貝印 関孫六4000CL ペティナイフ


ハガネの切れ味とステンの耐蝕性を兼備


一言インプレ
  • ハガネの切れ味とステンレスの耐蝕性のいいとこ取り
  • 普及タイプのステンレス刃では引き出せない、ハガネならではの切れ味
  • 3枚合わせの利器材(クラッド材)の良さを、大いに引き出している
  • 合わせ口金に積層強化木というオーソドックスな構成
  • 仕上げは価格相応
  • 隠れた名品だが生産終了 後継機種は関孫六10000CC

関孫六4000CL

関孫六 4000CLを使ってみた印象

刃付の精度

刃付は、必要にして充分であり、極端に高いレベルを求めない限り、箱出しでそのまま使えます

小刃には砥石の跡がかなり残っているのですが、拡大鏡でよく見ると、小刃の先端のみが平滑に仕上がっています
おそらく、先端の部分のみ湿式の研磨をかけているか、皮砥を当てるかしているのでしょう、肉眼では判別できませんが、そこだけはギザギザが残っておらず綺麗に仕上がった刃になっています
コストを掛けずに切れ味を出せるよう、上手に仕上げているという印象でした

研ぎ上げると、パリンパリンの刃が付く

三枚合わせの利器材(クラッド材)ですから、おそらく圧延ロールをかけて伸ばしています
まちがっても手打ちの鍛造品ではありません
にもかかわらず、研ぎ上げると非常に鋭い刃が付きます

家には、手打ち鍛造の和包丁(水野鍛錬所製、青紙二号の薄刃)があるのですが、それと遜色ないような、良い刃が付きます これまで、「利器材は、大量生産品の安物」というイメージがありましたが、そのイメージを完全に覆してくれました

ハガネにも、SK120といった手頃なものから青紙スーパーまで、さまざまな鋼材があります。この4000CLに使用されているハガネの種類は公表されておりませんし、炭素量の割合も判りません。
あくまでも推測ではありますが、商品価格と刃持ちの状態を考慮すると、青紙鋼のようにタングステンやクロムを加えて摩耗性を高めたものではなく、おそらく白紙鋼に類似した系統の鋼材ではないかと思われます

側面は耐蝕性に富んだステンレス、利器材の良さを最大限に発揮

ハガネの包丁は、濡れたまま放置すると錆び易いので、取扱が面倒ですなのですが、この4000CLは、ハガネをステンレスで挟んだ利器材(クラッド材)を使用しているため、錆への気遣いが軽減され、切れ味と使い勝手の良さが両立しているところが特徴です

刃体を拭くのを忘れ、錆が浮くような状況になったとしても、錆はハガネが露出している刃先部分に留まりますので、除去も楽です
ブレードの付け根周辺の腐食は、洋包丁、和包丁を問わず、ハガネ刃物にとって厄介な部分ですが、ここがステンレスで覆われているため、安心して長く使うことができます

三枚合わせですので峰まで刃材が入っており、長年使用して刃が小さくなってきても、切刃が無くなることなく、使い続けられることでしょう

仕上げは価格相応

高価格帯の包丁ではありませんので、製品価格の上昇につながるようなコストのかかる仕上げは省かれており、価格相応の仕上げとなっています

商品毎、製造ロット毎の当たり外れもあるかとは思いますが、わたしが購入した製品には、口金部分にグラインダーを当ててしまった跡が残っていました
この部分は、ブレードの両側から軟ステンレスを挟んだクラシカルな『合わせ口金』となっていますが、この切削整形、もしくは研磨時に生じたものでしょう

貝印関孫六4000CL仕上げ

また、アゴのカーブ部分も、バリが残っているとまでは言いませんが、鋭角にエッジが立っており、断面のグラインダー跡も残っています。また、ブレードと積層強化木の合わせが甘く、(画像に写っているように)口金の後ろに小さな隙間が生じています。

補足:これはペティナイフですので、アゴ近辺の仕上げ具合は、機能にさほど影響がありません
とはいえ、大きめの包丁ですと、アゴのカーブ部分に中指を差し込んで持つ時もありますので(和食の持ち方かな?)、アゴ近辺がどのように作られているかは、ホールド感を左右する重要なポイントです

具体的にいうと、アゴのカーブの付け方(カーブ半径)、口金からアゴにかけての断面を研磨して整えているか否か、そして断面のアールの付け方(面取りの状態) …などです
ここの仕上がりが丁寧であれば、それだけで「高いやつや~!手間をかけて、きれいに仕上げてある!」と感激したくなるところです
同じ貝印でも、関孫六10000CLなどは、アゴ近辺の作り込みが実によくできていて、カーブの角度といい、親指にぴたりと沿うような口金の角度といい、使い手のことがよく考えられているということが、握る度に手から伝わってきます(高いだけのことはあります)

関孫六4000CLブレード

ブレードの峰と口金の繋がり具合も、もう少しなだらかであればよいのですが、今ひとつの感じです
この4000CLは刃物店で購入したものではなく、古物商から入手しましたので、もしかするとアウトレット品を掴まされのたかもしれません。とはいえ、この程度の瑕疵であれば、自分でカスタムを兼ねて修正できるので、さほど気になるほどではありません

関孫六4000CL 総評

このように、「関孫六 4000CLペティーナイフ」は、いささか仕上げの甘いところも見受けられますが、コストをかけにくい普及価格帯の製品としては、すばらしい切れ味を持っており、クラッド材でよくここまで引き出せるものだと感心します
価格に対する切れ味のコストパフォーマンスで考えれば、非常に高い価値を持った包丁だと思います

現在では4000CLは廃番となりましたが、ハガネのクラッド材を使用した包丁は、今でも販売されています
ハガネは手入れを怠れば錆びますので、主婦層からは敬遠されがちで人気薄でもあり、商売的な旨味も少ないかも知れませんが、こういった包丁もきちんとラインナップしているのは、貝印のすばらしいところだと思います

4000CLの後継機種

4000CLの後継機種は、「関孫六10000CC」となっており、4000CLと同等以上の切れ味が期待できますが、こちらは仕上げにコストをかけた高級包丁として生まれ変わっていますので、お値段もぐっと高めの設定になっています

10000CC以外に、ハガネとステンを合わせた利器材を使っている包丁としては、(貝印のラインナップでは)「関孫六 安土」と「関孫六 桃山」があります

「安土」は樹脂グリップですが、刃体の下半分はブラスト加工されており、刃体だけを見ると4000CLのそれとそっくりです。推測ではありますが、グリップ以外は4000CLとほぼ同じ製品なのではないかと思います

「桃山」の方は、10000CCとよく似た感じの、刃紋の浮き出た刃体が採用されています
刃紋が波打っているといっても「手打ち鍛造」ではないでしょうが、クラッド材でこの外観に仕上げられるというのは、(鋼材メーカーの功績かもしれませんが)すばらしい技術力だと思います
「桃山」は、ありていに言ってしまえば、口金を省いた廉価版10000CCといった感じです。10000CCと桃山は機会があれば一度使ってみたいものだと思います

貝印 関孫六 4000CLペティー120mm 諸元

  • 型番:4000CL AE-5105(生産終了品)
  • 鋼材:ステンレスクラッド複合材、切り刃:特殊炭素鋼
  • 柄:積層強化木 柄の幅13.8mm
  • サイズ:全長229×刃幅28mm、刃渡り120mm 刃厚1.7mm 重量69g
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