キャンプ・調理で大活躍「ガーバー・フィレナイフ」


本当の意味で、実用的なフィレナイフ

一言インプレ
  • 握れば判る!水場で生きる、滑りにくいグリップ
  • 魚だけでなく、ローストビーフやパイナップルなど、大きめの食材にも対応可能
  • シース(鞘)にシャープナーが付いており、砥石がない場所でもタッチアップ可能
  • シースナイフは、持ち運び時にかさばるが、それだけのメリットが有る

Gerber フィレナイフを使ってみた印象

アウトドアでの釣り&キャンプで、調理全般と魚をさばくためのナイフとして購入しました
細身で刃の長いフィレナイフは、魚だけではなく、キャンプでの調理全般にも使うことができ、使い勝手が良いです

フィレナイフということで、本来は魚をさばくための洋包丁なのですが、刃が細身で、そこそこの刃渡りもあるため、バーベキューでスペアリブを焼く際など、金網の上で肉を切り分けたり、ローストビーブのブロック肉を薄くそぎ切りにする場合など、さまざまなシュチュエーションに対応可能です

ガーバー・フィレナイフ

箱出し時の切れ味は、必要にして充分であり、極端に高いレベルを求めない限り、そのまま使うことができます(これに不満を感じる方は、おそらく砥石を何本も使い分けるような刃物マニアでしょうから、そういう方は、自分で研ぎ上げて、好みの刃に仕上げましょう)

鋼材は420HCですので、HRC硬度は54~56程度となり、中庸な硬度の鋼材と言えるでしょう
硬度が低めのナイフを軽く見る人も多いですが、ナイフの鋼材は、使用用途に合ってこそです
そういう意味では、「しなり」が必要なフィレナイフに適した、丁度よい鋼材ではないかと思います

シース付属の簡易シャープナーで研ぐ場合にも、この硬度は良い方向に働きます。硬めの鋼材は研磨粒子との硬度差が大きく出にくいため、シャープナー側が早くへたりますが、このように双方の硬度差がしっかり出ていると、簡易タイプのシャープナーでも確実な刃付けが可能で、シャープナー側も長持ちします


滑りにくいゲーターグリップ

グリップの部分が合成ゴムで覆われており、細かな凹凸が付けられていますので、水に濡れた手で扱っても滑りにくく、実に使いやすいです

釣り上げた魚をさばく際は、内臓を抜いたりエラを取ったりするため、手がヌルヌルしたり、鱗が付着したりしてナイフが滑りやすいですが、このグリップはとても良く考えられており、(見た目は地味ですが)悪条件でも滑りにくく、非常に実用的です

ゲーターグリップは、ナイフのハンドル材としては高級感が演出しにくく、見た目の格好良さを求める人には向かないかもしれませんが、実用性重視で考えるならばたいへん素晴らしい素材です

ハンドル部に"PORTUGAL"とあるのは、ポルトガル製だからと思われます

ガーバー・フィレナイフに採用されている、滑りにくいゲーターグリップ

シースナイフはメンテナンスが楽

友人が所有していたオピネルのフィレナイフと使い比べて見ましたが、実用性という点ではこちらが断然上でした
折りたたみタイプではありませんので、収納時の長さがかさばりますが、柄が木製のオピネルと違って水分を含まないので、ナイフ全体を水に浸けてザブザブ洗うことができ、非常に実用的です

見た目の高級感を打ち出したナイフではありませんし、鋼材もそれほど高価なものを使っているわけではありませんが、「実用品・実用ナイフ」として、価格面も含めて非常に優秀です

このナイフを購入したのは2009年頃ですので、ガーバーのロゴも現行とは異なる旧タイプとなっています。(現在では新しいロゴに変更され、継続販売されています)
ナイフは、売れ行きが悪いとすぐに生産終了になることもありますが、このガーバーフィレナイフは、廃盤になることもなく、一つの定番となっているようです

購入後、おおよそ10年が経過し、かなり使い込んでいますが、ハンドルのゴムが加水分解でベトベトになるようなこともなく、耐久性という点においても、高く評価できます

ガーバーの旧ロゴ

シースにシャープナーが付いており、タッチアップ可能

シースの先にシャープナーが内蔵されており、出先でもタッチアップが可能です
セラミック製の丸棒を二本組み合わせた簡単なものですが、一時的な刃の切れ味を回復させるには充分です(こういうところも、非常に実用的だと思います)

このシャープナーは、あくまでも簡易的なものであり、ずっとこれで砥いでいると、刃の鋼材がセラミックの目に詰まって、研ぐ能力が徐々に低下してきます
自宅などで砥石などを使える場合は、そちらを使って刃を砥いで、いざという時に温存しておくと良いと思います

また、画像には写っていませんが、シーズの上部にベルトループが付いており、腰からぶら下げることができるようになっています(どこまでも実用的です!)

ガーバー・フィレナイフのシースに内蔵されているシャープナー

刃渡りは約16cmだが、シースに収めた全体長は約33cm

刃渡りは約16センチで、一般的な三徳包丁よりほんの少し短い程度なのですが、刃幅が薄いため、実際より長めに見えます

サイズ比較、ガーバー・フィレナイフとオピネルNo.10

大きさ比較用にオピネルのNo.10を置いてみました
オピネルのブレードが鏡のようになっていますが、これはDIYで鏡面にカスタムしたためです

シースに入れた状態のサイズ比較、ガーバー・フィレナイフとオピネルNo.10

シースに入れた状態だとこうなります(あまりにもサイズが違います)
全長約33cmありますので、そこそこ大きいです

収納サイズが大きめなのは、フォールディングナイフではなく、シースナイフであることが主要因ですが、先端にシャープナーが付いていることも理由の一つです
刃を収めてみると、ブレードの先端は、シースの中でシャープナー手前のところまでしかきません(黒色のプラ部分の先端までです)
そのため、シャープナー部の長さの分だけ、シースのサイズが延長されており、このサイズの刃渡りのものとしては、サイズが大きくなっているのです

キャンプ場などで、このナイフをシースから抜くと、周りから「おぉ~」という声があがることもあります(シースサイズが巨大なので、とても凄そうなナイフに錯覚して見えるのでしょう)
決して高価なナイフではなく、どうかするとオピネルよりも安い、お手頃価格のナイフなのですが、周囲からはいつも、「一番スゴイナイフ持ってきた…」と思われることが多く、注目度が高いです

実際のキャンプでは、携帯性重視のナイフを持って来られる方が多く、小さな刃渡りのナイフで、ちまちまと切ることも多いですが、こういった三徳包丁と同じサイズのナイフですと、使い勝手が段違いです
本来の用途である魚はもちろんですが、ブロック肉や、パイナップルやスイカなど、大きめサイズのフルーツでも比較的容易にカット可能です

オピネルで、果汁の豊富な果物を切ると、あとあと厄介ですから、そういう意味では、本当にキャンプで使える、実用的なナイフだと思います
なぜだかネット上では、「オピネルはキャンプにぴったり!」と、声高に訴える人が多いのですが、オピネルは設計がクラシカルで、扱いにノウハウが必要なナイフです
オピネルは、木製の柄がお洒落ですので、キャンプのシチュエーションに良く似合いますし、SNS映えするとは思うのですが、実際に実用的かというと、決してそうではありません(アウトドア要素が強めの場合は、特にです)
(そういう安易な記事を書いているのは、アウトドア初心者で、様々なナイフを使い分けた経験の無い方ではないかと思います。ご注意下さい)

ちなみに、「フィレナイフ」のことを「フィレットナイフ」と表記しているサイトが散見されますが、"Fillet Knife"の「T」は、フランス語も英語も、共にほぼ発音しませんので、フィレナイフが正解です

ガーバーフィレナイフを、アウトドアで活用したシチュエーション

友人が釣りあげた、沖縄のお魚さんです(歯がスゴイ!)
沖縄の魚

鱗を落として・・・
鱗を落とす

三枚におろしました
フィレナイフは出刃包丁とは異なり、骨を叩き切ることはできません。ですので頭は手で掴んで折り取っています(その後、アラ汁に入れました)
また、刃がしなるため、魚を締める用途にも向きません(締める時は、ガーバーのマルチツールのブレードを使っていました)
フィレナイフで三枚におろす

実食です。刺し身とアラ汁にしました
(右下のカッテージチーズのようなものは、「ゆし豆腐」です
キャンプでの食事

オキフエダイです
釣りあげた直後の魚は、体色が非常にきれいで、惚れ惚れします
オキフエダイ

夕飯のおかずになっていただきました(ごめんなさい)
この時は、画像の岩の上で魚をさばきましたが、このように完全に野外で調理する場合は、実用性の高いナイフが重宝します
革製のシースなども味わいがあってよいですが、こういうシチュエーションではかえって気を使います
このナイフのシースはプラスチック製で、先端にシャープナー用の穴がありますので、水抜けがよいです
ですので、魚を捌いた後も、川の流水でザブザブ洗浄して、濡れたままシースに入れることができ、非常に使いやすかったです
ブレードの鋼材(420HC)も、錆にもかなり強いです。(炭素含有量が0.44とやや低めですので、硬度は程々ですが、耐蝕性が良く、釣りに安心して使えます)
海から歩いて1分の場所で3ヶ月間連続使用しましたが、錆は全く出ませんでした

オキフエダイをさばく

カスミアジです(おまけ画像)
青くキラキラと輝く体色が素晴らしい魚です。ロウニンアジとは異なりますが、沖縄の呼び方では、まとめて「ガーラ」になります
ガーラはファイトが素晴らしく、この時はさすがにテンションが上りました

元気に海に戻れるよう、写真だけさっと撮って、すみやかにリリースしました
魚体に足を乗せていますが、これは大きさ比較のためと、魚が暴れて怪我をしないよう、足をそっと当ててあるだけです(足サイズは27.5cm)
カスミアジ


フィレナイフは、西洋の魚をさばくためのナイフですが、魚以外にもかなり使えるナイフです
刃幅が短く、刃厚も薄いため、刃の抜けが良く、しなるブレードも扱いやすいです

アゴの出ている包丁とは違って、刃の高さがありませんので、キャベツの千切りなどには向きませんが、弱点といえばそのくらいです

逆に刃幅が短いため、包丁には難しいことをこなすこともできます。切っている途中で角度を変えやすいので、切りながら刃を廻すことができます
スイカやメロンなど、皮が厚めのフルーツを切り分ける際、果肉と皮の間に刃を入れ込んで、円弧を書くように切る場合がありますが、これが割と簡単にできます
イメージ的には、ノコギリだと直線にしか切れませんが、糸鋸だと曲線に切ることができるのと似ています。刃の長さは包丁と同程度でありながら、ペティナイフのような使い方もできると捉えると良いかもしれません

キャンプなどでモーラナイフなどを使う方も多いようですが、メインの用途が調理の場合は、あのような頑丈さを全面に押し出した刃厚のあるナイフよりも、薄手のフィレナイフの方が、調理全般に向いています
そもそも刃厚が2.5ミリ以上あるナイフは、あまり調理向きではありません。3ミリを超えると、「使えない」といって良いくらいです
刃厚のあるナイフは、出刃包丁のように、硬いものを叩き切る用途には良いのですが、人参など固めの食材を切ろうとすると、刃を入れただけで割れることがあり、割れなかったとしても、切り抜け時の抵抗が非常に大きく、とても使いづらいものです(実際にやってみれば、よくわかります)

鉈のように厚みのある刃物は、対象を「割る」場合には優れた能力を発揮しますが、「切る抜く」場合には、抵抗が増すだけです
わたしも、自前のペティナイフをカスタムする際、わざわざ厚みを抜いたりすることがありますが、これも調理用だからこそです

キャンプ用のナイフというと、フェザースティックやバトニング、薪割りなど、ブッシュクラフトを連想する方と、アウトドアでの調理を連想する方の二つに分かれますが、同じキャンプと言っても、それぞれに必要とされるナイフの性能は、全く真逆になりますので、両方ともやりたいという方は、きちんと別々のナイフを使い分けるのが懸命です
フィレナイフは調理には向いていますが、ブッシュクラフトには向いていないのと同様に、ブッシュクラフトに使うようなナイフを、調理に使おうとするのは(できないことはありませんが)とても使いづらいものです

フィレナイフをキャンプに使う

このナイフ一本で、3ヶ月ほどの滞在型キャンプを楽しみました(ほとんど生活です) 長期キャンプでの食事

山や、キャンプ場や、さまざまな場所でも活躍してくれました
シースナイフですので、フォールディングナイフと比べてサイズが大きいですが、折りたたみ構造でないというのは、シンプルであるがゆえに堅牢であり、不具合が発生する要素がほとんどありません。取り扱いが非常に楽です
見てくれは無骨で、デザイン的に惹かれる部分はありませんが、使える実用ナイフです

山でつみれ鍋を作る

キャンプはやっぱりサイコーですね(数ヶ月の期間になると、キャンプを通り越して生活感がでますが…) 長期キャンプでの洗濯

ちなみに、簡単な調理のみの場合や、登山では、軽量ナイフの kershaw 1710を使っています
実測重量25gで、重さが負担にならず、刃が薄いので使いやすいです



Gerber フィレナイフ 諸元


  • 鋼材:420HC ステンレス刃物用鋼材
  • 柄:ガラス繊維入りナイロン ゲイターグリップ加工
  • シース:ベルトループ、シャープナー付 シース重量39g
  • サイズ:全長18cm ブレードの長さ15.5cm 刃渡り14.5cm 刃厚1mm 重量83+39=122g
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