鏡面の映り込みと平滑度を確認
これまで、鏡面仕上げに向けて、耐水ペーパーで仕上げてきたオピネルのブレードでありますが、ここに来て、このまま最終仕上げに持っていってよいのか? …と、疑問を生じるようになってきました

鏡面の手前のあたりまで仕上がった、オピネルのブレード
一見、そこそこ鏡面に仕上がっているようにも見えます
改めてブレードの表面を、よく見てみましょう
わざと照明を反射させ、ブレード表面の平滑度を見てみます

小さなくぼみが多数、ピンホール状のものと溝状のものが、一面に生じているのがわかります
裏面も見てみましょう

裏面もひどいですね
裏面は平面が出ていたので、砥石でそこそこ削ってからペーパー掛けしたはずなのですが、それでもこの状態です
さらに、画像を大きく拡大してみましょう

あぁ、これは、ひどい

裏面も、まあ、ひどいこと…
ボッコボコです。あれだけ磨いたというのに
ミクロの平滑度は、コンパウンド掛けでかなり仕上がっているのですが、マクロの凹凸が取り切れていません
このため、映り込みはまあまあなものの、光に反射させてみると小さな凹凸が目立ってしまうという、少々残念な状態になっていました
このまま番手を上げて磨き込んでいっても、あばたの残った「なんちゃって鏡面」にしかならないでしょう
鏡面仕上げの方法を再検討 - どうしてこうなった?
耐水ペーパーでの鏡面仕上げは、特別な器具が必要なく、当てゴムがあればいいくらいです
そのため、費用もさほどかからず、簡単にトライすることができます
耐水ペーパーの番手を順々に上げていくことで、金属表面の平滑度が上がっていき、鏡面仕上げにすることができます
ただ今回は、古いオピネルであったため、ブレード状態が悪く、今一つの仕上がりになってしまいました
おそらく、新品のオピネルであれば、グラインダー跡を消すだけで済み、耐水ペーパーとコンパウンドだけでも、充分な状態まで仕上がったのではないかと思います
ですが今回は、ブレード表面に生じた黒錆のおかげで、腐食痕部分の硬度が落ちており、その部分のみが深めに削れてしまったようです
また、そうして生じたピンホールに耐水ペーパーの粒子が食い込み、これを一定方向に磨き続けたことで、溝状の凹みに広がってしまったようです
番手を上げるたびに研磨方向を変え、前の番手でできた「目」を消すことで、このような研ぎムラを防止するのが定石なのですが、ナイフは形状が細長いために直交方向には磨きにくく、このような仕上がりになってしまいました
このような凹凸の生じている状態から、均一な平滑面になるまで表面を研磨するのは、並大抵のことではありません。アルミや銅など、柔らかい金属ならなんとかなるかもしれませんが、焼きの入ったハガネです。カチンカチンに硬いのです
このまま手作業でやっていては、指紋がいくつあっても足りません(指紋がすり減って、つるつるになるのです)
これまでのような手作業研磨では、状況の改善は難しいと判断し、別の方法を選択することにしました
電動工具の力を借りて、表面を削り直し、まっとうな下地を作り直すことにします
・・・はい、そうです
実際、最初から電動工具を持ち出すべきでした(大いに反省)
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オピネル 鏡面仕上げ