ブルーマジックの使い方上級編
このページでは・・・、
ブルーマジックのマニアックな使い方やウエスの選択などについて、マニア目線で解説します
ブルーマジック - 目次
- ブルーマジックの基本 (ページ1)
- 番手・粒度・成分 (ページ2)
- 使用例と感想(鏡面仕上) ← 前のページ
- 使い方上級編 ← 今見ているページ
- 車のボディ磨き ← 次のページ
- 家庭での使用 (ページ6)
ブルーマジックの使い方(上級編)
わたしが実際にやっている、ブルーマジックの特殊な使い方です
最初に言っておきますが、あまりおすすめはしません
ただ、
こういう風にしても、磨くことはできますという実例です(それぞれにメリット・デメリットはあります)
一般的な使い方は、
ブルーマジックの基本的な使い方 をご覧ください
追記:「コンパウンド鳴き」について解説を追加しました(良状態に仕上げる場合は、ここまで追い込みましょう)
ブルーマジックに最適な布(ウエス)は?
必ず柔らかいウエス(布)を使いましょう
コンパウンドと相性の良いウエス(布)の条件を挙げると・・・
-
目が詰まっていて、ある程度の厚みがある(研磨粒子をしっかり保持して裏抜けしない)
-
毛足が無い(毛足が長いと、研磨粒子が毛足の間に入り込み、研磨効率が悪くなる)
-
柔らかくて生地として強く、清浄で、微細な砂粒などが付着していない
-
生地の色が濃くなく、明るめの色(金属粉によって黒くなるため、研磨の進み具合が分かりやすい)
-
研磨剤やワックスがついていない(貴金属磨き用クロスなど、布自体に研磨剤が付いているものがあるが、これらは単体で使用する製品)
・・・となります
光陽社 コンパウンド用みがきクロスであれば、専用品だけあって使い心地は言う事ありませんが、磨き面積が大きいなど、大量に必要な場合は、アサヒペン 綿100%ウエスでも良いでしょう
「わざわざ買うほどでもない」という場合は、使い古しのTシャツなど、柔らかいコットン生地を使って下さい
それで充分磨けます。薄手のTシャツの場合は裏抜けしやすいですが、磨けないことはありません。柔らかくて目が詰まった生地が最適です
昨今流行りの、 マイクロファイバークロスは、パイル地もしくは毛足のあるものが多いですが、これは表面積が多くなる分だけ、お掃除用にはもってこいですが、毛足の間に研磨粒子が入り込むため研磨作業には最適とは言えません。
また、毛足が動くため研磨粒子が固定されにくく、作業効率もよくありません
マイクロファイバークロスを使う場合は、必ず毛足の無いものを使用して下さい。毛足のあるものは、付着した汚れを掻き取る能力は優れていますが、コンパウンド研磨用にはあまり向いていません(磨けないとまでは言いません)
ウエス(布)が要らないネバダル(NEVR-DULL)
なお、「わざわざ「磨き用の布」を用意するのは面倒だ」と言う場合にはネバダル(NEVR-DULL)を使うという選択肢もあります
綿状の繊維に研磨剤が染み込ませてありますので、適量を千切って磨くだけでお手軽です
トラックのホイールを磨くなど、大量に使う場合にはブルーマジックの方がコスパが良いですが、ホビー用途などで小さなパーツしか磨かない場合は、ネバダルでも充分だと思います(分離もしませんので、かき混ぜる必要もなくお手軽です)
コーヒーフィルターで磨く
コーヒーフィルターは、強度があって濡れた場合にも破れにくく、目が詰まっていてコンパウンドが裏抜けしにくい素材です。
同じ紙でも、ティッシュなどはすぐボロボロになるため使用に耐えませんが、コーヒーフィルターはそこそこの耐久性があり、研磨粒子が裏抜けすることもなく、それなりに使えます。
焼入れしたハガネなど、高硬度の金属であればコーヒーフィルターで磨くのもありだと思います
ちなみに、使用するフィルターのメーカーですが、スーパーのプライベートブランド品の方が、比較的厚手で耐久性があります
本来のコーヒーフィルターとしての用途の場合は、適度に薄い方が良いのですが、一度カリタのコーヒーフィルターで磨いた際に、途中で破れたことがありました(高品質のコーヒーフィルターですので、ぎりぎりまで薄く漉いているのです)
このように、実際にコーヒーフィルターで磨く際は、安物のフィルターを使うことをおすすめします(かえって厚手で丈夫です)
コーヒーフィルターは、適当なウェス(布)が無い場合の代替手段として使えますが、刃物用鋼材など、ある程度硬度の出ている金属を磨く場合に有効な裏技です。
アルミニウムなどの柔らかい金属は、微細な傷が入る可能性が否定できませんので、避けた方が良いでしょう。
アルミに限らず、柔らかい素材を磨く場合は、必ずウエスを使用して下さい。
本来ブルーマジックなどのコンパウンドは、柔らかい布に付けて使用するように作られています。
ちなみに、キムタオルでも試したことがありますが、あれはやはり、多量の汚れや水分などをササッと拭き取る用途向けの商品です。ゴシゴシ擦る作業に耐える強度はありません。
(有名な キムワイプは、精密拭き取り用なので、こちらも適性がありません)
手で磨く(ゴム手袋に付け、指で直接磨く)
最初に言っておきますが、(刃物等を磨く場合は)怪我しやすいので、あまりおすすめすることはできません
(このナイフはきちんと刃引きして作業していますが、それでも怪我に繋がりやすいです)
使い捨て用の薄手のゴム手袋で磨くと、研磨粒子がゴム肌に食い込んで研磨粒子が逃げないため、しっかり磨くことができます(布地の裏抜けも、物理的にありません)
指先感覚をダイレクトに感じながら磨くことができますので、繊細な磨き方をしたい場合にも良いです
個人的には、表面の酸化皮膜を取るだけの場合や、微細なスクラッチ傷を処理するなど、簡便な磨きで済む場合に使用しています(面積が大きいものには向きません)
筆者が使用しているゴム手袋の素材は、ビニール系のものですが、ラテックス系の手袋でも同様に作業可能だと思います。
磨き終わったらティッシュで刃を拭い、手袋を裏返してその中にティッシュを捨て、口を縛ってしまえば、ゴミ捨て後の溶剤の臭いもシャットアウトできるのが良いところです(ゴム手袋が破れない限り、手も汚れません)
正直に言うと、「わざわざウェスを取り出し、適当な大きさに切って」というのが面倒な時や、手が汚れるのが嫌な場合、磨き自体が短時間で終わりそうな場合などに、このやり方を使っています
かなり特殊な磨き方ですし、本来の磨き方でもありませんので、人様に対しておすすめできるものではありません。完全な裏ワザです(ただ、個人的には時々やったりしています。)
● オカモト ビニール極薄手袋 (amazon 商品ページ)
「コンパウンド鳴き」について
コンパウンドで磨き続けていると、最後の方で「キュッキュッ」と音が出る場合があります
溶剤が揮発し、研磨対象の表面平滑度が上がってくると、このような音が出ます
粒度の大きなラビングコンパウンドなどでは、まず音は出ません(微細なジャリジャリ感が伝わってくるだけです)
5ミクロン以上の鏡面仕上げ用コンパウンドで磨き続けると、音が出ることが多いです
これは、研磨粒子の角が落ちて、より微細な粒子で磨いている「良状態」と言えますが、見方を変えると「研磨効率が悪くなっている状態」でもあります
音が出だしたら、かなり平滑に仕上がっていることが多いですが、まだ面の状態が整っておらず、磨き足りないようでしたら、単にコンパウンド同士が擦れて音が出ている場合もあります
「鳴き砂」と同様の現象が、コンパウンドの粒で起こっています
その際は、新しいコンパウンドを布に塗布し直し、角の立った研磨粒子で磨いて下さい
角が取れた状態のまま研磨を続けても、あまり効率が良くありません
ただ、仕上げ磨きの際は、この「キュッキュッ」という音が出るまで確実に追い込んでから、フィニッシュしましょう(良状態に仕上がります)
※ 使用する素材によっては、この音が出にくい場合もあります
その場合は音ではなく、「ククッ」とした手応えで返ってきます(つるつるした面同士を滑らせる場合に、つっぱって止まる感覚です)
音だけでなく、手応えの感覚も重視しましょう!
文章で説明されても今ひとつよく掴めないかもしれませんが、実際に作業してみると、指先に返ってくる摩擦感などで、感覚的にこの「コンパウンドが鳴く」感覚がつかめると思います
※ 「コンパウンド鳴き」というのは、わたしが勝手にそう呼んでいるだけで、正式な名称ではありません(そんな言葉は無いと思います)
● サンドペーパーの選び方 については、左記のページをご覧ください
有名どころのNCA(ノリタケ)、三共理化学、コバックス等について解説しています
蓋を開けっ放しで作業しない
磨く最中は、蓋を開けっ放しにせず、必ず閉めて作業しましょう。
ねじ込んで完全に密閉するか、上に被せて『置いておくだけ』にするかは、どちらでも良いと思います。(個人判断で好きな方を選択して下さい)
ねじ込んでおいた方が溶剤の揮発が抑えられますので、換気の良好でない部屋で作業する場合や、溶剤に敏感な方(アレルギー体質など)は、しっかり締めておく方がおすすめです。
ただ、上に被せておくだけでもある程度の揮発防止にはなりますので、『個人的にはこれでも充分』だと考える場合は、ねじ込まずに蓋を被せておくだけでも構いません。
避けるべきなのは、蓋を開けた状態で作業を続けることです。
溶剤分が少しくらい揮発しても、実質的な研磨性能に影響が出ることは、さほどありません。
ですが、蓋を閉じずに作業すると、微細な異物が容器内に混入する可能性があります。
研磨の際に飛び散った粉塵などが容器内に混入してしまうと、研磨の仕上がりに悪影響を与えかねません。
高硬度金属を磨く場合は影響も出にくいですが、(上の画像のような)塗装面などの柔らかい素材を磨く場合は、シリカ(石英・砂粒)などでも深めの傷が入ってしまい、傷取りの工程からやり直しになる場合があります。
ブルーマジック自体に異物が混入してしまうと、いくら清浄なウエスを使用しても、全く意味がありません。
「蓋を閉める」というのは、当たり前な事かもしれませんが、研磨作業に集中しすぎると、こういう基本がおろそかになりがちです。
仕上がりにこだわる場合は、短時間でもこまめに蓋を閉める習慣を付けたいものです。
(些細なことではありますが、小さなことを疎かにする人は、大きな結果を残すことはできません)
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