パーリングナイフとペティナイフは、呼び方が違うだけ
パーリングナイフとは、ペティナイフのことで、呼び名が違うだけで同じものです
日本では、ペティナイフという呼び名が定着してしまったため、逆にパーリングナイフという呼称の方が、馴染みのないものとなっています
パーリングナイフと、ペティナイフ、どちらも同じものを意味しますが、
ペティナイフは日本での呼び方であり、
パーリングナイフは英語圏の呼称です

画像は、わたしが実際に使っているペティナイフです
3本とも個性があり、使い比べてみると実に面白いです
「1」の関孫六 4000CLは、鋼の切れ味と使いやすさを両立させた、個性派希少タイプ(廃版ですが、後継機種有)
「2」の藤次郎 DPコバルト合金割込は、段ボール数箱分の玉ねぎを毎日処理するような、仕事人に向いています
「3」のビクトリノックス スイスクラシックは、家庭の台所でさまざまな使い方ができる、実に便利な一本です(低価格なナイフですが、個人的な一押しです)
(使った感想やより詳しい解説は、各リンク先に記載しています)
パーリングナイフとは、皮を剥いたり、削ったりするためのナイフ(英語)
ビクトリノックス
スイスクラシック
パーリングナイフ
パーリングナイフは、英語であり、「Paring Knife」となります
Paringとは、pareの現在進行系で、(ナイフなどを使って)
皮を剥く、切りそろえる、削り取る、…などの意味があります
パーリングナイフの意味には、「小さな」という意味は含まれていないのですが、皮を剥くためのナイフは、刃渡りの小さなものが適しているため、結果的にサイズの小さな調理用ナイフが、パーリングナイフと呼ばれています
ちなみに左上の商品は、公式サイトでは「
スイスクラシック パーリングナイフ」となっていますが、販売サイトでは「
スイスクラシック ペティナイフ」と表記されています
「ペティナイフ」で検索する人の方が多いため、販売戦略上の措置として、通販サイト上の表記を変えているものと思われます
ペティナイフとは、小さなナイフ (和製英語)
藤次郎
DPコバルト合金
ペティナイフ
ペティとは、フランス語の「petit」のことで、「小さい」という意味です
いわゆる「プチ」のことで、日本では、「プチ=小さい」という意味が定着しています。発音でいうと、『プチ』の方が、本来の発音に近い感じです、
ナイフは、フランス語では「Couteau(クトー)」となるため、本来ならば、「Petit couteau」となるはずなのですが、日本で西洋料理が普及する際に、料理人の間で「ペティナイフ」いう造語が広まってしまったため、この英語ともフランス語ともつかない和製英語が定着してしまいました
ペティナイフには、小さいナイフという意味があり、皮を剥くという意味は入っていませんが、小さなナイフはそのような用途に適しているため、皮むきや面取りなど、細かな調理作業に使われています
パーリングナイフ(ペティナイフ)の大きさと重量
通常、日本製のペティナイフは12cm~15cmの製品がほとんどです
15cmを超えると、ペティと呼ぶのは少し無理があるでしょう
ただ、12cm以下の製品も数多くあり、10cmや、8cmのペティナイフも販売されています(海外製品に多いです)
「シャトー剥き」のための、シャトーナイフというのもありますが、あれもある意味、ペティナイフの範疇に入るでしょう
さてここで、一般的な三徳包丁と大きさや重量を比較し、ペティナイフと比べてみましょう

画像は上から・・・
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刃渡り16.5cm、重量148g 三徳包丁 貝印 関孫六10000CL
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刃渡り14.0cm、重量 76g 小三徳 ヘンケルス セーフグリップ小包丁
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刃渡り12.0cm、重量 69g ペティナイフ 貝印 関孫六4000CL (鏡面に加工済)
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刃渡り10.0cm、重量 27g ペティナイフ ビクトリノックス スイスクラシック
・・・です(使った感想は、各リンク先にまとめています)
関孫六
ダマスカス
ペティナイフ
この中では、ヘンケルスのセーフグリップと、ビクトリノックスのパーリングナイフが、共に樹脂グリップのために、軽量に仕上がっています
ヘンケルスのセーフグリップは、小三徳ながらもペティナイフ並の重量ですし、ビクトリノックスの27gという重量は、超軽量と言ってよいほどで、登山用のウルトラライト装備として購入した
カーショウの超軽量ナイフと2gしか違いません
貝印の三徳とペティナイフは、おおよそ標準的な重量の範囲内と言ってよいでしょう
大きめの包丁は重量があるため、
まな板の上で使う場合に「重さで切る」ことができ、楽に感じる場合があります(※1)
一方のペティナイフは、軽量であるために、
重さで切るのは不得手ですが、取り回しの軽さがあるため、まな板を使わずに
皮を剥く場合や、重さを利用せずに「
引き切り」で切る際などに、軽量で刃厚が薄いことが活きてきます
※1「重さで切る」というのは説明が難しいのですが、重量のある包丁で千切りをするなどの場合に、材料に刃が切り込んでいく時、手に返ってくる初期抵抗と、切り進む時の抵抗に、顕著な変化が無いように感じられることがあります。
これは、包丁の重量慣性によって、切込み時の初期抵抗が判りにくくなるためですが、手に返ってくる反力に変化が無く、一定の力加減で作業できるため、楽に千切りをすることができます
軽量なペティナイフと刃渡りのある牛刀などで、この比較をやってみると、よく判りますので一度試してみるとよいでしょう
刃付けの状態に大きな差異があると、比較になりませんので、まとめて包丁を砥いだ後などに、切り比べてみると良いです
パーリングナイフとペティナイフのまとめ
グローバル
ペティナイフ
パーリングナイフとペティナイフは、調理用の小型ナイフのことであり、呼び方が異なるだけで同じもの
● パーリングナイフは、英語(英語圏の呼称)
● ペティナイフは、フランス語と英語が混ざった和製英語(日本での呼称)
ペティナイフを実際に使用した感想
ビクトリノックス スイスクラシック ペティーナイフ
日本製のペティナイフには、こういったアゴの無いものは少ないのですが、「アゴ無し細身、しかも薄手」というのは、実際使ってみるとさまざまなメリットがあることが分かります
三徳包丁では決して真似のできない、〇〇な作業ができるというのが良いところで、個人的にも気に入って多用しています
中庸な硬度の鋼材が使われているおかげで、非常に薄い刃が実現できており、
抜けの良い刃に仕上がっています
切れ味テストもやってみましたので、よろしければご覧ください(安い包丁は切れないというわけではないのです)
藤次郎 DPコバルト合金鋼割込 ペティナイフ
V金10号でお手頃価格、
オーソドックスな作りで優等生的なのです
細かいことをいうと、いろいろあったりもしますが、全体的には堅実な造りです
関孫六 4000CL ペティナイフ
関孫六4000CLは、
今どき珍しい炭素鋼複合材の包丁です
切刃はハガネなので、パリンパリンにシャープな刃が付きます。側面はステンレスなので錆を気にする必要もさほどありません
ハガネとステンの利器材は、その良さがあまり知られていないため、人気もありませんし、少数の刃物メーカーしか作っていませんが、実際に使うとその素晴らしさに驚きます。見た目は地味なので、外見より中身を取る人におすすめです
(4000CLは現在廃版となっていますが、
後継機種が数本出ています)
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おすすめの包丁 (外観より切れ味重視でランキング)
関孫六プレミアシリーズは、貝印の高級洋包丁として5本がラインナップされています
ダマスカスあり、オールステンあり、炭素鋼ありとバリエーションに富んでいます。コバルトスペシャルという耳慣れない鋼材のものもありますが、一体どれがおすすめなのでしょう?
5本それぞれに評価を付与し、歯に衣着せずにランク付けしました。見た目重視で高いだけの商品はバッサリ切っています。一読すれば、包丁選びのポイントも、おおよそ網羅できることでしょう。
家庭用のおすすめ包丁(安い価格で、最良の切れ味を)
一般家庭における「おすすめ包丁」というからには、「手頃に買える価格で、切れ味が良く、さほど錆に気を使わなくて済む」という条件を満たさなくてはなりません(さらに、研ぎやすければ言うことないです)
1万円を超す包丁であれば、いろいろな意味で「最強っぽい」のは各種ありますが、「手頃な価格で」という条件が加わると、とたんに難しくなります
ここでは、関孫六4000CLを例に上げ、炭素鋼複合材の良さを解説してみました
切刃はハガネなので、パリンパリンにシャープな刃が付きます。側面はステンレスなので使い勝手も良いです
ハガネとステンの利器材は、その良さがあまり知られていないため、人気もありませんし、少数の刃物メーカーしか作っていませんが、実際に使うとその素晴らしさに驚きます。見た目は地味なので、外見より中身を取る人におすすめです
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