手作りピザ3(生地を発酵させる)

最終更新日: 作者:月寅次郎

ピザ生地の作り方(生地を発酵させる)

ピザ 生地 手作りレシピ
ピザ生地を作るには
1.生地の材料を合わせる
2.こねて、グルテンを成長させる
3.発酵させる
4.伸ばしてクラストにする
 という、4ステップに分けられます

このページでは、「3」の、生地を発酵させる工程を解説します

ピザ生地の発酵

ピザ生地の発酵を家庭で行う場合は

1.室温で普通に発酵させる
2.冷蔵庫に入れ、長時間・低温発酵で行う

 の二通りのやり方があります

どちらでやってもよいのですが、長時間低温発酵の方が、より美味しく仕上げがりやすいです

発酵食品は、高温・短時間で仕上げるよりも、低温で時間をかけて仕上げた方が、雑味が少なく上品で美味しい仕上がりになる傾向があります

昔ながらの日本酒の仕込み作業が冬季に行われるのも、この低温が重要だからです
味噌の場合も、「寒仕込み」にして冬に作るものです
一般に販売されている工場生産の味噌は、温度を一定にして一年中作っていますが、老舗の味噌蔵は、年に一度だけ「寒仕込み味噌」を冬季に仕込み、数量限定品として販売することもあります
味噌の醸造は、発酵時に室温を人為的にコントロールするだけで「手作り」の表記ができなくなり、加温せずに自然のままの温度で仕込むには、気温の低い冬季が最適なのです

ここでは、「室温発酵」と、冷蔵庫で寝かせる「長時間・低温発酵」の、それぞれを紹介します
とりあえず、すぐに食べる分だけを「室温発酵」にして、残りは「低温発酵」にして、後日に回すというのも、良い方法です

それではまずは、「室温発酵」のやり方から紹介しましょう

発酵のポイント(イースト臭と、フルーティな香り)

発酵前の生地を少し取り、食べてみて味を確認します
発酵後に、同様に舌で確認し、不快なイースト臭が出ていないかを確認します

イースト臭は、口に入れた直後はあまり感じられませんが、後味で「ぐわっ」と来ます
これが強めに出てしまうと、あまり美味しいピザにはなりません
トッピングを盛大に行えば、ある程度はごまかしが効きますが、シンプルなピッツアにした場合、馬脚が露呈します

低温・長時間発酵にすると、このイースト臭がほぼ感じられなくなり、フルーティな風味さえ出てきます

夏季など気温の高い時期に室温発酵を行う場合は、ドライイーストの量を20~30%減らし、短時間過剰発酵にならないよう調整した方が良いでしょう

※ ただこの「不快なイースト臭」も、一度は自分の舌で味わっておいた方が良いです
「失敗すると、味がどう変化するか?」を体感することが、料理レベルの向上に繋がるからです

ピザ生地の発酵 - 「室温発酵」

ピザ 生地 手作りレシピ
1.こね上がったピザ生地に濡れ布巾をかけ、そのまま45分ほど放置します

生地玉をボウルに入れて、上に濡れ布巾を渡しかけても良いです
(冬で室温が低い等の場合は、時間を少し伸ばしてください)

生地が落ち着いて、ボコボコした外観からつるっとした表面に変わってくるはずです
2.ここで生地を取り出し、ピザ1枚分の量に切り分けます
(このレシピでは、一個あたり125g前後の重量になると思います)

3.切り分けた生地をきれいに丸め、並べて置いて再び濡れ布巾をかけ、さらに45分ほど休ませます

45分+45分で1時間半生地を寝かせることになりますが、質の良い生地を適正に発酵させると、表面がしっとりと艶やかになり、とても柔らかく(伸ばしやすく)なります

ピザ 生地 手作りレシピ
尾上製作所
コンパクト
ピザオーブン

画像は、合計で1時間半少々寝かせた状態の生地です
生地がしっとりと柔らかくなったため、布巾の布目が付くほどの状態になっています

発酵によって生地が空気を含むようになり、触った感触も大きく変わります
それまではどっしりとした餅のような重量感だったものが、ふわふわの肉まんのような触感に変化します
(この「しっとり・ふわふわ」という感覚は、実際に作ってみて経験するしかありません。この感覚を大事にしてみてください)

さらに時間をかけて寝かせることで、より伸びの良い生地に仕上がるとも思いますが、ここまで仕上がったら、「生地を伸ばしてピザ台を作る」工程へ移って良いでしょう

打ち粉をしておくと作業がやりやすいと思いますが、打ち粉をしなければできないわけではありません(面倒なので、個人的には打ち粉せずにやることが多いです)

ピザの場合はパンと異なり、充分に発酵させて構いません(限度はありますが、過発酵っぽくなったとしても、問題が出にくいです)
むしろ発酵が足りない場合の方が、生地の伸びが悪く、整形に手間取ったりしますので、迷ったら時間を長くする方向で構いません

生地を休ませる時間が短くても、「ピザが焼けない・ピザにならない」ということはありません
それなりにピザとして焼くことは可能です。ただ、「伸びの良いきれいな生地」に仕上げたい場合は、時間いっぱいまで寝かせてあげてください
時間を充分にとって寝かせることで、生地のムラが均一になってゆき、つるつるした美しい生地に仕上がります

ピザ生地の発酵 - 「長時間・低温発酵」

ピザ 生地 手作りレシピ
スケッパーなどを使い、こね上がった生地を一枚分づつの分量に切り分けます
(包丁でもOKです)

ピザ 生地 手作りレシピ
それぞれをきれいに丸めます

切り分けた生地を丸める際は、伸ばした方の反対側に皺が寄り、なかなか消えないことがありますが、指先で強くつまんであげると、生地同士が馴染んで皺が消えます

ピザ 生地 手作りレシピ
貝印
スケッパー

密閉可能な食品保管容器に入れ、冷蔵庫に入れて発酵・熟成させます

容器は、充分なサイズのものを用意しましょう。この後徐々に膨らみますので、生地の2倍程度の容量は欲しいところです

冷蔵庫での標準発酵日数は、3日~4日を見ておきましょう
※ 最適な時間・日数は、冷蔵庫に入れるまでに、どこまで発酵が進んでいるかにもよりますし、冷蔵庫内のどこに置くかによっても左右されます(置き場所によって温度が異なるため)

また3日経たなければ食べられないというわけでもありません
1日経った時点で食べたくなったら、冷蔵庫から取り出してゆっくり室温に戻し、室温で追熟させれば良いだけです
冷蔵庫では発酵しきれなかった分を、室温に戻して「追い発酵」させるわけです。

このやりかたを逆手にとって行うと、「ピザ生地は一度にまとめてこねて、ピザを毎日一枚づつ焼く」ということもできます(個人的によくやっています)
これをやると、さまざまな発酵状態のピザ生地と向き合うことになり、ピザ生地の発酵について良い経験を積むことができ、腕も上がりますのでおすすめです(見極めが上手になります)

追記
試作・試食を繰り返して検証しましたが、やはり美味しさが際立つのは3~4日目あたりです。
2日目は「まだ少しまだ早いが、そこそこいける」という感じで、1日経過分はイースト由来の雑味を感じることがありました。

ピザ 生地 手作りレシピ
カプート
冷凍ピザ玉

生地が良い状態に仕上がると、表面がしっとりと湿った質感に仕上がります

ここで生地をちょっとつまんで食べてみましょう
雑味がなく、上質な吟醸純米酒のようなフルーティな香りが鼻腔に抜けるようなら、上々の仕上がりです

この長時間低温熟成は、時間と手間がかかるため、家庭ならではのおすすめの熟成(発酵)方法です
(お店でやると、時間もコストもかかってしまうため、ピザの販売価格が高くなりがちで、商売として成立しにくくなってしまうのです)

ピザ 生地 手作りレシピ
ちなみに、クッキングシート(オーブン用のシリコン加工された紙)でピザ玉を一つづくるんでおくと、膨らんだ後でも生地同士がくっつかないので、そのあとの伸ばし工程がスムーズに進みます