「キング ハイパー」
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分類:中砥石
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粒度:#1000(標準)/#1000(包丁用)/#2000番の3種類
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砥材:WA(ホワイトアランダム)
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結合:ビトリファイド(焼成/焼結型)
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ブランド:キング
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製造会社:松永トイシ
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寸法:205 x 70 x 34
キングハイパーは、中砥石としてはそこそこ高価な部類に入ります。
キングデラックスと比較すると、実売価格で約3倍です。
だからといって、3倍速く研げるわけではありませんが、一度使うと手放せなくなる一本です。
はっきり言ってしまうと、筆者が最もお気に入りとしている砥石です。
キングハイパー インプレと特徴
キングハイパーのインプレと特徴
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キレの良いホワイトアランダムの焼結砥石。高硬度鋼材も難なくこなす
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品質が安定していて扱いやすい、経年変化もほぼ無い(焼成型・ビトリファイド砥石の優れた特徴)
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横幅は、やや広めの7cm幅、この幅広サイズは嬉しいところ
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充分な厚み、ずっしりとした重量。置くだけでも砥石がそれなりに安定する。
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砥泥の出方は節度があり、必要にして充分
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平面維持性能も高く、なかなか減らない
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この砥石の使い心地を知ってしまうと、他の中砥石は使う気がしなくなる。…という困った一本
キングハイパーで包丁を研ぐ
和包丁も洋包丁も研いでみましたが、とりあえず言うことがありません。
理想に近い砥石です。
圧を強く掛けて、砥粒をしっかり食い込ませても、節度のある手応えで、安心して力を掛けられます。滑る・滑らないの、クリティカルな感じがありません。
軽い力で撫でるように研ぐ場合も、上滑りせずに、砥粒がかかってくれます。
砥石の表面から伝わってくるフィードバック感も上々です。
洋包丁を研ぐ
関孫六 4000CLを研いでいるところ。
パリッとした良い刃がつきました。
右側の包丁は、
堺清貞(小三徳包丁・カスタム品)です。
洋包丁は『線』で研ぐため、研ぎ上がりも速いです。
ささっと研いだら、簡単に刃が付くというのは、やはりありがたいです。
砥粒のキレが良いわけです。
研ぎあがった刃の状態を確認しているところ。
高級包丁から、廉価品の安い包丁まで、なんでも対応可能です。
和包丁を研ぐ
堺一次 薄刃包丁(一次請合)を研いでいるところ。
和包丁の軟鉄部分も、この仕上がりです。
ハガネの和包丁は、通常であれば、この後仕上げ砥石で仕上げるわけですが、このままでも充分使えそうな感じです。
水野鍛錬所・源昭忠の薄刃包丁を研いでいるところ
和包丁を研ぐ場合は、『面』で当てるわけですが、キングハイパーは横幅が広めなので安定感があって使いやすいです。
特に、柄に近い部分は、包丁を真横にして研ぐ場合もあるので、そういう場合に助かります。
キングデラックスと比較すると、わずか4mm程度の違いなのですが、このわずかな横幅の違いが、意外に大きいのです。
キングデラックスも必要にして充分な性能を持っているのですが、キングハイパーと比べると、いささか分が悪いです。
キングハイパーの実売価格
キングハイパーの価値を考える
キングハイパーは、中砥石としては、かなり高額な砥石です。
そこそこ良い包丁が、一本買えてしまうお値段です。
はっきり言ってしまうと、高級な中砥石なのです。
高級な包丁もそうなのですが、
その価格と価値をどう見るかは、人によります。
これまで沢山の刃物を研いできた方であれば、キングハイパーの価値は充分に伝わるでしょう。価格についても、高くもなんとも思わないと思います。
価格に見合った、それだけの価値があるからです。
キングデラックスではダメなのか?
一方で、「
キングデラックスでも、充分に切れる刃が付くのだから、キングハイパーほどの高性能は、必要ないではないか?」
…というのも、それはそれで頷ける意見です。
キングハイパーが、あなたにとって、買うに値する価値があるかどうかは、今これを読んでいる、あなた本人にしか判りません。
ただ、言えることは、「
キングデラックスを使う前に、先にキングハイパーを買うのは、オススメできない」ということです。
『違いの判る人』にこそ使って欲しい
最初に「とても良いもの」を使ってしまうと、それが「その人の基準」となってしまうため、
どこが良いのか、逆に判らなくなるからです。
できることなら、「キンデラは、薄くなるまで使い倒した!」と、言えるくらい使った後に、キングハイパーを使ってみてください。
そうすることで、『違い』がよく判るのです。
それが、経験というものです(身について、自分のものになります)
ネット上で得られる、薄っぺらい知識とは、根本的に異なるものです。
キングハイパー B級品とは?
筆者が使っている「キングハイパー」は「
B級品」です。
これは、使用に差し支えない程度の瑕疵のある製品を「B級品」として販売しているものです。
(B級品は、少し安い価格設定になっています)
筆者所有の個体には、表面に小さなピンホールと、ヒビがありますが、使い心地には何ら影響はありません。
(使用に伴って、徐々に目立たなくなると思われます)
キングハイパーの全体像です。
こうしてみると、ピンホールとヒビのサイズ感が判ると思います。
研ぐ際に、エッジが引っかかるようなことはありません。
月寅次郎が使っている砥石
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