世界屈指のトレイル「オートルート」を歩く

最終更新日: 作者:月寅次郎

スイス・アルプスを、登って降りての17日間・180km、


オートルートは、「高き道」という意味で、フランスのシャモニーをスタートし、スイスのツェルマットをゴールとする、山岳トレイルルートです(※1)

ヨーロッパ最高峰のモンブランのお膝元から歩きだし、有名なマッターホルンの麓の村まで、山越え谷越えして歩くことになります

オートルート・地図
ツイートボタン

オートルートの主要データ

  • スタート地点:シャモニー・モンブラン(フランス)
  • ゴール地点:ツェルマット(スイス)
  • 距離:約200km
  • 累積獲得標高(垂直方向に登る距離の累計):約12,000m
  • 累積下降標高(垂直方向に降りる距離の累計):約10,000m
  • 峠越えの回数:11回
  • 必要日数(フルコース):13泊14日
  • 必要日数(短縮コース):11泊12日

オートルートの道中では、数々の4000m級の山々を眺めることができます。特に有名なのは、モンブランとマッターホルン、モンテローザあたりでしょうか
山だけでなく、青白く光る壮大な氷河や、スイス風情を感じさせる牧草地の通り抜けも魅力的であり、世界屈指の風光明媚なロングトレイルです
途中、幾度となく小さな村を通り抜けますが、そのたびに得も言われぬ生活美を感じます

山に登っても美しければ、山を降りても美しいのです
アウトドアに対する意識、登山文化や山小屋の質の高さにも驚かされました


オートルートをすべて紹介しようとすると、本が一冊できそうなくらいの分量がありますので、ここではオートルートでの美しい景色をいくつか紹介したいと思います

※1:オートルートには二種類ありますが、ここで取り上げるオートルートは、ウォーカーズ・オートルート(もしくはサマーオートルート)であり、山道を歩いて峠を越えていくトレイルルートです

もう一つのオートルートはスキーツーリング・オートルートと呼ばれ、シャモニー・ツェルマット間の積雪期スキーツアーです。こちらも「世界で最も有名な」スキーツアーと呼ばれています
※著作権は放棄しておりません。画像の盗用等、著作権に違反する行為に対しては、厳正に対処いたします

オートルートの行程(わたしの場合)

@日目 宿営地 宿泊場所 距離 累積標高 最高地点
0日 シャモニー ホテル 0km 0m -
1日 アルゼンチエール キャンプ場泊 9km 214m -
2日 トリヤン キャンプ場泊 12km 953m バルム峠2204m
3日 シャンペ キャンプ場泊 14km 1386m フェネトレーダルペッテ2665m
4日 ル・シェブルー ホテル泊 13km 104m 無し
5日 モンフォー小屋 山小屋 9km 1636m @
6日 プラフルーリ小屋 山小屋 14km 885m プラフルーリ峠2965m
7日 アローラ キャンプ場 16km 735m リードマタン峠2919m
8日 アローラ 雨天のため連泊 0km 0m -
9日 エボリン キャンプ場 14km? 215m -
10日 ラサージュ ドミトリー宿 ? ? -
11日 モワリー小屋 山小屋 10km 1617m ツァテ峠2868m
12日 ジナル キャンプ場 14km 464m ソルボア峠2847m
13日 ベラトラ小屋 山小屋 14.5km 892m ナバ2400m
14日 グルーベン ホテル内ドミ部屋 10km 444m ベラトラ山3025m
15日 ガセンリード ホテル 16km 1072m シュヴァルツホルン3201m
16日 ヨーロッパヒュッテ 山小屋 14km 1131m ガレンバーグの北2690m
17日 ツェルマット キャンプ場 18km 348m スネガ2288m

期間:2013年7月29日~8月16日

スイス国境から見るモンブラン・Col de Balme


Col de Balme
オートルート2日目 Argentiere発、Trient着(キャンプ場泊)
この日の峠越え:Col de Balme (バルムのコル)
Distance 12km Height gain 953m

この日は、バルムのコル(峠)を超え、フランスからスイスへと越境しました。 緑の牧草地、雪渓と蒼い空、国境を示す小さな石碑、そしてバルム小屋・・・

バルムのコルは、それはそれはのどかで、美しい場所でした
峠を越えると、それまで見えていた山が消え、また新しい景色が広がります
名残惜しいですが、モンブランにさよならを言って、スイス領に降りました


プラフルーリ峠の手前から、モン・フォー (3328m)を望む

プラフルーリ峠の手前
オートルート6日目 Cabane du Mont-Fort発 Caban de Prafleuri着(山小屋泊)
Distance 14km Height gain 885m
オートルート前半の核心部は、このモンフォー小屋からプラフルーリ小屋を経由して、アローラに降りるまでのルートです
ルートを見失わないよう、何度も地図読みを繰り返して道標を確認しながら歩きました

グラン・コンバン(4314m)

グラン・コンバン
同じくオートルート6日目の風景です
ターミン峠からカメラをズームさせて撮ったグラン・コンバンです
峰の間を避けるようにして、Sの時に蛇行する氷河が印象的でした

シュイロン氷河

シュイロン氷河
オートルート7日目 Cabane de Prafleuri発 Arolla着(キャンプ場泊)
Distance 16km Height gain 735m

オートルートではさまざまな氷河が堪能できますが、ここまで近くに寄れる氷河は珍しいです。
氷の状態の安定しているところを確かめながら、氷河の上を歩いてみました。

● 詳細ページ:シュイロン氷河 - Glacier de Cheilon

レイク・モワリー

レイク・モワリー
オートルート12日目 Caban de Moiry発 Zinal着(キャンプ場泊)
Distance 14km Height gain 462m

この日の行程は、モワリー小屋を出て、ソルボア峠を経由、ツィナールの町まで降ります
セルリアンブルーのモワリー湖、アニヴィエ谷の向こうにそびえるヴァイスホルン、そしてどこまでも広がる牧草地。言葉を失うような、素晴らしい風景を満喫できました

「ホテル・ワイスホルン」と、岩山群

ホテル・ワイスホルンと岩山
ベラトラ小屋から見た、夕陽を受ける「ホテル・ワイスホルン」と、岩山群です(13日目)
かなり距離が離れているため、山腹にある「ホテル・ワイスホルン」が、小さなサイコロのように見えます
そのホテルの左上をよく見ると、斜めに伸びるトレイルが見えます

あの道をたどって、ここベラトラ小屋までやってきました。

今日の宿泊場所を、「ホテル・ワイスホルン」にするかどうか、かなり迷いましたが、足を延ばして「ベラトラ小屋」まで来てよかったです
この夕日の眺めが見られたのですから

明日は、ベラトラ山(3025m)に登ります

テッシュアルプ村より望むヴァイスホルン(4505m)

ヴァイスホルン
オートルート16日目

ヴァイスホルンは、本当に美しい山です
初めてみたのは12日目のソルボア峠からでしたが、何日もかけて大きく迂回し、ようやく反対側まで来ることができました
こちらから見ると整った三角錐の形をしています
ヨーロッパヒュッテからは、より近く迫ってくる感じで見えましたが、タッシャルプののどかな景色とともに、遠目に眺めるヴァイスホルンも、本当に素敵です

マッターホルン遠望

マッターホルン
同じくオートルート16日目です(最終日)

ようやくマッターホルンが見えてきました。谷底に覗いている小さな町は、ツェルマットです
ツェルマットでは、数多くの観光客が闊歩していますが、ここまではかなり距離がありますので、人影もまばらで、ひたすら静かにマッターホルンを眺めていられます

画像の左側の際のところに、ちょこんと尖った岩山がありますが、これはクラインマッターホルンです
ツェルマットからこのクラインマッターホルンまでは、ロープウェイを乗り継いで登ることができます

クラインマッターホルンの左隣には、ブライトホルンが鎮座しているのですが、この画像では見切れています

ブライトホルン登頂の様子は、こちらに書いています

そのほかのオートルートの画像

ソルボア峠
ソルボア峠を越え、少し降りたあたり。北西方向よりヴァイスホルンを望む(12日目)

山々を背景に草を食む牛を見ていると、「あぁスイスにいるのだな」と、そう感じるのです


Zinalへの道
Zinalへ至る道すがら(13日目)
氷河をたたえる山々を目前に、誰もが思わず足を止め、驚嘆のため息を漏らします

山を眺めてばかりですと、いつまで経ってもその日の宿営地に着きませんので、おもむろに歩を進めるのですが、それでもまた何度も、脚を止めてしまうのです


Rivella
スイスの国民的清涼飲料「Rivella」と、実際に使っていた地図
プラフルーリ小屋のテラスにて、明日歩く予定のコースを確認しているところ