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ジーサカイ・グレステン・MAC・関虎徹・京セラ - 包丁ブランドの解説(9)

最終更新日: 作者:月寅次郎

包丁

G・サカイ - ナイフだけではない

著名なナイフメーカーである『スパイダルコ』のOEM生産もやっているG・サカイ。

元々はナイフを作ってる会社だが、その技術を活かし、「空シリーズ」などの包丁も作っている。
ただ、包丁方面では知名度が今ひとつであり、あまり知られてはいない。

ナイフ製造がバックボーンにあるためか、包丁の鋼材を明記している。
こういったところは、他の包丁メーカーも見習ってもらいたい。

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グレステン(ホンマ科学)

身離れの良い、ディンプル加工が特徴。

あまり一般消費者受けはしていないものの、プロの料理人さんが使っているのをたまに見かける

「見た目とかより、どれだけの仕事ができるかなんですよ」という、洋食系の仕事人に受けが良い印象。

どうやったら包丁が売れるか、ではなく、「理想の包丁とはどういうものか?」という視点で考えている硬派な会社
「古より包丁を作り続けて何百年…」といった、刃物の町に生まれた伝統ある会社というわけではないので、そこが逆に作用して、柔軟な発想の物造りに繋がっているのかもしれない。

ミソノと同じく、ホームページの構成がクラシカル。
どうにかして売ってやろうという姿勢が見えないところは、逆に好感が持てる。

こういう、職人層からの一定の評価を得ているメーカーは、一般消費者向けに「売ろう、売ろう」と躍起になる必要がないわけだ。

ペティナイフは独特の形状だが、これは、「まな板の上で切る」という固定観念の強い、日本の包丁文化によるものだろう。

確かにこの形状だと、刃筋からの高さが稼げるので、握る手指とまな板とのクリアランスが大きく取れる(要は、打ち物用として作ってある)

だが一方で、ペティナイフはパーリングナイフという側面も持つので、「剥きもの用包丁」として考えた場合には、この独特の形状を使いにくく感じる人もいるだろう(と思う)

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MAC(マック)

名前だけ聞くとアメリカの会社と誤解を受けそうだが、れっきとした日本の会社
国内市場においては、名前(ブランド名)で損をしている感がある
(パソコンの『マック』や、工具の『MAC』とは無関係)

本社は堺、工場は関に所在があり、歴史も長い(1965年に包丁メーカーとして独立とある)
マツコの知らない世界で「チーズ・バターナイフ」が紹介されて、知名度が上った

MACの創業者が若かりし頃、調理の経験を通じて「包丁の先端が尖っていることを不思議に感じ、丸くても不自由はない」と感じたことから、「オリジナルシリーズ」は刃の先端が丸い形状になっている(だからといって、子ども用の包丁ではない)

真久作スーペリアシリーズなどは、洋包丁だが半片刃に仕上げられており、結構マニアックな刃付け(左利きの方は要注意)
一般消費者に媚を売るような外観重視の包丁は一切なく、どちらかというと仕事で調理に従事する人向けに作ってある印象

なにげに和包丁も取り扱っており、○○真久作の銘で白紙2号の霞(合わせ)と、銀三の和包丁を一揃い販売している、種類は限られているものの、銀巻黒檀柄の「本焼き」まである

このあたりは、堺の刃物会社らしさが垣間見える。地場の職人と繋がりがあるのだろう。

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関虎徹・虎徹(安田刃物)

虎徹は青紙2号を使った炭素鋼複合材、切刃はハガネだが側面はステンレスで錆びにくいという構成
関虎徹はVG10を使いながら、上手にコストを落としてリーズナブルな価格に仕上げてある

包丁の使用鋼材を明示している点は、買う方からするとありがたいし評価したい
今時珍しい「背通し」の包丁が多いが、このあたりは使い勝手にあまり影響を及ぼさない、上手なコストダウン

槌目をあしらった包丁も販売してはいるものの、これ見がよがしな槌目ではないところに好感が持てる。
派手に槌目を入れてある包丁は、刃厚を厚めにせざるを得ないので、あまり好ましくない
包丁の本質を軽視するところほど、派手に槌目を入れて外観で売ろうとしてくるもの


規模は小さいながらも、奇をてらった商品が少なく、真面目に造ってる感じが伝わってくる。

小規模刃物メーカーは、Web上のマーケティングが下手な会社が多いものだが、ここは「安田刃物 楽天公式市場店」まで構えて、直販体勢を敷いている。

このあたりは、販売戦略も含めて、それなりにマーケティングに力を入れている感じがある。

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京セラ

包丁の世界では、セラミック包丁と研ぎ器(包丁シャープナー)で有名。
セラミックの技術を活かして包丁を作っている

セラミック素材は金属では真似のできない硬度が出せるが、その分靭性が低くなるので包丁としてはいささか扱いにくい(耐衝撃に弱く、折れや刃欠けの懸念がある)

稲盛和夫氏が起こした会社であり、一言では言い表しにくい、凄い会社。
昔はレコードプレーヤまで作っていた。

京セラの包丁を見てみよう

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その他の包丁ブランド - 目次

  1. 包丁のブランド(メーカー)について
  2. 関孫六・旬(貝印)
  3. ヘンケルス Henckels
  4. ツヴィリング Zwilling
  5. グローバル(吉田金属)
  6. 藤次郎
  7. ヴェルダン(下村工業)
  8. ビクトリノックス Victorinox
  9. Misono
  10. ギャラクシー(ダイソー・100均)
  11. Gサカイ
  12. グレステン(ホンマ科学)
  13. MAC(マック)
  14. 関虎徹(安田刃物)
  15. 京セラ
  16. KASUMI(スミカマ)
  17. ヤクセル
  18. パール金属
  19. ヴォストフ Wusthof
  20. オピネル Opinel
  21. ティファール T-fal
  22. マイヤー Meyer
  23. アムウェイ Amway
  24. スーパーストーンバリア包丁

※ 当ページに書かれているのは、あくまで刃物好きの包丁マニアとしての、個人的な印象です(絶対的なものではありません)

人の価値観はそれそれです
自動車の世界でも、エアロパーツをゴテゴテ装着して車高を極端に落とした車を、「かっこいい」と思って乗っている人がいる一方で、「恥ずかしい・みっともない」と思う人も存在します
それと同様に、価値には多様性が存在します

このページに書かれていることは、単に一方向から見た個人の意見です(多人数の意見をまとめて集約したものではありません。あくまでも一つの参考として捉えて下さい)


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