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ビクトリノックス スイスクラシック ペティナイフ


最も手に取ることの多い包丁の一つ(包丁マニアのお気に入り)


ビクトリノックス スイスクラシック パーリングナイフ(ペティナイフ)

スイスクラシック ペティナイフ 5つのメリット

ビクトリノックス
スイスクラシック
ペティナイフ 赤

スイスクラシック ペティナイフを使いだして結構経ちますが、とても重宝しているナイフ(包丁)です
所有している刃物類の中でも、最も手に取る回数が多い包丁の一本です

なぜ手に取る回数が多いかというと、それには確かな理由があって…
  1. 食品包装の開封が楽
  2. バターは、これ一本!
  3. 普通なら入らない箇所に、刃を入れられる
  4. 刃を廻しながら、曲線状に切りやすい
  5. 刃厚が薄く、切り抜けが良い
・・・以上の 5点において、替え難い良さがあるからです

実際のところ、家庭用包丁として1本目に買うのが一般的な三徳包丁だとすると、2本目に揃えるのは、この「スイスクラシック」がベストだと、思います
他の包丁ではなかなか替えが効かないからです

学生さんや単身者の一人暮らしの場合は、(毎日料理をする人でなければ)これ一本でも充分でしょう

スイスクラシック ペティナイフは、「アゴ無し」で「刃幅が細い」という独特のブレード形状です
日本の包丁にはあまり見られない形で、これのどこが良いのか分からないという方も多いと思いますが、「どのように使えば、キッチンで役に立つのか?」を、具体例を挙げて解説してみましょう

食品包装の開封が楽

食品包装ビニールをスパッと切り開く

ペティナイフ・おすすめ
食品包装用のビニール袋を開ける事に関しては、このナイフに勝るものはありません

ナイフの先端が細く尖っているため、(上の画像のように)適当な隙間にグサッと突き刺して押し込み、外側にスパッと切り抜けば、面倒なビニールもパラリと切れてくれます

刃が細いため、突き刺せるエリア(ストライクゾーン)が広く、どこから開けようかと考える必要がなくなります(どこからでも開けられます)

刃幅の広い包丁には、真似のできない「技」です

ペティナイフ・ビクトリノックス
ビクトリノックス
スイスクラシック
ペティナイフ 黒
こちらは「にんじん」の袋。これもグサリ、パラリで簡単に開けられます

ペティナイフとしては超軽量(実測27g)のため、箸でも扱うかのように、思ったところに刃を突き刺すことができ、コントロールも意のままです

ブレードが細く、突き刺しやすい形状というのも良いところ

アゴ有りのペティナイフでもできないことはないのですが、スイスクラシックは、軽量で細身、アゴ無し、…と3拍子揃っているため、ダントツでやりやすく感じます

ポイントは、刃先をビニール袋の反対側まで突き出させるところです
奥までしっかり差し込み、根本に近いところで切ることで、少ない力で楽に切り開くことができます

ペティナイフ・ビクトリノックス
このバナナの包装は、ビチビチに詰まっていて隙間が無く、普通なら開けるのに難儀するところですね

でも大丈夫、ほんの少しでも隙間があれば、刃先を入れ込むことができるのです

普通の包丁で同じ事をやろうとするのは、少し難しいでしょうね
外側から切り開くしかありませんので、下手をすると中身の食材まで切ってしまいかねません

もちろん、スイスクラシックなら大丈夫です

野菜の梱包テープを切る

ペティナイフ・ビクトリノックス
野菜の結束テープを切るのも簡単です

ここではネギの隙間に峰を当て、そのまま刃を上に押しやって切っています。こうすることで、ネギを切らずにテープだけが切れます
上から切っても構いませんが、その場合は上手にコントロールしないと、ネギまで切れてしまいます

ちなみにここでは、梱包テープとビニール袋をまとめて一緒に切っていますが、その程度は造作もありません

紙箱とセロテープ

ペティナイフ・ビクトリノックス
セロテープで留めた箱も楽々です

刃の厚みが非常に薄いので、このような狭い隙間にもブレードを差し込んで切り開くことができます

一般的な三徳包丁は刃厚が2.0mm程度あり、同様な作業もやりにくいですが、スイスクラシックは、刃厚1.2㎜と非常に薄くできており、包丁やキッチンナイフの中では最も薄い部類に入ります

スイスクラシック ペティナイフの特徴 1

さまざまな食品包装の開封に、実用的で役に立つ
超軽量で、取り出しやすく、扱いやすい

バターはこれ一本、ベタベタ油の拭き取りも楽

料理を作っていると、「バターを切って、フライパンに入れ…」といったことが良くあります

作業を分けると、バターを切る、持つ、入れるの3つになりますが、すべてこれ一本で大丈夫です

峰側で切ると、バターが切れて紙が切れない

ペティナイフ・ビクトリノックス
それでは実際に、バターを切ってみましょう

バターを切る際、包装紙の銀紙まで一緒に切れてしまうというのは「バターあるある」です

スイスクラシックなら、峰側を使うことで、紙を切らずにバターだけを切ることができます
刃厚1.2mmの極薄ブレードだからこそ、できる技です
冷蔵庫から出したてでバターが硬い場合は、最初は刃で切り込んで、最後の一押しだけを峰側で切るようにして、2度に分けて刃を入れると良いでしょう

ペティナイフ・ビクトリノックス
しっかり下まで切ったのに、包装紙が切れていません

峰側でも難なくバターが切れるのは、刃の厚みが非常に薄くできているからです
そして、薄手の刃を可能としているのは、折れずにしなる、靭性の高い鋼材を採用しているからです このあたりは、西洋のナイフメーカーの得意とするところです

同じペティナイフでも、わたしが使っている藤次郎のDPコバルト割込になると、背厚が実測2.0㎜もあり、ここまで厚いと同じことが難しくなります
あまりに厚いので、結局、自分で刃を研ぎ抜いて薄くしました

藤次郎のDPコバルトは、スイスクラシックと比較すると、刃が厚く、硬い傾向にあります
日本製のペティナイフは、全般的にその傾向にありますが、ビクトリノックスのスイスクラシックは、全く異なるコンセプトでデザインされています

しなる程に薄く、柔らかいブレードだからこそ、可能なことがあるのです

バターを、刃先で刺して持つ

ペティナイフ・ビクトリノックス
バターを指でつまんで持つと、途端に溶けだして、指先がベトベトになってしまいます
嫌ですね~

衛生的にも良くありませんし、このためだけに手を洗うのも面倒です
手荒れの酷い方は、なおさら避けたいところです

そこでひと工夫、刃の先端で突き刺して持つと、手を汚さずにバターを取り出せます

このまま鍋まで直行です

ペティナイフ・ビクトリノックス
そのままナイフを鍋に持って行って、鍋の縁でこそぐようにすると、バターが鍋の中にポトリと落ちてくれます
指先も汚れず、とても楽です

画像のように、何かを茹でている場合は、直接鍋に突っ込んでも大丈夫です。軽く揺すると熱でバターが緩くなり、するりと刃から離れてくれます

このように、スイスクラシック ペティナイフは、バターを扱うには最適です
なんならバターを掬い取って、そのままパンに塗ることすらできるのです(個人的にいつもやっています)
無理にバターナイフを買う必要もありません

学生さんや単身者の一人暮らしなど、キッチンが狭くて台所用品を多数揃えられない人にとって、一本で多用途に使えるというのは、重要なメリットです

役に立つ一本となることでしょう(ミニマリストの方にも最適です)

ベトベト油脂の拭き取りもスムーズ

ペティナイフ・ビクトリノックス
MAC
チーズ・バターナイフ

ランチョンミートを切ってみましょう

カットした後は、ブレード側面にランチョンミートの油脂分がべっとり付着します
このような包丁の油汚れは、わざわざ洗うのが面倒です

別に大したことではないのですが、洗い方を誤るとスポンジが切れたりして厄介なのです(忙しい時などにやりがちです)

ペティナイフ・ビクトリノックス
そういう時は、キッチンタオルを使って、「刃をひと拭き」です 画像のように、ティッシュでも充分です
細かいことを気にしなければ、これで充分です。そこそこきれいになります

「ひと拭き」で済むのは、刃の幅が細く、親指だけで充分拭き取れるためです。(他の包丁だと、二度拭き三度拭きになるところです)

アゴのあるペティナイフだと刃の面積が広いため、なかなかひと拭きでは納まりません。三徳包丁ならなおさらです

スイスクラシック ペティナイフの特徴 2

刃が薄いため、峰側でバターが切れる
バターナイフの代用に使える
ブレード面積が小さいため、ふき取りも容易

普通なら入らない箇所に、刃を入れられる

ペティナイフ・使い方
実際にブロッコリーを切って試してみましょう

このナイフは 刃幅が1.6cmと極めて細いため、枝の間に刃を突っ込んで、下方向に切り落とすことができます

通常の包丁であれば、ここまで狭いところに刃を入れることはできません
そのため、側面から刃を入れるしかないのですが、その場合は上手に刃を止めないと、中心の「幹」の部分まで切り込んでしまいがちです

この「スイスクラシック」を使う限り、そのような心配は皆無なのです

ペティナイフ

ビクトリノックス
スイスクラシック
ペティナイフ 緑
スパスパッと、ブロッコリーを小房に分けることができました

ここではブロッコリーを例にしていますが、ブドウの房を小分けにしたり、バナナの房から一本だけ切り取るような場合にも役に立ちます
刃幅が細いため、狭い隙間に刃の先端を差し込んで、切り分ける作業が得意なのです

これも、刃幅のある三徳包丁では、真似がしにくいところであって、スイスクラシックのメリットの一つです

刃先の細い牛刀でもできないことはありませんが、牛刀は刃渡りがあるため刃先のコントロール性が今一つです。また、重量もそれなりにありますので、このような細かな取り回し作業には向きません

一般的な三徳包丁でも150g前後の重量がありますが、このナイフは実測重量27gで、比較すると1/5程度になります
そのため、箸でも扱うかのように、指先だけで思い通りの場所に刃を差し込むことができ、コントロール性が非常に良いのです

このように、スイスクラシック ペティナイフは、「狭い隙間に突っ込んで切る」作業に最適なのです

ペティナイフ・ビクトリノックス

スイスクラシック ペティナイフの特徴 3

細身のブレードで、通常では入らない狭い隙間に刃を入れて切ることができる

刃を廻しながら、曲線状に切りやすい

ペティナイフ・果物
上の画像は、焼リンゴを作るために、りんごを輪切りにして芯を抜いているところです
このナイフが一本あれば、芯を抜くための「型抜き」など必要ありません

刃先が細く尖っているため、刃を廻しながら曲線状に切ることができるのです

刃先の先端分を差し込んで、押し引きしながらくるっと回すと、きれいに芯をくり抜くことができます

ペティナイフ・果物
例えが分かりにくいかもしれませんが、ノコギリでいうところの、「引き回し鋸」のような使い方ですね

このような作業も、刃幅のある三徳包丁では、真似をすることができません
(三徳包丁は刃の幅があるので、ぐっと差し込むと、そのあとは直線的に切ることしかできないのです)

メロンの皮と果肉の間に切り込みを入れる時にも、この「刃幅が狭い」というのは、非常に役立ちます
刃幅のある包丁で、無理に曲線状に切ろうとすると、果肉の組織が潰れてぐしゃぐしゃになりがちです

根元まで刃幅の細いブレード形状のメリットは、こういったところに生きてきます

スイスクラシック ペティナイフの特徴 4

刃幅が細いため、曲線状に廻し切りしやすい

スイスクラシック パーリングナイフの切れ味テスト

ペティナイフ・切れ味
切れ味はどうか?」と気になる人も多いと思いますので、トマトを使って試し切りをしてみましょう

トマトを置いた状態のままで、手で支えずに切り込んでみましたが、スッと刃を入れることができました

ペティナイフ・切れ味
ビクトリノックス
スイスクラシック
2本セット

断面を見ると判ると思いますが、細胞組織がほとんど潰れず、きれいに切れています
こういった角の立った切り口が出せると、サラダに仕立てたときに味が引き立ちます

このナイフは刃が薄く刃幅も短いため、切り抜け時の抵抗が少なく、こういったことも割と楽にできてしまいます(わたしは、包丁の硬度よりもブレード形状やテーパーの付け方を重視していますが、それはこういった切り抜けの良さを左右するからです)

念のために書いておきますが、別にこのスイスクラシックナイフが「特別に良く切れる」というわけではありません
普通に切れるだけです

砥石できちんと研いで、しっかりと刃付すれば、他の包丁でもこのくらいは難しいことではありません (刃厚が厚めで、刃幅の広い包丁になると、切り抜け抵抗が大きくなるので、やや難しくはなります)

スイスクラシック パーリングナイフは、かなり低価格のナイフですが、きちんと研げば(普通に)よく切れてくれます
このナイフが低価格なのは、鋼材が低品質だからではなく、ハンドルに樹脂を使って低い製造コストを実現しているからです

安い包丁は、切れ味が悪いのか?」という疑問に関しては、こちらのページで詳しく解説していますので、よろしければご併読ください(包丁マニア目線で執筆していますので、商品を買わせるために書いた包丁販売業者のコラムとは、一味違うかもしれません)

※ 補足
ナイフの裏面が鏡面になっていますが、これは個人的に行ったカスタムであり、最初からこのような仕上げになっているわけではありません

刃を研いでいる時に細かな傷が入ったため、傷を取るついでに(裏面だけを)鏡面に仕上げました
(表面まで鏡面にすると、ロゴが無くなって締まらなくなるため、裏面のみに留めています)

包丁の傷を取って鏡面に加工する仕上げについては、こちらのページで詳しく解説しています

ペティナイフ・切れ味
人参を剥いてみました

ペティナイフ・切れ味
向こう側が透けて見えるくらい、薄く切ることができています

特別なことは何もしていません
種も仕掛けもありません

いつも通りに砥石で研いで、普通に皮を剥いただけです

特別なことはしていませんが、「誰でも簡単」とも言い難いです。なぜなら…
きちんと刃付ができている」という、研ぎの技量と、
刃を滑らせながら回し切る」という、包丁使いの技術が、二つ同時に試されるからです

両方の条件が揃っていないと、このようにきれいに切るのは難しいと思いますが、条件さえそろえば、「このような低価格のナイフでも、ここまできれいに切ることができるのだ」…というのは、お判りいただけたかと思います

パン・切る・ナイフ
ビクトリノックス
スイスクラシック
ペティナイフ
波刃・黒


波刃・赤
フランスパンを薄切りにしてみました
(自作レシピの生クリーム・ラムレーズンを食べる時の一コマです)

人前で事もなげに切って見せると、「パン切包丁でもないのに、こんなにパンを薄く切れるの?」と、驚かれるのですが、ちゃんと切れます(普通に研いでいればです)

パン切専用の波刃のナイフなど、無理に買う必要はないのです
とはいえ、仕事で毎日大量のパンをカットするというなら別ですし、自分で包丁を研ぐのは難しいという方は、波刃のナイフを買った方が良いでしょう(それだけの価値があります)

※ スイスクラシック ペティナイフには、「ストレート刃」以外にも、「波刃」の商品があります。わたしの友人も使っていますが、表面が硬いフランスパンを切るのに重宝します(左の商品)

念のため書いておきますが、 このナイフに使用されている鋼材は、決して高級なものではありません(低品質でもありませんが、高級鋼材でもありません。どちらかというと、中庸な普通の鋼材です)
ですが、研ぐ技術と、包丁使いの技術が合わされば、フランスパンを薄切りにするのも、置いたトマトに手を添えずに切るのも、決して難しいことではないのです

世の中の包丁販売業者さんは、「こんなに切れ味が良いのは、この包丁が高級で素晴らしいからだ!」と、やたらと高額な包丁をおすすめしがちですが、そんなことはありません
低価格の包丁でも、充分な切れ味を出すことができます

このページの画像で、よく切れる実例を多数掲載できているのは、単に、きちんと研いでいるからです
いくら高級な包丁でも、半年研がずに使いっぱなしにすれば、高いだけのなまくら包丁に成り下がってしまいます

このスイスクラシック パーリングナイフに限らず、現在市販されている有名メーカの包丁は、すべて切れ味が良いといって構いません
もしも、切れ味が悪く感じるのであれば、それは使いっぱなしで研いでないことが原因です

スイスクラシック パーリングナイフの特徴

  • 「本通し・ビス止め・積層強化木」では絶対不可能、超ハイコストパフォーマンス!
  • 樹脂グリップではあるものの、チープさを感じさせない、洗練されたスイスデザイン
  • ブレード形状は刃幅が狭く、そして薄い。「刃抜け」が良く、適度にしなる(ココがポイント!)
  • ペティーナイフとしては最軽量級、実測27g
  • 豊富なカラーバリエーション(波刃もあるよ)

アゴの無い細身のブレード(メリットとデメリット)

「アゴ無し」のペティナイフは、西洋の刃物に多く、日本ではあまり一般的ではありません
ですが、この形状に慣れてしまうと、その使い易さに驚く方も多いでしょう

どこが使いやすいのかと言うと、皮剥きをする際のコントロール性がとても良いのです
これは、握った時の『グリップの中心軸』と『刃筋』が、完全に並行であるからです
さらに言うと、刃幅が細いため、グリップの中心軸と刃筋の距離が近いというのも理由の一つです

アゴが無いペティナイフは、まな板上での千切りには向いていませんし、砥石にも当てにくいなど、デメリットもあるのですが、特定の用途を捨てることで、反対に際立ったメリットが生きてくるという、良い見本だと思います

逆に、アゴが無いために、できないこともいくつかあります
例えば、じゃがいもの芽をアゴで取ることや、アゴの高さを利用した千切りができません(指がまな板に当たるので)
じゃがいもの芽は、V型に溝を切って取り除くか、刃の先端を使うしかありませんが、刃渡りが10センチと短めなため、先端で芽を取るのも意外に難しくありません

また、千切りに関しては、洋食のシェフがよくやるように、刃先をまな板に接した状態で手前に引き切りするようにすると可能です。このあたりは「慣れ」だと思います

包丁やナイフの形状は、使い勝手に大きく影響しますので、人によっては「アゴ無し」はどうしても使いにくく感じる方もおられるかもしれません

そういう場合は素直に、アゴのある包丁を使いましょう
この一本だけで全てをこなすのは無理がありますが、「二本目の包丁」として用途に合わせて用いれば、とても重宝します

樹脂製のハンドル

射出成形の樹脂製グリップを採用しているため、低コストで、手に馴染みやすい複雑な形状を実現できています
このような樹脂製の柄は、ともすると安っぽくなりがちですが、それを逆手に乗っておしゃれに仕上げているところなどは、日本企業がなかなか真似のできないところで、スイスデザインの素晴らしさを感じます

日本製のペティナイフの柄は「ビス止め・本通し・積層強化木」であることも多いですが、この製品には、軽量な樹脂製の柄がよく合っており、刃体と柄の両方が軽量であることで、抜群の使いやすさを生み出しています

中子がどこまで入っているのか外観からは判りませんが、ブレードの付け根から指一本分手前のところに重心があり、重量バランスも良好です

刃厚が薄く、切り抜けが良い

ペティナイフ・フルーツ
オレンジピールを作るために、オレンジの皮を切っている時の画像です

刃厚が1.2㎜と極めて薄いため、スッと刃が入っていき、使っていて実に気持ちが良いです

刃の厚みというのは、切れ味を大きく左右する要素の一つです
こちらのページでは、刃を研ぎ抜いて厚みを抜いたりしていますが、わざわざそんな手間をかけているのは、それだけの理由があります

わたしが修理・カスタムした三徳包丁も、厚みが1.6~1.7㎜までしか落とせていません
一般的な三徳包丁だと、そのあたりが限界値ではないかと思います(通常の三徳包丁の厚みは2㎜ほどです)

稀に、刃厚が2.5㎜もある三徳包丁もありますが、切れ味よりも外見だけを優先させると、このような「厚みがありすぎて、抜けの悪い」包丁になることもあります

まあとにかく、1.2mmというのは、包丁としてはかなりの薄さなのです
硬度の高い鋼材でこの薄さを実現すると、「刃欠け」や「折れ」が生じてしまうため、ここまで薄くすることができません

中庸な硬度で、曲げてもしなって折れにくい鋼材だからこそ、ここまで薄くできるわけです
包丁は硬度が高ければ良いわけではないと、常々考えていますが、このナイフを使っていると、それをリアルに実感することができます

「貝印 関孫六」のコピーの一つに、「折れず曲がらず、よく切れる」というのがあります
日本の刃物メーカーには、「刃物は曲がってはいけない」という思い込みあるのです

そのため、なかなかこのような「薄手でしなるナイフ」を作ることができません

ビクトリノックスはスイスのメーカーですが、西洋のナイフに対する考え方が、このナイフにもよく表れていると思います

「ビクトリノックス スイスクラシック パーリングナイフ」の総合評価

スイスクラシック
専用ケース

ペティナイフとしては、驚くほど低価格な製品ではありますが、良い意味ですっぱりと妥協のあるところが、逆に素晴らしいです
この製品が低価格であるのは「安物だから」ではなく、見た目の高級感を捨て、樹脂製のグリップを採用し、実利のみを追求したことによる恩恵です

もしも、グリップを一般的な「口金付き、本通し、ビス止め、積層強化木」にしてしまうと、(鋼材と刃付けは同一でも)ゆうに数千円は商品価格が跳ね上がります
そうするともう、(アゴがないということ以外は)価格も含めて非常にありふれたペティナイフになってしまいます

このペティナイフの良さは、不要なものを切り捨てて、シンプルにしていった結果の結実です
高硬度鋼材の使用を回避することで、ブレードの整形にかかるコストが下げるだけでなく、刃欠けせず、刃折れしにくい刃体となっています
また、薄い一枚物のブレードは、使用材料も少なく済み、重量的にも軽くなり、取り回しが良くなります

いろいろと付け足して製品価格を上げ、価格の高い高級品を作るのは、どこのメーカーにもできることですが、こういったシンプルで使い良く、実用性に富んだ低価格の製品を作るのは、実に難しいものです
一つ間違えると、「ただの安物」に成り下がってしまうからです

では、逆にデメリットは?

あえてデメリットを挙げるならば、それほど硬い鋼材ではないために、刃持ちの良い部類ではないこと、そして、樹脂グリップを使用しているため、高級感や重量感が感じられないことなどですが、逆に言うとその程度しかありません(アゴ無しのデメリットに関しては、前述を参照ください)

刃持ち良さは、刃付けの容易さとのトレードオフになりますので、相殺されるものです
逆に家庭内使用においては、このくらい硬さの方が、刃付けが容易で使いやすいとも言えます
特に、砥石を使わない方にとっては、簡易シャープナーでも刃が付きやすく、シャープナーの目も潰れにくいので長持ちし、メリットの方が大きいでしょう(おすすめです)

シャープナーで包丁を研ぐコツや、やってはいけないパターンについては、リンク先のページをご覧ください

刃物に重量感や、見た目の高級感を求める方には、このような樹脂グリップの製品は合わないかもしれませんが、そういう方は、ブレード側面にダマスカス模様のついた積層刃物でも買えば良いのだと思います(お金の無駄なのでおすすめはしませんが、お金を使うこと自体に価値を見出す人にはピッタリの刃物です)

一部の不心得の方々への警告です (お目汚しをお詫びいたします)

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以前、「オピネルのオイル漬けは最悪のカスタムというページを作ったところ、類似した内容のページや動画が、雨後の筍のように増えました
それまで「オイル漬けは、買ったらすぐ行うべき定番の儀式」といった、肯定的なページしか存在しなかったのにです(これにはお笑いです)

また、「キャンプにはフィレナイフがおすすめ」と書いたところ、こちらも同様に、コピーページが大量に増えました。フィレナイフは、どちらかというとかなりマイナーなナイフだというのにです(欧米では別ですが)

このように、コンテンツの拝借・コピーは、実際に多数発生しています
黙って見ているのもなんですので、再発防止の警告として書き記します(目に余る場合は法的措置を取ります)

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パーリングナイフとは、ペティナイフのこと

この商品は、ビクトリノックスの公式サイトでは「パーリングナイフ」と表示されていますが、一部の通販サイトでは、これを「ペティナイフ」という名称で販売しています

パーリングナイフという呼称は、日本ではあまり馴染みがないため、あえて「ペティナイフ」とし、検索時にヒットしやすいよう意図的にやっているのでしょう
(実際、日本でペティナイフとされているものは、西洋ではパーリングナイフと呼ばれますので、間違いではありません)

パーリングナイフとペティナイフの違いについては、こちらの 「パーリングナイフとは?」のページで詳しく解説しています

ペティナイフ以外のおすすめは? - 当サイトの人気ページ

包丁おすすめ おすすめの包丁 (外観より切れ味重視でランキング)
関孫六プレミアシリーズの包丁を、包丁マニア目線でおすすめ順にランキングしてみました

外観よりも切れ味重視でランキングしたために、包丁販売業者が推す「おすすめ包丁」とは、真逆のランキングになっています


包丁 家庭用のおすすめ包丁(安い価格で、最良の切れ味を)
高硬度鋼材の包丁と、オールステンレスの包丁を思いっきりこき下ろしていますが、「家庭用としてはいかがなものか?」という考えで、こうなりました
安くて切れ味の良い包丁」という視点なら、炭素鋼複合材の包丁が群を抜いて素晴らしいです
炭素鋼複合材の包丁は人気が無く、今どき作っているのは(大手では)貝印ぐらいしかありませんが、ぜひ使ってみて下さい
同価格帯のステンレス包丁なら、完全に凌駕します

ダマスカス包丁 ダマスカス包丁について(本当におすすめ?)
ダマスカスは、人気で売れ筋の包丁ですが、本当にそれだけの価値があるのでしょうか?
見栄えがするためメディアなどでもよく取り上げられますが、あれは側面に装飾用鋼材をあしらっただけの包丁です
「切刃にVG10を使った三枚合わせの包丁と、一緒じゃないか!(しかも高い)」と言いたくなってしまいましたので、ダマスカス包丁の真実を暴くことにいたしました

包丁マニア目線でスイスクラシック ペティナイフを見る

これまでは、「料理を作る目線」でスイスクラシック ペティナイフを見てきました

ここから下は、包丁マニア目線で、鋼材や硬度などのマニアックな部分を紹介していきます
(そういった分野に興味のない方は、どうぞ読み飛ばしてください)

箱出し時の切れ味は?

箱出し時の切れ味は、「必要にして充分」という感じであります
超精密な刃付がなされているわけではありませんが、1000円以下で販売されている刃物に、そこまでの刃付加工を求めるのは酷というものでしょう(いたずらに商品価格が上がるだけです)

きちんと研ぎ上げた時のポテンシャルは、なかなか侮れないものがありますので、自分で研ぐという方はしっかり仕上げてみて下さい

極端に硬い鋼材ではありませんので、研ぎおろしに時間がかからず、割と簡単に刃が付きます
刃が薄いこともあり、研いでいるときの感触は、「紙でも研いでいるかのよう」なのですが、丁寧かつ精密に研ぎ上げると、ブレードの薄さが良い方向に働いて、かなりの切れ味を出すことも可能です

とはいえ、砥石に刃を当てる際は、ブレード面積が限られているため、指を当てる位置がかなり砥石に近くなってしまいます。三徳包丁や牛刀など、刃の高さがある包丁にくらべると、若干の研ぎにくさを感じることは否定できません
また、ブレード形状にアゴがありませんので、根元近くを研ぐ際に砥石の角に当てやすく、幾分注意が必要です
また、グリップの口金に相当する部分が、斜めに整形されているので、砥石への当て方も、やや制限されてしまいます

こういうことは、西洋の刃物文化で形作られたナイフを、和の角砥石で砥ごうする時に時折感じられるものですが、刃物文化の相違によるもので、致し方ありません

スティック状のシャープナー(研ぎ棒)を使うことが一般的な西洋では、このようなアゴ無しブレードでも特に不自由を感じないのでしょうが、砥石で研ごうとすると、砥石に刃を当てる位置が限定されてしまいます
慣れるとそれほど苦になりませんが、どちらかと言うと、形状的に研ぎにくさを感じる方かもしれません

ビクトリノックスの刃物鋼材

ビクトリノックスがナイフに使用している鋼材は「1.4110」(X55CrMo14)というステンレススチールで、ロックウエルHRCスケールでは、54~56の硬度とされています

一般用途の包丁やキッチンナイフの鋼材としては、カチカチに固くもなくヘナヘナに柔らかくもない、使いやすく研ぎやすい、適度な硬度です

特にこのペティナイフは、アゴ無し形状であることから、まな板にトントンと当てて切るような使い方をしないため、刃が潰れにくく、結果的に刃が長持ちします。そのため、決して硬い鋼材ではありませんが、意外と長切れするように感じてしまうかもしれません

ビクトリノックス スイスクラシック パーリングナイフ(ペティナイフ)

鋼材を硬軟を考える 最適な硬度とは?

硬度の高い鋼材を使うと良い刃が付きますが、耐蝕性や靭性が劣ってくるため、側面に別の鋼材を貼り付けて、三枚合わせのブレードになりがちです
巷で流行りのダマスカス包丁も、切刃の鋼材をダマスカス模様の積層材でサンドイッチしたものですので、どうしても刃の厚みが増してしまいます(重くもなります)

刃が厚くなると、その分食材との抵抗が増して刃抜けが悪くなり、結果として切れ味が悪く感じます。刃先の切れ味は同じでも、刃の厚みが増えるだけで切りにくくなってしまうのです
(和の薄刃包丁は、これを「片刃」や「裏すき」といった構造によって、絶妙に回避していますが、二つ割りにする場合は、どうしても分が悪いです)

このペティナイフを使用していると、切れ味における「刃抜け」の良さの重要性をひしひしと感じさせられます(刃抜けが良いというのは、切り進む際に、刃の側面にかかる摩擦抵抗が少ないということです)

スイスクラシック パーリングナイフに使用されている鋼材は、包丁用刃物鋼材としては標準的な硬度であり、決して高硬度なものではありません
とはいえ、切れ味が悪いというわけでもありません。VG10などの硬度高めの鋼材に比較すると、刃持ちに関しては、幾分劣るとは思いますが、研ぎ上げ直後の刃先の鋭さに関しては、「研ぎ手の腕次第です」と言ってしまっても、あながち大きな語弊はないでしょう

「1.4110」(X55CrMo14)という鋼材は、硬度、靭性、耐蝕性、耐摩耗性、砥ぎやすさなど、刃物に求められる各要素において、傑出した数値を叩き出す事はありませんが、それぞれをよく兼ね備えた、ウェルバランスの鋼材です
そのため、わざわざ他の鋼材を側面に貼り付けて、「三枚合わせ」にする必要もなく、一枚ものの「薄くて軽い刃」の仕立てで充分であり、また、その良さがよく生きていると思います


刃物は、「とにかく硬度が高くないと意味がないのだ」という考えの方もおられるとは思いますが、このペティナイフを使っていると、「硬度を優先するために、他の重要な要素が、どれだけ犠牲になっているのか?」ということを、改めて考えさせられます


個人的には日本製の刃物が好きで、中でもハガネ(炭素鋼)の日本製刃物が一番だと思っています
仕上げ砥まで使って丁寧に研ぎ上げた際の、刃の「かかりの良さ」などを言い出すと、ハガネに優るものはありません
とはいえ、そこまでの切れ味が絶対的に必要かと言われると、少し言葉に詰まる時もあったりします(切り込みが良く、食材が全く逃げないので、使ってきて気持ちが良いというのはありますが)

「至高の切れ味」を求めるのではなく、「必要にして充分な切れ味で、なおかつ安くて使いやすければ、それでも良いではないか?」と言われると、正直ぐうの音も出ません

この「ビクトリノックス スイスクラシック パーリングナイフ」は、そういった「至高の…」ではなく、ほんとうの意味での実用品です
価格やデザインなども含めて、実用品としてこれだけ優れたペティナイフは、なかなか無いのではないかと思います

ハガネ(炭素鋼)の刃物ではないにもかかわらず、個人的に「お気に入り」の刃物の一つです

あまり気に入ったので、ウッドシリーズのビクトリノックス ペティナイフをもう一本買ってしまいました(下の画像)
ビクトリノックス ペティナイフ(ウッド)

こちらは本当にクラシカルな造りで、ハンドルはローズウッドが奢られています

積層強化木では出せない味わいのあるハンドルとなっており、そのうち漆でも塗ってカスタムしようかと、いろいろと思いを巡らせています

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