ブライトホルン登山後記3(高山病について)


高山病について(標高の高い場所では…)

標高4000mを超えると気圧は610hPaほどとなり、酸素濃度は60%程度にまで低下します

ブライトホルン登山の場合、実質的に登るのは3780m~4164mまでであり、実に富士山の山頂より高い場所から登山を開始することになります

酸素量が6割しかない状態で、それ相応の荷物を背負い、2時間前後の運動を問題なく続けられるだけの高所耐性と体力は、最低限必要になります

3500mを超えると、動けなくなって行動不能になる人も多いものです

それまで、3000m以上の山に登ったことがなく、自分の高所耐性も不明で、普段あまり運動もしないという人であれば、クライン・マッターホルンの施設から外には、あまり出ない方が良いでしょう

高山病で横たわる観光客
画像は、エギーユ・デュ・ミディの展望台で横になっている観光客です
エギーユ・デュ・ミディ展望台は、モンフランを間近で見られる有名な展望台ですが、標高3842mの高さにあり、クライン・マッターホルンとほぼ同レベルの高さです

標高1035mのシャモニーの街から、この展望台までロープウェイで一気に登れるのですが、高山病の初期症状が出て、動けなくなる観光客もおられます

気分が悪くなったり目眩や吐き気の症状が出た人は、こうやって横たわって安静にし、症状が落ち着くのを待ちます。横になることで心臓の負担が抑えられ、脳に血流と酸素が行きやすくなります
症状が軽い場合はこれで落ち着く場合があります(改善しない場合は、シャモニーに降りるしかありません)

登山者のための、高山病の注意ポイント

  • 標高が高く空気の薄い場所では、徐々に身体を慣らしましょう。いきなり運動強度を上げないこと

  • 常日頃の登山を通して、自分の高所耐性レベルを把握しておきましょう

  • 高山病の症状が出始めた場合に、自分ではどのような感覚に感じるのか、初期症状を体感しておくことは有益です

  • 「ここまではOK」「これ以上は無理」という自分なりの判断基準を持っておき、それを超えるようなら速やかに登山を中止し、引き返して高度を下げましょう

  • 行動不能になった場合は、自力下山が不可能になります。それは即ち遭難となります。そうなる前に早めの判断で引き返し、高度を下げて酸素の濃い場所まで降りましょう

  • 意地を張らずに、早めに周囲に助けを求めるか、救難要請をしましょう

  • 4,000mを超える場合は、事前の高度順化を行いましょう。3000mレベルでも高所に弱い方は、順化行動を取ったほうが良いです(事前に標高が7~8割程度の山に登っておく、標高の高い山小屋で一泊するなど)

  • 高所耐性には個人差があります。あの人が大丈夫だったからと言って、自分もその高度に耐えられるとは限りません

  • 年齢を重ねると、それまでなんともなかった標高でも高山病の症状が出るようになったりします。「若い頃はこれくらい平気で登っていた」は、全く当てになりません。今の自分の状態はどうなのか、冷静に判断しましょう

体力レベルと高所耐性

自分の体力レベルと高所耐性を、自分の言葉で語れない方は、3500m以上の山に登るべきではありません

それを言ってしまうと、富士山登山者のうち、かなり多くの人が失格になってしまいますが、それで良いのだと思います
現実として富士山には、体力も高所耐性も低い方が数多く登られており、途中で高山病の症状が出て、道に座り込んでいる人も多いのが現状です


話をブライトホルンに戻しましょう
4000m以上の高山に登ろうという方は、日本国内の3000m以上の山には、ある程度一通り登っていることでしょう
その際の自分の経験を通して、自分の身体が高所に行くとどう変化するのか、身を持って体験していると思います

2500mではどうなのか、3000mを超えるとどうなるのか、自分の身体にはどのように知覚されるのか、自分で体験しておくことが重要です
少しふわふわした感じになる、ぽーっとして集中力が落ち、登山計画の時間計算があやふやになるなど、人によって現れやすい症状、自覚される初期状態は様々です

また、頭痛や吐き気など、顕著な身体の異変としていきなり現れる場合もあります

症状の程度によっては、登山を止めて引き返す必要もありますが、顕著な症状が出る前に、前段階としてどのように感じられるのかを体感で覚えておく必要があります

これができないと、どこまで異変を感じたら引き返すべきかの判断ができず、「何となく体調が変だ」という曖昧な判断しかできず、結果として症状が悪化して自力で動けなくなってから救助要請をするはめになりかねません

高山病の症状を出にくくするには?

有酸素運動を通して基礎体力を引き上げると、自ずと心肺機能が高まりますので、血中への酸素取り込み能力が向上し、高山病の症状が出にくくなります
体力的な余裕も生じますので、登山においては非常に重要かつ基本的な要素となります

登山そのものによって体力をつけるのも良いですが、フルマラソンやハーフマラソン、ロードバイクなどの有酸素運動を取り入れるのも、非常に効果的です

基礎体力の向上といっても、1ヶ月や2ヶ月ではそれほど変わるものではありません。半年~1年以上のスパンで、楽しみながら気長にやりましょう



このページでは高山病について、(ブライトホルンや富士山など3500mを超える標高の山に登った場合を想定して)解説してみました。

高山病の予防のために、基礎体力を引き上げることが重要と書きましたが、それではブライトホルンを登るために必要な体力とは、どの程度のものでしょうか?
次のページでは、ブライトホルンを登るための必要な基礎体力について解説したいと思います

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