやかにお金をいただく方も多かろうとは思います(そちらの方がトラブルになりづらく、労力もかからず、商売としては楽ですので)
ですが、いい仕事をする研ぎ師さんであればあるほど、ダマスカス包丁は、事前説明や顧客の承諾を得るのに時間がかかり、いささか困り物ではないかと思います

包丁は研いでなんぼのものです。研がなければ、いくら高価な包丁でも、ただの「なまくら」に落ちぶれます
にもかかわらず、模様の存在ゆえに、研ぐことに制限が加わるようでは、まさしく本末転倒と言わざるをえません
「模様を取るか、切れ味を優先するかで悩ましい」というのは、実用品として考えた場合に、「欠陥品」と呼ばれても仕方ないのではないかと思います
(使わずに飾っておく「装飾品」としてなら良いと思います)

これが、ダマスカス包丁の、4つ目のデメリットです

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