月寅次郎のサイト

嵐山 超仕上砥石 - 6000番

最終更新日: 作者:月寅次郎

砥石 嵐山

嵐山6000番は、ロングセラーの仕上砥石で定番的存在です

嵐山6000番は、硬度別に2種類が存在します
(見分け方については後述します)

わたしが使っているのは、硬い方の嵐山6000番で、これはキングS-1よりもやや硬い印象です

個人的にはキングS-1の研ぎ味に慣れてしまっているので、ついついそちらを使うことが多いですが、硬くて平面維持力が強い砥石が好みなら、嵐山6000番(の硬い方)がおすすめです
柔らかめでしっとりした研ぎ味が好みであれば、キングS-1の方がおすすめです

砥石と包丁

嵐山6000番砥石で、実際に研いでみる

嵐山砥石 カミソリを研ぐ
日本剃刀を研いた様子です

この時は、購入直後にそのまま使用したため、砥石の性能を100%発揮できていない感がありました

砥泥の色を見ると判りますが、あまり、おりていません(鉄粉の色で黒くなっていない)
水濡れ時の表面の質感も、部分的にまだらになっており、水の馴染み方が均等でないのが判ります

研磨粒子の密度がビシッと揃った、整った状態にするには、面出しして一皮剥く必要がありそうです
この後、修整砥石で一皮剥いたら、きちんと改善されました

とはいえ、画像で分かる通り、砥泥のムチッとした感触はしっかりしており、面を研ぐには良い印象を受けました

嵐山砥石 包丁を研ぐ
武峰のペティナイフを研いだ時の様子です
両刃の洋包丁も、いい感じに滑らかな刃が付いてくれます

別の砥石の話になりますが、嵐山6000番に比べると、キングS-1はやや柔らかめの砥石ですので、刃筋のエッジがかかってしまうと、砥石表面が削れることが稀にあります
一方この嵐山6000番は、その傾向が感じられません

キングS-1の表面が削れると言っても、砥石に丁寧に刃を当てているときには、決してそのようにはなりません
気を抜いて適当にストロークを返していると、まれにそういう事が起こります
もしも、そうなったとしたら、研ぎ方が雑だということに他なりません
砥石の瑕疵ではなく、研ぎ手側の問題です

これは、初心者の人などが中砥石と同じ力加減で研いだ場合に、起こりがちな失敗です
仕上げ砥石を使う場合は、力加減を優しくして研ぎましょう
一般的に、砥石の番手が高くなればなるほど、力を弱めて優しく研ぐ必要があります

嵐山砥石 包丁を研ぐ
同じく、武峰のペティナイフです(鋼材は青紙1号)

水をやや多めに使うと、砥泥が適度に分散して、画像のような感じになります
この時は、小刃の部分のみ研いでいます(面には当てていません)

嵐山砥石 包丁を研ぐ
こちらは「有次」の鯵切り包丁(特製)です
鋼材は白紙2号です

長年現場で使われてきた定評のある仕上げ砥石ということもあり、ハガネの和包丁との相性は良好な感じです

砥泥の色を見ると判りますが、しっかりと良くおりています
ハガネの色味も、深々と黒みのあるいい感じに仕上がっており、キラリと光る糸引き刃が印象的です

嵐山砥石 包丁を研ぐ
エビ印
純白超仕上

#8000番
水野鍛錬所・源昭忠の薄刃包丁を研いでみました
鋼材は、確か青紙2号です

これは母親が使っている包丁ですが、本人の使い方が荒いこともあって、これまで何度も微細な刃欠けが出ていました
その対策としてかなり鈍角の「片ハマグリ刃」に仕上げています

使っている本人に言わせると、「この包丁は、むちゃくちゃ切れる!」とのことですが、そりゃあそうでしょう
鈍角に仕上げているとはいえ、片刃でハガネで手打ち鍛造の和包丁です。それをこうしてきっちり研いでいるのですから、惚れ惚れする切れ味に仕上がります

画像をよく見ると判りますが、切刃の軟鉄部分にわずかながらギラ付き感(光沢)が出ています
砥石の平面維持力が強く、表面が硬めで砥材がよく食い込むからではないかと思われます
個人的には霞に「薄曇り・内曇り」感があるのが好みなので、この後自分で霞出しをして表面を慣らしています。光沢が出たからと言って、機能的な問題はありません(美観や好みの問題です)

嵐山砥石 包丁を研ぐ
高砂屋の薄刃包丁(レストア・カスタム品)を研いでみました

パリンパリンの刃が付いて、いい感じに整いました

嵐山6000番の「硬口」は、実在するのか?

砥石 嵐山#6000番

嵐山
#6000番

(標準・台無)
ネット上には…
「嵐山6000番には硬度の異なる2種類の砥石が存在し、それは『硬口』と『標準』である」と書いてあるサイトがあります(本当でしょうか?)
真偽を確認すべく、製造元の大谷砥石に直接確認してみました

以下は、大谷砥石さんによる公式の回答です(ご丁寧な対応、誠にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます)

硬口は、そもそも製造していない
公式には『標準』と『軟口』のみ製造している

ネット通販で『硬口』として表記販売されているものは、厳密には『標準』タイプである

「標準と軟口」の2タイプが、流通の過程で、「硬口と標準」と誤って伝わったようだ
実際に『硬口』と表記して販売している刃物店や金物店があり、誤解を生んでいる

硬さ別に二種類あるということについては、なんら間違いではないが、製造元から言わせると、あれは標準と軟口である

そもそも硬口は存在しない(試しに作ったことはあったが、販売したことはない)

(問い合わせ先:大谷砥石、確認年月:2018年5月)

このように、『硬口』と『標準』があるというのは、間違いで
『標準』と『軟口』の2種類が存在する、というのが正しいです

誤った情報のままの表記で販売している通販サイトが多数あります。実際に買う時はユーザー側で気をつけて、自分の好みの硬さの砥石を買うようにしましょう!

標準タイプと軟口タイプの見分け方

嵐山
#6000番

(軟口・台付)
軟口タイプは、砥石表面に「包丁用仕上」の印字が有る
標準タイプは、砥石表面に「包丁用仕上」の印字が無い

記載場所は砥石中央右端、「品質保証」と対になるように、右側にプリントしてあります
左の画像の商品が、その『包丁用仕上』のプリントの有る、軟口タイプの嵐山になります
画像が表示されない場合は、アドブロッカーをOFFにしてご覧ください

「軟口」に「包丁用仕上」と表示しているのは、ノミや鉋(カンナ)などの大工道具の研ぎには、硬めの標準タイプの方が相性が良いからです

もちろん、「標準」タイプで包丁を砥いでも、問題が生じるわけではありません
硬めの砥石が好みの方には、そちらの方が良いでしょう

『軟口』は、鉋などの面の重要性が高いものを砥ぐにはあまり向いていないというだけです

「嵐山 超仕上砥石」は、本当に6000番か?

砥石 嵐山#6000番
砥石表面のプリントと外箱の様子です

砥石 嵐山#6000番
箱の裏には…
本品(嵐山砥石)は天然合砥粉末超微粒子を配合して居ますので刃当たりがソフトです。
すべらず食い付きがよく、軽く研いで最良の刃先に仕上がります
 …と、書かれています

※ 「合砥」というのは、仕上げ砥石を意味します

このように、改めてよく観察してみると、箱と砥石をすべて見渡しても「#6000番」との記載は一切ありません
「超仕上砥石」と書いてあるだけです

ですが実際に使ってみると、たしかに6000番相当の粒度であることが判ります
丁寧に研ぎ上げると、裸眼では、「ぱっと見で、鏡面ぽく見える」ところまで引き上げることができます(鏡面というわけではありません)

後述のように、刃先を顕微鏡で確認してみると、かなり目が細かく仕上がっていることが判りませす

このように、公式にはそう表示されてはいませんが「嵐山 超仕上砥石」の番手(粒度)は、6000番相当であると言えます

「超仕上」とは、なんなのか?

刃の黒幕
#5000番


北山
#8000番

キングS-1のページでも書きましたが、嵐山やキングS-1が発売された時代は、6000番相当の番手を「超仕上げ」と呼称していました

昭和が終わり、平成、令和と時が進んだ現代では、10000番を超える砥石も決して珍しくありません

本来ならば、そのような超微粒子を使用した砥石を「超仕上」と呼ぶべきでしょうし、キングS-1や嵐山は、「標準的な番手の仕上げ砥石」と呼ぶ方が適切かもしれません

このように、昔からある定番仕上砥石が、「超仕上」と名付けられているのは、今となっては少しおかしな表現ですが、これは言わば「昔の名残」です

こういうところを「昭和っぽくて古臭い」と捉えるか、「トラディショナルで良い」と捉えるかは人それぞれです

キングS-1も嵐山も、基本的な品質を変えることなく、当時のままのフォーミュラーで製造され続けています
長い歴史の中を、現役で生き残ってきた製品というのは、それが継続して購買され続けてきた事を意味します
一本使い切った後で、「これは、良い砥石だった」と思い、同じ製品を指名買いする人がいたからこそ、現代に生き残っているのです

そういう意味では、長い歴史を生き残っているだけでも素晴らしい製品と言えるでしょう

嵐山超仕上砥石 顕微鏡写真

嵐山砥石 顕微鏡
嵐山超仕上砥石で、梅治作牛刀を刃付けした後に、顕微鏡で拡大写真を撮影してみました

刃角は標準的な感じに仕上げ、最終仕上げとして糸引き刃を付けています
仕上砥石らしい、滑らかでザラザラ感の少ない、きれいな小刃が付いています

ちなみにわたしの研ぎ方ですが、下の動画で見ることができます
動画で使っているのは中砥石ですので、やや強めに力を入れています(キングデラックス 800番を使用)
嵐山のような仕上砥石を使う場合は、これよりも優しい力加減で研いでいます
糸引き刃の付け方については、動画と同じ要領で仕上げています



字幕で補足解説を入れています。日本語字幕をONにしてご覧ください
でないと、単に手を前後に動かしているだけの動画にしか見えません
0:00 - 使用する砥石、砥石台
0:20 - 浸水・吸水
1:20 - 砥石台セット
1:47 - 刃の状態を確認
2:20 - 包丁研ぎ開始
4:10 - カエリが出たので、反対面
6:30 - 最終仕上げ(糸引き刃・マイクロベベル)
8:06 - 試し切り(切れ味テスト)

研ぎ音がよく聴こえる音量で、大きめの画面で視聴すると、「何をどう研ごうとしてるか?」が判ると思います
月寅次郎チャンネル はこちらです(YouTubeの動画一覧)

嵐山砥石 顕微鏡
こちらも同様に嵐山超仕上砥石を使い、カスタムを施した ミソノのスウェーデン鋼牛刀を刃付けしたものです

先程の梅治作牛刀と比べると、やや寝かせ気味の角度で研いでいます
糸引き刃は同じ力加減で付けていますが、刃角を鋭角に仕上げている分だけ圧力が強くかかったようで、糸刃の幅が太くなっていることが判ります
わずかな違いではありますが、こちらの方の鋼材硬度が柔らかめだというのもあるかもしれません

中砥石で仕上げた時と比べて、刃筋にミクロの凹凸がない分だけ、噛み付くような食材への食い込みはありませんが、滑らかな切れ味が出ます

紙を切ると「ザザザァー」という音ではなく、「シィー」という滑らかな感触が得られます

嵐山 超仕上砥石は、どのような刃物に相性が良いか?

刃の黒幕
#8000番

上で説明した通り、画像の砥石は嵐山の「標準タイプ」であり、「硬い方」に相当します

そのため、キングS-1と比較すると、研磨粒子の食い込みが強めに出る感じです(あくまでも相対的な話しです)
指先に力を込めて研ぎ上げると、和包丁の軟鉄部分にやや光沢が乗る場合もあり、研磨粒子が軟鉄を良くおろしていることが判ります
(研ぎ方や力加減にもよりますので一概には言えません。力を弱めて研げば、その分砥材の食い込み具合も弱まります)

ノミやカンナなど、砥石の平面性が高く要求される場合には、相性の良い砥石だと思います
逆に柔らかめの研ぎ味が好みであれば、キングS-1か、この嵐山6000番の「軟口」(柔らかい方)の砥石がおすすめです

硬くて平面維持力が高ければ、良い砥石と言えるのか?

剛研 隼
#4000番

硬くて平面維持力が強いから良い砥石、柔らかい砥石は面が崩れやすいから悪い砥石、というのは、極めて短絡的な考え方です(お子様レベルだと言って良いでしょう)

硬くて面が崩れないのが最良であるならば、電着ダイヤモンド砥石がベスト・オブ・ベストになってしまいます
なにしろ、いくら研いでも全く面が崩れません。ずっと平面のままで研いでいられます

そのかわり砥泥も全く出ませんし、下から角の立ったフレッシュな砥材が出てくることもありません

良い/悪いの二元論でしか考えられないようであれば、砥石の本質を語ることはできません(包丁や刃物についても同様です)

砥石 嵐山#6000番
砥石表面の質感です
使用後、修整砥石で平面出しを行った後に撮影しています

褐色の小さな粒状の点が見受けられますが、このあたりはキングS-1と似たような感じです
色味はキングS-1よりも、やや黄色味が強い印象です

砥石 嵐山 サイズ
砥石の厚みは24mmです

数度使用した後に撮影したため、この時の厚みは実測23mmでした。1mm使用した計算になります

砥石 嵐山#6000番
嵐山#6000番砥石、全体像です

標準タイプの嵐山は、充分な平面維持力がありますので、プロの方や玄人の方が好むだろうなと思います
「面」を大事にしたい方には、おすすめの仕上げ砥石です

嵐山#6000番 表面顕微鏡画像

砥石 嵐山 顕微鏡画
嵐山#6000番の砥石表面を、顕微鏡で拡大した画像です

砥石 嵐山 顕微鏡画像
別の位置を、もう一枚撮影してみました
表面には、黒い粒子状の物体や、薄赤く色づいている部分が見られます

説明書きには「天然合砥の粉末と超微粒子を配合」とありますので、このあたりの一見不均一に見えるものが、「天然物の粉末」なのかもしれません


砥石 わたしの使っている砥石

わたしが使っている砥石の一覧ページです