ベゼルと液晶パネルを外し、ディスプレイとケースを分離させる
ドライヤーで温め、接着剤の固定を緩める
ドライヤーで温めて、接着剤の固定を緩めます。
(ヒートガンを持っている人は、そちらを使って下さい)
温めたからといって、接着力がゆるゆるになるわけではありません。
温めない状態に比べると、接着剤がいくらか伸びやすくなる。…という程度のものだと思って下さい。
(暖めることで接着剤が溶けたりして、簡単にパカッと外れるわけではありません。過剰に期待してはいけません)
なお、ベゼルは金属製ですので、暖めるとわずかに膨張します。
一方、筐体側は樹脂製ですので、あまり膨張しません。
この膨張率の差も、わずかながら効いていると思います。
ベゼルをこじ開けるための隙間を作る
ベゼルの隙間に刃を差し入れて、ディスプレイと筐体の隙間を広げます。
これを全周行います。
ディスプレイを開けるためには、まず、こじ開けるための工具が入るだけのスペースを作らねばなりません。
ほんのわずかでも、突っ込む隙間を、先に作るわけです。
ここでは、
オルファのクラフトナイフを使っていますが、適切な作業が可能であれば、なんでも構いません。
精密ドライバーなどの工具でも、先端が充分に薄ければ、それで構わないわけですが、先端が入らなければどうにもなりません。
最初は『刃』に近いレベルの、
先端の厚みの薄い工具を使うことをおすすめします。
ただここでは、何かを切るわけではないので、あまり刃の鋭い状態のものは、使わない方が賢明です。
また、先端の尖った楔状のものを押し込んで、隙間を作るわけですので、刃の角度が鋭角すぎると、くさびの役割を充分に果たせず、隙間があまり開きません。このあたりにも配慮すると良いでしょう。
刃角の異なる、複数の刃物を使い分けるのも、一つの方法です。
※ この時筆者は、オルファのクラフトナイフと、アートナイフを使って作業しています。両方ともある程度使い込んで、刃が丸くなったものです。
新品の刃しかなく、刃が鋭い場合は、刃引きをして刃を潰してから使用しましょう。そのまま使うと危険ですし、前述のように、この作業は切ることが目的ではありません。
下の画像は、オルファのアートナイフです。握り手の部分が真鍮製で、滑り止めのローレットまで入っているので、こういう指先に力を入れる作業でも、滑らずに扱いやすいです)
ベゼルをこじ開ける
前の工程では、こじ開けるためのスペースを作りました。
今度は、そのわずかな隙間に、適当な工具を突っ込んで、ベゼルをこじ開けていきます。
※ スマホのバッテリー交換キット等に付属の『樹脂製スティック』では、強度が足りずに開かないかもしれません。ここでは、オルファのアートナイフを使っています。
ディスプレイは、ベゼルと一体化されていますので、ベゼルを外すと液晶ディスプレイも一緒に外れます。
ケースとベゼルの接着を外した後は、2箇所で接続されている端子を外せば、ケースとベゼル(ディスプレイ)の分離が完了します。
なお、ここで勢いよくベゼルを開けてしまうと、ディスプレイに接続されている端子まで外れてしまいます。
これは、フィルム状の導体や、ディスプレイパネル(液晶)に悪影響を及ぼすことがあるので、気をつけましょう。
筆者はこれをやってしまい、一時的に液晶のドット抜けが発生しました
(これについては後述)
じわじわと、徐々にこじ開けていくのがポイントです。
半分程度開いたからといって、指先でベゼルを引っ張ったりすると、ある一点で一気に接着剤が剥がれてしまい、バッカンと空いて、端子まで外れてしまいます。
この工程は、最も手こずる部分でもあります。
熱を加えれば、簡単にパカンと開くものでもありません。作業しているうちに、せっかく温めた筐体(ケース)が冷えてくることも、よくあります。
その場合は、焦らず急がず、再びドライヤー(もしくはヒートガン)を使って、充分に温めましょう。
あまり温めすぎると、液晶の耐熱温度を超える可能性も否定できないので、極端な温めすぎにも要注意です。
一方で、温めが不十分だと、接着剤の粘りが強く、なかなか開きません。
このあたりの塩梅は、その時の状況を見ながら、適宜判断して行います。
『こじ開け』は、専用工具が望ましい
この「こじ開け」の工程では、それなりの時間を費やすことになりました。
今回は、ありあわせの刃物を使っての対処でしたが、やはり
時計専用のこじ開け工具を使用するのがベストです。
こじ開けのポイントは、力を入れやすい「持ち手」です。
こじ開けるために最適な、力の入れやすいハンドル形状でなければ、スムーズにこじ開けられません。
有名どころとしては、明工舎(MSK)『スーパーコジ開け』があり、このようなクオリティの高い工具であれば、言うことありません。
先端精度が低く、ハンドル形状も「それなり」で構わないようであれば、中国製の大量生産品が、比較的安価になっています。
ナイフ形オープナー
『ナイフ形オープナー』は、『こじ開け』を差し込むスペースを開けるための工具です。
(上の画像は、有名どころのBERGEON製)
筆者も(前述のように)…
-
こじ開け用工具を入れるためのスペースを開ける
-
開いたスペースに、こじ開け用工具を差し込み、こじ開ける
…の2段階に分けて作業しましたが、この、第1段階の工程のための工具が、ナイフ形オープナーです。
初手でこじ開け用工具を突っ込もうとしても、通常であれば、隙間が皆無で歯が立ちません。
作業に習熟している方であれば、専用品以外の刃物でも隙間を作れるとは思いますが、素人が下手に真似をした場合、ベゼルに傷をつけるのが落ちです。
作業経験が無く、不慣れな場合は、ナイフ形オープナーやこじ開け工具など、時計用の専用工具の使用をおすすめします。
正直言うと、筆者もこの段階で失敗し、液晶のドット抜けを発生させてしまいました。
時計用の「こじ開け」をつかっていれば、こんなことにはならなかったのにと、反省しています。
vivoactive3のケース内部の様子は、このようになっています。
周囲に散らばっている、
半透明の細かいくずは、剥がした接着剤の破片です。
準備作業も忘れずに
準備作業については、ここでは説明を省略していますが、
ベルトの取り外し、
バッテリーを使い切るなどの作業は、確実に実施しておきましょう。
準備作業については、下のリンク先に記載しています。
● 関連項目:準備作業(スマートウオッチのバッテリー交換)
●
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月寅次郎(著者プロフィール)