包丁の洗い方

最終更新日: 作者:月寅次郎

包丁の洗い方

包丁・洗い方

ピカピカになる包丁の洗い方です

今回紹介するのは、使い込んで汚れた包丁を、ガッツリ洗ってきれいにする方法です
(日常的に毎日行う洗い方ではありません。それは、食器洗い用の洗剤とスポンジで充分です)

ここで紹介するのは、わたしが普段やっている、月寅次郎なりのやり方です
(これが最も優れた方法とは申しません。ただ、「わたしはこうやっています」というだけです)
まずは、洗浄前と清掃後の比較画像からお見せしましょう

包丁洗い - 洗浄前と洗浄後

包丁・洗い方(洗浄前)
包丁を洗う前の状態です

刃と柄の境目に水垢が溜まっており、ブレード表面も汚れてくすんでいます

包丁・洗い方(洗浄後)
洗った後の状態です
わたしが洗うと、いつもこんな感じに、ピカピカの包丁に戻ります

表面のくすみが取れてツルツルになりますので、水が弾いて水玉ができています。
それでは、実際の洗い方に移りましょう

具体的な包丁の洗い方

洗浄対象の包丁

今回は、包丁を2本まとめて洗います

三徳包丁・洗う前
こちらは「関孫六 4000CL(三徳包丁)」

ブレード表面が、かなりくすんでいます

小包丁・洗う前
こちらは「ヘンケルス セーフグリップ(小包丁)」

かなり汚くなっています。

使用する道具

粉末クレンザー
粉末のクレンザーを使います。
(画像は、紙箱入りのカネヨのクレンザー赤函を、ペットボトルに詰め替えたもの)

クリームクレンザーでも構いませんが、粉末クレンザーの方がガッツリ磨けて研磨力も高く、効果的です

不織布クリーナー
使うのは、この薄手の洗浄用不織布です

サンコーの「ピカピカカットクリーナー」という製品で、細長いシート状になっており、使いたい長さにカットして使います

一般的な食器洗い用スポンジは多孔質ですので、研磨剤がすぐスポンジの奥に潜り込んでしまい、研磨粒子を100%活かすことができません
この現象を個人的に「裏抜け」と呼んでいます

一方このクリーナーは、不織布ですので、研磨剤をある程度保持してくれます。結果的に効率良く磨くことが可能です

画像のクリーナーは、かなり使い込んでいて穴まで空いていますが、まだまだ使えます。(実に経済的!)

ピカピカカットクリーナーは、普段の食器洗いにも使えます。(実際に使ってます)
青い手袋は、滑りにくく、蒸れないゴム手袋で有名な「テムレス」です

これらの赤函クレンザー、不織布クリーナー、テムレス手袋などの詳細は、このページの最後でまとめて紹介しています
上のリンク先で飛ぶこともできますが、後でゆっくり読んで下さい。どれも月寅次郎おすすめの、ヘビロテ商品です

クレンザーをかける

包丁・洗い方
クレンザーを不織布クリーナーにかけます

粉末クレンザーは安いですので、ケチケチせずにドバドバ使ってください。
(別の包丁が一本混ざっていますが、これは別の機会に洗浄した時のものです)

包丁・磨き方
クレンザーは、包丁に振りかけて使っても構いません
(画像は、別の包丁を洗った時のものです)

刃体を洗う(磨く)

包丁・洗い方
クレンザーを不織布に馴染ませたら、二つ折りにして、峰側から挟むようにしてホールドします。(画像のような状態です)

この状態で、前後に動かして磨きます
汚れ方が酷くない場合は、軽い力でしごくような感じで構いません

表面に錆が浮いている場合など、しっかり磨く必要があれば、挟む指の力をぐっと強めてゴシゴシ磨きます
(汚れの状態によって、力を加減してください)

包丁・磨き方
峰をまたぐように挟んで洗うことで、両面を一度に洗うことができ、峰の部分も自然にきれいになります

この「不織布の挟み持ち」は、力を強く込めることができて、手早く短時間で磨けるところがポイントです
峰から刃筋の手前にかけては、この方法で、簡単にきれいになります

刃筋近くは危険ですので、指を切ったり手袋に穴を開けないよう、こするスピードを充分に落とし、注意深くゆっくりと洗います
刃筋周辺は、片面づつ、峰から刃筋方向へ一方通行で磨くのが安全なやり方です。(往復させないという事)
安全性と効率のどちらをどの程度優先させるかは、自己判断で適宜調整してください(怪我は自分持ちです)

ちなみに、よく言われるところの包丁の磨き方は…
ワインコルクの木口面に、クレンザーを付けて磨く」というやつです(包丁販売店がおすすめしている、定番の手法です)

あの方法は安全性が高く、怪我のリスクが少ないため、一般的に推奨されていますが、磨く面積が小さすぎることが難点です
何しろ、コルクの木口面は指先程度の大きさしかないのです。(その分、単位面積あたりの圧力が高まりやすいのは、良点とも言えます)

また、包丁を置いて片面ずつ磨きますので、包丁の置き方が悪かったり、置く面が硬い場合は、こすっている最中に裏側の面に傷が付くこともあります
柄を持った状態で磨くこともできますが、その場合は高い圧力がかけられません(しっかりと押し込んで磨けません)

ハンドルを洗う

包丁・洗い方
柄も、同じように洗います

柄の部分は金属のように硬い素材ではありませんので、適度に力を弱めましょう
ここであまり力を入れすぎると、ハンドル表面が荒れることもあります。表面が荒れると色合いが白っぽくなります

この画像では一度に洗っていますが、できれば刃体を洗浄した後に一旦すすぎを行い、その後でハンドルを洗ってください

粉末クレンザーはザラつき感のある洗浄剤で、ヌルヌルすることはあまりありませんが、慣れていないうちは別々に洗浄した方が、手を滑らせて包丁を落とす可能性が低くなります

口金周辺と刻印はブラシで

包丁・口金・洗い方
口金の部分(柄と刃の境目)は、汚れが溜まりやすく落ちにくい箇所です。

ブラシの先を上手に当て、溜まった水垢や汚れを落としていきます。

包丁・刻印・洗い方
刻印文字がある場合は、ここもしっかりブラシで磨きます

溝状になっているため、不衛生になりやすい部分です。(きちんと洗いましょう)

万全を期す場合は、電動歯ブラシを使ってください。手動で磨くよりも確実できれいになります

わたしも刻印の漆埋めをする場合は、電動歯ブラシで清掃して、『足付け』を確実にしています

包丁・洗い方
かなりきれいになりました

関孫六は、銘が印字でなされていますが、そこそこ耐久性のあるプリントのようで、この程度の磨き作業では簡単に剥がれることはありません
画像の包丁は、関孫六の『六』の文字の下半分が薄くなっていますが、これは包丁を研ぎおろして厚みを抜く際に、砥石や研磨紙が当たって薄く削れたものです

※ 刃筋(小刃)の部分に薄い錆が浮いていますが、これはこの後、包丁を研ぐ際に自然に取れますので、気にせず先に進みます。
逆に、このような刃筋の点錆を磨いて除去しようとすると、刃のエッジが丸まって切れ味まで落ちてしまいます。砥石で研いで落とすのが定石です


包丁磨きの裏ワザ

包丁・洗い方(裏技)
ちなみにこれは、わたしが時々やっている『別のやり方』ですが、不織布の代わりにコーヒーフィルターを使って磨く手法です

コーヒーフィルターは、ある程度の耐水性があり、研磨粒子がほとんど裏抜けしないため、かなりしっかりと磨き込むことができます

シート型の不織布クリーナーが手元になく、食器洗い用の多孔質スポンジしか無い場合は、この方法を試すと良いでしょう
コーヒーフィルターで包丁を何本も磨いていると、途中で破けることもありますが、1本洗う程度なら(刃先で引っ掛けない限り)十分な耐久性があります

テムレス
さらに言うと、ゴム手袋にクレンザーを直接振りかけ、そのまま包丁を磨くこともできます

画像は、ゴム手袋と粉末クレンザーだけで包丁を洗った後の、手袋に付着した『汚れ』です
(これだけの汚れが付いていたわけです。ピンボケ写真でスイマセン)

ゴム手袋で直接磨くと、ゴム表面がしっかり研磨粒子をホールドして全く裏抜けしないため、非常に効率良く磨くことができます(研磨粒子をグイグイ食い込ませながら磨くことが可能です)

ただ、少しでも手元が狂うと、ゴム手袋に一発で穴が開いてダメになります。また、危険極まりない方法でもあるので、間違っても推奨することはできません
「怪我は自分の責任です!」と断言できる方のみ、お試しください

以下のページは、研磨用コンパウンド(ブルーマジック)で刃物を磨く際の話ですが、こちらの
ブルーマジック - 使い方(上級編)のページでは、

コーヒーフィルターで磨く手法と、

使い捨てのゴム手袋で直接磨く方法を、実際に紹介しています
(本当にやっているのです。研磨や磨きに興味のある方は参考までにご覧ください)

流水ですすぐ

包丁・洗い方
磨き終わったら、クレンザーを流水で洗い流して終了です

ここで、「きちんと洗ったから、きれいになっているはず!」と思い込まずに、目視で全体をよく確認します

刃面、アゴの内側、峰、刃と柄の境目、ハンドルなど、一つ一つを確認し、汚れの落ちてない部分が見つかったら、そこだけ磨き直します

包丁・磨き方
洗浄後のヘンケルスの包丁です。ピッカピカに仕上がりました

磨き粉を使うことで、金属表面の酸化皮膜が取れ、一皮むけて水滴を弾くようになりました
(洗剤で油汚れを落とすだけでは、こうはなりません)

このヘンケルスの包丁は、刻印がレーザ処理でなされています
(レーザーで金属表面を荒らして文字を刻み込む手法です)

今回のように、粉末クレンザーでガッツリ磨き込むと、刻印が少し薄く見えるようになることがあります(ですが、消えるほどではありません)

包丁・洗い方
今回洗浄した2本の包丁です

関孫六のブレードの下半分は、水滴を全く弾いていませんが、これには理由があります

この部分は、『切り抜け』を向上させるために包丁を研ぎおろしたため、表面平滑度が少し荒くなっており、結果として『親水面』ができあがっています
(そのため、水が表面で広がって弾きません。もちろん鏡面に仕上げ直せば、水滴を踊るように弾かせることも可能です)

包丁の研ぎおろし(厚み抜き)については、こちらのページで紹介してます
別の包丁(藤次郎の「DPコバルト合金鋼割込」です。
リンク先のページでは、主に峰周辺の厚みを抜いていますが、画像の関孫六4000CLは、刃筋に近い下半分の厚みを抜いて、ブレードの抜けの良さを向上させています(あまり極端にやると、刃が欠けやすくもなりますので、ご注意ください)

包丁の鏡面仕上げについては、こちらのページをご覧ください

包丁・洗い方
洗浄後の、口金周辺部分です

刃との境目の段差の部分に、水垢が溜まっていましたが、きれいに除去することができました

包丁・洗い方
これだけピカピカになると、料理をする時に、気分が上がりますね
※ この包丁は、この磨き方で数回以上磨き込んでいます。そのため輝き方もひとしおです。

包丁・磨き方
柄とアゴの周辺付近です。

新品のように、きれいになりました。
むしろ、新品の状態よりも平滑度が増し、美しい反射を見せるようになりました。

包丁・洗う前
洗浄前の状態を、もう一度振り返ってみましょう
こんなに汚れていたのです。

このセーフグリップという包丁は、ハンドルがエラストマー樹脂でできており、ムチムチした弾力があって滑りにくいことが特徴ですが、洗浄を怠って使い続けると、樹脂表面に油脂が付着して本来のグリップ性能が失われてきます
樹脂やプラスチックは親油性があり、油分がくっつきやすく離れにくいのです。タッパーウエアやプラ素材の弁当箱の油汚れが落ちにくく、いつまでもヌルヌルするのは、この親油性によるものです。

磨き粉で油分をビシッと除去することで、本来のグリップ性能が復活し、滑りにくいハンドルが戻ってきます

水分の拭き上げ・乾燥

包丁・洗浄後
水分をきれいに拭き取って、完了です

水分をきちんと拭き取るのは、非常に重要です
包丁を大切に扱い、長く使いたい場合は、濡れた状態で放置しないことが最重要ポイントです

濡れたままにしておくと、腐食に繋がりますし、水垢汚れも蓄積していきます
汚れが付いたままで放置すると、(ステンレス刃物鋼でも)比較的容易に腐食します

ハガネの包丁の場合は、水分を飛ばして乾燥させるまでやりましょう。
ステンレス包丁の場合は、そこまで無理にやる必要はありません
貝印のような大手メーカーのステンレス包丁であれば、大まかに水滴を拭き取って、後は自然乾燥させる程度でも、実質的に問題は生じません。(無名メーカーの安物ステンレス包丁の場合は、継ぎ目が甘くて中子周辺に水分が侵入しがちなので、この限りではありません)

今回登場した包丁の詳細は、下記ページに解説を載せています

関孫六 4000CL(安いのに切れ味の良い、炭素鋼複合材の三徳包丁)

ヘンケルス セーフグリップ(滑りにくい、ムチムチ弾力ハンドルの小包丁)

ハガネの包丁の酸化皮膜も、同様の手法で除去可能です

ハガネ・包丁・磨き方
ハガネ(炭素鋼)の包丁は、使っているうちに表面に酸化被膜が生じ、黒っぽく変色しますが、これも同様の手法できれいにすることが可能です

包丁・洗い方
クレンザーをドバドバ使って磨いていきます

ハガネ・包丁・洗い方
裏面のハガネの部分は、全体的に黒っぽくなっていましたが、これも粉末クレンザーをドバドバかけ、ゴシゴシ磨きます

※ 下に敷いているのは、シートまな板です。(置いた時に包丁の刃を傷めたり、傷を付けないために敷いています)
包丁・洗い方
洗浄後の状態です

黒い酸化皮膜が取れ、渋みのある銀色の地肌を出すことができました

包丁・磨き
きれいになった和包丁(薄刃包丁)

ハガネの包丁は切れ味が素晴らしいですが、どうしても表面が黒く変色しがちです
酸化皮膜と言って、金属表面に薄く生じた錆の一種です。ハガネの包丁の宿命みたいなものです。

ハガネの包丁が変色した場合は、いつもこのように粉末クレンザーで磨いてきれいにしています
色が変わるのは嫌だけど、それでもハガネの包丁を使いたいという場合は、炭素鋼複合材の包丁を使うと良いでしょう(わたしも使っています)

【 注意 】
薄刃包丁は恐ろしく切れます。これを研ぎあげた後にクレンザー磨きをするのは、危険すぎるので決してやらないようにしています(磨くのは研ぐ前か、一旦刃引きした後に行います)

上の画像のハガネの和包丁は、下のページにて紹介しています

水野鍛錬所・源昭忠の薄刃包丁

月寅次郎が使っている包丁の一覧はこちら です

和包丁の鏡面仕上げについては、こちらのページ で解説しています

長々と解説しましたが、わたしの包丁の洗い方は、こんな感じです

これはあくまでも、汚れてくすんだ包丁を磨く場合の洗い方であり、日々の洗浄と拭き取りを怠らなければ、ここまでしっかり磨く必要はありません
毎日使うたびにきちんと洗っていれば、そもそも汚くならないのです

※ このページに登場した包丁は、『我が家にある包丁』ですが、わたしが使っている包丁ではありません
(関孫六4000CLは、元々わたしの包丁だったですが、いつの間にか親に取られてしまいました)

【 注意 】
このような磨き作業は、包丁を研いだ後は(できるだけ)やらないでください。
研ぐ前や、刃の鋭さが鈍った状態で行うのがセオリーです

切れ味良好の状態で磨き作業を行うのは危険です(必要に応じ、刃引きを行ってから磨き作業を行い、再度刃付けしてください)


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包丁を洗わないとどうなるか?

包丁の『洗う・拭く』を怠り続けると、下の画像のように汚れが固着して汚くなります
詳細は、下の画像をタップすると、解説ページに移動します

包丁・洗わない

包丁を洗わずに使い続けると、汚れがどんどん固着して落ちにくくなり、腐食も進行しますそもそも衛生的に良くありません


これを読んでいる皆さんは、できれば包丁を日々きれいにしてあげてくださいね
日々きれいな状態を保っていれば、ここまでがっつり磨き洗いする必要はありません

追加の画像

包丁・洗い方
こちらは、中古品の包丁を入手して、3本まとめて洗った時の様子です

部分的に薄く錆も浮いていましたが、汚れも錆もまとめてきれいになりました

よく水を弾いており、きれいになっていることが分かります

包丁・清掃
こちらは、水滴を拭き取った後の状態です
この後、砥石で研ぎ直しました

この3本のうち、左の2本は芯材がハガネで硬度も高く(青紙1号と青紙スーパー)、そういう意味では良い鋼材を使っているとも言えるのですが、いろいろと突っ込みどころも多い包丁でした
入手したばかりなので、まだこの3本の紹介ページは未作成です

この3本の包丁の仕上げが粗い部分については、そのうちゆっくり解説したいものです
月寅次郎のツイッターをフォローしておけば、解説ページができた時に、「ページ作りました告知」が得られるかもしれません

実際に使用した道具

カネヨ 粉末クレンザー(赤函)

カネヨ クレンザー赤函

カネヨ石鹸
クレンザー赤函 粉末


進撃の巨人
バスクレンザー

個人的に愛用している『カネヨの粉末クレンザー赤函(磨き粉)』です
ペットボトルに詰め替えて使っています

研磨粒子は、粒径50ミクロンのシリカです
界面活性剤で汚れを分解するよりも、研磨粒子で削り取る仕組みの洗浄剤です。そのため環境負荷が少ないのも良いところ

発泡剤も若干入っているようですが、主成分が磨き粉なので、水で溶いたような「さらさらクリームクレンザー」とは違い、がっつりザリザリと磨けます(粒子の手触りが全く違います)

昔ながらのレトロな紙箱入りで、その分パッケージコストがかかっていないため、低価格に抑えられています
(実売価格は左の画像をご覧ください。表示されない場合は広告ブロッカーをOFFにしてお試しください)

昭和の高度成長期は、どこの家庭の台所にもこういう粉末の磨き粉があったものですが、近年とんと見なくなりました

磁器製の洗面台や、風呂場の鏡の水垢汚れ、流し台(シンク)の汚れも、がっつり磨けてピカピカになります

薄いサビ程度なら、これで充分磨き落とせます。また、キャンプなどで薪で煮炊きした際の、鍋や鉄板の煤汚れを落とす場合は、これに勝るものはありません

ガラス・陶磁器・ステンレス、鉄などに効果的ですが、プラスチックや樹脂素材は、研磨力の高さがわざわいして、逆に傷が入ってしまうため要注意です
(素材の適性を把握して、上手に使い分けましょう)

サンコー ピカピカカットクリーナー

サンコー ピカピカカットクリーナー

サンコー
ピカピカカット
クリーナー
10x50cm

ピカピカカット
クリーナー
20x100cm(大判)
サンコーのピカピカカットクリーナーです

ポリエステル製の不織布で、好きな長さにカットして使います

食器洗い用の多孔質スポンジと異なり、クレンザーの研磨粒子をしっかり受けとめて、裏抜けしにくいことが特徴です
裏抜けを完全に防げるわけではありません。コーヒーフィルターならほとんど裏抜けしませんし、後述のゴム手袋なら裏抜けは完全にゼロです(ただ一長一短もあり、総合力ではこの不織布シートが最も使いやすく感じます)

この不織布シートと粉末クレンザーの組み合わせは、湯呑の茶渋を落とす際にも効果的です
マグカップについたコーヒーの渋の跡も、みるみるうちに落ちていきます

他にも、(薄手なので)タッパーの噛み合わせの溝の部分に突っ込んで洗えるとか、薄くて水切れが良いので衛生的とか、食器を洗う際のメリットも多々あります
個人的にはこれで食器や鍋を洗っており、お気に入りの商品です。
鉄のフライパンを洗う際のササラの代用としても使っています。
耐久性もそこそこありますので、一度買うと結構長く使えますよ(安心の日本製です)


蒸れない手袋「テムレス」

テムレス

ショーワ
テムレス


防寒テムレス
ショーワグローブの『テムレス』です

ゴアテックスではありませんが、防水透湿素材でできたゴム手袋です
表面に「ざら付き加工」が施されているため、滑りにくいのも優れたポイントです

この手袋は、雪山登山をする人の間では有名な商品で、インナーグローブの上に『防寒テムレス』をはめて雪山に登る方も多いです
他にも、雪かき作業やウインタースポーツ、雨天時の自転車/バイクの運転、寒い時期の洗車作業などにもよく使われています

昔は知る人ぞ知る商品だったのですが、今ではすっかり有名になってしまい、TOKIO出演のTV番組『鉄腕ダッシュ』でも、時々画面に写っているのが確認できます
寒い時期に川に入り、水生動物を捕まえるようなロケ現場で使われている青いグローブが、これです

わたしはアトピーが酷く、よく皮膚が硬化して割れるので、水仕事や掃除の時は、この手袋が欠かせません
ゴム手袋で手が蒸れると、自分の汗で炎症が酷くなるのですが、この手袋は汗蒸れしないため、炎症が酷くなりません。
ほぼ毎日洗い物の時に使っていますが、(尖ったものが刺さったりしない限りは)半年以上は余裕で持ちます(個人的に「お気に入り商品」を超えて、「これが無いと生活に困る商品」の域に達しています)


また、この手袋の2つ目の評価すべきポイントは、ゴム手袋なのに滑りにくいということです

テムレスを使う前は、キッチン用のゴム手袋を使っていましたが、たまに手を滑らせてお皿を落とし、割ってしまうことがありました。(1年に1~2回くらいの頻度です)

テムレスを使うようになってからは、そのような事が一切ありません
水で濡れた皿や鍋、包丁などをつかんでも、滑りそうな不安感が感じられず、ノンストレスで洗い物ができ、とても楽になりました

技術的な解説 - 包丁をピカピカに仕上げるには?

ここからは、技術的な解説になります
退屈な話ですので、研磨に興味のある方のみお読み下さい

ピカピカに仕上げるには、金属表面の酸化被膜を取って一皮剥き、表面平滑度を上げることです

包丁に付いた傷も、角が取れて目立たなくなりますし、傷が浅い場合は消えてわからなくなります
結果としてピカピカになります

ここでは、一皮剥く工程と、表面平滑度を上げる工程を2段階に分け、改めて補足解説をします

※ あまりやり過ぎると、印字されたロゴプリントが薄くなる事も考えられますので、様子を見ながら適宜調整してください

酸化皮膜を取って一皮剥く

強い力で『挟み持ち』をして、意図的に強い圧力をかけ、クレンザーの粒子を食い込ませるようにゴシゴシ磨きます
手を滑らせて怪我をしないように気をつけてください

クレンザーは、適宜追加で投入して使います

なぜかというと、磨いているうちにクレンザーの角が落ちて丸くなるのです。そうなると研磨効果が薄れて、金属表面に食い込みにくくなります(あまり削れなくなる)
新しいクレンザーを追加投入することで、粒子の角が立った状態で磨き続けることができます。

なお、あまりにもクレンザーが多すぎると、表面で泥をこねている感じになって、粒子を食い込ませることができません。(上手に調整しましょう)

研磨粒子が食い込んで削れる感じは、指先に伝わってくるはずです(漫然と磨くのではなく、ショリショリした感触を、指先で感じ取りながら磨いてください)


強い圧力をかけてしっかり磨いたら、表面の酸化被膜が剥けてフレッシュな面が顔を出すはずです。そうしたら、次の段階に移ります

表面平滑度を上げる

酸化皮膜の除去工程をしっかりやると、クレンザー粒子の角が落ちて丸くなってきます
場合によっては粒子が解砕して、粒径サイズが小さくなります

この、角が落ちた粒子の状態を上手に活かして磨くことで、表面平滑度を効果的に上げることが可能です

先程使った不織布クリーナーをそのまま使い(クレンザーの追加投入はせずに)、指先にかける圧力を少し弱め、スルスルと撫でさするようにこすります。

要は、研磨粒子を金属表面に食い込ませずに磨くということです。
こうすることで研磨粒子が食い込んでできた溝の角が落ち、表面平滑度が上がってピカピカに仕上がります

この2段階磨きは、包丁研ぎで例えると、
1.力を入れて砥粒を意図的に食い込ませ、手早くエッジを形成する段階と、
2.砥泥を活かしてベアリングのように使い、(同じ番手でも)滑らかな表面に仕上げる段階
 …といえるでしょう

研ぎや研磨に詳しい人であれば、ごく自然にやっていたりして、当たり前のことかもしれません
わたしもこのような研ぎ方・磨き方を普通にやっています
「普通にやっている事」だったため、解説するのを忘れていました。スイマセン。ですので後から追加して書いている次第です

2段階から、無段階へ

ここでは、酸化皮膜の除去と表面平滑度を上げる工程を、別々に分け、「2段階の作業」として扱いました

きっちり2段階に分けたのは、あくまでも分かりやすいようにとの配慮です。

ですので、この作業の意図を理解し、問題なく作業できるようになった場合は、この2段階をスムーズに繋げるようにして作業して構いません(わたしはそうやっています)

「一皮むけたな」と思ったら、クレンザーの追加投入をやめて、徐々に徐々に、指先の圧力を弱めて行けば良いのです(2段階ではなく、無段階になります)

しかしながら、作業としては無段階スムース移行でも、頭の中では工程を2つに分けて捉えることは重要です
漫然と手を動かすのではなく、意図を持ってどう磨くかの意識がなければ、良い磨きには繋がりません
(料理と同じです)

磨く方向にも配慮

なお、「一方方向に磨く」という点も重要です(往復運動で磨き、円運動させないということ)

今回紹介した「峰またぎ 挟み持ち」で磨く場合、自然と往復運動で磨くことになりますので、円運動で磨く人はいないと思いますが、
磨き目を一方向に統一させることで、ギラギラした円弧状の乱反射とならず、一方向に統一した反射となり、美しい表面仕上げを作り上げることができます
金属表面加工で言うところの、一種の「ヘアライン仕上げ」です

ステンレスの酸化皮膜

また、ここでは『酸化被膜の除去』という言葉を使いましたが、ステンレス素材も酸化被膜は生じます

ステンレスは表面に不動態皮膜ができることで、サビを防いで安定した状態を保っています
見た目がサビに見えないのは、被膜が極薄(1ミクロンの100分の1)なため、色がほとんど変わらないからです

ステンレスの酸化被膜は、クレンザーで磨き取っても自然修復しますので安心してください(速やかに不動態皮膜が形成されます)

補足説明2 - いつも包丁をきれいに扱ってる人は?

常日頃から包丁をきちんと洗い、拭いている人の場合は、そもそも包丁が汚れないので、当ページのようにガッツリ磨く必要はありません
わたしがこのパターンです。

そういう人の場合は、以下の「かんたん磨き」で充分です

包丁の「かんたん磨き」

包丁を研ぐ際に、包丁に付いた砥泥(砥石が削れて泥状になったもの)を、ティッシュやキッチンタオル、ウエスなどで拭い取り、砥泥が付着した布(紙)で包丁の側面を軽く磨きます

光源にかざしながら拭き上げると、表面の光の反射具合が変化したり、親水度が変わったりして(ステンレス包丁の場合でも)酸化被膜が取れる様子が分かります
是非、実際にやってみて下さい。表面のくすみが取れて輝きが増してくるのが判ります

普段から包丁をきれいに扱っている場合は、このやり方でも充分ピカピカの状態を保つことができます

※ 下の動画6:05~6:25のあたりで、わたしが実際にやっている様子が見られます
(少し動画が見切れていて、すみません)


※ 解説は字幕で補足しています。日本語字幕をONにしてご覧ください(でないと、単に手を前後に動かしているだけの動画にしか見えません)

補足説明3 - 表面コート処理の包丁は磨けません

包丁の洗い方について、長々と解説しましたが、これは一般的な包丁の磨き方の話です

以下のような包丁は、当ページのガッツリ磨きをやってはいけません
  • チタンコーティングを施して、カラフルに仕立てた包丁
  • フッ素皮膜・テフロン皮膜を施した包丁(スーパーストーンバリア包丁)
  • ダマスカス包丁

スミカマ
チタンコート

チタンコートなどの「側面コーティング処理」を施した包丁でこの磨き方をやると、コーティングが剥げて、ただの包丁になります
具体例:スミカマのチタンコーティング包丁(左の画像)

ダマスカス包丁は、模様が消える可能性があります。(もしくは模様が薄く目立たなくなる)

テフロン被膜は、表面が荒れてしまうため、「つるつる度」が低下します

何れにせよ、側面に何らかのコーディングを施した包丁は、被膜が剥げてしまうため、磨いてピカピカに戻すことができません

そういう意味では、『買ったときだけ喜ばしい包丁』です
このような包丁は、使用するに伴い次第に薄汚くなっていくのですが、磨いてリフレッシュすることができないので、どうにもなりません。(表面がくすんだままの状態で使うしかありません)
そのため、このたぐいの包丁は、当サイトでは一切おすすめしていません



月寅次郎のおすすめ包丁

月寅次郎の包丁解説(裏話)

月寅次郎が実際に使っている包丁(使用包丁一覧)

月寅次郎の包丁カスタム(DIY作業手順)

包丁の研ぎ方、砥石、研磨など(砥石のレビュー)

月寅次郎プロフィール