剛研輝 - #12000番


剛研輝 #12000

 剛研輝 - #12000番  目次

  1. 剛研輝 #12000番

  2. 日本剃刀を研ぐ

  3. 和包丁を研ぐ

  4. 切れ味はどうか?

  5. 刃の黒幕と剛研輝の比較

剛研輝 #12000番

ナニワ研磨工業の「剛研 輝(かがやき)」#12000番を購入してみました

包丁に使う仕上げ砥石は、(ハガネの和包丁の場合であったとしても)最高で6000~8000番程度あれば実使用に充分であり、それ以上は審美的な趣味の領域だと考えています

そのようなわけで、所有している砥石の中では、これまで6000番が最も高い番手ではありました
ですが、日本剃刀を入手したこともあり、思い切って10000番以上の目の細かな砥石を購入しました

刃の黒幕12000番(クリーム)と、どちらにするか迷いましたが、「剛研輝」#12000番は、かなりいい感じの鏡面に仕上がるとの評判であったため、剛研輝の方を選択しました
ナニワ研磨は近年商品開発に力を入れており、こちらのほうが後発商品であるということも加味しています

刃の黒幕12000番(クリーム)ではなく、剛研輝を選んだ理由に付いては刃の黒幕と剛研輝の比較のところで詳しく書いています

【 日本剃刀の研ぎについて 】
剃刀の場合は、砥ぎ面がきっちり鏡面になるくらいまで仕上げる必要があります

毛を剃るという目的だけなら6000番も程度でも事足りますが、切刃に「研ぎ目」が残る状態では、剃る際に微細なヤスリで肌をこするような状況になり、肌荒れに繋がります

つまり、肌当たり感の良いスムーズな剃り心地を実現するには、ツルピカな鏡面とギザ感の無いストレートエッジを出す必要があります

できればやはり最後は、革砥で仕上げたいところですね

剛研輝 #12000番で日本剃刀を研ぐ

日本剃刀を研ぐ
さっそく日本剃刀を研いでみました

レストアしたばかりの剃刀で、まだ「面」がきちんと整っていないため、(画像では分かりづらいと思いますが)均一な「当たり」が出ておらず、仕上がりに微妙な部分がちらほらと見られます(それでも、剃れることは剃れます)

砥石を早く使ってみたい気持ちが先立ったため、砥石の平面出しを適当に済ませて研ぎ始めたというのもありますが、砥石に対する慣れが不十分で、最適な力の入れ具合などを手探りしながら研いだこともあり、あまり満足のいく仕上がりにはなっていません

ですが、それでも流石に10000番を超える砥石です
上手く面が当たった部分は、ツルピカのテカテカ鏡面に仕上がることが判ります

日本剃刀と鰹鉋用に入手した砥石とはいえ、手元にあるのであれば、包丁も研いでみたくなるものです
和包丁を何本か、研いでみました

剛研輝 #12000番で和包丁を研ぐ

剛研輝 #12000
堺刀司の薄刃包丁(岩国作)です

前工程で使用した、嵐山 #6000番の使い方が不十分だったせいか、部分的に細かな傷も残ってはいますが、ハガネの輝きが鮮やかになり、軟鉄部分とのコントラストが引き立っています

霞の和包丁は、やはり美しいなぁ」と、感じることしきりです

なお、今回は、キングデラックス#800、→ 嵐山 #6000番、→ 剛研輝 #12000番 …という順で研いでいます

剛研輝 #12000
こちらは高砂屋の薄刃包丁です
刃が黒々と映るように、あえて光を反射させずに撮影してみましたが、引き込まれるような、深みのあるいい色に仕上がっています

一般的に砥石は、番手が高くなるに従い目が詰まりやすくなります。また、6000番以上の人造砥石は、下手に刃が当たると表面が削れることもあります

中砥石とは違い、扱いがややクリティカルな部分もありますが、上手く使うと刃の輝きが引き立ち、美麗な仕上がりが得られます

剛研輝 #12000
有次のアジ切庖丁を研いでみました

鎬筋の手前、「次」の文字の横付近が、ピカピカになっていますが、どうやらこの部分が強めに当たってしまったようです

この包丁は、まだ入手間もないこともあり、切刃の面の整い具合が今ひとつです
そのため、均一に研いでいるつもりでも、当たりの強いところや、あまり当たっていない部分が生じているもようです
一気に修正すると、いたずらに研ぎ減ってもったいないので、少しづつ修整していく予定です

このように、12000番ほどの高番手になると、柔らかい軟鉄の部分も、当たり具合によっては鏡面に近い状態に仕上がるようです

剛研輝12000番 - 切れ味はどうか?

3本ともこの後実際に使ってみて、切れ味を確認してみましたが、どれも素晴らしい和包丁だけあって、ここまで番手を上げても、全く滑る感じがいたしません

言うまでもありませんが、惚れ惚れするような切れ味です

ステンレス鋼材の包丁ですと、下手に番手を上げすぎると、切り込み時に若干の「すべり」を感じたりもするものですが、このあたりは流石にハガネ鍛造の和包丁です。申し分のない切れ味です

6000番の砥石と比べて、切れ味に差は出たか?

これに関しては、正直なところを言ってしまうと、あまり違いは感じられません
(わたしが使っている、キングS-1 #6000番と、嵐山 #6000番 と比較してのことです)

私見を述べると、その時どれだけ精緻な刃付けができたかという、「研ぎ方」の方が、より大きな差となって出てしまいます。そのため、番手の違いはさほど感じ取ることができませんでした まだ使い始めて日が浅いため、違いをよく捉えきれていないのかもしれません

6000番でも12000番でも、(理想的な刃付けさえできれば)どちらも極めて良く切れるため、差が感じられないといった感じです

ただこれは、厳密には違いがあるのだろうな。…とも思います
例えて言うなら自動車で300km近い速度を出した場合、(非現実的な速度域であるため)270キロも290キロも、どちらも無茶苦茶速く感じて、体感では違いが判らない。…といった状態なのだろうと思います
その速度域を普通に感じるレーサーの方であれば、明確な違いを感じ取ることでしょう
同様に、毎日刺し身を引いている板前の方であれば、違いを感じ取るのかもしれません

6000番と120000番で差を感じないという話をしましたが、これはあくまでも食材を切った時の話です
(試し切りは、大根と人参の桂剥きで確認しました)

紙を使って切れ味を評価しようとすると、単純に番手が高ければ高いほど、紙の繊維に対する引っ掛かりが少なくなりますので、よりスムーズに切れる感覚に陥ります
また、重い包丁の方が引っかかりの振動を感じにくくなりますので、大きな包丁の方がより滑らかに切れるように錯覚しがちです

紙を切って試すのは、視認できない程度の小さな刃こぼれを探すのには役に立ちますが、包丁は食材を切るものです。 紙を判断基準にしてしまうと、思わぬ落とし穴に嵌る場合があります

紙が滑らかに切れる包丁は(ステンレスの場合は特に)食材に対する切りかかりで、「滑る刃」に仕上がっている場合があり、注意する必要があります

逆に、剃刀の場合ですと、肌当たりで差が出ますので、極力番手を上げた方が良い結果が出ます。ですが、それは剃刀の場合に他なりません

このように、一概に番手を上げれば良いというものではなく、切る対象と、使う刃物によって、適切に使い分けるのがベストです
何でもかんでも、番手を上げれば切れ味が良くなるという考えは、いささか短絡的です

刃の黒幕 #12000番 vs 剛研輝 #12000番

刃の黒幕
#12000番

クリーム


剛研輝
#12000番

20mm厚


剛研輝
#12000番

10mm厚


剛研輝
#12000/#5000

ツイン
剛研輝 #12000番に競合する砥石として、シャプトンの刃の黒幕 #12000番(クリーム)が挙げられます

「刃の黒幕 #12000番」と、「剛研輝 #12000番」の、どちらを買うべきか?と尋ねられたとしたら
「どちらも良い砥石なので、好きな方を選べばよい」 …と思います
どちらも溶融アルミナを使用した、高品質で現代的な人造砥石です

とはいえ、「好きな方を…」では、取り付く島もありませんので、もう少し比較してみましょう

まず価格ですが、刃の黒幕の方がいくぶん安いです
左側にamazonの実売価格が表示されるようにしています(実際に比べてみて下さい。広告ブロッカーをご使用の方は、ブロック解除するとご覧になれます)

ただ、刃の黒幕と剛研輝は、砥石の厚さが異なりますので、同列に比較はできません

シャプトン「刃の黒幕」の厚さは、通常15mmです
これに対し、「剛研輝」の通常版の厚さは、20mmです
細かいことを言うと、砥材とセメント剤の割合(充填密度)も全く同じではないでしょうから、安易な比較はできませんが、ノーマルサイズで比較すると、「剛研輝の方が厚みがある」と言えます

ちなみに、「刃の黒幕 #12000番」は1種類しかありませんが、「剛研輝 #12000番」は、厚さ20mmの通常版と、厚さ10mmサイズのもの、さらには「ツイン」の3種類があります
剛研輝 #12000番の「ツイン」は、厚さ10mmの#12000番と#5000番が1セットになった製品です

3種類ある中で、わたしが使っているのは、厚さ10mmの製品です
使用頻度の高い砥石ではないので、厚みが20mmあっても使い切れないだろうという判断です
ただ、厚み(高さ)が低いと、やや研ぎづらくなるのは確かです

とはいっても、自作の研ぎ台で高さは稼げるため、厚み10mmサイズでも特に問題は生じていません
ただ、この自作研ぎ台は、砥石の自重で密着・固定するスタイルなので、もう少し重量があった方が、研ぐ時の安定度が高まるとも感じます

また、これは推測なのですが、剛研輝#12000の方が、刃の黒幕#12000よりも砥材の平均粒径が小さく、粒子サイズのばらつきも少ないのではないかと考えています

同じ#12000と言っても、「番手」というのは標準化された統一規格ではありませんので、会社毎に平均粒径サイズに差異があったりします

砥石だけでなく、コンパウンド(磨き粉)の世界でも、1ミクロン以下の粒径になると、製造メーカーによって番手と大きさ(ミクロン)の差異が大きくなる傾向があります(これは仕方のないことでもあります)

そもそも「粒度/番手/メッシュ」という単位は、もともと「ふるい」を利用して作られたものです
どの「ふるい」の目を通り抜けた粒子か?という、計り方を基準にしているため、番手が上がれば上がるほど理論値で類推するしかなくなってしまい、曖昧になりがちな単位なのです (粒子が小さくなりすぎると、軽すぎて空中に舞ってしまい、重量を利用してふるいの目を通すというのが現実的でなくなるため)

一般的には、#8000番が2ミクロン相当、#10000番が1ミクロン相当、#15000番あたりが0.5ミクロンに相当という感じで捉えて良いと思います わたし調べ

さらに言うと、「#10000番が1ミクロン相当」といっても、それはあくまでも平均粒径の話です
0.6~1.4μ程度の粒子が雑然と混ざっており、「おおよその平均値が、1ミクロン程度」ということは、ありがちな話です

この、0.6~1.4μの幅を、0.7~1.3μに縮めるだけで、製品価格は、ぐんと上がったりします
こればっかりはどうにもなりません。精度の高い(粒径の揃った)高番手の研磨粒子は、素材として非常に高価なのです

わたしが、 刃の黒幕 #12000番(クリーム)を買わずに、「剛研輝 #12000番」を選んだのも、はっきり言ってしまうと、「剛研輝」の方が価格が高いからです

高価な分だけ粒径が揃っているだろうし、粒径の大きな「不良粒子」の混入率も少ないだろうとの判断です
刃物を研ぐ角砥石の場合は、切削能力や平面維持力、研ぎ汁の出方など、さまざまな要素が重要ですが、10000番を超えると、もはや「研ぐ」ではなく「磨く」の領域になります

研磨剤のことを「アブレーシブ」と呼びますが、8000番以上の砥石になると、このアブレーシブの精度が良否に直結します

1000番や2000番程度の中砥石であれば、このようなことにはさほどこだわる必要はありません
少々粒径の幅が広くても、さして問題とはならないのです

ですが8000番を超える番手となると、「どれだけ刃面の輝きを引き出せるか?」という事も重要になってきます
わたしが、サイズの割には価格の高い「剛研輝」を選んだのも、その一点によるものです
アブレーシブの品質の高さは、そのまま製品価格となって現れるからです

刃の黒幕 #12000番(クリーム)で研いだ刃の画像をネットで確認したりもしましたが、それを見る限りでは、「剛研輝#12000」を選んで良かったなと思います

剛研輝#12000で丁寧に研ぎ上げると、目視では研ぎ傷が確認できないところまで引き上げることができます
「鏡面」と言って差し支えないレベルです

補足
このページでは、基本的に「包丁を研ぐ目線」で解説しています

そのため、「切れ味なら6000番で充分、12000番は輝きを引き出すため」といった理論展開になっています

ただ、鉋やノミ、日本剃刀などを研ぐ場合は、また異なった話になります

刃を滑らせることなく、直交した状態でそのまま押し切る刃物は、刃先の精度が命です

仕事の仕上がりに違いを出したい場合や、薄削りの競技会に出る時などは、「切れ味の極み」を引き出すために、積極的に高番手の砥石を使用すべきだと思います


砥石 わたしの使っている砥石

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