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ヴォストフ・オピネル・ティファール・マイヤー・アムウェイ - 包丁ブランドの解説(10)


ヴォストフ(ウィストフ) Wusthof

ヴォストフ
クラシック

海外ではそれなりの知名度があるものの、日本市場での認知度が低く、知る人ぞ知るという感じのメーカー ウィストフと呼ばれることも

クラシックシリーズは、国産包丁ではまずお目にかかれない「全顎タイプ」の包丁 ボルスター(口金)が、アゴまで伸びており、フィンガーガードを兼ねている
ナイフでいうところの「ヒルト」が、包丁に付いているようなもので、調理の文化が異なれば、包丁の形状も変わってくるという良い見本だ

(製品にもよるが)柄に通っている部分の鋼材の厚みが、とんでもなく太い
チョッピング(叩くようにして切る)を多用して料理を作るお国柄だけに、このくらいの厚みがないと耐久性の担保が取れないのだろう
堅牢で頑丈な包丁という観点から見ると、他に類を見ないのではないかと思われる

ブレードには、「SOLINGEN GERMANY」の文字が誇らしげに刻まれている
「三又槍」の商標も、実に格好良い

洒脱なフランスの製品とも、品のあるスイスの製品ともひと味違う
ドイツらしい重厚さと(良い意味での)頑固さが、製品の造りからビンビンと伝わってくる
このあたりは、関の刃物会社を吸収して、ドイツ風味が薄味になってしまった「ヘンケルス/ツヴィリング」とは、大きく異るところだ

昔のベンツには「最善か、無か」…というフィロソフィがあり、車の造りにその哲学が感じられたものだが、ヴォストフ・クラシックにも、それに近いものを感じる ただ、包丁の扱いは人それぞれなので、その人にとっての最善になるとは限らない。国が異なればなおさらだ
何にせよ、国内の知名度が低いのはいささか残念。もっと評価されて然るべきメーカーだと思う

ヴォストフ
パーリングナイフ

ヴォストフは、ペティナイフについてもさまざまな形状の製品がある

国産製品にありがちな「牛刀のサイズを、ただ小さくしただけ」のようなものとは一線を画しており、刃先の下がったピーリングナイフ、直刃の8cmパーリングナイフ、ドロップポイントの(普通の)12cmパーリングナイフと、プロ用途であることがラインナップからも伝わってくる

ヴォストフに限らず、欧州のナイフメーカーが作るパーリングナイフは、(国産のものとは違って)刃幅が狭く、「剥き物」に特化した感があるが、これはこれで素晴らしいと思う

柄の中心軸の延長線が、刃のエッジラインと近くなることで、思うがままにピーリングすることができる
アゴが張り出してエッジラインに角度が付いていると、この操作性がいくぶん悪くなりがちだ

オピネル Opinel

オピネル

歴史ある木製ハンドルの折り畳みナイフが有名だが、一応包丁も作っている

くだんのナイフの方は、「ハンドルが水を吸ったら膨張し、刃が出せなくなる」という恐ろしい特徴を備えているが、なにせ何百年も前からその状態で売っているので、今さら消費者団体に訴える人はいない
「不良品ではなくて、それが仕様」

ただ、それを明記せずに販売している輸入業者は責められても致し方ない(不利益事実の不告知に該当するので、特定商取引法に抵触する)
知らずに買う人があとを絶たないのは、オピネルと消費者の双方にとって不幸な問題

オピネルを初めて買ったのは、1990年初頭だったので、もう30年前になってしまう
今となってはロゴの意匠が旧タイプとなってしまったが、鏡面にカスタムして今でも大事に持っている

フィレナイフも所有しており、こちらは漆でハンドルを塗って流麗に仕上げた

こういう楽しみ方ができるのも、オピネルならではだと思う

オピネル
サントクナイフ

一方の「包丁」の方は、製品コンセプトに迷いがあるように思えて仕方がない

伝統的ナイフであるオピネルのイメージを崩すことなく、現代的な要求水準に応えたキッチンナイフに仕上げようとして、どっちつかずになっている感すらある

製品に、そこはかとなく漂っているのは… 「ワールドワイドにオピネルナイフが売れているから、それで充分儲かっており、包丁なんか無理して売らなくてもいいもんね」
「でも、欲しいという人もいるので、ラインナップに加えてみたよ」…という感じである(売り方にしても全く力が入っていない)

サンドビックの12C27鋼材ばかりを多用しているのが仇となり、わざわざ他の鋼材を使って包丁作るなど、もう面倒くさくてできないのだろうか?

確かに、カチカチに硬い高硬度鋼材を、フランスの労働者に刃付けさせたら、「12C27と違う!硬い!削れない!」と言って、ストライキを起こしそうである
「オピネルは一つの文化なのだから、いまさら変える必要はない!」とか言いそうでもある

とはいえ、包丁の方も、もっと本気出して作って欲しい 一見似てるように見えて、包丁とナイフは畑違いの分野でもある。やぱり無理かなぁ?

ティファール T-fal

ティファール
三徳包丁

そもそも鍋やフライパンが専業の会社であり、包丁は専門分野でない(おそらくOEM供給に頼っているものと思われる)
このあたりは、新潟の「パール金属」と似たような感じだ

ホームセンターに対する営業力が強いのだろうか、店頭でもティファールの包丁が陳列されているのを見るようになった
鍋やフライパンのように、刃物業界でも一定の顧客が掴めるかどうかは未知数である

マイヤー Meyer

アメリカの会社、鍋やフライパンが専門
スーパーのスタンプを集めるともらえる(言い方変えるとそのレベル)

アムウェイ Amway

ネットワークビジネスにどっぷりはまりたい人向け
アムウェイの包丁には、Amwayロゴが刻印されているけれども、実際の製造メーカーはどこなのだろう?

「これ、○ンケルスの○ストフライじゃないの」ということは、間違っても口にしてはいけないので、気をつけよう(たとえ裏面に、そう印字されていてもだ)

○ンケルスとアムウェイの包丁が同じものだとして、そこに価格差があるからこそ利鞘が生じるわけあって、それがなければ、そもそもネットワークビジ… おっと、こんな夜更けに誰だろう?

その他の包丁ブランド - 目次

  1. 包丁のブランド(メーカー)について
  2. 関孫六・旬(貝印)
  3. ヘンケルス Henckels
  4. ツヴィリング Zwilling
  5. グローバル(吉田金属)
  6. 藤次郎
  7. ヴェルダン(下村工業)
  8. ビクトリノックス Victorinox
  9. Misono
  10. ギャラクシー(ダイソー・100均)
  11. Gサカイ
  12. グレステン(ホンマ科学)
  13. MAC(マック)
  14. 関虎徹(安田刃物)
  15. 京セラ
  16. KASUMI(スミカマ)
  17. ヤクセル
  18. パール金属
  19. ヴォストフ Wusthof
  20. オピネル Opinel
  21. ティファール T-fal
  22. マイヤー Meyer
  23. アムウェイ Amway
  24. スーパーストーンバリア包丁
包丁

※ 当ページに書かれているのは、あくまで刃物好きの包丁マニアとしての、個人的な印象です(絶対的なものではありません)

人の価値観はそれそれです
自動車の世界でも、エアロパーツをゴテゴテ装着して車高を極端に落とした車を、「かっこいい」と思って乗っている人がいる一方で、「恥ずかしい・みっともない」と思う人も存在します
それと同様に、価値には多様性が存在します

このページに書かれていることは、単に一方向から見た個人の意見です(多人数の意見をまとめて集約したものではありません。あくまでも一つの参考として捉えて下さい)


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