エネループは充電池。
種類で言うと、ニッケル水素電池になります。
特性を理解し、上手に使いましょう。
できればテスターを
充電池を上手に使いこなすにあたって、最低限必要なのはテスターです。
テスターがなければ、充電池の電圧が正確に計測できません。
3段階しか判らないバッテリーチェッカーなどでは、細かい部分が全く判りません。
まずテスターを用意する。これが非常に重要なポイントです。
「え?テスター使うとか、面倒やん」と思った方は、ここで読むのを止めた方が良いかもしれません。
筆者は基本的にマニアックな人です。何でも、奥深く追求するタイプです。
物事の表層だけを浅く知りたい場合、月寅次郎の解説ページは、読むだけ時間の無駄です。
(もちろん、深く知りたい場合は、この限りではありません)
KAISE デジタルマルチメーター SK-6555(筆者使用)
筆者が愛用しているテスターは、
KAISE デジタルマルチメーター SK-6555です。
軽量薄型で、コードを収納可能なため持ち運びやすく、太陽電池で充電した電池の電圧計測に多用していました。
既に15年以上愛用しています。
あまりに使いすぎてテスター線が断線したことがあり、シリコン皮膜の多芯線に交換(改造)しています。
(そのため、筆者が使っているものは、元々の状態とコードの色が異なります。シリコン皮膜ケーブルの方がしなやかです)
オーム電機 デジタルマルチテスター TDB-401
このカイセのテスターは、普通に買うとやたらと高いのですが、
OEM供給による同型機と思われる製品が、
オーム電機から出ています。
(製品名とロゴが異なるだけで、どう見ても同じ製品です)
製品名:
OHM(オーム電機) デジタルマルチテスター TDB-401
車やバイクのバッテリー(鉛蓄電池)の劣化度合いも判る
このように、
テスターが一台あれば、電池残量が、より詳細に把握可能です。
単3や単4電池だけでなく、車やバイクのバッテリーの電圧、さらには劣化具合までも把握できます。
本来、
鉛蓄電池の状態を把握するには、バッテリー液の比重を測るのですが、
満充電時の電圧でも、ある程度判ります。
自動車用の12Vバッテリーの場合、購入直後の劣化の進んでない状態であれば、満充電の状態で12.8V近くまで電圧が上がります。
これが、劣化が進んでくると、いくら充電しても、12.3~12.4Vくらいまでしか上がらなくなります。
このように、満充電時の電圧を計測するだけで、鉛蓄電池の劣化進行具合がある程度判るのです。
最低動作電圧の計測
その機器の、最低動作電圧を測る人は、あまりいないかもしれません。
ここで言う「最低動作電圧」とは…、
「電池が徐々に消耗し、その機器が作動しなくなった時点で、バッテリーの電圧がどこまで低下しているか?」を指します。
これが意外と重要です。
※ 「最低動作電圧」というのは、筆者が勝手にそう呼んでいるだけで、用語として確立しているものではありません。
OPアンプやリレー、電子素子などの世界では、パーツのスペックとして記載されることはありますが、バッテリー駆動の家庭用電化製品で、諸元表にそのような記載はまず見られません。
(自分で調べるしかないのです)
高い電圧を要求する機器の場合、エネループとの相性が悪い場合も
最低作動電圧を知ることで、その機器の特性が判ります。
1.16V程度でも余裕で動き続ける機器がある一方で、1.22Vあたりで、パタリと動かなくなったり、実質的に使えなくなる機器があります。
一般的なアルカリ乾電池は公称1.5Vなのに対し、エネループに代表されるニッケル水素電池の公称電圧は、1.2Vです。
そのため、前者のような高めの電圧を必要とする機器に対して、エネループを使った場合、設計時の最大性能が発揮できないケースがあります。
一昔前のLEDランタンなどは、アルカリ乾電池の使用を前提として設計されていたため、1.50~1.25Vあたりの電圧で最適な作動をするものが多く、1.25V~1.15Vあたりで踏ん張ってくれるニッケル水素電池とは、相性が良くなかったのです。
昇圧回路を搭載しておらず、電池の電圧がそのまま照度に直結するタイプのLEDライトなどは、ニッケル水素電池を使用した場合、スペック通りの照度が出なかったのです。
今どきの機器は、アルカリ乾電池だけでなく、エネループに代表されるニッケル水素電池でも、良好に問題なく作動できるよう設計されているものが多く、前述のような電圧相性問題はあまり見なくなってきています。
低い電圧でも平気で作動する機器も、逆に注意が必要
1.15V前後の低い電圧でも、作動にはさほど問題ない機器もあります。
室温にも左右されますが、省電力の無線機器に多いです。Bluetoothキーボードや、マウスなど。
こういった、低い電圧で動いてしまう機器も、別な意味で注意が必要です。
1.0Vに近くなってくると、バッテリーとしては完全放電に近い状態となります。
それは、充電池にとって好ましい状態ではありません。
(人間で例えると、食事と睡眠をあまり与えず、安月給で長時間こき使うようなものです)
そういった、最低動作電圧の低い機器は、動かなくなるまで充電池を酷使するのではなく、余裕を持って電池を取り外し、早め早めに充電して使うことが望ましいのです。
このように、その機器が十分に作動するには、何ボルトから何ボルトあたりの電圧が最適なのか、最低作動電圧を一度計っておくことが重要なのです。
充電池の声を聴く
最低動作電圧を測るというのは、正直あまり聞いたことはありません。
もしかすると、こんなことをやっているのは、筆者だけかもしれません。
(さすがにそれは無いと思いますが…)
ですがこれは、言ってみれば、
充電池の声を聴くということなのです。
電池は言葉を発しません。
「
このLEDライトは、短時間で強い負荷がかかる。発熱で死にそう」…だとか、
「
このBluetoothマウスは、負荷は弱いけれど、長時間労働になりがちで、体力を最後の一滴まで搾り取られる」
…とかは、言ってくれないわけです。
電池は、不平を言わずに黙々と働いて、ダメになったら、ただ動かなくなります。
ですのでそのあたりは、使う側が察してあげなければなりません。
人間社会でもそうですが、経営陣が雇用環境に無頓着な場合、離職率が上がって社員がなかなか定着しません。
自動車整備士の人は、車の声を聞こうとしますし、農業従事者は、作物の声を聞こうとします。
どの世界でも、自分から分かろうと努力し、耳を傾けようとするのは、非常に重要なことなのです。
充電完了時の電圧も測ってみよう
上の画像は、家庭用電話機の子機を、エネループ仕様に改造したものです。
充電スタンドで満充電まで充電し、エネループを取り出して電圧を測ってみたところ、1.5V前後まで充電されていました。
「この手のニッケル水素電池は電圧1.2Vと表示されているので、1.5Vは、過充電ではないのか?」と思う方もおられると思います。
普段、充電池をテスターで確認していると、よく判りますが、エネループなどの一般的なニッケル水素電池の場合、表示上は1.2Vですが、充電時には1.48V前後まで充電され、デルタピーク検出によって満充電と判断され、充電が停止されます。
(場合によると、1.5V近くまで入ることもありますが、充電による発熱が納まり、冷めてくると、1.42~1.45Vあたりで落ち着きます
このように、1.5Vであれば、「すこし多め(強め)に入れてる」程度です。過充電という程ではありません。
ニッケル水素電池は、日本製に限ります。
日本の工場で生産されているものを購入しましょう。
上の画像の充電池はすべて日本製で、信頼して使えます。
エネループ、東芝IMPULなど、ニッケル水素電池の購入先
スタンダードタイプ(標準型)
懐中電灯など、
大電力が長続きして欲しい場合は、
スタンダードタイプがおすすめです。
(単3型充電池の場合、容量1900mAh前後の製品が多いです)
ライトタイプ(容量は低いが、繰り返し充電回数に優れる)
繰り返し充電可能な回数を重視したい場合は、
ライトタイプがおすすめです。
あまり大電力を必要としない、体組成計や、キッチンスケール、リモコンなどにおすすめです。
(単3型充電池の場合、容量950mAh前後の製品が多いです)