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「オピネル」とは

最終更新日: 作者:月寅次郎

オピネルの解説

オピネル
オピネルはフランスの伝統的な折りたたみナイフです

丸みを帯びた木製ハンドルが特徴的で、クラシカルな構造を踏襲しています

オピネルの種類、サイズナンバー(No.)

ブレード鋼材は2種類あり、錆に強いステンレスと、切れ味に優れた炭素鋼が用意されています
(「INOX」表記がステンレスで、「Carbone」が炭素鋼)

サイズも多様で、国内で通常販売されているのは、以下の6種類です

サイズNo.と、刃渡りの対応表
オピネルのサイズ 刃の長さ
No.6 7.0cm
No.7 8.0cm
No.8 8.5cm
No.9 9.0cm
No.10 10.0cm
No.12 12.0cm

具体的にどのサイズを選ぶべきか判らない方は、こちらの「オピネルのサイズ選び - やや大きめが良い4つの理由」をご覧ください

個人的にはNo.10がおすすめですが、ソロキャンプやソロツーリングなどで携帯性を重視したい場合はNO.9、ファミリーキャンプなどで人数が多い場合は、No.12が賢い選択です
調理目的ではなく、デスクナイフとして使う場合は、No.8やNo.7も良い選択となり得ます
登山を考慮する場合はこちらのページを参考にして下さい

オピネルの特徴

オピネル
刃元のセーフティリングを回すと、ブレード開閉のロックが可能です
現代的なバックロックやライナーロックとは異なり、やや古典的とも言えるロック構造ですが、状態が一目瞭然なので、ナイフに不慣れな人でも判りやすいというメリットがあります

ハンドルにはブナ材が用いられており、木材の風合いが残された暖かみのあるグリップです
ただ、樹脂浸透などは施されておらず、「無垢材にニス塗り」という仕様ですので、決して耐水性は高くはありません

上の画像は、筆者がカスタムを施したオピネルです
(ブレードを鏡面に仕上げた時のもので、ハンドルを漆塗りにする前の状態です)

詳しくは、こちらのオピネル鏡面カスタムにて紹介しています

オピネルの弱点

前述のように、オピネルのハンドルは耐水性が高くありません

そのため、ボルスター(ブレードを固定するハンドルの付け根部分)水分を吸って膨張してしまうと、刃の出し入れが固くなってしまいます

このため、「刃が固くて出ないときの対処法(サヴォワ打ち・コンコン)」や、「ハンドルを吸湿させない扱い方」は、オピネルユーザーであれば必修事項です
それほど難しいものではありません。扱い方や、手入れの仕方の一つであり、ちょっとした「使いこなし」です

オピネルのデメリットとして挙げられるのは、やはりこの耐水性の低さでしょう

補足:
「オピネルはキャンプにおすすめ!」は本当か?というページでは、
「世界一水に弱いナイフ」であるとか、「これがオピネルでなかったら、返品の山」と言った具合に、けちょんけちょんにけなしていますが、これはオピネルを愛するがゆえに、誰も口にしなかった真実を、思い切って語っているのだと思って下さい

オピネルの歴史

オピネル
カーボンスチール

オピネルの発祥は1890年にまで遡ります
(場所は、フランスのサヴォワ地方。ジョセフ・オピネル氏がその原型を作りました)

1897年には、No.1からNo.12までの12サイズがラインナップされます
この頃はまだセーフティリングが付いておらず、Virobloc(ヴィロブロック)というロック機構が設けられるのは1955年まで待たねばなりません
リングの切り欠き形状が変更されたのは2000年で、これ以降のモデルは、閉じた状態でもロックできるよう改良されています
日本の歴史に当てはめると、オピネルが誕生したのは明治時代終盤であり、現在のようなセーフティリング付きの外観になったのは、昭和の「戦後脱出期」頃になります

オピネルの良さ

オピネル
ステンレス

このようにオピネルは、成立した年代が大変古く、手入れや使いこなしが必用な、クラシカルなナイフです
ですがそこが、逆に良いのです

木目も個体ごとに異なりますので、同じオピネルでも「自分のナイフ」だという愛着が湧いてきます
物を大切に扱う人であれば、その愛着は、使い込むにつれて一層増してくることでしょう

現代のナイフに多用されている、マイカルタやザイテルなどの樹脂ハンドルでは醸し出せない、独特の味わいを持っているのです

オピネルは、ちょっとばかりややこしくて、面倒くさいナイフでもあるのですが、そういうところが、逆に面白みとなっています

オピネルは世界中に愛好家が存在する、素晴らしいナイフです
わたしのように、30年以上前に購入したオピネルをカスタムして大切に使っている人も少なくありません
オピネルを使ってみたいという方は、当サイトの解説ページを読んで、オピネルの良いところも悪いところも、よく理解してから使ってあげて下さい

補足: 「炭素鋼の方が切れ味が良い」と書きましたが、研がずに使いっぱなしのハガネ刃よりも、研いだばかりのステンレスの方が良く切れます
自分で積極的に刃を研がない場合は、切れ味のメリットが活きませんので、ステンレスを選ぶ方が無難です

ハンドル材は、ブナ以外にもブビンガやオリーブ、樹脂ハンドルなどを使用したモデルも販売されています

また、ブレード形状はスタンダード以外にも、フィレナイフ(スリムナイフ)があります。(ガーデンナイフ、マッシュルームナイフ、草刈りナイフ等もありますが、これらは用途的には特殊な部類です)
フィレナイフは魚をさばくためのナイフです。日本の出刃包丁とは真逆のコンセプトで、刃が細身でしなる点が特徴です(下の画像の左側がブビンガ材のフィレナイフです、筆者によるカスタムが施されています(鏡面仕上げ・漆塗りハンドル)

オピネル

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オピネルのまとめ

オピネル オピネルのまとめページ
当サイトにおける、オピネル解説ページの全インデックスです

オピネルの扱い方、手入れ、カスタム事例、分解手順などなど、最も突っ込んて掘り下げた内容になっていると思います

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