堺刀司 薄刃包丁
堺刀司の薄刃包丁(岩国作)
母親が持っていた
「源昭忠」(水野鍛錬所)の薄刃包丁が素晴らしかったため、自分用の薄刃包丁が欲しくなりユーズド品を入手したものです
中古で購入したものですが、細かな部分を手直しして大切に使っています
入手時の状態

入手時の状態です
刃筋の先側がやや反っていることが判ります
この程度であれば、使いながら研ぎすすめることで自然に修整可能だろうと思い、購入に踏み切りました
一見きれいにも見えるのですが、これがなかなかの曲者でした

入手時の状態です
マチの部分に蝋が埋まっています
おそらく、それなりに心得のある方が使っておられたのでしょう

砥石に当ててみると、切刃の中央やや切っ先側に、大きめのエクボがあることが判ります
また、切っ先付近のハガネの部分に、一部えぐれたような箇所が見つかりました

拡大画像です
どうやら、傷や腐食痕を消すために、グラインダーか何かでざっくり削りとっているようです
この部分だけ凹んでいるため、どうやっても砥石が当たらず、刃もきちんと付きません
桂剥きにと考えての入手でしたので、刃の先端はそこまで使いませんが、少々残念です
販売業者の方は、外観をきれいに見せるため研磨を繰り返したのでしょうか、鎬筋もだらしなく丸まっています

アゴの内側の様子です

水牛桂(口輪)の状態です
経年と乾燥で欠けが生じています(この瑕疵は、事前に判っていました)

この2箇所の欠けは、研ぐ際に砥石を当てたものと思われます
(桂の角の部分と、中央の部分の2箇所に傷が見られます)
包丁の手直し(レストアとカスタム)

修復作業を容易にするため、一旦柄を抜きました
中子の状態は、まずます良好と言って良いでしょう
マチ側の3分の1については、水分が浸透したのか、薄く赤錆が出ていますが、腐食具合は酷くなく、中子が痩せるほどではありません
軽い研磨でおおよそきれいになりました(前オーナーの蝋充填が効いていたのでしょう)
柄の方は、かなり色がくすんだ状態です
おそらく、そこそこ古いものなのでしょう

桂の欠けた部分にエポキシ樹脂(2液性のエポキシ接着剤)を充填し、研磨して面一にしています

エポキシに木粉を混ぜ、同系色の色に仕上げています

柄に漆を塗って、水研ぎをかけ、平滑度を上げます
欠け部分の修復については、エポキシに木粉を混ぜず、下の色をそのまま透過させた方が自然に見える事がわかり、やりなおしています

桂の修復と柄の漆塗りが完成した状態
こちらの面にも桂の修復跡があるのですが、指摘しないとわからないと思います(桂と木材の継ぎ目付近に、小さな欠けの修復跡があります)
現在の状態

使用に伴って少しづつ研ぎすすめることで、元からあったエクボや傷も、徐々に薄くなってきました
まだいろいろとダメな箇所は多々残っており、決して完全な状態ではありませんが、使いながら徐々に修正してきたいと考えています(切刃の面や裏を、研ぎ進めながら直していくことが、一番の勉強になっているような気がします)
ちなみに、この堺刀司(岩国作)の気に入っている部分は、指の当たるアゴの内側部分に、「エグリ」があるところです(この部分は、きれいに磨いて鏡面化しました)
上の画像の左から2本目が源昭忠(水野鍛錬所)の薄刃包丁ですが、エグリがありません
左から3本目と4本目は、アゴの内側をえぐっているため、指当たりが柔らかくなっています(販売元が違うため、銘が異なっていますが、研師の方が同じなのかもしれません)
実際に使う時には、それほど大きな差異を感じるものではないのですが、エグリのある薄刃は、見た目が映えるので個人的に好きです(持ち方にもよると思います)

剛研輝12000番で研ぎ上げた時の様子です
切れ味について
切れ味に付いては、誠に申し分ありません
(我が家には、和包丁が全部で6本ありますが、どれも甲乙つけがたいほど素晴らしく良く切れます)
鋼材については、青紙2号かと思います
ステンレスの包丁や、炭素鋼複合材の包丁なども、実用的でよく切れますが、言ってみれば「実用的で、何の不満もなくよく切れる」と言った印象になります
それと比較してどうかと言われると、こちらのようなハガネ・片刃で裏のある包丁は、「実用的とかいうレベルではなく、芸術的で惚れ惚れする切れ味」といった具合でしょうか?
ハガネで両刃仕立ての包丁も持ってはいますが、片刃で裏のある包丁は、(逆に不得手な部分も出てはきますが)やはり切れ味の次元が違ってきます
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