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「HIスタイル」(第4位)- ヘンケルスおすすめ包丁ランキング

最終更新日: 作者:月寅次郎

ヘンケルス

第4位:HIスタイル(樹脂ハンドル編)

HIスタイル エリート 「HIスタイル」は、独特のハンドル形状が特徴です。

ハンドルを握る手が、万一前方に滑っても大丈夫なよう、アゴに近い部分までハンドルが覆っている形状です

この形状は、言ってしまうと「フルボルスター(全顎)」に近いものがあり、日本人の包丁文化からすると、なじみがありません

西洋のナイフ文化では、「手が前に滑った場合、指が怪我しないように、ヒルト(ガード)が必要」という考え方があるのですが、日本の刃物文化にはこれがありません。

マキリなどが顕著な例です。そのためHIスタイルのユニークな形状も、あまりメリットを感じられません

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マキリは元々、アイヌの方や、マタギが使っていた狩猟用ナイフですが、魚を締めたり、さばくのに適しているため、北海道や東北の漁師さんにも、根強い人気のある刃物です。
(外観は、刃渡りの短いドス(匕首)という感じです)

今でもマキリを製造しているのは、池内刃物(美貴久)、正広、貝印など、渋めの刃物メーカーくらいです。

包丁の握り方
また、日本人が包丁を握る場合、中指を顎の内側に添えて使うことも多いものです。

剥き物をする場合などは特にそうですし、和食の経験のある方であれば、その握り方ができないと、逆に困ることでしょう

ですがHIスタイルのこの形状は、アゴの内側部分にハンドルが覆いかぶさっており、中指を添えにくい形状になっています
さらに段差まであるため、前の方を握って皮むきをする場合は、実にやりづらそうに感じます
(中指を内側に添える握り方については、上の画像が参考になると思います)

このあたりは、日本人の包丁の扱い方について、リサーチが足りていないのではないかと思います
判っていて、あえてやっているのかもしれません。ちなみに西洋圏では、三徳包丁のような幅広の包丁で剥き物をするという文化がないため、最初から困りません(そのような場合は、パーリングナイフを使います)

ちなみに、「HIスタイル エリート」は、「HIスタイル」と一見よく似た形状になってはいるものの、アゴからハンドルにかけての繋がりに段差がなく、なだらかなカーブを描いています
このため、前述のようなデメリットは生じません

なお、外観デザインについては、ハンドルの付け根付近にボリュームがあるため、どことなくボテッとした印象があり、シャープな感じがいたしません

はっきり言ってしまうと、ケルンと同じくらいダサいと思います(個人的な意見です)

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フルボルスターの包丁とは?

フルボルスターの包丁 右の画像は、Wusthof(ヴォストフ) クラシック 牛刀です。

ボルスター(口金)の部分が、アゴまで伸びていますが、これが『フルボルスター(全顎)』という形状です。

西洋の伝統的な造りの包丁に見られる形状で、握った手が前に滑っても、怪我をしない形になっています。

とはいえ、このフルボルスターは、西洋でも次第に時代遅れだと見なされつつあるようで、決して人気のスタイルではありません。

また、スティック型シャープナーで研ぐ場合は、さほど問題ありませんが、砥石で研ぐには実に難儀な形状をしています。
そもそも、日本の包丁文化においては、考えられない異端の口金形状です。

頑丈さという点では、比類なき強さを誇りますが、包丁で肉を打ち叩く習慣の少ない日本では、堅牢さが過剰すぎる、と、思えるほどです。
(ただ個人的には、ヴォストフがこういった無骨で昔気質の包丁を製造し続けている点は、高く評価しています)

● 関連ページ:ヴォストフ(ウィストフ) Wusthof(包丁のメーカー解説)

Wusthof(ヴォストフ)の包丁を見てみよう

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Wusthofの包丁のブレードには、"200 years of knives"や、"Made in Germany / Solingen"といった誇らしげなプリントがあります。

ヴォストフは、ドイツで長年に渡り、包丁製造を続けてきた有名メーカーです。
(日本では知名度が低いですが、ヨーロッパでは有名です)

ヘンケルスが世界的なグローバル企業となってからは、包丁をドイツで製造しなくなり、ゾーリンゲンの名を冠することもできなくなりましたが、Wusthofは未だにドイツ製という矜持を守っています。

チャラチャラした包丁を一切作っておらず、プロシェフからの評価も高いです。
(とはいえ、三徳包丁もありますよ。赤い三叉マークが実に格好良いです)

ヘンケルス包丁の選び方(全モデル解説) 目次

  1. ヘンケルス包丁の選び方 - 鋼材で選ぶ必要はない
  2. ヘンケルスの鋼材 - 特殊ステンレス刃物鋼とは?
  3. 樹脂ハンドルは、どれも同じではない
  4. ケルン - (第6位)安っぽいPPハンドル
  5. HIスタイル エリート - (第5位)コスパ悪すぎ
  6. HIスタイル - (第4位)変なハンドル
  7. セーフグリップ - (第3位)滑りにくいムチムチ素材
  8. ベルリン - (第2位)ヘンケルスらしい
  9. ロストフライ - (第1位)定番ロングセラー
  10. 結論1(樹脂ハンドル) - ヘンケルスおすすめ包丁ランキング
  11. ケルンM(第4位) - すべてがパッとしない
  12. HIユニティ デイリー - (第3位)ツルピカ溝付で良いのか?
  13. ミラノα(第2位)弱点が少ない
  14. MODERNIST - (第1位)国内販売が望まれる
  15. 結論2(オールステンレス) - ヘンケルスおすすめ包丁ランキング

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月寅次郎の包丁解説(裏話)

月寅次郎が実際に使っている包丁(使用包丁一覧)

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