水でかけ流しただけでは、包丁の汚れは落ちません
包丁をほとんど洗わない人は、世の中に結構います
「洗わない、拭かない、研がない」 …は、「包丁の三大あるある」です
大根や葉物野菜などを切った場合は、包丁に水をかけ流すだけでも、ある程度はきれいになりますが、じゃがいもなどの
芋類を切ると、でんぷん質が刃面に張り付くため、流水だけではなかなか落ちません
付いた直後であれば、水をかけ流しながらスポンジで軽く擦ればたいてい落ちます(洗剤を付けなくても落ちます。指先を怪我しない自信があれば、指でこすり洗いしても問題ありません)
フルーツなどに含まれている糖分も、使用直後であれば、指でこすり洗いするだけで簡単に落ちるのですが、放置すると乾燥してしまい、糖分が刃に固着してしまうため、汚れが落ちにくくなります
また、
肉類の場合は油脂分が付着するため、食器用洗剤などを使って油分を取り去る必要があります。
キッチンペーパーなどで拭うのも一つの手段です
画像のペティナイフは、側面にひどい傷が入っています
このペティナイフは、
藤次郎 の「DPコバルト合金鋼割込 ペティナイフ」(120mm)でして、そこそこいい包丁なのですが、見事なまでに台無しです
家人が、「
ペティナイフに固着した汚れを、鎌砥石でこそぎ落とす」という暴挙に出たために、このような姿になってしまいました
せっかくの
藤次郎のペティナイフが台無しです(本当にひどいです)
流水だけでは落ちない汚れは、使う度に刃面に付着・蓄積していき、厚みが増して取れにくくなります
毎回洗剤で洗う必要はありませんが、単純なこすり洗いをサボり続けると、クレンザー類を使用しなければ、汚れが落ちなくなってしまいます
冒頭1枚目の画像をよく見ると判りますが、刃の所々に、黄色っぽく変色した箇所がありますが、これは錆ではなく、
汚れが堆積してこのような色になっているものです
(画像は、汚れをあらかた除去した状態で撮影しています。実際はもっと酷い状態でした)
このペティナイフはスレンレス製なのでまだ良いのですが、炭素鋼の場合は、汚れの付着が錆の進行を早め、包丁の寿命を縮めます
包丁が傷だらけに…、どうしてこうなった?
この包丁(ペティナイフ)は、主に父が使っていたのですが、本人は、
包丁を使用した後、全く洗わずに包丁差しに戻す癖がありました
そのため、以前から「使ったら洗うように」伝えていたのですが、わたしが見ている時だけ、蛇口の水をかけ流すくらいで、言うことに全く耳を貸しません
(どうやら本人の中では、「包丁に水をかける」ことで、充分「包丁を洗っている」つもりだったようです)
結局、いくら言っても効果がないので、時々わたしがチェックして、汚れていたら、随時洗剤やクリームクレンザーで洗うようにしていました(
ステンレス製の包丁でも、汚れを放置するとピンホール状の腐食(孔食)が生じますので注意しましょう)
ですがこの時は、数ヶ月程洗わずに使い続けたらしく、汚れが蓄積して刃面がまっ茶色になっておりました(わたしもチェックするのを忘れていました)
流石に「これは酷い」と感じ、「今度本人に直接包丁を見せて、言って聞かせないと…」と思い、証拠保全のために、敢えて汚れを落とさずにいました
そしてその後数日経って、本人に見せようと思い、ペティナイフを手にとったら、刃面が傷だらけになっていた。 …という次第です
わたしが包丁の汚れに気づき、しげしげと手に取って眺めているのを見て、本人もさすがに、「コレはマズイ!!」と思ったようです
「これだけ盛大に汚れていると、さすがに言い訳できない」と思ったのでしょう
ただ、鎌用の砥石で汚れを削り取るというのは、予想の斜め上の行動でした(クリームクレンザーを使ってくれれば、こんな事にならず、汚れが落とせたはずなのですが…)
後日譚
いくら口で言っても、この先も同じことの繰り返しになりそうでしたので、
ヘンケルスのセーフグリップという安い包丁を、「
本人の専用包丁」として購入し、こちらを使ってもらうことにしました。
(下の画像の包丁です)
三徳包丁に比べると、やや小ぶりの「小包丁」です
刃渡りが14cmと短めで、ハンドルのグリップ感も良いせいか、
高齢者にはこちらの方が扱いやすいようです(本人も喜んでいます)
ちなみに包丁が変わっても、洗わないのは相変わらずです
たとえ安い包丁でも再び同じ思いをするのは嫌なので、今度はワタシが目を光らせて、
汚れが固着する前に、こっそりクリームクレンザーで清掃するようにしています
また、先程の酷い状態になった「
藤次郎のペティナイフ」ですが、このまま使うのも気が重かったので、砥石やコンパウンドで磨きをかけ、下の画像のように
鏡面仕上げにして、ピカピカにしました
画像をクリックすると、鏡面仕上げの手順・方法のページに移ります
さらに、その後の話し
セーフグリップを使うようになってからの話しですが、またもや包丁が酷い状態になっていました。
(予想はしていましたが、やはり悲しい…)
下の画像をご覧ください
包丁の側面に、汚れがびっちり固着しています
使用後の包丁に水をかけ流すだけで、洗剤で洗わずに使い続けると、このように汚れが固着していきます
芋類のでんぷん質や、肉や魚の油脂などが、汚れの主な原因です
※ 包丁の汚れに関しては、
オールステン包丁は、滑る・冷たい・汚れが溜まる のページでも実例を掲げて解説しています(合わせてご覧ください)
別角度からの一枚です
ハンドルとの継ぎ目の部分も、汚れが目立ちます
このように、酷く汚れの溜まった包丁も、
わたしが洗うとどうなるかと言うと、はいこの通り!
ピッカピカになります
特別なことをしているわけではなくて、普通にクレンザーで磨いているだけですが、細かいことを言うと、
ちょっとしたコツやノウハウというのはあります
そういった包丁の洗い方については、また改めてページを作って解説したいと考えています
(新ページの告知を見逃したくない場合は、月寅次郎のツイッターをフォローしておくと良いかもです)
【 追記 】
包丁の洗い方の解説ページを作りました
● 包丁の洗い方
● 関連ページ1:
藤次郎 DPコバルト合金鋼割込 ペティナイフを使ってみた
● 関連ページ2:
藤次郎のDPコバルト合金鋼は、本当にV金10号なのか?
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