旅に出ようという人へ



「旅に出ようとい人へ」 (わたしが旅に出た理由)

若い頃の自分を振り返るというのは、少々恥ずかしいことではあります。
その頃の自分がどんなであったか、すこしだけ白状してみましょう・・。

わたしが旅に出たのは、たしか二十歳の頃でした。
とにも かくにも お金がない。それが当時のわたしでした。

どうして旅に出ようと思ったのか
いろんな説明の仕方ができるけれども
一言で片づけてしまうことは、いまだにできないようです。

何も知らないということと、根拠のない自信
若さゆえの万能感・・・
そういうものが、自分を押し出してしまったようにも思えます。


出発時の手持ちのお金は、たしか16万円でした。
日本列島の津々浦々を巡りきるには
どう考えても 足りませんでした。

けれども

一日を 空の下で過ごし、地の上で寝る。
過ぎ去る景色とともに、すべてを後ろへ追いやる。

そんな退屈とは無縁の、毎日が新しい「世界」の中では
そんなことは さして問題ではなかったのです。


・・・少し 脱線してしまいましたね

どうして 旅に出ようと思ったのか
・・それについて話していたのでした。

きっと退屈だったのだと思います。
正直に云ってしまうと 毎日が、つまらなかったのです。

旅に出る前、わたしは大学生でした。
とある理由で、仕送りをもらっていなかったため、新聞屋に住み込みで働いていました。
生活費と学費を差し引くと、稼ぎのほとんどは消えてしまっていました。

とにかく毎日働いて、働いて、学校に行って、退屈な授業を寝て過ごしていました。

もしも
ごく普通の学生がするように、長い夏休みに、少しばかりの旅行日程を入れることができていたなら
あてのない旅になど、出ることはなかったと思います。

いくばくかの自由になるお金があったとしても、やはり同じだと思います。


そう、すこしばかり喉が渇いていたから
ちょいとよけいに水を飲んでやろうと思ったのです。

それで、全てを説明できるわけではないだろうけれど
少なくとも、間違ってはいないと思います。




 ・・・旅に出ようという人へ

日程の定まった旅行ではなく
放浪という あてのない世界に、身を投じようという人へ

結果があるのは 原因があるからに、他なりません
飲むのは 渇いているからだし
食べるのは 飢えているからなのです

なぜ 渇いているのか
なぜ 飢えているのか

その答えから 目を背けずに
見つめることができたとしたら
そして 受け入れることができたのならば

あなたの旅は すでに終わっています。
あなたはすでに 往って、復ってきたのです。

ここではない、何処か遠いところに行く必要は
もう ないでしょう。

旅の目的は、達成されてしまったからです。


あ・・・偉そうなこと言っちゃった。

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