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47研究所 - Model 4716 "Shigaraki"CDトランスポーター


47研究所 - Model 4716 "Shigaraki"

信楽トランスポーター
47研究所 - Model 4716 "Shigaraki"

管理人はここ数年、CDトランスポートとして、C.E.CのTL5100を使用しておりました。
ベルトドライブから繰り出されるしっとりとした質感、音楽的と謳われた音調に、特別な不満を感じたことはありませんでしたが、『トランポだけが「47研」製品ではない』ということに、一抹の寂しさを覚えていたことも確かではあります。

四十七研究所のトランポが、・・・欲しい、欲しい、欲しい。
おそらく、無意識のうちにそう念じ続けていたのでしょう。

ハッと我に返った時には、47研の信楽トランポが、目の前にありました。
おそらく、無意識のうちに購入してしまったのだと思います。(お金ないのに・・)

オーディオというのは、誠に恐ろしいものです。
これは、立派な病気だと思います。

前置きはさておきまして、47研信楽トランポとは、どのようなトランスポートなのか?感じたことを書いてみました。
( 音の傾向に関しては、以前使用していた、C.E.C製 TL5100との比較を通して感じたものであり、絶対的なものではありません。 )


信楽トランスポート(CD非装着時)
Model 4716 "Shigaraki" の外観

CDを装着していない状態です。

ピックアップやスピンドルが、丸裸とは言わないまでも、外部に露出した状態になります。
天板に置いているのは、アクリル製の「捻じ込み式クランパー」です。

筐体の天板に操作ボタンが配置されていますが、この中で最も手前にあるボタンはCDのTOC(Table Of Contents)を読み込ませるためのものです。
通常のCDTやCDPは、トレイの開閉動作に伴って自動的にTOCを読ませているのですが、本機はそのような作動が無いことから、操作する人間が、意図的にTOCを読ませてあげる必要があります。
TOCを読ませるプロセスを省略して、直接再生ボタンを押しても、CDを「通し再生」する分には支障ありません。
ただ、その場合は、11曲め以降のトラックへスキップする等の操作ができなくなります。


信楽トランスポート(保護カバー装着時)
ピックアップ保護のために、プラスチック製の保護カバーが付属しています。
保護カバーの外観は、トランプ用のケースの片割れに良く似ています。
画像は、CDを外して、保護カバーを被せた状態です。
ネジ込み式のクランパーにしろ、TOCボタンにしろ、面倒くさいように思えるかもしれませんが、慣れてしまえばどうという事はありません。

作動の遅い開閉トレイや、重量のあるスタビライザーを使用する機器などに比較すると、かなりサクサクとCDの載せ変えをすることができ、意外と快適です。


信楽トランスポートのディスプレイ
ディスプレイ表示は、落ち着いたオレンジ色です。

ディスプレイ横にトグルスイッチがあるのですが、これは「電源スイッチ」のように見えて、実はそうではありません。

ディスプレイの表示/非表示を、切り替えるためのスイッチです。
(信楽DATと同様に、電源スイッチはありません)


信楽トランスポートの出力端子
デジタル出力は、RCA端子が「2つ」・・と、なっています。

端子No.1(画像の右側)が、「カップリングコンデンサー無し」で
端子No.2が、「有り」となっています。

47研究所のDATと接続する場合は、DAT側にカップリングコンデンサーが設けられていますので、1番の「無し」に接続します。

他社製のDATと接続する場合は「No.2」の「有り」を使用します。


信楽トランスポートのインシュレーター
信楽焼きの台座には、47研究所のロゴが型押しされています。
信楽シリーズに共通する特徴ですが、一般のオーディオ製品にありがちな「脚」(インシュレーター)がありません。


「信楽焼きのインシュレーターボードに、筐体が固定されている」と考えてみれば、それほど不思議なものでも無いかもしれません。


信楽トランスポートの結線
DATやアンプとの接続は、47研究所製品の極端に短い内部信号経路に敬意を表して、「最短距離」で決めてみました。

これ以上は、何をどうやっても詰まりません。


信楽トランスポートの配置
全体像は、このような感じです。
CDT、DAT、AMPの三点セットを並べても、通常サイズのオーディオ製品一つ分の面積に納まってしまいます。 (電源部を覗く)

画像は、横からのショットです。
今回は、電源部を撮影し忘れましたが、信楽DATの電源と全く同じですので、興味がおありの方は信楽DATのページをご参照ください。

「 音の傾向 」

一聴して気付いたのは、高音の伸びやかさでした。
シンバルの余韻の部分の「伸び」が、たいへん気持ちよく伸びます。
軽く触れるように打った際など 「チィィィィィィーン」 という感じになりますが、この「ィィィィィィー」の部分が、とても印象的に気持ちよく伸びます。
低音の骨格感や密度間も向上したおかげで、バスドラの「ドスッツ」の、「ド」の部分も、以前よりは低い音域から明確に出てきているのが判ります。

楽器などが、手に取るようにぽっかりと浮かんで存在しているかのような、3次元の音場感に関しては、TL5100でもかなりの再現性を見せてはいましたが、前後の定位感が、より一層向上し、前後の定位がぼやけがちな低音主体の楽器においても、きっちりと見えるようになりました。
ありがちな表現かもしれませんが、「ベースがそそり立つ」というのは、こういうことか・・と、改めて感じた次第です。

実際、「楽器が見える」というレベルではなく、収録状態によっては「手が見えます。指が見えます。・・・弦と胴が、それぞれ見えます」という感じです。

フルートの、指の押さえ位置が、音符と共に移動していくさまや、ギターの弦の震動と、胴の「胴鳴り」が、それぞれに、ありありと感じられるというのは、なかなか感動的です。

また、四十七研究所の製品全般にいえることですが、よけいな音が出てこないために、「静か」な感じがするということも、同時に感じさせられるところです。
「記録されている音は、きちんと出しますが、それ以外の音は、出せといわれても出しませんよ。」 と、主張しているかのような音です。

こういう「整然とした緻密で静かな音」は、一つ間違えるとスカスカになったり、感動を伴わない無機的な音になったりする危険性があるのですが、そういった要素は皆無であり、むしろ、極めて音楽的な、演奏者の心もちが伝わってくる再生音を愉しむことができます。

この、精緻・精密な音でありながら、音楽にハートがある。・・といったところが、この製品の主たる特徴ということができるでしょう。

「トランポを変えるだけで、ここまで音が変わるのかぃ・・。」と、改めて思い知らされた次第です。


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