「タイムドメイン・ミニ」 のスピーカーユニット後面解放
前回は、
「タイムドメイン・ミニ」 スピーカーケーブルの交換
でした。
アンプやスピーカーユニット、スピーカーケーブルなど、大きく音質を左右する要素のリプレイスは、おおよそ終了したことになります。
これ以降は、細かな作業の積み重ねによって音のクオリティを上げていく、チューニング作業となっていきます。
さて今回は、スピーカーユニット後面を塞いでいる板の 「肉抜き」 を行い、振動板にかかる
背圧を少なくするとともに、
エンクロージア内部の音抜けを向上させようという作業です。
画像は、肉抜きをする前の状態です。
この 「WHISPER」 というフルレンジユニットは、振動板の後面には金網しかなく、背面から放射された
振動エネルギーが、直線的に後方に抜ける構造になっています。
ユニットの取り付け方が、通常のバッフル面固定であれば、なんら問題は無いのですが、 「タイムドメイン・ミニ」 の場合、ユニット後方からの取り付けになるために、 「ユニット取り付けフレーム」 が、
振動板の後方に垂直に立ちはだかる形になり、好ましいとは言いにくい状態です。
そこで、 「取り付けフレーム」 の肉抜きを行い、
振動板の後部が解放された状態に近くなるよう、加工成型することにいたしました。
ドリルで穴あけ
とりあえず、ドリルで穴を開けます
やると決めたら、ためらわずにどんどん穴を開けていきます。
「もうこれで 『純正』 には戻せないな」 ・・とか、余計なささやきが、頭の中でこだまします。
・・が、そんな雑念に惑わされていては、穴あけの精度に影響が出ますので、なるだけ無心になって作業します。
ドリルで開けた穴を繋ぐ
ドリルで開けた穴を、「糸のこ」 や 「棒やすり」 を使用して繋いでゆき、だいたいの形を作ります。
「どてっぱらに、風穴あけてやる!」
・・という気持ちで、作業をこなしましょう。
穴の成型と面取り
棒やすりで穴の周囲をきれいに成型し
角に面取りを施して、アールをつけます。
シコシコと根気よく作業しましょう。
穴開け成型後のフレーム裏面
裏側から見ると、このような感じです
フレームのリブに沿って、肉抜きを施しました
スカスカの、スケルトンに近い状態です。
スピーカーユニット取り付け・試聴
スピーカーユニットを取り付けた後、背面から見ると、このようになります
まさに、スカスカです。
かなりの後面解放状態にすることができました。
(ここで言う後面解放は、あくまでもユニット直近の後面解放であって、スピーカーキャビネットの後面解放とは異なります)
加工後の 「音」 に関してですが
いくぶん音ヌケがよくなり、のびのびと開放的に鳴る方向にシフトした感じがします。
空気による制動力が減少し、実質的なQ0値が上がっているのでしょうか?
加工を一度に済ませられなかったこともあり、改造の前後で日数が経った状態で試聴しましたので、「どう変化したか?」については、いくぶん不正確な評価になっているかもしれません。
ただ、改造後の状態を客観的に試聴してみると、
それなりに高品位な再生ができていることが判ります。
個人的には、
「オーディオ製品として愉しめるレベル」 に、到達しかかっています。
オーディオに造詣の深くない方(いわゆる一般の人)が、この音を耳にした場合、見ためが小さくて 「おもちゃ的」 な外観にもかかわらず、かなりハイレベルな再生音を出してくるので、少なからず驚かれるのではないかと、 ・・そう思います。
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