月寅次郎のサイト

おすすめ包丁(2021年決定版)

最終更新日: 作者:月寅次郎

おすすめ包丁 ベストの一本は?

包丁・おすすめ

おすすめ包丁(2021年決定版)です
いつものように外観よりも切れ味重視で選定していますが、今回は範囲を広げ、洋包丁全体を対象としました
プロ用」「家庭用」「低価格切れ味重視」など、さまざまな用途を想定して選出しています
また、牛刀、三徳包丁、ペティナイフなど、包丁の種類適性も合わせて記載しました

選定にあたっては、「おすすめ理由」を明記するよう努めました。用途に合った包丁選びの参考にしてください いくら評価の高い包丁であったとしても、自分の用途に合っていなければ、何の意味もありません

また、売れ筋であったとしても、「評価に値しない」と思われる包丁は、理由を明記して「選外」としました
なぜ選外としたのか、一読すると参考になります
販売側目線ではなく、ユーザー目線で評価しましたので、業者の売り文句とは真逆のことも多々書いています(ホントの事です、ご容赦ください)

おすすめ包丁(2021年決定版) - 目次

  1. プロ用高級包丁 (刃渡りの長い牛刀で、華麗に切り分けよう)

  2. 料理好き玄人用包丁 (玄人はだしの人のために)

  3. 家庭用・三徳包丁 (1本で済ませるならコレ!)

  4. 低価格で高い切れ味の包丁 (予算が少ないが、切れ味に妥協したくない場合)

  5. 炭素鋼の包丁(究極の切れ味) (突き詰めると、ここに行き着く)

  6. 2本目の包丁(買い足すと便利) (靭性の高い鋼材の妙味!)

  7. 「選外」の理由 (人気ありますが、無理にはおすすめはしません)

※ 当コンテンツは、わたしの刃物に関する経験と知識を元にしたもので、時間と手間をかけて確認した情報も含まれています。無断転載やコピーなど、コタツ記事への流用を一切禁止します。換骨奪胎してYouTubeで自説のように語るのもおやめ下さい。最近そういうのをよく見かけます 某ゲーム系ユーチューバーには警告を行いました

これまで作った「包丁おすすめランキング」については、下記リンク先をご参照ください
今回の「おすすめ包丁(2021年決定版)」は、これらの内容を元に作成した「決定版」です

● 「関孫六・プレミアシリーズのおすすめ包丁ランキング

● 「関孫六のおすすめ包丁ランキング

● 「ヘンケルスのおすすめ包丁ランキング

プロ用 高級包丁(牛刀で華麗に)


プロ用として評価の確立している包丁を3本挙げてみました
他にも、こちらに挙げているような老舗ブランドの高級包丁であれば、どこも優秀です(だだ、価格もそれなりにします)

この3本は、(三徳包丁という手もありますが)できれば牛刀がおすすめです
大きなまな板で、確実に「仕事」をこなす、本職の方におすすめですが、家庭用にも使いやすいサイズも揃っています
刃渡り21cmの牛刀であれば、家庭用サイズのまな板でも、長すぎて扱いに困ることはありません
腕に覚えのある方であれば、家庭用として24cmサイズを選択するのも良いと思います

MISONO UX10

ミソノ UX10

ミソノ UX10
MISONO(ミソノ)の「UX10」です
実売価格は左の画像をご覧ください。画像が表示されない場合は、広告ブロッカーをOFFにしてご覧ください

この包丁を高く評価する人はあまたあれど、けなす人は見たことがありません。そのくらい、評価の確立している洋包丁です

ミソノの包丁を手に取ると判るのですが、「本当に良い包丁を作ろうとする姿勢」が包丁から伝わってきます
「とにかく売れる包丁を作ろう」という包丁が多い中、外観からは判らないところにコストと手間をかけています
それは刃のスキ具合だったり、峰から刃先にかけてのテーパーの付け方だったり、炭化物の仕上がりの良さだったりと、さまざまです
いたずらに硬度を追求せず、研ぎやすさと刃持ちのバランスを重視している点も評価に値します
ガチガチではなく適度にしなる刃体は、繊細な包丁使いに応えてくれることでしょう


堺孝行 グランドシェフ

堺孝行
グランドシェフ

堺孝行グランドシェフ」は、ミソノのUX10と同様に洋食のプロフェッショナルからの高い評価を得ています

ハンドル素材は、積層強化木ではなくPOM樹脂(ポリアセタール)を採用しているところなどは、とにかく実用性にこだわる方向性が見て取れます

仕事人用の包丁として設計されているため、外観は没個性化していますが、それはデザインで他社製品との差別化を計ろうとしていないからです。つまり、「中身で勝負の包丁」です

UX10とは異なり、口金は一般的な「一体口金」で、極めてオーソドックスです
奇をてらうようなところが、一つもありません
見た目に左右されず、道具としての包丁の本質を見極められる方におすすめです

藤次郎 DPコバルト合金鋼割込(次点)

藤次郎
DPコバルト
合金鋼割込
藤次郎のDPコバルト合金鋼割込は、毎日ダンボール数箱分の食材を処理する仕事人におすすめです
砥石を使えない人には、あまりおすすめしません
なぜかというと、シャープナーで研ごうとすると、硬度の高さが裏目にでて、シャープナー側がへたりやすいからです (そもそも高級包丁は、シャープナーで研ぐべきものではありません)

鋼材はVG10ですので、炭化物のキメの細かさで鮮やかに切り込むタイプというよりも、硬度を頼りに鋭いエッジを形成し、エッジの鋭さで切っていくタイプです
刃渡りをフルに使って華麗に」…という方向性よりも、「重さを活かして無骨にオラオラオラ!」という印象です
(あくまでも個人的な印象です。刃付け直後は華麗な切れ味も見せますが、VG10の持ち味は、ある程度使って「刃が落ち着いた状態」が長く持ちこたえるところです)


作りの甘い部分もあったりはするのですが、その分逆に価格が抑えられており、どちらかというと、量をこなす仕事人向きの包丁です
そういうところを、一つ一つ丁寧に仕上げていくと、どうしても高額な包丁になりがちです
見方を変えると、「適度な仕上げでコストを安く抑える」というのも、一つのメリットなのです

仕上げの甘さが気に入らないという方は、わたしのように自分で仕上げ直して使ってください

わたしの使っている「藤次郎 DPコバルト合金鋼割込」は、旧ロゴタイプのペティナイフです
「研ぎおろし」を行って刃の抜けを良くし、鏡面仕上げにカスタムして使っています

当初、藤次郎のDPコバルトは、「プロ用 高級包丁」のおすすめに加えていませんでした
なぜかと言うと、藤次郎DPコバルトは「プロ用高級包丁」というよりも、「プロが使う実用包丁」というキャラクターであり、要旨と異なると考えたからです そのため、次点扱いでの選出です

ですが、実用性を重んじ、なるだけコストを抑え、プロの使い方に耐えうる耐久性を持たせた包丁としては、一定の知名度と定評があります
自動車で例えると、藤次郎のDPコバルトは、ハイエースやプロボックスであり、仕事人のための包丁です (何十万キロ走らせてもへこたれない、タクシー専用車両みたいなところもあります)
そういう方向性を重視する方もおられるだろうということで、追加で加えました

藤次郎は、新潟の燕三条に立派な自社工場を構えています
(工場見学もできます。こういうオープンなところは素晴らしいです!)正直、一度訪れてみたいです

料理好き玄人用包丁


「少しくらいお金をかけても、その分良質の包丁を使いたい!」という、料理好きな方におすすめの包丁です
家庭用 高級おすすめ包丁」と言い換えても良いと思います

ここでは3本を取り上げましたが、種類に関しては、牛刀でも三徳包丁でもどちらでも良いと思います(ご自分が好きなタイプを選択されてください)

有次 平常一品

ここではまず、有次の「平常一品」を挙げたいと思います
「築地 有次」ではなく、「京都 有次」になります。お間違えなきよう(画像が用意できなくて、すみません)

東の正本、西の有次と言われるだけあって、「有次」は国内最強クラスのブランド力を誇ります
これを見せられたら、「いい物使ってますねぇ~」と言うしかありません

芦屋や田園調布など、高級住宅地にお住まいのマダムがお使いになると、お似合いになると思います(「ブランド物」がお好きな方にもおすすめです)

それなりに「格」のあるブランドですので、料理上手な人が使うと非常に似合いますが、そうでない方が扱うと逆に恥ずかしく見えてしまう、諸刃の剣のようなところもあります 気をつけましょう

有次の平常一品は、切刃(芯材)が炭素鋼(ハガネ)で、側面がステンレスで覆われた「炭素鋼複合材」の包丁です
そういう意味では、後述の関孫六10000CCと同カテゴリーに属する包丁です
ただ、「平常一品」の方が、10000CCよりもクロム含有の低い鋼材を使用しているため、より刃がかりの良い傾向になります(あくまでも相対的なものです。自分で包丁を研がない人には、違いが判らない程度の差でしかありません)
また、クロム含有の低さが災いして、刃筋の色が変わりやすい(酸化被膜の色が出やすい)というデメリットもあります
刃筋が黒ずむのが嫌だという方は、関孫六10000CCを選ぶと良いでしょう。価格も安いです
(厳密には、「平常一品」のクロム分が低いのではなく、10000CCのクロム分が(炭素鋼としては)やや高めというべきです)

「京都 有次」は、ネット通販で簡単に買うことができません(京都の実店舗に行くか、カタログを取り寄せてFAXで注文するなどになります)
有次では、(刃物は)ハガネ製のものしか扱っておらず、いわゆるステンレス包丁は置いていません 「側面のみステンレス」というのは、ぎりぎりの妥協ラインなのでしょう。個人的にはこういう所に好感を持っています

価格は、関孫六10000CCと比較すると(同サイズの製品で)1.5倍程度高いです(実売価格での比較です。送料を入れると実質1.7倍くらいになります)
ものが良ければ、いくら高くても全く構いませんのよ、オホホ」という、余裕のある方におすすめです
また、お着物(和服)を着こなすような粋な方がお使いになると、この上なく似合うと思います
「いくらなんでも、有次は高すぎる」という方は、この下で紹介する関孫六10000CLや10000CCを選択すると良いでしょう

老舗ブランドのメリットとデメリットについては、こちらに記載しています

有次 包丁
ちなみに わたしが使っている「有次」は、「平常一品」ではなく、「特製」の和包丁になります(上の画像)

関孫六 10000CL

関孫六 10000CL
関孫六
10000CL

関孫六の「10000CL」です(関孫六はブランド名で、製造メーカーは貝印です)

鋼材、ハンドル、口金形状など、よく考えられて設計されています
白木調のハンドルは見た目にもきれいで、仕事人が使うような無骨なデザインとは対象的です
女性が使うと、よく映えるのではないでしょうか?

同系統のおすすめ包丁として、関孫六 15000STも良いでしょう、高級感あふれる尻金付きのデザインとなっています

関孫六 10000CL
この包丁はわたしも実際に使っています。なかなか気に入ったので、ハンドルを漆で仕上げ、口金を鏡面仕上げにしてカスタムして使っています

上の画像は、カスタム後の状態です。純正ハンドルは、もう少し色が淡い白木のような風合いになっています
この関孫六 10000CLについては、他のページで大変詳しく解説済みですので、当ページでは簡単に紹介するに留めたいと思います

実使用した感想(レビュー)や、カスタム前の状態については、こちらのページでご確認ください

関孫六 10000CC

関孫六 10000CC
関孫六
10000CC

「有次 平常一品」の紹介の際に軽く言及しましたが、「関孫六 10000CC」も、炭素鋼複合材の包丁です

切刃はハガネですが、側面はステンレスで覆われた刃体になっているため、高い切れ味と扱い易さが両立しています
「平常一品に比べると、切刃が黒く変色しにくい鋼材を使っていますので、よりお手入れが楽なタイプになります

「ハガネの包丁が良いのは判るが、手入れが面倒だ」とお考えの方におすすめです

まさに、「ハガネ(炭素鋼)とステンレスのいいとこ取り」の包丁です
詳しくは、10000CCの解説ページ でご覧ください(上の画像をクリックしてもOKです)

個人的には、「関孫六 10000CC」の類似モデルである「関孫六 4000CL」を使用しています
「関孫六 4000CL」は、口金の造りや刃のスキ具合、峰から刃先にかけてのテーパーの付け方など、仕上げが異なる部分が多々ありますが、ブレード鋼材は基本的に同一です
「関孫六 4000CL」の実使用インプレは、こちらのページで紹介しています 合わせてご覧ください

家庭用包丁 - 三徳包丁1本で何でもこなす場合


三徳包丁1本で何でもこなす場合は、中堅クラスで汎用性に富む包丁がおすすめです
ここでは、関孫六「べにふじ」と「茜」の2本を取り上げます

自動車で例えると、ホンダのフィットや、日産ノートのようなクラスになります。価格も手頃で万人に扱いやすい、そんな包丁です

なお、「料理好き玄人用包丁」で挙げた、関孫六10000CL、関孫六10000CCに関しては、予算が許すのであればこのジャンルに含めても構いません

三徳包丁であれは、一本でたいていの家庭料理はこなせます
ここで牛刀を選択するのであれば、後述の「2本目の包丁」を参考にして、「買い足し」を検討しましょう
用途が広がり、便利さが増します

関孫六 べにふじ 三徳包丁

関孫六 べにふじ

関孫六 べにふじ
家庭料理を一本で済ませるなら、「べにふじ」のような中堅クラスの三徳包丁がおすすめです

何の変哲もない、平凡な包丁に見えるかもしれませんが、そこが逆に良いのです

高くて優れた高級包丁を作るのは、そんなに難しくはありません。包丁専業メーカーなら、どこでもできることです
ですが、安くて優れた包丁を作るのは、スケールメリットを生かした大企業にしかできません
それができるのが貝印であり、「安くて優れた」という特徴が活きているのが「関孫六」です

家庭での日々の料理づくりを考えると、刃持ち、切れ味、研ぎやすさ、耐蝕性、靭性、価格など、様々な要素がちょうど良いバランスとなっています

どうにも「べにふじ」の良さが判らないという場合は、上の画像をクリックして「べにふじの解説ページ」をご覧ください

こちらのページ 「包丁の選び方(誰も言わないマニアな話)」 や、こちらのページ 「安い包丁は切れ味が悪いのか?」 も参考になると思います

関孫六 茜 三徳包丁

関孫六 茜

関孫六 茜
「関孫六 茜」は、ハンドルをPOM樹脂、口金を簡易タイプにすることで、高い性能はそのままに、製造コストを抑えて低価格で提供できるようデザインされています

べにふじと同様に、日々の家庭料理を一本で済ませたい場合などは、「関孫六 茜」の三徳包丁がおすすめです

切刃(芯材)の 鋼材グレードで比較すると、「茜」は、「べにふじ」や「青藤」と同グレードの、比較的良質の鋼材を使用しています
予算が限られている方には、特におすすめです

「他の関孫六の包丁はどうなのか?」という場合は、こちらの解説ページ 「関孫六の包丁 全モデル解説」をご参照ください
関孫六全モデルを対象に詳しく解説しています。関孫六プレミアについては、こちらのページで解説しています

低価格で高い切れ味


高度な切れ味が必用だが、とにかく予算が限られている」という方に、おすすめの包丁です

ここでは「関孫六 桃山」と、下村工業の「村斗 Fine」を取り上げます

関孫六 桃山

関孫六 桃山

関孫六 桃山
「関孫六 桃山」は、関孫六 10000CCと同様に、切刃に炭素鋼、側面にステンレスをあしらった包丁です

言ってみれば、10000CCから一体口金を取り払い、その分価格を安くした包丁と言っても、あながち間違いではありません
各部の研磨、面取り、刃のスキ具合などは微妙に異なりますが、鋼材自体は同じものが使用されています

箱出し時でも充分な切れ味ですが、研ぎの腕に覚えのある方でしたら、より追い込んだ刃付けや「研ぎ抜き」などを行って、切れ味を追求するのも一興でしょう

補足
このモデルは、若干クロム含有のある炭素鋼を採用しているようで、青紙鋼や白紙鋼などと比較すると、相対的に耐蝕性があります
そのため、あまり気を使わずに日常使用することが可能です
ナスのようなタンニン分を含んだ野菜を切ると、(クロム分をあまり含まない)炭素鋼の場合は、切ったそばから表面に酸化被膜ができ、色が変わることがありますが、そのような心配はほとんどありません
もちろん、刃先は炭素鋼が露出しているため、濡れたまま長時間放置しているとそこだけサビが浮いてきますが、そういう使い方をしなければ良いだけです

クロム含有量は5~7%、炭素量は1%前後と推定します(研いだ感触や使用した感じから個人的に推定したもので、試験片を分析したものではありませんが、そんなに外れてはいないと思います)

関孫六 桃山」に代表される炭素鋼複合材包丁に関しては、こちらの家庭用のおすすめ包丁(安い価格で最良の切れ味を) のページで解説しています

個人的には、前モデルに相当する「関孫六 4000CL」を使用しています

「桃山」よりもさらに低価格の「関孫六 安土」という選択肢もありますが、こちらはハンドル素材がPP樹脂ですので、「おすすめ」としていません

関孫六 安土」がPP樹脂ハンドルではなくPOM樹脂(ポリアセタール)であれば、「おすすめ包丁」に加えても良かったのですが、このあたりは少々残念です

PP樹脂とPOM樹脂の特性の違いについては、包丁の樹脂ハンドルはどれも同じではない をご覧ください 包丁の解説で、このようなプラ素材解説をするのは、わたしくらいだと思います。そのため、かなり独自性のあるコンテンツとなっています(もちろん転載禁止です)

村斗 Fine(下村工業)

村斗 Fine
下村工業は、「ヴェルダン」の包丁を作っている会社です
「ヴェルダン」は低価格系オールステンレス包丁で人気も高いですが、わたしとしては「村斗 Fine」を推したいと思います

こちらの包丁ブランドの解説ページ(下村工業)でも述べましたが、村斗 Fineは低価格にも関わらず、ブレード鋼材にAUS10を奢った包丁です
低価格であるのは、ブレード以外のコストを抑えているためですが、ハンドル素材にはポリプロピレン樹脂ではなく、高級なPOM樹脂(ポリアセタール)を使用するなど、実用性と耐久性は充分なものとなっています
冒頭で挙げた「堺孝行グランドシェフ」も、ハンドル素材はPOM樹脂製です

国内の包丁メーカーは、高級鋼材を採用した包丁には、ハンドル素材や口金も贅を尽くした仕立てにすることがほとんどです
実際に、AUS10やVG10などの高級鋼材を使用した包丁は、ほとんどが「本通し、一体口金、積層強化木」の仕立てになっています(関孫六は、特にその傾向が顕著に見られます)

このような常識にとらわれず、ブレードは硬度の高い高級鋼材を使用し、それ以外の部分はコストを抑えて低価格に仕立てたのが「村斗 Fine」です

口金は、「関孫六 茜」と同様に、ステンレスパイプ材の「被せ仕立て」となっています
ハンドル素材がPOM樹脂ですので、「被せ口輪」は機能的には無くても充分ですが、このあたりは「村斗 Sharp」と同じ外観にならないよう配慮したのでしょう(ハンドル素材が異なるだけで、外観が同じの包丁になることを避けるためだと思われます)

村斗 Fine」の下位モデルとして、「村斗 Sharp」という製品がありますが、こちらも「Fine」と同様に愛知製鋼のAUS10を採用しており、同じブレードの包丁です

「Sharp」と「Fine」の違いは、「口輪」の有無と、ハンドル素材の違いです

「村斗 Sharp」は、ハンドル素材にPP樹脂(ポリプロピレン)を使用しています。これは、比較的柔らかい樹脂であり、耐久性や耐候性の面でPOM樹脂に劣るため、わたしとしては「村斗 Fine」の方をおすすめしたいと思います

この点は、「関孫六 安土」を推さずに、「関孫六 桃山」をおすすめしたのと、全く同じ理由です

炭素鋼の包丁(究極の切れ味)


ハガネ(炭素鋼)のおすすめ包丁も挙げておきましょう
ステンレスでは、どうしても満足できない玄人の方におすすめです

MISONO EUカーボン鋼

MISONO 包丁
Misono
EUカーボン鋼 牛刀

(旧スウェーデン鋼)
上の画像は、わたしが使用している古い日本橋木屋のスウェーデン鋼牛刀です
現在の名称は「EUカーボン鋼」に変わっていますが、中身は同じです 鋼材会社が国際化したため、「スウェーデン」という表現が正確とは言えなくなり、名称が変更されています

この包丁はミソノが製造しているため、実質的にMisonoの「EUカーボン鋼」と同じ製品です 刻印が違うのみ

ハガネの包丁ですので、包丁の「洗う・拭く」をきちんとする人でなければ、おすすめすることができません

今となっては、こういったハガネの包丁を使う人はめっきり減りましたが、結局のところ、ステンレス鋼材の包丁は、「ハガネの切れ味にどれだけ近づけるか」でしかありません

三徳包丁も良いですが、この包丁は21cm以上の牛刀を使い、(真上から押し切るのではなく)刃渡りの長さを存分に活かして、華麗に切って欲しいと思います

Misonoの包丁は、Misonoの熟練職人さんが作っています

杉本の「SHM」や「梅治」の包丁など、個人のハンドメイドであることを全面に押し出した包丁は多々ありますが、Misonoにしても、結局のところ、社内で「人」が作っていることには変わりありません

このレベルになると、詰まるところ「個人」として、表に出るか出ないかの違いでしかありません

個人名が「銘」となって表に出ているブランドでも、「なんだこんなものか…」というようなものもあれば、表には名の出ない職人が作った包丁でも、刃のスキ具合に感動するような、素晴らしい刃体の包丁もあったりします

そういう意味では、Misonoの「中の人」は、素晴らしい仕事をしていると思います

堺孝行 青二鋼

堺孝行
青二鋼

堺孝行の「青二鋼」は、その名の通り「青紙2号」を使用しており、鋼材的には申し分ありません

ミソノのEUカーボン(旧スウェーデン鋼)より、ほんの少し硬く、ほんの少し靭性の低い鋼材です

ミソノのEUカーボンは、しなやかな使い心地と、スパッと刃の付く研ぎやすさがありますが、青紙2号は、より鋭いエッジ形成が可能です あくまでも理論上の話です。腕の良い人が研げば差異は生じないレベルの違いでしかありません
EUカーボンと比較すると、よりカチッとした使い心地になるでしょう

青木刃物製作所の「堺孝行」ですので、物は良いです(安心して使えます)

わたしが使っている包丁の中では、武生のV1鋼材を使用している梅治の牛刀(下の画像、現在分解カスタム中)と、硬度や靭性が似た感じです

梅治 包丁

補足しておきますが、青紙スーパーを使用した包丁も多数出回っており、硬度が出せる分だけ鋭いエッジ形成が可能です
ですが包丁は、エッジの鋭さだけで良否が決まるものではありません

刃筋をごく薄くできるのは、それなりに靭性が高く、しなやかさを持った鋼材でなければ実現できません(刃こぼれしやすくなるため)

高硬度の鋼材を使ってはいるものの、刃のスキ具合が凡庸で切り抜けの悪い包丁などは、「不細工の役立たず」でしかありません
「MISONO」や「堺孝行」は、そのあたりをよく判っており、玄人が好むバランスというのを実現しています

「玄人好みのバランス」と書きましたが、これは言い換えれば日本人の繊細な包丁使いに合っているという意味です
西洋の包丁使いでは、チョッピングをすることもあり、このような「和の技の極み」のような包丁を使わせると、大きな刃欠けを簡単に生じさせることがあります

「玄人好みのバランス」というのは、裏を返せば、「扱いを心得た人のために、ぎりぎりまで刃を薄く抜いている」とも言えるのです
刃をこじるような使い方には、逆に弱いこともあります。適切に扱いましょう

ちなみに、「重みで切る感覚」が好きな方は、このような包丁は「自分の感覚に合わない」と感じる場合があります
既に自分の好みの感覚が確立しているプロの方は、専門店に赴いて、重量感とバランスを確かめてから購入すると良いでしょう。大抵のことは使っているうちに慣れてくるものですが、細かいことまで突き詰める方は、そうした方が良いと思います

杉本 ツバ付最上級品

杉本
ツバ付最上級品

杉本の「ツバ付最上級品」です

杉本には、さらに上位の「SHM (スペシャルハンドメイド)」という包丁もありますが、価格に見合う価値というのを考えると、「ツバ付最上級品」の方がおすすめです
SHMは、少々高すぎるのです

このあたりは、日本橋木屋の「EUカーボン鋼」と、「梅治」とのグレード差によく似ています
木屋の「EUカーボン鋼」グレードが、杉本の「ツバ付最上級品」に相当し、木屋の「梅治」が、杉本の「SHM」に相当すると考えて良いでしょう

ここでは取り上げませんでしたが、かね惣鋼製ツバ付洋包丁や、築地正本(丸秀)の特上鋼牛刀鍔付なども甲乙つけがたく、素晴らしいと思います

2本目の包丁(買い足すと便利)


高級包丁では賄えない領域を補う、それが「控えの一本」です

「控えの一本」(2本目の包丁)としておすすめしたいのは、ほどほどに靭性があり、荒い使い方をしても刃こぼれしにくい包丁です

一般的に、高級な包丁はその分硬度が高く、靭性が低い傾向にあります
靭性が低いというのは、刃が(硬くて)脆いということです

包丁販売業者は、こういうことを言うと高い包丁が売れなくなるので、わざわざ教えてはくれませんが、はっきり言ってしまうと、高級な包丁ほど刃こぼれしやすいです
鋼材の特性だけの問題ではなく、高級な包丁は刃をぎりぎりまで薄くして、切り抜けを良くしているため、よけいに欠けやすいのです

100円均一の包丁は硬度が低いため、大きな衝撃を与えると、刃が欠けずに曲がることがあります ホントの話しです。ちょっとわかりにくいですが、こちらのページに画像を掲載しています

この「サブの包丁」は、牛刀や三徳包丁ではなく、「小包丁」がおすすめです

刃渡りが短い分だけ、刃元付近で力を入れやすく、カボチャを切る際にも重宝します
刃が挟まって抜けなくなり、引き抜こうと力を込める際にも、刃体の靭性が高いため、刃がしなって折れにくいのです
高級包丁でこれをやると、大きく刃欠けすることがあり、気をつけたいところです

冷凍のミンチ肉を切ったりする際も同様です
高級包丁で凍った食材を切ると、低靭性が裏目に出て、いとも簡単に刃こぼれが生じることがあります
「低温脆性」と呼ばれる現象です。氷点下の温度になると、金属はポキンと折れやすくなるのです

サブの包丁は、高級包丁を大切に扱うための、重要な一本です
また、メインの包丁を研ぎに出す際のピンチヒッターとしても活躍してくれます

刃持ちはそこそこでも、その分靭性が高いというのは一つのメリットです。そういった特性の包丁を一本揃えておくと、多用途に使えて便利です

前述の「家庭用・三徳包丁」で挙げた包丁を使うのであれば、このようなサブの包丁を用意する必用はありません。靭性と硬度のバランスが取れていて、一本ですべてまかなえるからです

ですが、冒頭で挙げたプロ用高級包丁料理好き玄人用包丁のような、硬度の高い包丁を使う場合は、この後で紹介する「ヘンケルス ロストフライ」や「ヴィクトリノックス スイスクラシック」を「汚れ役」として、使ってあげると良いでしょう(意外なところで役に立ちます)

ヘンケルス ロストフライ 小包丁

ロストフライ
ヘンケルスのロストフライは、決して高硬度の高級包丁ではありません
ですがその分、靱性が高く、しなりのある刃体が特徴です

ハンドル素材もPOM樹脂で、少々手荒に使ってもへこたれません
前述のような、カボチャや冷凍食品、硬くて刃こぼれが懸念される食品は、ロストフライのような高靱性の包丁で対応するのがおすすめです

絶対に刃こぼれしないとは言いませんが、非常に刃こぼれしにくいブレードです。刃こぼれしたとしても、硬度が高くないので、砥石での修整も比較的容易です。万一買い替えとなった場合でもお財布ダメージが最小で済みます
サブ用の包丁として使う場合、「小包丁」がおすすめです

三徳包丁に慣れている日本人にとって、「小包丁」はとても扱いやすい包丁です
リンゴや梨、柿、じゃがいもなど、サイズの小さな野菜や果物をカットをする場合など、三徳包丁よりも使いやすく感じるほどです

詳しい解説は、こちらの ヘンケルス ロストフライ のページをご覧ください
なお、ロストフライと似た特性を持つ国産包丁としては、「関孫六 ほのか」が挙げられます

関孫六 ほのか

ただ、国産の包丁にありがちな傾向として、「包丁は曲がってはダメ、しなってもダメ」というものがあります
関孫六のキャッチコピーも「折れず曲がらず、よく切れる」で、剛性の高い刃体を良しとしがちなところがあります
「良くしなるが、きちんと切れる」という包丁を求める場合は、ヘンケルスなどの西洋の包丁に分がありますので、ここはヘンケルスのロストフライをおすすめしたいと思います

ビクトリノックス スイスクラシック ペティナイフ

ビクトリノックス ペティナイフ
ビクトリノックス
スイスクラシック
ペティナイフ

このペティナイフは、わたしも実際に使っているのですが、台所での補助作業にとても重宝します

日本の生鮮食品は、はっきり言って過剰包装であり、きっちりビニールに包まれていたり、やたらとテープで巻かれていたりと、取り出すまでが一苦労です

そのようなビニール袋の切り開きなどに活きるのが、このペティナイフです
先端が鋭く、刃幅が狭いという特徴的なブレード形状が、三徳包丁には真似ができないことを、軽々とやってのけるのです
もちろん、本来のペティナイフの用途(皮剥き)も、きちんとこなしてくれます

三徳包丁は一本持っているけど、2本目の包丁が欲しい、というときには、真っ先に検討すべきでしょう

こういった包丁を日常的に使っていると、硬度がほどほどで靭性が高く、よくしなるブレードの良さというものが判ってきます
刃物好きの方は、往々にして高硬度の包丁を高く評価する傾向にありますが、中硬度で高靱性のブレードには、別の良さがあるのです
靭性の高い鋼材は、刃厚を極端に薄くすることも可能です。厚みが薄いということは、それはそれで素晴らしいことなのです

詳しい解説は、こちらの ビクトリノックス スイスクラシック ペティナイフ のページをご覧ください

「選外」の理由 - おすすめ包丁の真実


おすすめの包丁」として紹介されることは多々あれど、販売業者の方便でしかなく、必ずしもおすすめとは言い難い包丁もあります(そういう商品に限ってよく売れています。なぜなら外観を魅力的に仕上げているからです)
念の為書いておきますが、切れ味が悪いとか、そういうことではありません。世の中には「素人さんを騙して買わせるために作った包丁」…としか思えないような包丁もありますが、そこまで酷くはありません

ここではそのような包丁を紹介し、なぜ「選外」としたのかを解説するとともに、より良い包丁選びにつながる解説としたいと思います

グローバルの包丁

グローバル
牛刀

グローバルの包丁は、「選外」としました

内容の割には製品価格が高い上、ブランドロイヤリティを維持するためか、値引き販売を一切していません
そのため、包丁としては極めてコスパが悪い部類に属します

よく、「継ぎ目はないので衛生的」と言われていますが、逆にハンドル窪みが多数あり、そこに汚れが溜まりがちです(包丁としては本末転倒です)

同様の理由で、オールステンレス包丁はすべて選外としています

もしも、「オールステン包丁はおすすめ!」と書いてあるページに出会ったら、眉に唾つけて読んでください
包丁の本質を何も分かっていないか、ただ買わせるためにそう書いているか、のどちらかです

オールステンレス包丁のデメリットに関しては、リンク先に詳しい解説を載せていますので、合わせてお読みください

ツヴィリングの包丁

ツヴィリング
ツインセルマックス



ツヴィリングは、ドイツの著名な包丁ブランドです
ヘンケルスと同じ会社の上位ブランドとして、世界的に有名です

ただ、改めて包丁のラインナップを見てみると、いろいろと迷走している感が否めません

物が悪いというわけではないのですが、国内メーカーに差をつけられており、ブランド力に頼って商売をしている感がなきにしもあらずです

同等グレードの鋼材の包丁で比較すると、どうしても関孫六にコスパで負けています

これは、決してツヴィリングが劣っているのではなく、貝印を始めとする国内包丁メーカーが凄すぎるのです
もしも、日本という国が存在せず、国内包丁メーカーを抜きにして考えたとしたら、ツヴィリングJAヘンケルスは、確実に世界最高の包丁メーカーになってしまいます

そのくらい国内の刃物技術は高水準なのです(多種多様な刃物鋼材、包丁の仕立て、研磨と研ぎ、砥石に至るまで、すべての分野で卓越しています)

ダマスカス包丁

貝印 関孫六
ダマスカス

ダマスカス包丁も選外です

エアロパーツをゴテゴテ付けて高額になった車と同じで、見掛け倒して中身が二の次になっています
ダマスカスの刃体に、派手に槌目を付けた包丁もよく販売されていますが、何なんでしょうねあれは

ダマスカス包丁のデメリットについては、こちらの解説ページ ダマスカス包丁についてで詳しく解説しています

それでもダマスカスが欲しいと言う場合は、こちらのダマスカス包丁のおすすめは?をお読みください
良心的な造りの製品と、ダメダメな包丁と、ダマスカス包丁の両極端の事例を取り上げて解説しています

セラミック包丁

京セラ
セラミック包丁

セラミック包丁も選外です

硬度が高すぎてまともに研げません。また、靭性が低すぎるため、床に落としただけで折れます
そんな脆弱なブレードは、日々の道具として使うに値しません

粉末冶金鋼の包丁

藤次郎
粉末ハイス鋼

粉末冶金鋼の包丁は、おすすめできないとはいいませんが、少々微妙なところです(決して悪いわけではありません)

その硬度が仕事で必要な方以外は、積極的におすすめすることができません
それが本当に「使いやすい包丁足り得るか?」という観点からみると、頷けない部分もあるのです
詳しくは、高硬度包丁は家庭では扱いづらい のページをご覧ください

価格なりの価値を得られる人ならよいのですが、それ以外の場合は、ただの自己満足にしかなりません
ただの自己満足も、立派な理由になり得ますので、承知で使う分には素晴らしい包丁です
ただ、「どんな硬い包丁でも難なく研いでみせます」といった方でないと、扱いが難しいでしょう

ちなみに関孫六では、粉末冶金鋼の包丁を作っていません
その上位ブランドの「旬」ですら使用していないのです
技術的には難なく造れるはずなのですが、あえて造っていないのです
こういうところが、貝印の物作りの良心的なところで、好感が持てます

青紙スーパーのくだりでも述べましたが、やたらと高硬度の鋼材を使えば良いというものではなく、包丁は硬度と靭性のバランス、そして炭化物が微細で均一であることが重要です

このあたりは、節操なく高硬度包丁を全面に押し出すツヴィリングとは、姿勢の違いが見えて対照的です

それにしても、「粉末冶金鋼は究極至極!」と方便を垂れて売り込みをかけている販売業者の、何と多いことでしょう
そういう業者からは、買わないほうが無難です

おすすめの包丁、選定理由


今回選定した「おすすめ包丁」のブランドをよく見ると、Misonoと堺孝行、そして関孫六が多いことに気付かされます
唯一の例外が、下村産業の「村斗」です
次点として、藤次郎や有次、杉本の包丁も入ってはいますが、これらは「Misono、堺孝行、関孫六」の三つだけだと、あまりにも面白くないので、無理やり突っ込んだ感も、無きにしもあらずです

この項目では、なぜ「Misono、堺孝行、関孫六」を3ブランドを推すことになったのか? …について説明します

MISONOと堺孝行をおすすめした理由

自分で作っているから

包丁にはさまざまな「老舗ブランド」があります
関東の有名どころとしては、築地正本正本総本店杉本日本橋木屋かね惣合羽橋鍔屋などが挙げられます
関西(堺と京都)では、堺刀司堺一文字光秀有次などの名が上がります

今回の「おすすめ包丁(決定版)」では、これらのブランドを全面的に推してはいません(有次の平常一品、杉本のSHMを「次点」として挙げたにとどまります。物は良いですので、価格と勘案して納得できる方のみ買えば良いと思います)

一方では、「プロ用高級包丁」と、「炭素鋼のおすすめ包丁」の2部門で、MISONOと堺孝行を推しています
なぜこの2社を推したかというと、それは、確実に自社製造しているからです

老舗包丁ブランドには、製造を他社に依頼し、あたかも自分が作ったかのような顔をして販売しているブランドが多々あります (「刻印」は製造側に預けて押印させています)

それらのブランドは、たとえ老舗で有名だったとしても「メーカー」とは異なります。「自社ブランド化した包丁専門店」です

わたしがミソノを推すのは、品質は高いにも関わらず、このような老舗ブランドのデメリットが皆無な点です

上に挙げた「老舗ブランドが販売している洋包丁」のなかには、これはMISONO製ではないのか?と思える品もあったりしますこれは実際によくあることで、わたしの所有している日本橋木屋のスウェーデン鋼牛刀は、裏面にMISONOの刻印があります

ちなみに「MISONO」は、他社に包丁をOEM供給できる程の技術力と生産力があり、関市に工場を兼ねた本社を構えています
岐阜県関市に本社兼工場があり、すぐ横にゴルフコースがあるほどの、良くいえば郊外、悪く言えばド田舎にあります
ミソノの公式ページは、今時珍しいほどシンプルで、お金がかかっていません

堺孝行」は、会社名ではなくブランド名ですが、堺市に所在がある「青木刃物製作所」の商標です

冒頭で挙げたように、包丁の世界には、「東の正本、西の有次」といった、老舗ブランドが多数存在します
その多くが、堺や関の工場に製造を依頼し、自身では販売とアフターサービスを行っているのみです(刃付け、柄付け、名入れ、研ぎ直し、修理など)
これらのブランドのアフターサービスについては、本当に「神対応」としか言いようがありません。親切丁寧で、実に素晴らしいです

なぜそんなに素晴らしいかというと、元々の商品価格が高いためです
要は、「包丁の価格そのものに、神対応代金が含まれている」と言っても過言ではありません(ブランドとはそういうものです。でなければ、採算が取れません)

直販が最良とは申しませんが、商売の常として、卸や問屋など、多数のチャネルを通せば通すほど販売価格は高くならざるを得ません。それぞれの主体が利益を上乗せするからです
さらにブランド維持費用も上乗せされ、結果としてやたらと高い価格の包丁ができあがります

老舗包丁ブランドは、どこも一等地に店舗を構えています
木屋は日本橋、杉本は築地、かね惣は浅草、有次は京都市の錦市場商店街という非常に土地代の高い場所に店舗があるのです。後述の「グローバル」は、老舗ではありませんが六本木にショールームを構えています

方向性に、高級志向か、プロ・職人志向かなどの若干の違いはありますが、土地代、テナント代が国内トップクラスであることに変わりはなく、接客クオリティも超一流です

どんな事でも淀みなく答えられる接客のプロの人件費、豪勢なショールームの管理維持費、立派なホームページの開発運営費などが積み重なってブランド代となり、すべて包丁の製品価格に乗っているのです

価格が高額な包丁は、「高い分だけ素晴らしい」と消費者が勘違いする場合がありますが、これらのブランド代や、流通における「中抜き」も加わって高額になっている場合も多々あります

高い方が箔が付いて良いという成金趣味の方もおられると思いますが、賢い買い物をしたい場合は、自社製造の包丁を選ぶ方がおすすめです

なお、自社製造と言っても、地方の鍛冶屋などでは、自分でハガネを鍛えて包丁を製造している小規模業者も多数ありますが、これらは規模が小さすぎてスケールメリットが出せず、そのため価格も高額になりがちです

鉄は打てても溶接技術を持っていないため、「和包丁の柄付け」しかできず、一体口金が造れない鍛冶屋も多いです
とはいえ、この現代に個人で鍛冶屋をやっているというのは、それだけで非常に素晴らしいことです。個人的に応援したい場合は、そのような小規模の鍛冶屋さんから購入してあげてください

硬度で勝負するタイプの包丁とは異なる

UX10はHRC60~59、グランドシェフはHRC58程度だと言われています
刃の硬度でいうと、それほど高い方ではありません
より硬度の高い包丁は、いくらでもあります

硬度と靭性、刃の厚みのトータルバランスが優れています
これらは、バランスで考えた時に、最も使いやすい塩梅になっており、よく判っている包丁です

理念で作り、信頼で売るモデル

外観訴求力で売っているモデルではありません

「最も優れた包丁とは、どういうものか?」を突き詰めて生み出された包丁であり、「最も顧客の目を引く包丁」や「消費者の財布の紐を最も緩くるす包丁」でもない「包丁の素人をだまくらかして買わせるための包丁」でもない

マーケティングで作り、外観と数字マジックで売るモデルとはわけが違う

堺孝行には、売るための包丁もあります

関孫六がおすすめの理由

当ページのおすすめ包丁の中には、貝印の「関孫六」が多数登場しています
おすすめ包丁 決定版」と銘打ちましたので、「関孫六」一辺倒になってはいけないとも思ったのですが、蓋を開けてみたら関孫六を5本も取り上げているありさまです

改めて、関孫六のどこが良いのか、簡単に説明しておきましょう

スケールメリットの強さ

関孫六(貝印)の最大の強みは、スケールメリットを強力に出せることです
これに関しては、他社の追従を許していません。完全にトップです
ツヴィリングなどは、後塵を拝しているありさまです(昔はそうではなかったんですけどね)

国内最大の刃物会社であり、世界的に見てもトップクラスであるため、一度に大量の包丁を作ることができるのです

このため、同じ鋼材で同一構成の包丁を作っても、他社より安くすることが可能です
まとめて大量に製造することで、一本あたりのコストを抑えています。なおかつ大量に販売することで、一本あたりの利益が少なくても、充分商売として成立しています
簡単に言うと「コスパが良い」ということになります。これに尽きます
「競合他社が潰れてしまうのではないか?」と、余計な心配をしたくなるくらい、コスパが良いです
(念の為に書いておきますが、技術力もトップです)

包丁の本質を決して外さない

マニアも頷く鋼材の選択
基本的にバランスの良い鋼材を選択しています。むやみに硬い鋼材などは敢えて避け、採用していません ツヴィリングとは対象的ですらあります
このあたりは実際に使う人のことを考えた設計となっていて、MISONOと同様に包丁の本質を外さない製品づくりをしています
硬さだけではなく、研ぎやすさと刃こぼれのしにくさも重要な要素であると考えていることが、製品から伝わってきます

他にも、ラインナップが豊富であるとか、店頭陳列率とブランド認知度が、共にトップクラスであるとか、いろいろ挙げることができますが、長くなりますので割愛します

詳しくは、関孫六・旬(貝印)- 包丁ブランドの解説 をご覧ください


ツイートボタン
「包丁・ナイフ・刃物 」の目次に戻る