ピザを焼く(家庭で石窯ピザに迫る味を出す)
さて、ようやくピザを焼く工程です
わたしのやりかたは、鉄のフライパンと、クッキング用バーナーを使って、上下から強力に加熱するやりかたです
ピザ生地の発酵と、焼き上げの両方を適正にコントロールすることができれば、縁にプクッとした部分的な膨らみの生じた、絶品ピザができ上ります

画像は、焼き上がりのピザを食べてみたところです
縁の部分にプクッとした大きめの気泡ができており、焦げ目もしっかりついていて、なかなか良い焼き具合になっています
食べかけの断面を見ると判ると思いますが、縁にしっかりとした膨らみができており、みっしり詰まった重たい生地になっていません
部分的ではありますが、ナポリピッツァの真骨頂である、「コルニチョーネ」ができ上っています
欲張って周辺部までトッピングを行ったため、熱が充分に回らず、「全周コルニチョーネ」とはなりませんでしたが、かなりナポリピッツァに近い状態に焼けていると言ってよいでしょう
このような焼き具合に仕上げることができれば、画像だけ見せて、「石窯でピザを焼いたよ!」と言っても、嘘だとは思われないでしょう(少なくとも、一般的な家庭で焼くピザのレベルを、充分越えています)
キャンプ場で焼けば、一躍のヒーローに、子供の誕生会で焼けば、「〇〇ちゃんのママ、すっげー!」と、周囲の眼差しが変わってしまうかもしれません
それでは、実際の焼き上げの工程を紹介しましょう
通常、家庭でピザを焼く場合はオーブンを使いますが、オーブンではどうしても石窯のような高温にすることができず、おいしそうな焦げ目がつきません
石窯でピザを焼く場合、窯の温度は、450度ほどに上がります
この温度は、家庭用オーブンでは到底出すことができません
せいぜい出せて280度くらいです。高温で一気に焼き上げることが難しいため、低めの焼き温度となってしまい、その分長く加熱することになります
そのため、パリッとした焼き上がりや、香ばしい焦げ目が出せないのです
どちらかというと、「ふにゃっ」としたピザに仕上がることが多いです。温度がさらに低い場合は「もさっ」とした食感になることもあります
「コルニチョーネ」など、望むべくもありません
ガス火で下から加熱
下から加熱するコンロは、家庭用のガスコンロで良いでしょう
我が家の台所用コンロは「IHクッキングヒーター」ですので、登山・キャンプ用のガスコンロで代用しています
同じような理由でガスボンベを使用する場合は、カセットコンロでも良いです(むしろカセットコンロの方が、五徳が大きく安定しており、操作もしやすくおすすめです)
IHクッキングヒーターでも焼けないことはありませんが、空焚き防止機能が(高温アラート)が働いてしまうため、加熱が充分に行えないことが多いです(結果として、長時間低温加熱となり、もさっとした触感になります)
また、鍋の底面のみが発熱するため、側面から火が回りにくく、最も加熱したピザの縁部分が過熱不足になりがちです
このため、IHではなく「ガス火」で下から加熱することが重要です
火力は「中火」にします(あえて言うなら、やや強めの中火)
あまり強火にし過ぎると、一気に火が入るのでコントロールしづらく、部分的に底面の焦げが強くなったりします
火力が弱すぎると、もさっとした焼き上がりになりがちです
火力が強すぎて生地を焦がしてしまうと、台無しになってしまいます
そうなる手前の段階で、わずかに煙が上がったり、焦げの香りが上てきたりと前兆はありますので、そのサインを見逃さないようにして、火力を調整しましょう
わたしの場合は、火力を一定の強火にして、フライパンを火口からどれだけ離すかで火力を調整しています
最初は五徳に直乗せして、ピザの縁に当たる部分を集中的に加熱します
やや火が入ってきたなと思ったら、フライパンを五徳から離すことで火力を落とし、「局所加熱」から「全体加熱」へと移行します
フライパンを五徳に置きっぱなしにして加熱すると、中央部分だけが焦げることがあります
フライパンは手に持って、五徳から浮かし、「強火の遠火」の状態を作ってあげると、いい塩梅になります
また、ピザの周囲の部分を積極的に焼くイメージで、フライパンの位置を中心からずらしながら焼くと良いです
クッキングバーナーで上からも加熱

クッキングバーナーで上からも過熱します
火力は中程度が扱いやすいと思います。あまり直接火を当てると、表面が焦げるだけで中に火が通りません
炎とピザは一定の距離を保ち、最初は「上からも温める」くらいの柔らかい感じで加熱します
クッキングバーナーは、ピンポイントで炎が当たります。最初は炎と生地の間に数センチの間が空くような距離感で、バーナーをゆるやかに移動させて、まんべんなく加熱します
鍋肌と生地の際の部分は、なかなか火が通りにくいですが、鍋肌側面から火を上手に回してあげると、高温の熱気がピザ生地の側面に回り込みます
「熱くなった空気」は、視覚では見えませんので、ピザ生地表面の色変化や、気泡の成長具合などをよく見て、ピザ生地が出すサインから熱の入り具合を想像しながら焼きます
(このあたりは、経験と勘がものを言う部分です。何度か練習するうちに、ちょうどよい塩梅が掴めてくると思います)
「生地に充分火が入ったな。あとは表面を焦がすだけだな」と感じられたら、「焦がし」のステップに入ります
表面を焦がして香ばしく焼き上げる
ピザの底が焦げないように、下からの火力を弱めます(もしくはフライパンを持ち上げて、火と距離を保ちます)
クッキングバーナーの炎をピザ生地の縁に近づけ、ゆっくりと移動させながら焦がしていきます
火を近づけすぎると、そこが局所的に焦げてしまうので、炎が接するか接しないかくらいの塩梅で、優しく丁寧に焦げを付けていきます
ピザ生地表面の水分が飛んで、色が白く変化していくのは、生地の状態と火力が適正だと、気泡が徐々に成長してブルームが発生し、とても美味しそうな外観に仕上がりますが、火力が強すぎたり、近すぎたりすると「露骨に焦げ目を付けた感」が出てしまい、良い仕上がりにはなりません
ピザの周囲にきれいな焦げ目がついたらできあがりです
この時、チーズの溶け具合が十分でなかったり、トッピングのソーセージの熱の入り具合に不足があるような場合は、それぞれの部分に上から火を近づけてグリルしていきます
このステップでは、ピザ縁に焦げ目を入れる時よりも、思い切って火を近づけても大丈夫です(水分が充分な具材に限ります)
チーズやソーセージなら、じりじりと美味しそうな音を立てて焼き目が入ります
(ピザ用の安いシュレッドチーズの場合は、あまり加熱しすぎると油が酸化して、チーズの臭みが嫌らしい方に変化する場合があります。安いチーズを溶かす場合はほどほどにしておきましょう)

こちらは生地の裏側です
あまり焦がしすぎると、炭のような味が出てしまってよろしくありませんが、適度に焦がすのは香ばしさが増して、カリっとした歯ごたえに仕上がり、食べていて実においしいです
ピザ底面の焼き具合は、目では見ることはできませんので、立ち上る香りと経験が頼りです
何度か焼いて、失敗と成功を繰り返すうちに、ちょうどよい塩梅が掴めてくると思います(練習を繰り返すしかありません、がんばりましょう)
ピザを切り分ける
焼き上がったピザとフライパンの間に、フライ返しを差し込むと、簡単にピザが剥がれます(油返しがきちんとできていればです)
(慣れてくると、縁の部分を指でつまんで外すことも可能です)
まな板の上に置いたら、お好みでドライバジルやチリペッパーをかけましょう
タバスコなどの香辛料をかけるのは、ナポリピッツァからすると完全に邪道ですが、ビールを飲みながらピザを食べる場合は、やや辛めに仕上げた方がビールに合うというものです
同様の理由で、焼き上がりの表面に粗塩を一つまみパラりと振りかけるのも、(お酒に合わせる場合には)おすすめです
あとは切り分けて、熱々のうちにピザを頬張りましょう!
ピザカッターが無くても大丈夫です
ピザの切り方、家庭での上手なカット方法

包丁の刃をピザにあてがい、背の部分に手を添えてぐっと押し込めば、ザクっと切れてくれます
(家庭によくある三徳包丁のような、刃の幅ある包丁が使いやすいです
コツは、包丁を引いて切るのではなく、ピザに対して包丁を動かさず、下にぐっと押し込んで切ることです
切れ味の悪いピザカッターの場合は、一度のストロークでは切れないことがあり、何度も往復しているうちに、切り口がグズグズになることもあります
包丁の背をそのまま押し込めば、一度でバスっと切れてくれて、簡単かつ真っすぐに切ることができます
(標準的な三徳包丁の刃渡りは16.5㎝ですので、20センチ直径のピザを一度に半分にすることはできませんが、最初の切り込みを二回に分け、刃を入れれば良いだけです)