ピザ生地の作り方(生地を平たい円盤状に伸ばす)
ピザ生地を作るには
1.
生地の材料を合わせる
2.
こねて、グルテンを成長させる
3.
発酵させる
4.伸ばしてクラストにする
という、4ステップに分けられます
このページでは、「4」の「
生地を伸ばしてクラストを作る」工程を解説します
生地を伸ばしてクラストを作る
カプート サッコロッソ クオーコ00(イタリア産のピザ用小麦粉)で作ったクラストです(ピザ生地)
発酵によって生じた小さな気泡が生地表面にみられ、なおかつ潰れていません
生地を上手に伸ばしていくと、このように気泡をつぶさずにクラストを作ることができます
冷凍ピザでは真似のできない、「生地から手作り」ならではの仕上がりです
(おおよそですが、直径20㎝程の大きさに伸ばしています)
下の方に日清カメリアと日清フラワーで作ったクラストの画像も掲載しています。どれだけの違いがあるか、見比べてみてください
生地の状態を確認する(発酵・グルテン・表面湿度)
キャプテンスタッグ
畳めるピザ窯
伸ばす前の生地を手に取り、優しく触れてみて、全体の仕上がり状態を確かめます
気泡の偏りが生じてないか、表面が乾燥していないか、グルテンが均一に成長しているかなどをチェックします
部分的に大きめの気泡ができていたりすると、(そこには生地の実体がありませんので)伸ばした時に極端に薄くなることがあります
また、
表面に乾燥している箇所があると、そこだけ固くなるため、部分的に伸びの悪い部分が生じます
さらに、
表面にボコボコした盛り上がりがあるとしたら、それは「グルテンが切れた跡」です
そこだけ部分的に伸びが悪く、生地にムラができやすいですが、これは時間を置いて生地を休ませることで徐々に滑らかになっていきます
一旦滑らかに仕上がった表面も、その状態から無理に引き延ばすと、再びグルテンが切れてボコボコ表面に逆戻りすることがあります
生地を休ませることで、
表面が滑らかに整ったら、そこからはむやみに生地をいじらないことが重要です
また、前述の生地の不良が判ったからといって、そこから簡単に修正できるわけではありませんが、伸ばしている途中で不備が判るよりも、伸ばす前から判っていた方が、修正がしやすいものです
手のひらサイズに伸ばす
デロンギ
ピザストーン
球状の生地を平たくしながら、手のひらサイズまで伸ばします
伸ばし台の上でやっても、手で持った状態でやっても、どちらでもやりやすい方で構いません
生地表面がしっとり濡れた状態の場合は、生地が手にくっつく場合がありますので、軽く打ち粉をしておくとよいでしょう
ただ、伸ばしているうちに、生地表面の水分は少しづつ飛んでいきますので、徐々にくっつかなくなるものです。慣れてくれば打ち粉なしでも問題なく伸ばせるようになります(わたしの場合、打ち粉はたまにしか使いません)
生地の大きさが、手のひらサイズになってきたら、人差し指の付け根と親指の腹のあたりで、生地を挟んでぶら下げてみましょう
ここで再び生地の状態チェックです
ぶら下げた状態の生地を、少し揺すってみます
どうでしょうか?
1.生地がびくともしない(全く伸びない)
2.ゆすってみると、生地が自重でわずかに伸びる感じがする
3.ぶら下げているだけで、(動かさなくても)生地が伸びる感じがする
・・・以上3つの、どれに該当するか確認してみましょう
「2」のあたりがピザ生地として扱いやすく、この状態であれば薄く均一な円盤状に伸ばしやすいです
慣れている人でしたら、「3」の方が良いという方もおられると思います
1は、グルテンが強すぎる、強力粉の割合が多いなどの理由で、生地が固すぎます
国内メーカーの強力粉100%で生地を作り、発酵時間が不足していると、こうなります
3は、グルテンが弱く、薄力粉の割合が多い場合などになりがちです
1に比べるとましですが、もう少しグルテンがしっかりしていた方が、生地として扱いやすいでしょう
1の場合は、生地をさらに寝かせることで、状態が改善する場合があります
3の場合は、いくら待っても状態は改善しませんので、伸ばしすぎて穴が開かないよう配慮しながら伸ばしていきます
左右の手で、生地を持ち替えながら遠心力で伸ばす
ピッツェリア
プロント
ピザオーブン
さきほどの、「人差し指の付け根と親指で、生地を挟んでぶら下げた状態」のまま、
うちわでも扇ぐように優しく手を返し、生地に遠心力を与え、生地の自重+遠心力で、わずかに生地を伸ばします
そのまま手を持ち替えて、同じ動きを繰り返して伸ばし、また持ち替える
この一連の動きを繰り返して、ちょうどよい大きさまで生地を伸ばしていきます
言葉で説明しても、分かりにくいと思いますので、この部分はいつか動画で撮影してアップしたいと思います(それまではスイマセンが、自分で試行錯誤するなりしてみてください)
補足:ピザ伸ばしというと、円盤状の生地を空中で回転させながら作る様子をイメージする人もおられると思いますが、あんなことはやらなくても大丈夫です
あれは、ただのデモンストレーションであり、現代では一つの「ピザ回し」という競技にまで発展しています
すでに、「食べ物を作る」というところから外れて、「ピザ生地を回転させるスポーツ」となっていますので、真似をする必要はありません
悪い言い方をすれば、あれは「食べ物で遊んでいる」のです
生地がきちんと仕上がっているという前提は付きますが、
左右の手で交互にパタパタやってれば、生地は自重と遠心力できれいに伸びていくものなのです
ピザクラスト作りのポイント
ジューシ・コムサ
ピザクラスト
クラスト作りの工程(生地を伸ばして円盤状に成形する)は、生地の状態がどう仕上がっているかにかかっています
生地伸ばしの習熟度によっても、上手に伸ばせる・伸ばせないかの差は出るものの、
きちんと仕上がっている生地は、伸びが良いだけでなく、均一に伸びて厚みのムラができにくいです
ブチブチ切れたグルテンが、生地表面にあばたのように盛り上がった生地だと、なかなかきれいに伸びないものです
どうかすると、伸ばしたそばからゴムのように縮んできて、「生地が伸びない、どうすれば?」と悩むことになったりもします(強力粉100%で作った時にそうなりました)
ピザ生地がきちんと仕上がっておれば、さほど苦労することなく、きれいに伸ばせるものです
生地の成形が難しいと思ったら、生地を合わせて発酵させる段階に立ち返って、何か不備が生じていないか確かめてみてください
上手に仕上がった生地は、ミクロの気泡を含んているため、具の入ってない肉まんのようにふわふわした感じになります
また、
表面はしっとりとして瑞々しく、爽やかでフルーティな発酵香がほのかに感じられます
不出来な場合は、不快なイースト臭が出ます。最初に作った日清製粉のレシピでは、糖分を加えてドカンと発酵させているため、イースト臭が如実に感じられました
日清製粉レシピで作った際の感想と画像は、こちらで見ることができます
この下にも一部紹介していますが、
生地作りの失敗例などはこちらにまとめています(失敗例のパターンを事前に知っておくことが、上達の近道です)
普通の小麦粉でピザ生地を作ると、どうなるか?

こちらは、
日清カメリアと日清フラワーを半々にブレンドして作った時のクラストです
気泡の成長がさほど見られず、のっぺりしたクラストに仕上がっています
だからといって、焼く際に生地が膨らまないわけではありません(焼くときの熱でプクッと膨れて、それなりにナポリ風らしく焼き上がります)
ここで日清カメリアのみ(強力粉100%)で生地を作ると、グルテンが強すぎてプクッとしたふくらみができず、生地全体がブワッと膨らみ、下の画像のような焼き上がりになります

グルテンの網目が強すぎるので、膨張したミクロの気泡がそれぞれ独立した状態で膨らみ、あたかもパンのような仕上がりになってしまうのです
見てくださいこの厚み。実際これはもう、「パン」です
グルテンの強さをある程度落とすか、カプート サッコロッソのようなピザ用小麦粉を使用することで、小さな気泡がグルテンの網目から適度に抜け出し、一体化して成長することで、部分的にプクッとした独特の膨らみ「コルニチョーネ」を作ることができます
上手に焼ければ、下の画像のような焼き上がりになります