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関孫六ダマスカス - 包丁おすすめランキング・関孫六プレミア限定

最終更新日: 著者:月寅次郎
関孫六ダマスカス

第5位は「関孫六ダマスカス」です

高級包丁の中では、最も人気で売れ筋の包丁、「関孫六ダマスカス」を最下位にランキングしました

はっきり言ってしまうと、「関孫六ダマスカス」は、VG10鋼材を使ったステンレス割り込み包丁と、機能的に何ら変わりはありません
側面に、ステンレス単層材を使う代わりに、装飾用の積層材を貼り付けただけの、外観重視の包丁です

そのため、高い人気を誇っている包丁ではあるものの、積極的におすすめできません

言うならば、売るために作られた包丁であり、販売者のための包丁です
間違っても、使う人のことを第一に考え抜いて作られた包丁ではありません

メーカーからすると、ダマスカスがコスパ的にベストでないのはよく判っている筈なのですが、なにしろ模様を付けるだけで高級包丁が飛ぶように売れますので、販売せざるを得ないわけです(みすみす販売機会を失って、他社にシェアを奪われてしまうため)

とはいえ、「ダマスカス」に、包丁としての機能的な瑕疵があるとか、買ったら大きく後悔するとか、そのようなことはありません
実際、切刃鋼材には、V金10号というステンレス系の高級鋼材が使用されています

ですが、ダマスカス模様の積層材にコストがかかっているため、コスパが悪くなっており、10000CL(1位)と比較すると、「10000CLの方が価格が安いのに、鋼材グレードが高い」という逆転現象が発生してます
また、同じVG10鋼材を採用している、10000ST(4位)と比較しても、2,160円の価格差が生じており、ダマスカスの方が価格が高くなっています
切刃鋼材、焼入れ、刃付けが同じであれば、切れ味や刃持ちは、当然同じになります。にもかかわらず、価格だけが数千円高いとなれば、これはもうデメリット以外の何物でもありません

決して包丁としてのできが悪いとは言いませんが、おおよそ機能とは関係のないところに、コストと手間をかけた包丁ということで、積極的に評価する理由が見当たりません

当ランキングでは、価格に対する切れ味と、錆にくさを加味して順位づけしていますので、最下位にランキングさせていただきました
(包丁販売業者から見た場合は、完全に順位が逆転し、「人気があって、高い売上と利益の期待できる包丁」ということで、他の追従を許さないダントツの1位になるはずです)

ダマスカス包丁は、コスパが悪い

そもそもダマスカス包丁というのは、切れ味に対して価格が高すぎるのです

価格が高い分だけ、切れ味も良いのだろう」と、消費者は勝手に誤解してくれるのですが、価格が高いのは切刃にコストをかけているわけではなく、装飾用の側面材にお金がかかっているだけなのです

もしも、側面をダマスカス模様にせず、一般的なSUS410材などで造っていれば、切れ味や切り抜けの良さは変わらないままに、価格もかなり抑えることができ、より高コスパの包丁を作ることができます

しかしながら、外観的にはありふれた包丁となってしまい、ダマスカス模様による顧客訴求力は失われ、高い売上も見込めなくなることでしょう。だからわざわざお金をかけて、「ダマスカス積層材」を貼り付けているのです

包丁メーカーも商売なのですから、「売れる包丁」を作らざるを得ず、なんとも痛し痒しというところでしょうが、このあたりは仕方ありません

結局のところ、ダマスカスは、「本当に使う人のことを考えた包丁」とは言えず、「売るために作られた外観重視の包丁」です。そのため低評価とせざるを得ず、これが最下位にランキングした理由です

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結論:ダマスカスは見た目重視で「売るための包丁」、積極的におすすめできない

包丁の選び方は、人それぞれです

機能性はさておき、「包丁は見た目重視!」というのであれば、おすすめできないこともありません
実際、プレミアシリーズの中で最も売れているのは、この「関孫六ダマスカス」です

ただ、外観の良さを実現するために何が犠牲になっており、結果としてどのようなデメリットが生じているのか、購入検討中の方はよく理解しておいたほうが良いでしょう。


ちなみに貝印は、「関孫六ダマスカス」について「ダマスカス模様が特徴」と説明しており、あくまでも「模様」であるという立場を崩していません。
つまり、ダマスカスはあくまでも模様、つまり装飾であり、暗に「ダマスカス模様は、切れ味などの機能に寄与するわけではありません」と示唆しています。
また、間違っても「ダマスカス鋼」という表現を使用しないところに、貝印の良心を感じます。

ちなみに、ダマスカス模様の積層材を、「ダマスカス鋼」と表現している包丁メーカーも多いですが、これは本来ダマスカス鋼とは似て非なるものです。

このような表現は、消費者の誤認につながるだけでなく、偽物を販売していることになりかねません。
このような表記を平気で行っているメーカー、および販売業者は、信用に値しません
もしもそういうメーカーや業者を見かけた場合、そちらからの購入は、避けた方が良いでしょう。
(商品が売れるのであれば、誤解をまねく表示をしても構わない。と考えている、倫理観の低い業者である疑いが濃厚だからです)

ダマスカス包丁についての詳しい解説は、拙著「ダマスカス包丁の真実」をご覧ください。
(下記ページでも、内容を一部ご覧いただけます)

● 関連ページ:ダマスカス包丁について(本当におすすめ?)

● 関連ページ:おすすめのダマスカス包丁を選ぶ - 包丁マニアの裏話

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