ホームスカッター STD-180E(競合製品との比較)

最終更新日: 作者:月寅次郎

おすすめの「刃物研ぎ機」はどれ?

刃物研ぎ機 ホームスカッター

新興製作所の「刃物研ぎ機 ホームスカッター STD-180E」の解説ページ「その4」です(全4ページ)

このページでは、ホームスカッターの歴史やモデルチェンジも踏まえながらも、
マキタ、京セラ(旧リョービ)、Hikoki(旧日立工機)、東芝など、競合他社のライバルモデルとスペックを比較し、どれが最もおすすめなのかを明らかにします。

重要なポイントは、モーターにどれだけのトルク(軸を回す力)があるかということ、
そして、砥石の大きさです。

モーターが小さくトルクが弱いと、刃を押し当てる力に負けて、回転が遅くなりかねません(下手をすると止まります)

強力なモーターを搭載している製品ほど、ゴリゴリと強く押し当てても、回転が微動だにせず、スムーズに回ってくれます。

競合製品との比較

比較するにあたり、他社製の刃物研ぎ機の出力電流や砥石外径など、スペックを調査しました。

一つ一つ調べてメモを取るのは面倒でしたが、トルク(パワー)は外観からはわかりませんし、砥石サイズも(商品画像だけでは)どれも同じような大きさに見えてしまうため、要注意です。

※ 以下は独自に調査したものです(他のページと同様に無断転載禁止です)

新興製作所(ホームスカッター)

刃物研ぎ機 ホームスカッター
上の画像は、筆者が実際に使っているSTD-180Eです。

新興製作所 電動刃物研ぎ機 製品一覧
製品名砥石外径消費電流
STD-205F 205mm1.95A/1.85A
STD-180E 180mm1.3A
STD-135F 135mm0.4A
(実売価格と商品外観は、このページの右側に表示しています。画像や価格が表示されない場合は、広告ブロッカーをOFFにしてみてください)

新興製作所
STD-180E

ホームスカッター

新興製作所の刃物研ぎ機は、品番の数字が「砥石外径サイズ」となっています(実に判りやすいです)

個人的に実使用しているのは、STD-180E
「ホームスカッター」の愛称が付いている、定番の人気モデルです。

砥石サイズは外径180mmで充分なサイズ、消費電力1.3Aのモーターは、必要にして充分なトルクを供給します。

製品内容を考えると価格もこなれており、コストパフォーマンスが高く、総合的に見て実用的なモデルとなっています。

STD-180Eについて、さらに詳しい知りたい場合は、製品の概要と特徴 実際の使用例使いこなし、コツと注意点、のページをご覧ください。

新興製作所
STD-205F

STD-205Fは、砥石外径205mmの大サイズで消費電流も2A近くに達しており、業務用にも使えそうなモデルです。

扱う包丁が大きめで、「尺」に近いサイズ(9寸以上)も多用する場合、こちらの「STD-250F」がおすすめとなります。

STD-180Eは、家庭で使う5寸5部の包丁(刃渡り165cm)に合わせたサイズ感です。

270cm以上の牛刀や柳葉包丁の刃付けを行う場合は、いくぶんサイズが小さめにも感じます。
このような大きめサイズの包丁の場合、STD-205Fの方が、砥石サイズやモータートルクなど、さまざまな面で余裕が有り、研ぎ作業がはかどります。

一言で言うと、STD-205Fは研ぎ師の方や業務用厨房での使用に適し、STD-180Eは家庭サイズの包丁用と言っても良いでしょう。


新興製作所
STD-135F

STD-135Fは、砥石外径が135mmと小サイズですし、消費電流も0.4Aとローパワーです。
これですと、充分なトルクを発生させるにはやや力不足ですので、少し強めに刃を押し付けると、回転が遅くなったり止まったりする恐れがあります。

両刃の洋包丁の刃付けなど、線接触や点接触での研ぎであれば、使える範囲内ではあるのですが、片刃の和包丁など、面を当てて研ぐ刃物にはパワー不足の感が否めません。

新興製作所・総評
3モデルともに、回転方向を左右に切替可能で、水飛散防止クッション(スポンジ)付き(便利で使いやすい)
消耗部品等のパーツ流通も、比較的豊富で入手しやすい。

競合他社へのOEM供給実績も豊富で、それだけの定評と信頼があり、この分野に関しては一人勝ちの感がある。

砥石外径やモーターサイズ(トルク)の違いによって、3種類の製品ラインナップがあり、自分の用途に合った製品を選択可能。
長年の歴史があるとともにマイナーチェンジを繰り返し経ており、製品として熟成している。

公式ページ
新興製作所 製品一覧(ページの下の方に刃物研ぎ機の掲載あり)
取扱説明書(一覧・旧製品も掲載)

新興製作所 刃物研ぎ機 買うならこちら(3機種)

新興製作所 STD-205F (amazon)

新興製作所 STD-205F (楽天で安い順に検索)

新興製作所 STD-180E (amazon)

新興製作所 STD-180E (楽天で検索)

新興製作所 STD-135F (amazon)

新興製作所 STD-135F (楽天で安い順に検索)

京セラ(リョービ)

京セラ FG-18 刃物研ぎ機

製品名砥石外径消費電流
FG-18 180mm1.3A

京セラ
FG-18



RYOBI
FG-205

京セラはリョービのパワーツール事業(電動工具・ガーデン機器・清掃機器等)の株式を取得し、2018年に子会社化しています。

そのため、2018年より前のモデルは「リョービ」、それ以降は「京セラ」の製品として販売されていますが、中身は同じです

ここに掲載している「FG-18」は、新興製作所の「STD-180D」と外観が同じであり、砥石外径や出力等のスペックも全く同一です。
新興製作所よりOEM供給を受けた製品と思われます。
(まず間違いありません。どう見ても同じです)

新興製作所のSTD-180Dは、1999年8月発売の旧型品であり、現行モデルは2007年にSTD-180Eへとモデルチェンジされています。
そのため、敢えて旧モデルが望ましい場合を除いて、積極的に京セラ 研磨機「FG-18」を買う必要はありません

なお、既に生産終了したモデルとしては、RYOBI 研磨機「FG-205」「FG-7A」が挙げられます。

「FG-205」は、新興製作所STD-205FのOEM供給品、「FG-7A」も同じく「ST-180C」のOEM品です。
どちらも京セラ名義にはなっておらず、京セラの「研磨機」のページにも掲載がみられません。

このように、「FG-205」と「FG-7A」は、リョービから京セラへと引き継がれずに、ラインナップ落ちした研磨機となります。
ただ、「FG-205」に関しては、未だに市場に製品在庫が残っているようで、在庫を抱えた業者がamazonなどで新品を販売しています。
(在庫がなくなり次第、販売終了するものと思われます)

「FG-7A」は、中古品が出回っている程度ですが、設計年度が古いため正逆回転の切り替えができません。
モーター出力も0.62Aと低いですので、おすすめしづらいモデルです。

リョービ FG-18 刃物研ぎ機

京セラ(リョービ)・総評
新興製作所よりOEM供給を受けており、中身は同じ(しかも旧型品)
実売価格が下がっているなどの実利メリットが無ければ、わざわざ旧型の製品を選ぶ必要はない。新興製作所の現行モデルを選択した方が賢明。

公式製品ページ
京セラ 研磨機 FG-18
FG-205(取扱説明書)
FG-7A(取扱説明書)

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京セラ FG-18 (楽天で検索)

Hikoki(ハイコーキ・日立工機)

Hikoki GK21S2 刃物研ぎ機

製品名砥石外径消費電流
GK 21S2 205mm1.9/2.0A

Hikoki
GK21S2

「GK 21S2」は、砥石サイズが205mmと大型で、消費電流も2.0/1.9Aのハイパワーです

マキタの9820、新興製作所のSTD-205F(1.95A/1.85A)と、同等クラスの大型モーターを搭載しており、供給トルクも充分です。
筐体の作りは下部の大きな台形型で強度も高く、安定した研磨作業に適しています。

重量は8kgで、サイズは330x326x294mmですので、そこそこのサイズ感です。
ちなみに回転数は、460回転(50Hz)、560回転(60Hz)/minですので、西日本地域で使うとなかなかの回転スピードが出ます。
腕に覚えのある人なら良いですが、初心者の場合、慣れるまでは順方向で研ぐ方が良いかもしれません。

なお、Hikokiには、このGK21S2以外に製品バリエーションがありません。回転円盤型の水研ぎ電動研ぎ機としては、これが唯一の製品です。

この手の製品は、構造的に非常にシンプルですので、設計が多少古くてもさほど問題になることはありませんが、(悪く言い方をすると)かなり以前に設計されたままで、そのまま継続販売しているのみと言うこともできます。

特にモデルチェンジを行うこともなく、製品ラインナップもGK21S2のみである点から見ても、この分野に対してあまり注力していないことが判ります(実際に製品ページすら見つかりません)

Hikoki・総評
業務使用の場合は安定感があって良いと思われるが、家庭で使用するには少々大きすぎる感も。
水跳ね防止機能は、円柱状の樹脂製囲いを、回して上下させる構造になっている。
回転方向は一方向のみで、逆回転不能なので、それでも構わないという人向け。

取扱説明書(公式)
Hikoki GK21S2
※ 公式製品ページは見当たりません

Hikokiと日立工機
Hikokiは、元々日立系列でしたが、現在はKKRグループ傘下となっています。

元々の会社「日立工機株式会社」は、2017年に米投資会社(KKRグループ)に買収され、日立グループから離脱したため、2018年に社名を「工機ホールディングス株式会社」に変更、それに伴いブランド名もHikoki(ハイコーキ)と変更されました。

旧ブランド名:Hitachi Koki
新ブランド名:Hikoki(ハイコーキ)

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Hikoki GK 21S2 (amazon)

Hikoki GK 21S2 (楽天で検索)

makita(マキタ)

makita 9820 刃物研ぎ機

製品名砥石外径消費電流
9820 200mm2.0/1.9A
9820-1 200mm2.0/1.9A

makita
9820


makita
9820-1


マキタの刃物研磨機には、「9820」と「9820-1」の2製品がありますが、双方の違いは、刃物ガイドが簡易固定タイプか、ブレードホルダー付きのレールアッセンブリタイプかの違いです。

モータースペック等は同じであり、オプションパーツの違いでしかありませんので、製品ラインナップとしては1製品と見なして構いません。

マキタもHikokiと同様の傾向で、業務用として不足のない出力電流2.0/1.9Aのモーターを搭載しています。
砥石外径は200mmで、Hikokiや新興製作所のSTD-205Fより5mm小さいサイズですが、この程度の違いであれば「ほとんど同じ」と言えなくもありません。

公式製品ページが見当たらず、ラインナップも実質的に1製品のみですので、このあたりはHikokiと同様に、あまり注力している印象が感じられません。

実際のところ、この「円盤砥石型の電動刃物研ぎ機」というニッチな市場では、新興製作所だけが孤軍奮闘している状態です。

この限られたマーケットで新たな製品開発をして張り合っても、それに見合うだけの利益が得られず、損しか出ないと判断しているのでしょう。

そのため、昔設計した旧製品を(手も加えずに)細々と売り続けているという状態です。
(Hikokiも同様の感がありますが、このあたりは経営的に妥当な判断だと思われます)

makita 98201 刃物研ぎ機

取扱説明書(公式)
makita 9820/9820-1
※ 公式製品ページは見当たりません

マキタ 刃物研ぎ機 買うならこちら

makita 9820 (amazon)

makita 9820 (楽天で安い順に検索)

東芝

製品名砥石外径消費電流回転数
CS-180B180mm1.5/1.3A460/390min
CS-180180mm0.62A-

東芝は、現行生産しておらず、この分野からは撤退しています

製品外観やスイッチ形状、水飛び防止スポンジ等の有無などから判断すると、
CS-180は、ST-180CをベースにしたOEM供給品、もしくはパーツ供給を受けてモーターに自社品を使用したオリジナル品。

CS-180Bは、STD-180Eをベースに筐体をすげかえたOEM供給品と思われます。

※ 公式製品ページは見当たりません
※ 新品商品は販売されておらず、中古品のみがオークション等で出回っている状態です。

歴代のホームスカッター(STD-180シリーズ)

発売年製品名砥石外径消費電流回転数重量
2007年STD-180E180mm1.3A470/400min5kg
1999年STD-180D180mm1.3A470/400min5kg
1987年ST-180C180mm0.62A600min3.5kg

新興製作所 STD-180シリーズのモデルチェンジの歴史

STD-180E:現行製品(わたしが実使用しているモデル)
貯水タンクの形状が変わり、素材も透明になって水量が見やすくなった(2007年5月より)

STD-180D:製造国を日本から台湾に変更、1.3Aにパワーアップ、回転方向の切り替えが可能に(1999年8月より)
STD-180D(製品ページ)

ST-180C:この頃は、回転方向は1方向のみで切り替え不能。モーターの消費電流も0.62Aでかなり小さかった。
日本国内での製造(1987年9月発売開始)
東芝CS-180、及び、京セラ(リョービ)FG-7Aは、ST-180CをOEM供給したモデルと推測される。
ST-180C(取扱説明書PDF)


新興製作所の公式回答によると、1987年発売の「ST-180C」の時点で、形としては完成しており、後はマイナーチェンジのみとのことですが、
実際によく調べてみると、ST-180とSTD-180Dとでは、消費電流が0.62Aから1.3Aへと2倍以上に出力アップしており、重量も3.5kgから5.0kgに増加しています。

これは搭載しているモーターが大型になっていることを意味し、発生トルクも大幅に増大しているはずです。
また、回転方向の切り替えスイッチの装備もSTD-180D以降であり、ST-180では一方向の回転しかできません。

これらの事実から鑑みるに、ST-180をベースに大きなモデルチェンジを行い、形として完成したのがSTD-180Dであり、それをベースにマイナーチェンジを行ったのがSTD-180Eとも言えるでしょう。

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