ミニルーターの使い方
プロクソンのミニルーターを長年使っています。
このページでは、
ミニルーターの基本的な使い方、ビット(アタッチメント)の交換手順、作業上の注意点などを紹介します。
ミニルーターの基本的な使い方
電源スイッチ確認とコンセント接続
電源プラグをコンセントに差し込む前に、電源ボタンがOFFになっていることを確認しましょう。
(回転速度つまみの位置も、『最小』を指していることを確認します)
電源スイッチは一般的なロッカースイッチですので、何かに押されたりすると、意図しないところでスイッチがONになっている場合があります。
コンセントに差し込んだ途端に、ルーターが回転を始めると、思わぬ怪我を招きかねません。
使用するビットやアタッチメントは、コンセントに繋ぐ前に装着し、固定に緩みがないかを確認しておきます。
ビットの交換手順は後述していますので、下の方をスクロールしてご覧ください。
電源投入
作業環境がすべて整っていることを確認したら(※1)、回転スピードが最小になっていることを再度確認した上で、電源スイッチをONにします。
スイッチを入れると回転が始まります。
スタート時はトルク反動があることを意識しておきましょう。
軽量のミニルーターであれば、ほとんど反動は感じられませんが、モータートルクの大きな重量級ルーターは、それなりの反動があります。
いい加減に持たずに、しっかりと意識してホールドしましょう。
(極端に強く握る必要はありません、適当な持ち方をしなければ良いだけです)
(大げさに書いていますが、要は、電源投入時は緊張感を持って望み、電源をOFFにするまでの通電時・作業時は、常に事故防止を意識する。…と、いうことです)
※1
電源投入の前に、作業環境はすべて整えておきましょう。
何か忘れている物が見つかった場合は、一旦スイッチをOFFにし、回転を止めてから整えます。
・充分な作業スペースの確保、危険物の排除、汚れや削りカスが飛び散っても大丈夫なように養生作業
・作業に必要な物を整理して配置(研磨ペースト、汚れ拭い用ウエス、ブラシ等)
・必要に応じた服装、髪型、防護用具(防護メガネや粉塵用マスク、髪を巻き込まれないように)
回転スピードの調節
プロクソン
ミニルーターセット
MM100
No.28525-S
必要に応じて回転スピードを調節しますが、
最初は低スピードを推奨します。
スピードを極端に速くしても、あまり良いことはありません。
スピードを早くするとその分速く削れませすが、速く削れる分だけ手の動きも速く合わせる必要があります。そのため、難易度が増す場合が多いです。
(少しでも動きを止めてしまうと、そこだけ深く掘れて段差ができてしまうため、動かし方もシビアになります)
回転スピードが速い方が好ましいと、明確に判断できる場合にのみ、速くすれば良いのです。
ちなみに、回転スピードの調整が最も有効に働くのは、彫刻や彫り物(名入れ・文字入れ)を行う場合です。
これらは、
手の動きに合った最も作業のしやすい回転スピードの範囲がありますので、それに合わせます。
(どの程度のスピードが最適かは、対象物の硬度と使用するビット、個人の技量次第でさまざまです。一概に言えるものでもありませんので、自分自身で探り当ててください)
また、回転スピードが速いほど、モーターが熱を持つのも早くなります。後述の通り実質的な定格時間が短くなります。(夏季は特に配慮しましょう)
単に切削するだけだったり、汚れ落としやサビ落としなどの場合は、遅めのスピードでも構いません
(回転速度が速い方が効率は上がりますが、モーターが熱を持つのも早くなってしまうため、長い目で見ると、高効率とは言えない場合もあります)
個人的には、最低スピードの状態で使う事が多いです。その方が失敗時の被害が比較的少なくて済むからです。
また、ビットの偏摩耗による偏心や、重心の偏りが生じた場合、高回転にすると振動ブレが顕著となり、ワークに深いダメージを与えることもあります。
そのため、比較的低回転で使用することが多いです。
実作業
ポリッシュ(研磨)、切削、切断、サビ落とし、彫刻(名入れ・文字入れ)など、作業に応じて施工のやり方も様々です。
実際の作業例は、
プロクソン ミニルーター 作業例 のページをご覧ください。
定格時間と熱
PROXXON
ミニルーター
No.28400
50W/550g
この手のミニルーターは、自然放熱に頼っており、強制空冷式ではありません。
モーター稼働によって生じた熱は、(熱用のスリット開口部がある製品でも)内部に熱が溜まりやすいものです。
そのため『
定格時間』というものが設定されており、「
連続運転する場合は、その時間内で留めてください」ということになっています。
ちなみに、
この機種の場合は20分とされています。
(説明書に書いてありますので、目を通しておきましょう)
極端な話、定格時間を超えて連続使用し続けた場合、モーターが発熱に耐えきれず、焼損する恐れがあります(コイルが焼き切れます)
この定格時間は、ある程度余裕を持った値に設定されているため、時間を超えたからといって突然故障するわけではありませんが、あくまでも一般的な室温範囲での使用を想定し、設定された値です。
鋳物工場やガラス工房など、高温環境下で使用する場合は、実質的な定格時間も短くなると考えて作業に当たりましょう。
逆に、かなり低温の環境下で使用する場合は、実質的な定格時間が伸びることもあります。
時間内だから良い・悪いと短絡的に判断するのではなく、モーターがどのくらいの熱を持っている状態なのか、手に伝わってくる温度をその時々で感じ取り、適宜判断しながら作業しましょう。
モーターの発熱だけでなく、ワーク(作業対象物)が摩擦熱によって異常発熱していないかも、留意して作業に当たりたいところです。
熱に弱い素材の場合、軟化、変色、炭化による焦げなど、不可逆的な物性変化が生じる場合があります。
時々触って、対象物が熱くなっていないか確認しながら作業に当たると良いと思います。
(強めの力でバフを当て、研磨するような場合は特にです)
何でもそうですが、何も考えずに作業をする人が使うと、機械は早く壊れます。
(そういう人に限って、「何もしてないのに勝手に壊れた~」…と、製品のせいにしがちです)
ビット交換手順
プロクソンルーター(No.28400)のコレクトチャックは、2.35/3.0/3.2mmの3種類の軸径が標準付属しています。
ビット(アタッチメント)の軸径が同じであれば、ビットの交換のみで済みますが、
径が異なる場合は、チャックを付け替えて使用します。
径が合っていないと、装着・固定ができません。
(スポスポで締まらなかったり、挿入できなかったりします)
PROXXON
ミニルーター
No.28525
35W/260g
ビットの交換手順ですが、まず、付属のスパナを用意します。
上の画像の、チャックカバーの溝の部分に注目して下さい。
溝が無く、一部が平坦になっている部分がありますね。
その部分が、スパナと噛み合うようになっています。
銀色の丸いボタンは、回り止め用です。
このボタンを押すと、フリーになっている軸を固定することができ、コレットチャックを締めたり緩めたりする事ができます。
(ボタンを押さないままですと、軸がくるくる回るため、いくら廻しても緩みません)
PROXXON
ミニルーター
No.26800
15W/160g
回り止めのボタンを押し、スパナをかけて回すと、コレットチャックが緩みます(ネジは正ネジです)
上の画像ですと、ネジの下方向から見ているため、逆向きに回す必要があります。
スパナの柄が時計盤でいうところの4時のあたりにありますが、これを6時の方向へ、時計回りに廻すと緩みます(12時方向だと締まります)
ビット交換の場合は、ここでビットを抜き取り、別のビットに差し替えます。
差し替えた後は、緩めた時と同様に「回り止めボタン」を押して回転軸を固定し、スパナを掛けて締め込み、ビットを固定します。
(軸はなるだけ奥の方まで挿入するようにしましょう。先端のみで咥えて固定していると、嵌合力に不足が出たり、軸ブレを招いたりします。力を加えて作業する場合は特にです)
コレットチャックの差し替え手順
コレクトチャックを変更する場合は、チャックカバーを緩めた後、そのまま回しきってネジ溝から抜き取ります。
すると、チャックの先端が現れますので、径の異なる別のチャックと交換します。
(指先で摘んで抜き取り、別のチャックを挿入するだけです。たまに固くて抜き取りにくい場合もあったりします)
チャック交換後は、再びチャックカバーを装着します。
後は、必要なビットを差し込み、スパナをかけて締め込んで固定します。
プロクソン純正
コレクトチャックセット
No.28892
別売パーツとなりますが、
プロクソン純正のコレットチャックセット(No.28892)を使うと、さらに装着可能なビットのバリエーションが広がります。
(対応サイズは、1.0、1.5、2.0、2.35、3.0mmの5種類です)
※ コレットチャックではなく、ドリルチャック用純正パーツもあります。
(商品説明をよく確認し、用途に合った製品を購入しましょう)
言い漏れましたが、ビットを購入する場合は、必ず軸径を確認し、所有しているミニルーターに装着可能かどうか、確かめてから購入しましょう。
軸径が合っていないと、装着自体ができません。
ルーター本体を購入する場合も、自分が主に使用するビットの軸径が何ミリなのか、確認しておきましょう。
さらに追記しますが、
ビット交換やコレットチャック差替えの際は、必ずコンセントを抜くか、電源が決してONにならない措置を講じてから交換しましょう。(事故防止のためです)
個人的には、ON/OFFスイッチの付いた電源タップにコンセントを差し込み、本体とタップ側の両方で電源をOFFにしてから差し替えています(もしくはコンセント自体を抜いてからビット交換をしています)
種類もいろいろ、プロクソン ミニルーター
No.28400 (筆者使用モデル)
出力50W、ハードな作業も難なくこなす、ハイパワーの最上位モデル
● No.28400 (amazon 商品ページ)
● No.28400 (楽天で検索)
No.26800
出力15W、小型軽量、ペン持ちしやすく、プラモ改造など細かい作業に
● No.26800 (amazon 商品ページ)
● No.26800 (楽天で検索)
プロクソン ミニルーター スペック比較表
当ページに掲載のミニルーターは、No.28400です
(筆者が使用しているモデル)
型式 | 出力 | 重量 | チャック径 | 太さ | 長さ |
No.28400 | 50W | 550g | 2.35/3.0/3.2Φ | 45mm | 250mm |
No.28525 | 35W | 260g | 2.35/3.0Φ | 35mm | 230mm |
No.26800 | 15W | 160g | 2.35Φのみ | 29mm | 195mm |
サンドペーパーはどれも同じではありません
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