ヴィクトリノックスの、非常に古い包丁です。
正式名称は不明なのですが、「118」と刻印がありますので、「ヴィクトリノックス 118 牛刀」と個人的に呼んでいます。
ハンドル材は、ローズウッドの天然木と思われますが、一部に割れが生じています。
かなり年代物の包丁だと思われます。
恐らく、1970年代に製造されたものではないかと推測しています。
Victorinoxの旧ロゴ(昔の商標マーク)は、実に味がありますね。
スイスの山々を背景に、鳥が草を咥えたデザインとなっています。
この鳥が鳩で、咥えているのがオリーブであれば、ノアの方舟から由来をとったものかもしれません。
(いつか、確認してみたいところです)
ハンドル形状は、中央がやや膨らんだ樽型となっています。
よく見ると判りますが、平らな部分が一箇所もありません。
(ここが、この包丁の最も着目すべきポイントです)
この形状を削り出すのには、かなりのコストが掛かっているはずです。
握った感触は、「実に素晴らしい」です。
手のひらの中央は、少し凹んでいるので、ハンドル側の中央が膨らんでいると、掌のカーブにぴったりフィットして、実に素晴らしい握り心地なのです。
なお、スイスの世界的工具メーカーに「PB」という会社がありますが、PBのドライバーも同様に、握り手の中央が膨らんだ樽型をしています。
このあたりは、まさに「スイスデザイン」の面目躍如といったところです。
ハンドルの峰側の状態です。
まあ、とにかく、ボロボロなわけですよ。
それにしても酷い状態です。
ここで、ハンドルの厚みをよく見て下さい。
「中央がやや膨らんだ樽型」というのが判るでしょうか?
中央に厚みがあって、前側と柄尻側は、厚みを少し削いでいるのです。
実に手の込んだ形状をしています。
こちらはハンドルの腹側です。
鋼材が露出していないので、『背通し』構造ですね。
刀身はこのような状態で、特に歪みや曲がりは認められません。
追記:包丁を分解した後で判ったのですが、柄の付け根付近にわずかな歪みがありました。
これについては、力技で曲げて修正しています。
アゴの内側は、このような感じです。
いたって普通ですね。
包丁のレストア
この包丁は、中子と柄材の腐食が激しいため、この状態のままで使うと、内部に水が染み込んでしまい、包丁の寿命がさらに縮まってしまいます。
そこで、一旦包丁をバラバラに分解し、レストアを施すことにしました。
ピンを抜いて、柄を分解します。
ハンドル材は内部の腐食が酷く、剥がすだけでボロボロに朽ちていきます。
かなり酷い状態です。
このブレードはステンレス刃物鋼ですので、これくらいで済んでいますが、ハガネであれば、サビで痩せ細って、朽ちて無くなっていたでしょう。
電動研ぎ機「ホームスカッター」で、大まかに刃の側面を整えます。
中子のサビも削り取りました。
キングハイパー#1000番で、研ぎ傷を整えたところです。
この包丁は、現在レストア&カスタム作業中です。
他にも、同時進行で作業中の包丁が多数ありますので、いつ完成するのか、全く判りません。
完成後は、このページに全容をアップする予定です。
(気長にお待ち下さい)
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