ブルーマジックはシンク磨きに良い?
ブルーマジック メタルポリッシュクリームは、その名の通り「金属磨き用」です。
元々は自動車の金属パーツやトラックのメッキホイールを磨くための「カーケミカル用品」として開発されました。
2022年には「シンクを磨くとピカピカになる」とSNSで話題になりましたが、実際のところどうなのでしょうか?
このページでは・・・、
ブルーマジックの家庭での使用について説明します。
ブルーマジック - 目次
- ブルーマジックの基本 (ページ1)
- 番手・粒度・成分 (ページ2)
- 使用例と感想(鏡面仕上) (ページ3)
- 使い方上級編 (ページ4)
- 車のボディ磨き ← 前のページ
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台所のシンクを磨くと、ピカピカの鏡面になるのか?
キッチンの流し台(シンク)は、基本的にステンレス製です。
ブルーマジックは「金属磨き用」ですので、ステンレス素材との相性も良く、根気よく磨けば輝きが増してピカピカになります。
鏡面になるかどうかは、
1.下地の状態がどの程度か?ということと、
2.どこまで時間をかけて作業するか?にかかっています。
ちなみに、長年使い込んだ流し台などは、表面に深い傷が入っている場合もあり、そのような深い傷までは取れません(それでも傷は目立たなくなりますし、ピカピカ感は確実に増します)
「傷は取れない」というのは、
ブルーマジックは、鏡面仕上げに適したコンパウンドであり、粒径サイズが小さい分だけ、一度に切削できる深さが浅いからです。
ブルーマジックの平均粒径サイズは5ミクロンです。
そのため、一度の研磨で切削できるのは1ミクロン以下だと推定されます(厳密には計測することすら難しいです。研磨粒子のキメが細かい分だけ、削り取れる深さは浅いのですが、その分下地さえ出ていれば、かなり平滑に仕上がります)
ラビングコンパウンド(傷取り用研磨剤)であれば、粒径が大きいため、いくぶん切削効率は良くなります。
ブルーマジックで深い傷を取ることも、理論的には不可能ではないのですが、プールの水をコップでかき出すような、極めて効率の悪い作業となります。
研磨においては、傷の深さを読み違えたり、研磨剤の選択を誤ったりすると、いくら磨いても傷が取れず、いたずらに時間を浪費してしまいかねません。
インド哲学には、「劫(こう)」という観念があります。「百年に一度、天女が衣の袖で大岩を撫で、その岩が摩滅しても終わらないほどの長い時間」を指します。
この「劫」は、岩を薄衣で摩滅させようとするから、永遠に近い長さがかかるのです。
傷が深い場合は一旦番手を下げて傷を取り、その後、徐々に番手を上げていくことで、研ぎ目を細かくしていく必要があります(やみくもに磨けば良いというものではありません)
シンク磨きにブルーマジックを使うのは「あり」なのか?
「Twitterのネタ」や「お遊び」としては面白いかもしれませんが、実生活の上では、あまり現実的ではありません。
丁寧に磨けばピカピカになるのは確実ですが、そもそもシンクというのは、皿や鍋がドカドカ置かれる「
作業場」です。
特に皿の裏の釉薬が掛かっていない部分は、硬度が高くザラザラですので、せっかくピカピカに磨いても、置くだけで微細な傷が入ります。
つまり、
一時的にピカピカにはなりますが、それは永続的なものではなく、使っているうちに元のくすんだ状態に戻るのです。
住宅展示場のモデルルームのように、生活の場として使用せず、ディスプレイとして陳列するなら判りますが、「
実生活で酷使される場所を、一時的に鏡のようにピカピカにしてどうするの?」という感じです。
だからこそ「非現実感」が作用してバズったわけですが、実生活でこれをやると…
「そんなところピカピカにするくらいなら、トイレと換気扇、掃除してよ。…そうだ、窓も拭いといて!」と、言われること確実です。(単身者を除く)
はっきり言ってしまうと、
流し台は「クリームクレンザー」でこまめに磨くのが一番です。
クリームクレンザーが適している例
ブルーマジックの研磨粒子は「アルミナ」であり、研磨剤としては硬度が高い部類に属します。
包丁の側面や、IHクッキングヒーターの天板など、商品名や操作表示のプリントがあるものは、印字部分をブルーマジックでむやみに擦らないようにしましょう。
プリント部分は「塗料が載っているだけ」ですので、研磨力が高いブルーマジックでは、プリントを削り落としてしまう恐れがあります。
このような汚れ落としの用途には、
クリームクレンザーの方が適しています。
台所用のクリームクレンザーは、研磨剤として、切削力が比較的穏やかな「シリカ」が使用されています。そのため、上手に使えば汚れだけを落とす事ができます。
シリカは、アルミナに比べると柔らかいですが、言い換えれば石英(二酸化ケイ素)ですから、たいていの金属よりは高硬度です。プリントの印字部分も力を入れて擦り続ければ、擦り落とすこともできますので、印字がある部分は優しく擦るなど、配慮して使いましょう。
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