オピネル分解3 - ピンの頭を削って叩き出す


ピンの頭を、ヤスリで削り落とす

ピンの頭を削り落とす
ロックリングを外すと、ブレードを固定しているカシメピンが現れます
ピンを抜くためには、まず、ピンの端の部分をヤスリで削り落とし、抜けるようにしてやらなくてはなりません

旧タイプのオピネルの場合は、ピンのお尻(かしめている方)を落とせば良いのですが、現行タイプはピンの頭の方を削り落とします。
(詳しくは、後述のピンが抜けない場合をご参照ください)

わざわざダイヤモンドヤスリで削り落としている方もおられるようですが、カシメピンは、軟鉄と思われる柔らかい素材でできていますので、普通の平ヤスリで容易に切削可能です
ちなみに、電着ダイヤモンドヤスリは、ダイヤの粒子が剥がれてしまうと、「それでおしまい」です。削る相手が超硬素材であるならこれを使うしかありませんが、軟鉄程度の硬度であれば、強い力をかけても問題なく、タフに使える金属製ヤスリの方が適しています

ピンを叩き出す

バイスプライヤーとピンを半分叩き出したオピネル
本来ならば、叩き出し用の平行ポンチ(ピンポンチ)を使用するところですが、手元になかったため、ほぼ同径のトルクスビットで打ち込んでいます(※1)

ピンの長さと比べると、ビットの寸法が短いので、最後までピンを打ち抜くのには無理がありますが、ある程度ピンの頭を出すことができれば、バイスプライヤー(画像の工具)で抜くことは十分可能だろうという算段です

また、どうしても抜けないようであれば、その時点で平行ポンチを購入しようというつもりでした(さらにどうにもならないときは、ピンを自分で作り直す必要はありますが、ドリルで揉むという手もあります)

※1:自分でやっておいて言うのもなんですが、工具を用途以外の使用法で使うのは、おすすめできません(トルクスビットではなく、平行ポンチを使用しましょう)
作業性が悪いだけでなく、安全性が低下するとともに、工具が壊れたり痛んだりしやすいからです
今回は、下記のように素材間の硬度差を考慮し、この程度なら問題ないであろうと判断した上で自己責任でやっております。このような作業や工具、素材に詳しくない方は、適正な工具を使用して安全に作業して下さい

  • カシメピン:熱処理無しの圧延軟鉄(かなり柔らかい)
  • トルクスビット:鍛造のクロムモリブデン鋼(非常に硬い)
  • 銅ハンマー:ヘッドが銅製で、軟鉄よりも柔らかい、叩くものを傷つけない


ピンが抜けない場合 (追記)

「ピンをいくらポンチで叩いても、びくともしない、全く抜ける気配がない」という場合は、抜く方向が逆になっている可能性があります(後述のセンターポンチを使っている場合を除く)
その場合は、反対側の頭の方を削り落として、そちら側から叩き込んでみて下さい

わたしの所有するオピネルは2本あり、今回主に紹介しているのは旧タイプの方なのですが、もう一本の「ブレードロックのかかる現行バーション」を分解した際は、テーパーが入ったピンが使用されていました

そのため、ピンのお尻方向からは叩き出すことができず、ピンの頭を改めて削り、頭方向から尻方向に叩き出して抜いています

ピンの頭とお尻については、現物を見れば分かると思いますが、丸頭の釘の形状に似ている方が頭です
「尻」と比較して形状的に大きいため、尻の方を削って抜こうとする人が多いと思います
こちらのほうがヤスリで削り落とす作業が楽なので、そう考えるのは無理もありません

ですが、一見削るのが大変そうな「頭の方」を削り、頭側から尻方向に叩き出さないと、テーパーのある現行タイプのピンは抜けません
ピンをいくら叩いても抜けない場合は、このように、ピンを抜く方向を確認し、逆側から試してみてください(これでダメであれば、ドリルで揉むしかありません)
ピンを抜く方向性について、わたし自信の経験を元に解説しましたが、オピネルのすべてのモデルにこれが当てはまるかどうかは断言できません
そのため、抜く方向については、「逆の場合もありえる」ということを念頭に置いて作業することをおすすめします(元々分解可能なようにはできていませんので、どうなっていても文句は言えませんし、オピネルが突然仕様や設計を変更する可能性もありえます)

テーパー入りのピン(分解したところ) 画像は、ピン(テーパー入りタイプ)を抜いて分解したところです
もう一本のピンとは異なり、ピンにテーパーが入っており、わずかですが曲がっています。抜く方向を間違うと抜けないようになっています

旧タイプと現行タイプの分解における違いについては、ピン以外には大きな違いが見られず、基本的に同じように作業可能でした

センターポンチで叩き込むのは、ダメですよ

オピネル分解を紹介しているページのいくつかに目を通しましたが
驚いたことに、ピンを叩き出す際、センターポンチを使用してる方が多々おられました(きちんと平行ポンチで叩き出しているのは、かなり少なく、あまり見つかりませんでした)
酷いものになると、穴あけポンチ(皮抜きポンチ)で叩いていたり、で打ち込んでいた方もおられました

素人作業というのを差し引いても、いくらなんでも、酷すぎます
工具を普段使わない方でも、センターポンチや穴あけポンチの形状を見れば、それが叩き出し用ではないことは一目瞭然のはずなのですが、もしかするとあれは、実は重々承知の上で、ひょっとしてギャグでやっているのでしょうか?

平行ポンチ(ピンポンチ)は、先端が平坦な形状になっており、叩き出し用の工具です
一方のセンターポンチは、先端が尖っており、ドリルで穴あけする際の下準備用の工具です

センターポンチは、中心点に目印をつけるだけでなく、ドリルが回転を初めた時に、先端が滑って逃げないように、小さな逆円錐形状の凹みを作るための工具です
凹みやキズを作ることには適していますが、叩き出すことには、全く向いていません(先端の尖った工具で叩き出そうとするのは、どうかしています)

それでもセンターポンチをピンに叩き込むと、どうなるのか?

センターポンチをピンに叩き込むと、先端がピンに食い込んで、逆円錐状の凹みができます

凹んだ部だけ、ピンの上部は周囲に広がろうとしますので、小さな楔を打ち込んでいるようなものです

楔状の工具を打ち込むことで、ピンを叩き出そうというのは、これはもう、抜こうとしているのか、逆にかしめているのか、よく判りません

本来は、叩く力が抜く方向にダイレクトに伝わることが望ましいのですが、ポンチが食い込むことで衝撃が吸収されるだけでなく、ピン上部が広がって抜けにくくなりますので、作業効率が悪いというのを通り越して、実に愚かしいと言わざるを得ません(実際これでは、なかなか抜けないと思います)


センターポンチでは、わずかな量しか押し出せない

センターポンチは、先端が尖った鉛筆のような形状ですので、ある程度打ち込むと太さが災いして、それ以上打ち込むことができません
ほんの少し、ピンの頭を出すことができたとしても、ポンチ自体がピンの穴につっかえて、それ以上叩き出すことができないのです

ネット上の「オピネル分解 解説ページ」では、センターポンチで打ち込んでいる画像が溢れています。それをそのまま、何も考えずに真似している人が多いようですが、「ネットの情報を鵜呑みにして、何も考えずに作業すると、たいていうまくいかない」という、良い見本ではないかと思います

ピンを半端に叩き出して苦労するより、平行ポンチで最後まで叩き出した方が楽

ピンをわずかに叩き出した状態から、プライヤーなどの挟み工具で抜こうとすると、抜く時の抵抗も非常に大きなものとなり、作業的にも難しいものとなります(バイスプライヤーならなんとかなるかもしれませんが、プライヤーだと多分無理です)

平行ポンチを用意して、ピンを最後まで打ち出した方が、確実かつ安全で、作業的にも楽です

わたしは、手持ちの工具だけでなんとかなりそうだと判断したので、次ページにあるとおり、 バイスプライヤー でピンを抜いていますが、平行ポンチを購入して使っていれば、おそらくピンを最後まで叩き出すことができ、バイスプライヤーを使う必要もなかったと思います

平行ポンチでの叩き出しに成功した場合は、次ページの「ピンを抜く」部分は必要ありませんので、飛ばして読んで頂いて構いません

オピネル分解:詳細ページ一覧(1~6)

 オピネル分解 1:必要工具と準備作業

 オピネル分解 2:ロックリングの取り外し

 オピネル分解 3:ピンの頭を削って叩き出す ← 現在のページ!

 オピネル分解 4:ピンを抜いて、ブレードを外す

 オピネル分解 5:分解完了、ピンの外径と分解時の注意

 オピネル分解 6:ピンを代用品で作り直す