スマホのバッテリーをDIY交換しました
このページでは、それぞれの工程の作業難易度とポイント、注意点、バッテリー交換前後のログデータ、バッテリー選びのポイントなどを解説します
交換に使用したバッテリー
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DIGIFORCE for iPhoneSE バッテリー(今回使用したバッテリー)
● メーカー:DIGIFORCE
● スペック:3.8V 1850mAh 7.03Whr
● バッテリーパフォーマンス:100%(交換後)
● 費用:約2500円
(バッテリー価格・2024年11月時点)
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DIGIFORCE iPhone用 交換バッテリーの一覧(工具付き)
交換前・純正バッテリーの状態とスペック
● ブランド:apple純正
● スペック:3.82V 1624mAh 6.21Whr
● バッテリーパフォーマンス:86%(交換前)

作業対象となるスマホは、iPhoneSE(初代)です
万一の事を考慮し、作業前に必ずバックアップを取ります(重要)
さらに、バッテリーパワーが5%以下になるまで使い、電源を落とします(これも重要)
バッテリーが充分に充電された状態で交換作業をしても、失敗を一切しなければ、大きな問題は生じませんが、万一の短絡が発生した場合や、交換後のバッテリーを廃棄・リサイクルすることまで考慮すると、バッテリーを使い切って、内部に電力エネルギーが蓄えられていない状態で作業した方が安全ですし、トラブル防止に繋がります
※ 「電源が自動で落ちるまでバッテリーを消費させる」と書いてあるマニュアルもあります(どちらでも良いと思います)
なお、この手のリチウムイオン電池を扱っていると、稀に端子を短絡させてしまい、火花を飛ばしてしまうことがあります。
そういう経験がある人は、リチウムイオン電池のエネルギー密度が高いことを身をもって知っているので、何も言わなくても可能な限りバッテリーを消費させ、バッテリー電圧を落としてから作業するようになります。
短絡による火花程度であれば、周囲に引火物が無い限り、大きな危険とはなりませんが、外装を傷つけてしまうと、火事や爆発の懸念があります。
(作業する場合は自己責任で)

今回使用する交換用バッテリーには、画像のように、交換用道具とマニュアルが付属しています
バッテリーパックと固定テープ、防水シールのみで、
工具やマニュアルが付属しない商品もありますが、既に必要な工具を持っている場合は、こちらでも良いでしょう。

上の画像の左にあるのが、バッテリー交換マニュアルです。
一つの工程ごとに一枚の画像が付与されており、かなり丁寧な解説になっています。
また、日本語・英語・中国語の3カ国語で書かれていますが、
日本語がきちんとしており、意味の通らない変な日本語になっていません。
機械翻訳ではなく、日本語ネイティブの方が翻訳したものと思われます(重要ポイント)
マニュアルの手順に従って、筐体を開けます。
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底部のネジを2本外し、
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吸盤を使ってディスプレイを数ミリ引き上げ、
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ピックを使って徐々に開口部を広げます。
ここまでやると、貝が口を開くように、スマホの筐体を開けることができます
この段階では、まだホームボタンケーブルが繋がった状態です。(貝柱が付いたままの貝のような感じです)
そのため、(この段階では)大きく開くことはできません
※ 固定ネジはかなり精度の高い、精密なネジが使われています
ドライバーとの嵌合も良好ですので、カムアウトする可能性は低いとは思いますが、セオリー通りに「押しながら回す」を心がけて下さい(ネジを緩める際の基本です)
ホームボタンケーブルの取り外しは…、
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コネクタカバーを取り外した後、
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ホームボタンケーブルのコネクタを、ヘラでこじって外します、
コネクタカバーもケーブルコネクタも、微小なスプリング効果で嵌っているだけですので、こじるだけで簡単に外れますが、微小部品ですので外からの力には強くありません(力任せにやらずに、優しく丁寧に作業しましょう)
ホームボタンケーブルのコネクタが外れて、「大開き」になった状態です
マニュアルでは、「
水の入ったペットボトルに輪ゴムで固定」となっていますが、ディスプレイを90度まで引き上げると、繋がったままのケーブルやコネクタに負担がかかりそうでしたので、大事を取って80度くらいの開口度にしています
固定に使用しているのは、3Mのマスキングテープです。糊跡なども残らず、きれいに剥がれますので重宝しています
また、ペットボトルの中身はレギュラーコーヒーです(水ではありませんが、ディスプレイを保持できるだけの一定に重量があれば良いだけです)
2本のプラスネジを緩め、バッテリーコネクタ保護プレートを外します。
(画像は取り外した状態です)
保護プレートを外すと、下からバッテリーコネクタが現れます。これをヘラで引っ掛けて取り外します

バッテリーコネクタを外した後は、念の為にコネクタ部をテープで覆いました。
万一の短絡防止のためですが、ここまでしなくても良いと思います。マニュアルにも書かれていない部分です。
ヘラを使って、バッテリー固定用両面テープの端をこじって引き出し、左右に切り分けたのち、指でつまんで引き出します
付属しているプラスチック製のヘラを使っても良いですが、ここでは竹製の割り箸を削って作った自作のヘラで作業しています(適度にしなって使いやすいため)
両面テープの端を、摘む程度まで引き出すことができました。
恐らくここが最も難しい、もしくは失敗しやすいポイントだと思います。
白い両面テープをしっかり指で摘めるところまで引き出す部分は、慎重に作業したいところです
力任せに引っ張ると切れてしますし、幅いっぱいにつまめない場合もあります。
今回は、両端は繋がっているものの、両面テープの中央に穴が空いた状態で、ようやく摘むことができました。そのままテープを切らないように、ゆっくりと引き出してはつまみ直しし、また引き出します。テープ全体を掴むことができるまでは気が抜けません
一旦テープをしっかり摘むことができれば、後はそれほど難しくありません(テープが変質・固着している場合などはこの限りではありません)
テープを引っ張るとテープが伸び、伸び切った部分は粘着力が失われて、徐々に引き出されてきます(3Mのコマンドタブと似たような機能を持った両面テープです)
付属のマニュアルでは、底部方向に引っ張って外すとありましたが、ある程度引き出されたら、画像のように側面に回して引っ張ったほうが楽に引き出せます
テープを引っ張る角度は、もう少し底部よりの方が外れやすいと思います
弱い力で引っ張りながら、テープを引く方向をいろいろと変えて試してみると、最も引き出しやすい角度が分かってくると思います(実際にやってみて下さい。やれば判ります)

左側のテープを外すことができました
右側に残ったテープも、同じように、つまんで引っ張って外します
左右2本の両面テープが外れたら、バッテリーを取り外すことができます。
ここまでくれば一安心です
後は、新しいバッテリーに両面テープを貼り付け、分解と逆の手順で組み上げていくだけです。
新旧バッテリーの比較です
右側が、スマホから取り外したアップル純正バッテリー
左側が、これから取り付ける新しい互換バッテリーです

こちらは、新旧バッテリーの裏面です
交換用の互換バッテリーだけあって、縦横、厚みなどは、同じサイズのようです

こちらは、取り外した部品です
外した部品を順番に置いておくための、番号付きマグネットーシートが付属していますので、これに順序よく並べて置いておきます。
まさに、至れり尽くせりですね
1番と2番が、底面固定用ネジ(星型x2本)
3番が、ホームボタンコネクタカバー
4番と5番が、バッテリコネクタ保護プレートの固定ネジ(プラスx2本)
Aが、バッテリコネクタ保護プレートです
6~16番とB~Dは、今回使用しません。
ディスプレイ全体を取り外さずに、貝のように半分開いた状態で作業可能なため、取り外すネジやコネクタ類が少ない数でおさまっています。
シートの上の白い紐状のものは、取り外したバッテリー固定用両面テープです
マグネットシートの上に各パーツを置いているため、磁力のおかげでパーツが勝手に転がっていくようなことはありません
とはいえ、それほど強い固定力でもありませんので、万一の事を考慮し、(画像のように)お皿の上にシートを乗せています

固定テープの保護シートを片方外し、
固定テープをバッテリーに貼り付けます。

反対側の保護シートも取り外し、
バッテリーをスマホの筐体に収め、優しく押して密着・固定させます。
その後、バッテリーコネクタを押し込んで接続し、コネクタ保護プレートを取り付けます

ホームボタンケーブルを取り付けて、コネクタカバーをはめ込みます。

底部の星型ネジを2本締め込めば、バッテリー交換作業は終了です。
電源を入れます。特に問題なく再起動できました。
iPhoneSEのDIYバッテリー交換、無事に完了です。
作業自体は、ネジによる固定とスナップ状のコネクタの脱着、後はコマンドタブ状の両面テープの取り外しだけで、
はんだ付けなどの作業も不要ですので、極端に難易度が高いものではありません。
一方で、そもそもこのような
DIY作業に慣れていない人の場合は、それなりに難しい作業と言いこともできます(人によります)
ただ、細かい作業になりますので、老眼が進んでいる方は、近距離に焦点を合わせた老眼鏡、もしくはルーペなどが必要となるでしょう。
こちらは、今回の作業で唯一失敗したポイントです
両面テープの保護フィルムを剥がす際、フィルムの裏側がテープに貼り付いてしまいました
こうなってしまうと、どうにもなりません。無理に剥がそうとしてもテープが伸びるだけで、剥がれて欲しい方のフィルムは剥がれてくれません。
ここまでくると、両面テープ本来の機能が失われ、再利用ができなくなります。
幸いなことに、今回使用したDIGIFORCEのバッテリー交換キットには、両面テープが2セット入っていましたので、この失敗したテープは廃棄し、予備のテープを利用することで事なきを得ました(助かりました!)
もしも何度も続けて失敗してしまった場合は、別途、固定テープを用意しましょう。
通常、バッテリー固定テープはバッテリーに付属していますが、この
付属品を使い切ってしまった場合も、テープのみでの購入が可能です
(下のリンク先をご覧ください)

こちらは、失敗して使えなくなったテープを引っ張ってみたところです
上の画像のように、びよ~んと伸びるのです
縮んでいる状態だと、かなり強力な粘着固定力を持つのですが、
引っ張って伸ばすと、きれいに剥がれてくれるという面白い特性を持っています。
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