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オピネルの切れ味(カーボンスチール刃)

最終更新日: 作者:月寅次郎

オピネル 炭素鋼ブレードの切れ味

オピネル 切れ味

前のページでは、オピネルを研ぐ際のネガティブな面を挙げましたが、あくまでも砥ぎにくい箇所があるというだけで、砥ぎにくい鋼材というわけではありません

パリッとした良質のカエリが出るところなど、炭素鋼ならではです。ステンレス鋼の場合は、(よほど高いものでない限り)なかなかこうはいきません

これまで…
「炭素鋼は、安いものでも、そこそこ良い切れ味が出せる」
「同等の切れ味を、ステンレスで出そうとすると、やたらと高価格になりがち」
…と感じていましたが、改めてその認識を強めるような、切れ味の良さを感じました

炭素鋼特有の高硬度だけでなく、刃が薄いというブレード形状も、刃抜けを良くするのに寄与していますが、それを差し引いても相当の切れ味です

炭素鋼は錆に弱いため、スレンレスのオピネルを選択する人が多いと思いますが、もしも炭素鋼のものをお持ちの場合は、1000番前後の中砥で終わらせずに、6000番程度の仕上げ砥まで持っていってみてください(それだけの価値はあります)
12000番程度の超仕上げ、もしくは、革砥でのストロッピングなどを施すと、シルキーで滑らかな切れ味を引き出すことができます

「高い切れ味を引き出せる」と書きましたが、それは「研ぎ方次第で、そこまで高めることができる」という意味です。
結局のところ切れ味は、どういう刃付けにするかにもよります。あえて鈍角の刃に仕上げて、一瞬の切れ味よりも刃持ちを優先させるというのも、それはそれで立派な刃付けです。

また、1000番の砥石一本で仕上げ、微小なギザギザを敢えて残し、「かかりの良い刃」を作るというのも、それはそれで立派な一つの刃付けです。

高い番手で仕上げた方が、紙で試し切りする際に引っ掛かりが少なくなりますので、切れ味が良いように感じますが、それはあくまでも紙を切ったときの話でしかありません。
皮付きの食材を切る場合は、ある程度低めの番手で仕上げた方が、微細なギザギザが刃のかかりを高めますので、実用的で使いやすいくなります。

● 関連ページ:包丁の切れ味 - 安い包丁は切れ味が悪いのか?

● 関連ページ:包丁の切れ味 - 砥石の番手を上げれば切れ味は良くなるのか?

● 関連ページ:砥石(月寅次郎が使ってレビュー)

オピネルのステンレス鋼材について

オピネルにはステンレスブレード(INOX)もありますが、こちらはサンドビックの『12C27』という鋼材が使われています
切れ味においては、カーボンスチールの方に軍配が上がりますが、ハガネ刃に絶対的な優位性があるほどではなく、刃付の腕次第と言うこともできます(もちろん砥がずに使用を続ければ、刃は丸くなりますので、『研ぎ上げたステンレス刃』>『砥いでいないハガネ刃』 …となります)

オピネルのステンレスブレードは、実用刃物としての適切な硬度(HRCスケールで58-55、炭素含有量0.6%)で使いやすく、しっかり研ぎ上げれば、よい刃が付き、バランスの取れたステンレス刃物鋼材だと思います
耐蝕性も充分で、錆を気にせず使えるステンレス刃は、実用性が高く魅力的です

カーボンスチールブレードにしろ、ステンレスブレードにしろ、どちらもバランスの取れた鋼材です
硬度が高すぎて研ぐのに辟易するような鋼材や、廉価ではあるものの刃持ちが今ひとつの鋼材は採用せず、刃付から実使用まで、トータルで使いよい鋼材を使用しているところが、実にオピネルらしく、(価格も含めて)実用ナイフとして優秀だなと思います

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