オピネルのカスタム(フィレナイフ)


オピネルフィレナイフをカスタム

オピネルフィレナイフ
ブレード:鏡面に加工しました
ハンドル:漆塗り(カシュー)、拭き漆を重ねた状態から上塗り
鏡面に仕上げたナイフは、撮影が難しいですね
角度によっては撮影者が映り込んでしまいます
ここでは、カメラの一部とシャッターを押す指が映り込んでしまいました

オピネルフィレナイフ

ナイフとしての、機能の向上

導管の穴が埋まるまで塗装と乾燥を繰り返したため、吸水しやすい小口部分まで漆器と同等の防水性が確保されています
これによって、オピネルの弱点である、吸水時にハンドルが膨張してブレードが固くなる現象を克服しました

塗料の選択、色など

使用した漆は、代替品のカシュー漆です
本漆とは異なりますが、乾燥時の漆風呂を用意する必要もなく、仕上がってしまえばほぼ同じです

本漆に比較すると、カシュー漆は紫外線や熱、アルコールにも強く、乾燥にも耐える上に、価格も安価ですので実用的です
色は、顔料の入っていない「透(スキ)」を選択しています
「透」といっても無色透明ではなく、半透明の褐色です。飴色と言ってもよいでしょう
そのため、塗膜を厚くしすぎると、色が濃いめに仕上がってしまい、木の地肌の輝き感が減少する感じがあります。使用する木材の材質や色味にもよりますが、適度な厚みに仕上げる方が良いように感じました

塗装の概要

サンドペーパーで表面を整えた後、「拭き漆」を繰り返し、木地表面に漆を浸透させました
次に薄塗りと乾燥、研磨を繰り返し、表面の平滑度を保ちながら導管の穴を地道に埋めていきます
導管がきれいに埋まり、平滑な面が出せるようになったら、最終の塗りを行い、サンディングとコンパウンド掛けで表面を仕上げました

カシューとはいえ、酸化で硬化する塗料を使うのは初めてでしたので、かなり試行錯誤を繰り返しました
失敗を繰り返したため、何度もやり直すこととなり、拭き漆の回数も含めると、合計で11回の塗り重ねをしています
そのつど研磨して平滑度を調整しましたので、決して11層の厚い塗膜になっているわけではありません

漆としての仕上げについて

漆の仕上げ方法の一つに、「木地呂塗り」というのがあります
どのような技法なのかは存じませんが、見た目だけでいうと、かなり似た感じの仕上げになったのではないかと思います

漆塗りというと、下地が完全に隠れる黒色や朱色の塗り物が多く、木目を活かす場合は「拭き漆」に留める場合が多いようですが、今回は、木肌の美しさをそのままに、表面の光沢感を出すことができましたので、なかなかうまくいったのではないかと思います


オピネルフィレナイフカスタム 詳細画像

オピネルフィレナイフ
肉眼では、漆の塗膜の下で、木目に沿って立体感のある輝きを放っているのが見て取れます
見る角度によってさまざまに色が変化しますので、オーバーな表現をすると、コガネムシの外殻やモルフォ蝶の羽根の輝きを連想させます

光の反射によっては非常に美しく輝く角度があり、手に取って眺めていると、ついつい見入ってしまう美しさです

ここまで仕上げるのに、塗装と乾燥、研磨のサイクルを11回繰り返したわけですが、気温の低い冬季に施工したため、乾燥に4~5日程度かかってしまい、ハンドルの塗装だけで1ヶ月半程度かかってしまいました。最後の方は嫌気が指しましたが、こうして仕上がってみると、根気よく作業した甲斐があったと思います

オピネルフィレナイフ
ブビンガ材の柾目
柄の背面は、ブビンガ材の柾目が出ており、この部分の光の反射が特に美麗に感じられます
カメラの露出や光源の角度を変え、何度も撮影してみましたが、単眼であるがゆえに「立体感や奥行きのある輝き」というのは、画像化することが難しく感じました

オピネルフィレナイフ
角度によっては濃い茶色に見えるのですが、光を反射させると、赤みを伴った明るい茶色となり、非常に美しく感じられます

オピネルフィレナイフ
専用の収納袋も作成しました

このような細くて長い巾着袋は、市販品ではありませんので、自分で作るしかありません
針仕事は苦手ですし、巾着袋を作るのも初めてなのですが、なんとかジャストサイズのものを作ることができました

オピネル
カーボンスチー
オピネル
ステンレス
オピネル
スリムナイフ

オピネルのフィレナイフ、カスタム前の状態

オピネル フィレナイフ
かなり使い込んだオピネルです。ブレードには多数の傷が入っています
ロックリングの回転具合も渋く、ブレードの出し入れもやや固めで、もう少しスムーズであって欲しいところです

ブレード(刃体)

使い込んで多数の傷の入ったオピネル
決して良いコンディションではありません。多量の傷が見て取れます

ハンドル(グリップ)

オピネルフィレナイフのハンドル
分解後、カスタムする前のノーマル状態のハンドルです
価格なりの簡易な仕上げのため、平滑度も高くはなく、表面の凸凹が光の反射で目立ちます

画像では判別できませんが、ブレードが収まる溝の内側は、ニスが部分的にはみ出しており、溝の奥のニスの塗られていない部分と、溝の縁の塗られている部分のムラが見苦しく感じます
オピネルは価格がお手頃である半面、仕上げにはさほどコストがかかっていませんので、このあたりは痛し痒しです
このようなノーマルでは手の届かないところも、丁寧に手を入れることで、美しく仕上げました


カスタム後、鏡面の映り込みとサイズ比較

オピネルフィレナイフ
鏡面ブレードの映り込み具合
映り込みの角度を工夫すると、光学迷彩のようになり、光が透けているように見えて面白いです

オピネルフィレナイフ
ナイフの大きさ比較
画像の「オピネル フィレナイフ」は、刃渡り14cm弱、全長32cmです
柄の長さは17.5cm程、ブレード長14.5cmです
ブレードを広げると、かなり大きく感じます

比較用に標準サイズのペティナイフを置いてみました。こちらは刃渡り12cm、全長23cmです

こうやって見ると、フィレナイフの方がやたらと大きく見えますが、刃渡りで比較すると、たった2cmしか違いません
フィレナイフの方が、フォールディングナイフであるため、ブレードを納めるために柄が長くなっており、柄の長さで差がついているというわけです

ちなみにペティナイフの方は、貝印 関孫六4000CLです。こちらもカスタムしており、刃の厚みを薄く研ぎ抜いて切り抜けを良くし、合わせ口金を削り直して形状をきれいに整え、ブレードと合わせて鏡面に仕上げています

オピネルフィレナイフ
鏡面に仕上げたブレードに、ハンドルが映り込んでいるところが、印象的です

オピネルフィレナイフ
このハンドルに使用されているブビンガ材は、特段の「杢」があるわけではなく、ありふれた柾目と板目が出ているのみです
カスタム前のハンドルの画像を見返してみると、実際ただの「茶色い木材」にしか見えません
それがここまで美しく化けるのですから、正直驚きを禁じえません

バーズアイメイプルやカエデ材、さらにはハワイアンカーリコアなど、美麗な杢の出ている素材に同様の施工を施せば、さぞかしきらびやかな仕上がりになることと思われます

オピネルフィレナイフ
ブレードを鏡面に仕上げると、光の加減によっては真っ黒に写る部分があったり・・・

オピネルフィレナイフ
真っ白に輝くこともあり、さまざまな表情を見せてくれます

オピネルフィレナイフ
青い光を放つブレード

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オピネルフィレナイフ
カスタムしたオピネルフィレナイフ 全体像

オピネルフィレナイフ
漆を塗った後に研磨を施すことで、光沢の質感が、カリッとした硬質なものになります

塗りっぱなしの状態でも十分すぎる光沢が出るのですが、そのままだと、漆特有の粘度感のあるまったりとした質感になります
あえてネガティブに表現すると、べたっとした質感とも言えるでしょう

わたしは刷毛塗り自体があまり上手ではありませんので、部分的に塗料が盛り上がったり、酷いときはタレが発生することがありました

塗装後の研磨を行うことで、漆塗り特有のぷっくりとした質感は薄れますが、塗りの技術の未熟さが目立たなくなり、ムラのない光沢を実現することができました

オピネルフィレナイフ

オピネルフィレナイフ
小口部分もそうでしたが、柄尻の断面も導管が多量に露出しており、いくら漆を塗っても穴が埋まらず、平滑な塗面が出せずに苦労する部分です

目止めをすれば簡単ですが、砥の粉の色が木材の地の色と合っていないと、埋めた跡が悪目立ちしてしまい、酷い外観になってしまう可能性もあります

黒色や朱色の漆で木目を覆ってしまう場合は目止め剤を使えますが、今回は「透色」を使用して木目を活かす塗りにしています
そのため、目止めは使用せずに、漆の塗りと研磨を繰り返して導管を埋め、平滑に仕上げるという手法を取りました

何度失敗を繰り返したせいもありますが、失敗も含めて総計11回の塗布を繰り返しています

オピネルフィレナイフ
塗膜の下の木肌の色合いも美しいですが、塗膜表面の流麗な反射光もまた美しいものです

表面平滑度の高さに裏付けられた均一な輝きは、拭き漆だけでは決して実現できないところです
正直言うと、当初は「拭き漆のみ」で仕上げる予定だったのですが、塗っているうちにどんどんきれいになっていくので、最終的に「塗り」で仕上げたというのが本当のところです

オピネルフィレナイフ
拭き漆を繰り返していくと、木の地肌に漆の浸透硬化層ができあがり、目地が詰まってそれ以上染み込まなくなってきます
そうすると、表面に漆が乗るようになりますので、「上塗り」が可能になります

拭き漆と上塗りの合わせ技は、深みのある木目と光沢のある表面が合わさることで、実に素晴らしい質感が醸し出されます
手間と時間のかかる仕上げですので、気軽におすすめできるものではありませんが、完成後の仕上がりの美しさと満足度は、極めて高いものがあると言えるでしょう

オピネルフィレナイフ
ウレタン塗装でも、似たような光沢は出せるのですが、拭き漆のような浸透工程がありませんので、悪い言い方をすると「塗膜が乗っているだけ」であり、トップコートの輝きに依存しています

表面の輝きは充分ですが、塗膜の下から浮かび上がる、深みと立体感に富んだ虹のような輝きを出すのは、なかなか難しいのではないかと思われます



このページ「オピネルフィレナイフのカスタム」は、現在編注中です

現状では、カスタム完成後の画像を中心に掲載しています
鏡面処理の過程や、漆塗りの詳細工程までは、記載しておらず、下記に数枚の画像をアップしているのみです

カスタム過程の詳細ページは、後日作成して掲載する予定です

カスタム過程の様子

鏡面に磨いたオピネルフィレナイフのブレード
鏡面に磨いたオピネルフィレナイフのブレード

拭き漆で仕上げたハンドル
サンディングして表面のニスを落とし、一回目の拭き漆を行った状態
まだこの状態では、木目によって漆の吸い方に差があります
表面の質感も、マットなつや消しになっています。木肌の質感を残した仕上げとして、これはこれでとても良いのではないかと思います

漆の薄塗りで仕上げた状態
画像は、拭き漆4回 + 薄塗り3回目の状態です

拭き漆を何度も繰り返していくと、徐々に漆が木肌に吸い込まなくなってきます
漆が染み込まなくなった状態で「塗り」に入ると、漆塗り特有のつややかな光沢が乗るようになります

カシュー漆の艶の質感ですが、非常にリッチな感じです。いわゆる「濡れたような艶」であり、悪く言えば成金的なべたっとした艶でもあります

サンディングして表面の凹凸をならし、極細のコンパウンドを掛けると、艶の質感がリッチ&ディープから、クール&シャープな傾向に変化します
漆特有の表面のぷっくり感(表面張力で盛り上がった感じ)が削ぎ落とされることが主要因ではないかと思います

● 関連ページ:オピネルの鏡面仕上げ