ブライトホルン登山後記1(登山に必要な装備と用品レンタル)


ブライトホルン登山後記1(登山に必要な装備と用品レンタル)

ブライトホルンの登山は無事終わったわけですが、ここで、登山に必要な装備、情報収集の仕方、難易度や必要な技量と体力、高所耐性(高山病)など、その他の情報について書き留めておきましょう

まずは、登山に必要な装備と、用品レンタルについてです

登山装備のレンタル、アイゼン・ピッケル・登山靴など

登山装備は、ツェルマット街中にある登山用品店で、購入やレンタルが可能です

いわゆるトレッキング(ハイキング)ではなく、純粋に登山目的でツェルマットを訪れている人は、ほとんどの登山装備を日本から持ち込んでいると思います
現地で間に合わせたギアよりも、日本で何度も使って使い心地を確認済みの装備の方が、安心できるというものです

わたしの場合は、アイゼンを持ってきていなかったので、ツェルマットの登山ショップでレンタルしました
ウォーカーズ・オートルートを歩く場合、アイゼンは必要ないだろうとの判断で持参しておらず、手持ちの装備になかったのです

(実際のオートルートの行程には、雪渓や氷河を越える箇所がいくつかありましたので、軽アイゼンかチェーンアイゼンがあれば、より安心して歩行できたと思いますが、無くても充分安全を確保できる状態ではありました)

アイゼンをレンタルする場合は、実際に使用する登山靴を持参して、確実にフィットするか店舗で確認しましょう
大丈夫であることが多いですが、靴底の形状やサイズによっては、隙間が空きやすかったりする場合があります

ピッケルやストック、登山靴もレンタルできるはずですので、必要であればレンタルするとよいと思います
登山用品店はツェルマットにたくさんありますので、用具のレンタルや購入で困ることは少ないと思います

ツェルマット

画像はツェルマットの街中の風景です。登山用品店「インタースポーツ」の看板が見えます
「Rent」とあるのは、「登山用品レンタルしてますよ!」という意味ですが、この文字が書かれてなければレンタルしてないというわけではありません(看板スペースの都合で店名だけ表示してあることも多いです)

アイゼン(クランポン)と、登山靴の選択


アイゼン 画像は、実際にレンタルしたアイゼン(クランポン)です
恐らく、ブラックダイアモンドの10本爪アイゼン、「コンタクトストラップ」だと思います

ブラックダイアモンドの指標では、「雪渓歩き、簡単な雪山用」と分類されているアイゼンです(バリエーション用、アイス、ミックス、クライミング用ではありません)

このタイプのストラップで固定するアイゼンは、固定用の溝が無い、ソールの柔らかい登山靴にも対応可能ですが、その分固定力は落ちてしまいます(とはいえ、きちんと装着していれば外れるようなことはありません、わずかにずれることがあるくらいです。折に触れて装着具合を確認し、配慮して使っていれば問題ありません。最も汎用性に富んだタイプと言うこともできます)

ブライトホルン登山に使用するアイゼン(クランポン)としては、このような10本爪の雪上歩行用のものがベストだと思います(クライミング用でも問題は生じないでしょうが、いささかオーバークオリティです)

画像の装備にダメ出しをするならば、登山靴の方は、よりソールが硬く、アッパーもしっかりした登山靴を使用したいところです(腕の力では、ソールがなかなか曲がらない程度の硬さが必要です)

ソールが柔らかい登山靴の場合は、アイゼンとのフィット具合が今ひとつとなります。そこを無理にフィットさせようとしてストラップをグイグイ締め上げると、アッパーも柔らかいために足自体を締めることになり、足先の血行が悪くなってしびれたり、うっ血することがあります

今回は、靴をウォーカーズ・オートルートの踏破に合わせていましたので、軽くて柔らかいスカルパの「ゼロ・グラビティ」を使用していました。そのため、ブライトホルン登山にとってはベストとは言えない選択となってしまいました

この登山靴で支障が出ることはありませんでしたが、最初からブライトホルンを登るために渡航する場合や、現地で登山靴もレンタルする場合は、より山に合ったベストな登山靴を選択して下さい

まさかそんな方はおられないとは思いますが、念の為に記載しておきます

アイゼンを装着せずに、ブライトホルンに登ろうというのは論外です

万一そういう方を見かけたら、マッターホルン・グレーシャー・パラダイスのスタッフか、現地の登山ガイドの方、もしくは緊急通報先(112)に連絡・通報して下さい
(立派な危険行為ですので、本人のみならず、周囲の登山者に被害を及ぼす可能性があります)

そういう方に注意をすると・・・
「自分は大丈夫だから」と言い訳すると思いますが、そういう人には、「あなたの心配はしていません」と明確に言ってさしあげましょう

「あなたが上から滑り落ちてきた場合に、他の登山者を巻き込むことが問題」と言って、周囲を危険に晒している点がダメなのだと指摘することが肝心です

また、「アイゼンの無い状態で、靴を滑らせながら降りていくと、ルート上にできたステップがすべて崩れてしまうので、後続の登山者がステップを作り直さなくてはならず、非常に迷惑だ」とも言ってさしあげましょう

1.アイゼン未装着者がなかなか急坂を降りることができず、2.どうにもならなくなってシリセード状態で滑り降り、3.滑り落ちながらすべてのステップを潰してしまう。4.それを下から見ていた登山者が、一斉に落胆の溜息をつく(もしくは怒号が上がる)。これらの一連の流れは、「冬山あるある」です

登山用品のレンタルに関しては、スイス国内ではおおかたこのような感じだと思います

メンヒに登ろうかとグリンデルワルトで装備レンタルした際も、同じような感じで困ることはありませんでした。また、フランスのシャモニーにも多数の登山用品店があり、総じてヨーロッパの山岳リゾート地ではこのような感じです

ピッケルとストックのどちらを使うか?

ブライトホルンを登る際に、ピッケルとストックのどちらを使うべきかですが、おおむねストックで構わないと思います

熟練者がトレースのない斜面を直登する際などは、ピッケルの方が良いとも思いますが、初心者が南斜面に斜めについたトレースを登る場合は、ダブルストックで登った方が扱いやすく、バランスも取りやすいです

また、ピッケルは先端が鋭利になっているため、誤った使い方をした場合の危険性も高くなります
そういう意味では、ストックの方が安心して使用可能です

ブライトホルンではストックにスノーバケットを付け、保護キャップを外して使用すると使いやすいと思います

登山用ストック
画像は実際に使用したストックです

必要な登山装備は?

簡単ではありますが、ブライトホルンを登る際のアイゼンと登山靴の選択、さらに、ピッケルとストックについて言及しました

「他にどのような登山装備が必要ですか?」との質問も出そうなところですが、ここでは個々の用品の説明を省いて、「単独登山」と「ガイド付き登山」の、それぞれの登山用品についての考え方を解説したいと思います

登山装備(単独登山の場合)

ブライトホルンを単独で登ろうという人は、これまでそれなりに国内の3,000m以上の山々に登って、(単独での)登山経験を積んでいることと思います

それだけの経験を重ねてきた方であれば、どのような装備の必要かは、自ずと判ります
逆に、それが判らないようであれば、これだけの標高の高い山に挑戦してはいけません

単独登山は、山に望む前の準備段階から、一人で判断できる能力が要求されます
そうでなければ、実際の山中に踏み込んだ時に危険すぎるからです

わたしは単独で登りましたが、技量的に充分であれば、ブライトホルンの単独登山は(好天であれば)非常に楽しいものとなります
逆に、ガイド付きのツアー登山は、一つ一つの行動をパーティ全体に合わせなくてはならず、停止して休憩するのは、原則として取り付き点と山頂のみです

それ以外の地点では、ザイルに繋がった状態で歩き続けますので、写真一枚撮ることすらままなりません
(このブライトホルン登山のページには、写真が多数掲載されていますが、それは単独で登っているからこそです)

登山装備(ガイド付きのパーティ登山の場合)

ガイド付きのツアー登山などでブライトホルンを登る予定の方は、ツアー会社や担当者、登山ガイドなどに、登山装備について確認するのがベストだと思います
それが最も確実ですし、(通常は)装備について「これこれの装備は持ってくるように」といった指示が出るものです

また、救急用品などの共通装備はガイドが運ぶので、個人携行の必要のない場合があります
このように、単独であれば必携の装備も、ガイド付きパーティなら省略可能なものがあります

持参しなくてよいのか、それとも必要なのか、こういう場合は個人判断が難しいものです

事前に確認してはっきりさせ、必要のないものは持参しないようにしましょう(重くなって、自分の足を引っ張るだけです)

また、現地で装備確認などを行ない、装備がなかったり、不備があったりする場合は「この装備では、安全上問題があるのでガイドできません」と言われてしまうこともあります
「必要な装備は確実に持参し、不必要なものは持っていかない」ということを確実にしましょう



次のページでは、ブライトホルンの難易度と必要な登山技術について解説します

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