アウターシリンダーの叩き出し
アウターシリンダー(アウターチューブ)の叩き出し手順
-
椅子の脚の上下を逆さにする
-
膝の上に乗せる(※1)
-
アウターシリンダーの底部(※2)を金属製のハンマー(※3)で叩き出す(※4)
注意点・補足説明
※1(膝に乗せる)
家庭での作業を考え、便宜上「膝の上に乗せて作業」と書いています
きちんとした作業台がある場合は、適切な治具を用い、脚を固定して作業にあたって下さい
ガスシリンダー底部を直接叩く(当板は使わない)
※2(底部を叩く)
アウターシリンダーの底部を直接ガンガン叩きますので、当然塗装は剥げ、傷も付きます
ですが、傷が付いても全く構いません
圧入パーツを取り外す場合は、基本的に再利用はせず、取り外した後は廃棄するだけだからです
「椅子の脚を叩く」のではなく、「取り外すシリンダーの方を叩く」というのがポイントです
言い換えると、
「椅子の方を叩く」のは、完全に間違いで、セオリーから外れています
そもそも、ベース(脚部)を叩いても、外す方向に真っ直ぐ力が伝わりません
斜め方向に力が加わって、外れにくくなるだけですので、このやり方で外そうというのがおかしいのです
金槌を使う(ゴムハン・プラハンはダメ)
※3(金属ハンマーで叩く)
当板等は使わず、金属製ハンマーで直接叩きます
ヘッドの大きなハンマーを使う必要はありません。どうしても外れない場合は重量級ハンマーを試すのもありですが、通常であれば「普通の金槌」クラスのもので、軽く衝撃を与えて固着を緩めれば、スポンと外れます
上の画像が、わたしが実際に使ったコンビネーションハンマーです(金属ヘッド側で叩きます)
見て分かる通り、決して大きなハンマーではありません(金槌サイズです)
TONE
コンビハンマー
圧入パーツの叩き出し作業は、1にも2にも「衝撃」を与えることが重要です
ゴムハンマーやプラスチックハンマーなどでは、打撃時のインパクトを吸収してしまうため、「叩き出し」には使えません(プロであれば、絶対にやらない間違いです)
当板や当てゴムなど、柔らかい素材を間に挟むのも禁忌です
ゴムハンマーと同様に、衝撃を吸収してしまうからです
「
一時間かけてコツコツ叩けば必ず外れます!」みたいなことを書いている人は、大抵この
間違ったパターンで作業しています
ちなみにわたしの場合は、10回ほど軽く叩いただけで外れました
時間にして1分もかかっていませんし、フルパワーで叩いたわけでもありません
使用したハンマーも、見ての通り、かなり小型のものです
山善
チェアマット
上の画像の向かって左側が、実際に取り外したシリンダーです(右側は、交換用の新しいシリンダー)
シリンダーの角に叩いた跡が残っています(ハンマーが当たった事により、黒色塗装が剥げています)
塗装の剥げ跡を数えてみると判りますが、本当に10回程度しか叩いていません
そのくらい簡単で、短時間に終わる作業なのです
椅子を分解して、インナーシリンダー上端を露出させる工程の方が、時間がかかります
このように、
正しい方向にきちんと衝撃を与えることさえできれば、オフィスチェアのガスシリンダーの抜き取りは、それほど難しいものではありません
厳密には圧入ではなく、所詮は「テーパー形状での嵌合」でしかないのです
(円筒形状のプレスフイットではありません)
圧入されたベアリングのように、円筒形状の嵌合の場合は、最後まで叩いて押し出す必要がありますが、ガスシリンダーはテーパー形状で嵌っているだけですので、わずかでも固着が緩んで嵌合が分離すれば、一瞬で作業が完了します
シリンダーが外れた後の事も考慮しよう
座面ベース
交換用パーツ
※4(叩き出し時は、パーツ落下に注意!)
アウターシリンダーが外れると、その瞬間に勢いよく床に落ちます
前述のようにテーパー型の嵌合のためです
落ちても問題が生じないように、ダンボールを重ねて敷いておくなど、床の養生(保護作業)を済ませてから作業しましょう
床が丈夫で、傷ついても問題ないような「モルタル塗装の作業専用スペース」でやる場合は不要です
また、真っ直ぐ床面に落ちてくれれば良いですが、誤って足の上に落としてしまうと、確実に怪我をします
安全靴を履いて作業すれば万全ですが、無い場合は、丈夫な靴を履いて作業しましょう
養生をして万全な状態で作業することで、思い切ってハンマーを振るうことが可能になります。床側だけを養生するのでなく、アウターシリンダー側もクッション材で巻いておくと、さらに万全となります
圧入パーツ取り外しの重要ポイント
-
取り外す方向に、真っ直ぐ荷重がかかるように叩く(斜めに叩かない)
-
取り外すパーツの方を叩く(取り外し後は廃棄するので、傷が付いても構わない)
-
打撃インパクトが吸収されなよう、当板等を使わず直接叩く。間に何か挟む必要がある場合は、硬い金属製のもの
-
金属製のハンマーを使う(ゴム製やプラ製では強い衝撃を加えられない)
SUN UP
ベルトレンチ
※ 補足
「
ベルトレンチが有効!」のように書いているサイトもありますが、あんなものは全く役に立ちません
パイプレンチも同様です
圧入パーツの嵌合力を、完全に舐めてます
そもそも、ベルトレンチやパイプレンチは円筒形状のものを挟んで回すための工具ですが、
横に回しても何にもなりません
ネジ山が切られていわけではなく、プレスフィット(圧入)みたいなものですので、横方向に回しても外れませんし、そもそも回りません(トルク負けします)
アウターシリンダーの叩き出しが終わったところで、次は…
●
インナーシリンダーの叩き出し に移ります
●
DIYのページに戻る