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味噌における手造り表記と食品表示ラベル


食品表示ラベルに製造元を記号表記で省略可能な場合


西日本新聞の記事では、食品表示ラベルの表記、および、「手造り」の表示については、当方とは見解が異なっており、「特に問題はない」とされている
だがしかし、これは充分に問題ありだと考えられる

神田屋のみそ商品の製造者は、若宮みそ一社であり、製造工場も一箇所である
食品表示ラベルにおいて、製造者の記号表記が許されるのは、製造工場等が複数ある場合であり、単一工場の場合はその限りでない

若宮みその商品を「手造り」と表示してよいのか?


また、「手づくり」表記に関しても、問題ありだと考える。

手造り表記の詳細については、このページの「全国味噌工業協同組合連合会」の項目に記載してあるので、詳しく知りたい方は見ていただきたい

はっきり言って、「酒精以外の添加物を加えない」と「麹蓋を使用する」というのは、小規模味噌業者にとっては特別なことではない
特別なのは、「加温をしない、室温管理をしない」ということである

当該業者が冬季においても加温を行わずに味噌を醸造しているとは非常に考えにくい。本当にそのような製法を行った場合、夏季以外の製造量が極端に低下してしまい、商売として継続可能な販売数量の確保が非常に難しくなる

わたしは以前、若宮みその責任者である赤塚氏に対し、こう尋ねたことがあった…
「神田屋の味噌には『手造り』と表記されています。加温すると『手造り』表記ができないと聞きますが、御社では、味噌の製造時に加温を行っていますか?」

それに対する回答はこうだった
「加温はしていない。が、夏季にクーラー等で気温を下げることはある」
よくこんな出まかせの嘘を、平気で言えたものだと思う
味噌の製造に関わる方なら「そんな馬鹿な話しあるかよ!」と、一笑に付すだろう

が、赤塚氏は、間違いなくこう語ったのだ
こちらが、「加温」言う言葉を使ったので、こんな妙ちくりんな回答になったのだろう
味噌醸造に詳しくない素人を、言葉巧みにごまかそうという意図が見え見えである


百歩譲って若宮みそが、亜熱帯地域で味噌を製造しているのであれば、加温なしのクーラー冷却もあながちありえないことではない、だが、当該業者は、福岡県宮若市で味噌を作っているのだ

家庭内の自家用味噌を作るのとはわけが違う、商売として成り立つ量の味噌を作るのに、一切加温なしというのは、通常ではありえない
通常販売品とは別に、「冬季特別仕込みの無加温醸造味噌を限定商品として少量作る」というのであれば判らないでもないが、当該業者は神田屋に対し、年間6トンもの商品を供給している
大規模な工場敷地を持たない小規模味噌業者が、無加温で年間6トンもの味噌を製造するというのは、考えられない事である

「手造り味噌」は、一般流通していない


味噌醸造における「手造り」表記が、どれだけ難しいものなのかは、スーパーの味噌陳列棚を眺めてみれば判るだろう。
「手造り」と表記されている味噌商品は、一般的なスーパーでは、まず見つからないはずである。
そしてそれは、それぞれの製造メーカーが、味噌業界内で規定された表示基準を厳正に守っているからに他ならない。

「天然醸造」という表記も、同様に極めて稀である。「天然醸造」の表記のある味噌を製造販売しているのは、本当に限られたメーカーだけである

そのような製法で醸造すると、製造量が極端に落ちてしまうため、スーパーなどへの一般流通がほぼ不可能になってしまうのだ


「嘘」はいけない、信頼を失う


以前、栗城史多さんという山岳パフォーマーが「単独・無酸素」という言葉を軽々しく使ったため、登山に関わる人達から非難を浴び、山岳会からの信頼を失って黙殺されたことがある

登山に詳しくない方達は、「単独・無酸素」の定義を知るはずもなく、これのどこがいけないのか、判らない人の方が多数だった。
だが、本当に「単独」や「無酸素」で山と向き合った方達からすると、栗城さんの「単独・無酸素登山」は、まさしく噴飯もので、山に命を掛けた者に対する、侮辱以外のなにものでもなかったのである


このことと同様に、味噌業界における「手造り」の表記は、本当に特別なものである
まっとうな味噌醸造業者からすると、神田屋の「手造り」表記は、怒ってしかるべきものではないかと思う
室温管理せずに自然温度に任せ、販売用の商品として一定品質の味噌を醸造するというのは、本当に特別なものなのだ

加温して醸造した味噌に、手造りと大書し、製造元を隠蔽した状態で、あたかも自らが製造者であるかのように振る舞い、一般流通品の約4倍の価格で販売する
これを悪行と呼ばずしてなんと言おうか?


若宮みそは、よくこんな悪質な業者に商品を供給したものだと思う
それともこの業者は、本当に、みそ製造時に加温醸造を行っていないのだろうか?

「嘘」はいけない、信頼を失う

平気で嘘をつく業者からは、食品を買ってはいけない


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