沢登り(大分県、奥岳川源流・川上渓谷)
川上渓谷の「さまん谷」で、沢登りを体験してきました
位置的には大分県になりますが、宮崎県と熊本県の県境付近でもあります
九州の中でも最も山深いところであり、九州屈指の清流と呼ばれる奥岳川の最上流部にあたります
この川上渓谷にはいくつかの枝沢がありますが、中でもアプローチしやすく初心者向きといわれる「
さまん谷」が、今回登る沢となります
コンパクトな中にも様々なバリエーションを楽しむことができ、適切なサポートがあれば沢登り初心者でも充分に楽しめる沢でした
今回の沢登りは、グランピングでもお世話になった、ゴーアドさん主催の沢登りイベントに参加する形で入沢しています
わたしは、山の経験はそれなりですが、どちらかというと足だけで登れる長大なルートの方が好みです
そのため、リードクライミングや外岩の経験はありません。沢登りは、今回が初めてです
そういう意味では「初心者」ではありますが、様々なサポートのおかげで、気持ちよく楽しめる沢登りとなりました
「沢登り体験記」 目次
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尾平登山口より入山
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さまん谷に入る
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小滝と釜の連続
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高巻き
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ゴルジュとチョックストーン
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滑床
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「さまん谷」沢登りの感想
尾平登山口より入山
祖母山の東に位置する
「尾平登山口」より入山します(9時13分)
この場所から見上げる山並みは、空を切り裂くように屹立していて、いつ見ても印象的です
右側の高い山が
祖母山で、中央左よりの突き出たピークが
天狗岩
その左側の三角錐型のピークは
烏帽子岩です
吊り橋のたもとまできました(9時21分)
ここから沢に入るパターンもあるようですが、わたしたちのパーティは、ここから3~4分ほど山道を登ってから沢に入りました
さまん谷に入る
岩がゴロゴロしている間を、縫うように進みます
小滝と釜の連続
最初の滝に到着しました(9時39分)
高さは4~5mほどでしょうか?
左側の滝となっている部分は、
ホールドになりそうな手掛かりがなく、取りつけそうにありません
中央のあたりは、
若干オーバーハングしているありさまです
右奥の方で、「
どう登るのがベストか?」と、リーダーとサブリーダーが相談しています
その一方で、釜にザブンと入って水と戯れているのはNさんです(笑)
リーダーがロープを引いて、トップで登ります
ここは、岩の下部がえぐれているため、
最初の取りつきで苦労するところです
取りつきさえできれば、あとはクラックに指を突っ込みながら、ソールのフリクションを効かせて登っていくことができます
ラバー系ソールは花崗岩の岩肌との相性が良く、グリップが効くため、わたしのような初心者でも滑らずに登ることができました
何も見ずに、初見で登れと言われたら、わたしの場合はまず無理だと思います
リーダーをはじめ、経験者の方々の登る様子(ホールドの位置や、足を置く場所など)をよく見て、それを真似たおかげで登れたようなものです
淵から上がって岩に取りつく部分は、サブリーダーが流木を立てかけ、踏み台にできるよう支えてくれたおかげで、さほど苦労せずに這い上がることができました
サブリーダーのHさん、ありがとう、ありがとう
ここからは、花崗岩が削られてできた、小さな滝が連続します
ポットホール状の小さな釜に、「シュワァー」と爽やかな音を立てながら清流が流れ落ちていきます
その中を我々は、水しぶきを上げながら、ずんずんと進んでいきます
何と気持ちがよいのでしょう
ちょっと嫌らしい箇所が出てきました(9時59分)
陽が当たりにくい箇所のため、岩肌表面に薄く苔が生えており、思うようにグリップが効きません
この箇所は、ホールドとなっているクラックから手を離し、
手前の水溜まりを目指して滑り落ちれば大丈夫なのですが、「それでOK」と気づくまでは、「どうやっても滑りそうだし、どうしたものか?」と悩むところです
どうしても、
「滑ったらダメ」、「落ちてはいかん」という先入観があるものですから、ついつい逡巡してしまうのですが、柔軟に考えることも必要ですね
上の画像を、さらに登ったところから撮影したものです
青々とした透明感のある水の流れと、山の緑、滑らかに削られた花崗岩の岩肌
何というかその、きれいですね。美しいですね
それしか言葉が出てきません
高巻き
滝の落ち口が滑らかで垂直に近く、登りにくい箇所が出てきました(10時35分)
ここは左側を高巻きします
リーダーがロープを張るために先行します
万一滑り落ちても釜にドボンで済むため、危険度は低いですが、
ロープにヌンチャク(クイックドロー)を通し、安全確保をしながら登っていきます
日陰になっている箇所は苔が生えているため、
静かに足を置いて、静荷重・静移動でスススと進みます
深い青色を湛えた美しい淵が出てきました(10時42分)
奥に見える斜めの滝は、クラックを利用して登れないこともないらしいのですが、よく見ると上部に苔が密生している部分も多く、滑りやすそうでもあります
リーダー判断で、
左側を高巻くこととなりました
高巻きしているところです
画像が部分的にぼやけているのは、レンズに水の膜が張っているためです
沢登りにカメラを持ち込む場合は、たいてい防水カメラか、防水カバーを付けたスマホになると思いますが、きれいな写真を撮りたければ、
たとえ防水仕様であったとしても、カメラやレンズを極力濡らさないことです
身に着ける場所(カメラの収納位置)を身体の上の方にするだけで、カメラが濡れる回数がぐっと少なくなり、水滴の写り込みや水膜によるぼやけを減らすことができます
さんさんと陽が降り注ぎ、木洩れ日が岩肌を美しく彩ります
右下のKさんは、
クロロプレンゴムの沢登り用上下を着こんでいたので、少し暑くなったのでしょう。 沢水にどぶんと浸かって、身体を冷やしています
この日は、水温と気温のバランスが丁度よかったのか、わたしとしては暑さも寒さも感じず、丁度よい塩梅でした
(高巻きで温まった身体が、ゴルジュ泳ぎや水中歩きで適度に冷やされる感じです)
一方では、やや薄着のために寒さを感じた方もおられたようで、途中で衣類を一枚重ね、対応していました
天然のウォータースライダーのようですね(11時14分)
足元をはじける水しぶきが、実に爽やかです
沢を落ちる水の音と、蝉の声だけが耳に届いてきます
登っている時は、いい意味で集中しますので、手元や足元ばかりに視線をやりがちなのですが、足場の安定したところでふと振り返って見渡すと、それはそれは美しい水の景色が広がっていたりします
ゴルジュとチョックストーン
印象的なチョックストーンが出てきました(11時17分)
手前側は、美しい回廊のような直線状のゴルジュになっています
滝の流れはチョックストーン後方に落ち込んでおり、
岩の後ろ側では水がドバドバと流れ落ちています
さて、どうしたものか?
外岩の経験がなく、沢登り初心者のわたしには、ここをどうやって突破するものか、皆目見当が付きません
幸いなことに、
ゴルジュ部分の水の流れはゆったりとしており、「水泳強化用流水路」のようにはなっていません(泳いだら、それなりに前に進みそうです)
先ほどの画像の、右上部から撮影した画像がこちらです
岩の手前の右側から、オポジション(突っ張り)で身体を支えて取りつきます
水の中から壁面に取りつく部分が難しいですが、それさえこなせば岩の横までたどり着き、一休みできます
あとは、ロープとソールのフリクションを頼りに、滝上まで登ります
ゴルジュの中を、ダイナミックな平泳ぎで進んでいるのはミスター・イエーガー、さすがは水泳部上がりのアイアンマンです
滝上からはリーダーがビレイを行い、チョックストーンの右横でサブリーダーがサポート、さらに岩の下ではもう一人がサポートしています
全員が登りきるまで、岩の下で水に浸かりながら、取りつき時のショルダーを続けたKさんは、クロロプレン衣類で上下を固めていたとはいえ、さぞかし身体が冷えたと思います(前の前の画像で、水に使っていた方です)
ゴーアドのサポート隊の皆様、ありがとうございます
またまた、美しい淵が出てきました
花崗岩主体の沢は、白い岩肌が滑らかに浸食されるため、格別な美しさがあります
祖母・傾の山々は、これまで何度か登ったこともあり、夏は雄大な岩々、冬は美しい霧氷に魅了されてきました
ですが、こと渓流に関しては、指をくわえて見ているだけでした
それが今、目の前に…、というよりもその真っ只中に居るのです
水に足を浸しているだけで、心が洗われていくようです。 素晴らしい清流です
隘路に挟まっている流木を足場に、滑らないよう注意しながら登っていきます(11時57分)
リーダーが上の方で「
突っ張り」をしながら登っています
それを見ながら、「
なるほど、あそこはああやって登ればいいのか…」と頷きながら、後をついていきます
難しいところばかりでもありません
緩やかで、さくさくと歩けるところも出てきます
緊張を少し緩めて、楽しみながら登ります
再び、美しい淵と滝が出てきました(12時05分)
ですがここは、登るのが難しそうです
雲が晴れて太陽が照りだすと、陽光が水底まで差し込み、きれいな青色に輝きます
美しい水の流れを、ただただ眺めていた気持ちにもなりますが、左側を高巻いて先に進みます
開けた花崗岩スラブの場所に出ました(12時15分)
休憩に丁度良い場所でしたので、集合写真を撮影し、軽く食事を取りました
レンズに水滴がついてますね。前述した通り、たとえ防水でもカメラは濡らさない方が良いです
滑床
沢が広々と平らになり、滑床の様相を見せてきました
歩きやすく開放感があり、これまでの緊張感も和らぎます
歩いていて、実に気持ちがよいです
前方に砂防ダムが見えてきました(12時35分)
ここまでくると、「さまん谷」の沢登りの終点です
砂防ダムの右手を登っていけば、林道に到達し、そこから登山道を経由して、元の場所まで下山することができます
おつかれさまでした。
サポートと安全確保に尽力いただいたゴーアドの皆様、ありがとうございます
沢靴(ラバーとフェルト)
「さまん谷」沢登りの感想
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花崗岩主体の滑らかな岩肌、沢の景観が実に美しい
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フリーで登るに適した小滝と、美しい小釜多し
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緩やかで楽に泳げ、突破しやすいゴルジュ
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印象的なチョックストーン
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高巻き時でも藪漕ぎなし
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駐車場から入沢までの歩行距離が長くない
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終点に砂防ダムがあり、判りやすい
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沢を登り終えた後に、林道と登山道を利用して歩いて下山できる
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有料駐車場有、入山場所にトイレ有
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アクセスは決して良くない(細い山道を自動車で延々)
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沢登り初心者でも遡行可能なものの、熟練者の同行と安全確保、サポートは必須
どちらかというと、川幅や水量の大きな沢ではありません
ゴウゴウと音を立てる、迫力のある流れというよりも、「シュワァー」と爽やかな水音が印象的です
当日の水量は中程度、もしくはやや少なめといった感じでした
日時と時間のデータ
年月:2020年8月9日
タイム
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09時13分 入山
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09時21分 吊り橋
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09時39分 最初の滝
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11時17分 チョックストーン
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12時15分 休憩
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12時35分 砂防ダム着
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13時05分 吊り橋まで戻る
関係先ホームページ、リンク
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Go Adventure Unlimited
キャンプ・登山関連のページ
沢靴(ラバーとフェルト)
さまん谷参加メンバーの沢靴一覧と解説です。
花崗岩系の沢にはラバーソールが良くフィットしていました。
L.W.シットハーネス(モンベル製登山用ハーネス)の装着手順
L.W.シットハーネスの装着手順(備忘録)と、インプレです。
モンベルには、沢専用のサワークライム シットハーネスもありますが、こちらの方が装着感が良かったため、愛用しています。
おにやんま君(パラコード)の自作
虫除けグッズ「おにやんま君」をよりタフなアウトドア向けにしたものです。
羽根も目玉もありませんが、これで充分です。リアルなトンボ型はとても沢では使えませんので、もっぱらこれを使っています。
実用的なキャンプ用ナイフとは何か?
オピネル、スイス・アーミーナイフ、超軽量の薄型ナイフ(実測25g)など、ナイフはいろいろ使ってきましたが、
大人数でキャンプを楽しむときは、実用的なフィレナイフを携行するようになりました(最も使いやすいので)
元々は釣り用として買ったものですが、何をどうやっても、フォールディングナイフはシースナイフに勝てないのです(携帯性以外は)
堅牢で耐久性に富み、摺動部のメンテナンスなど一切必要ありません
オピネルのブレード開閉が固くなって閉口したことのある方なら、一度検討してみるのも良いでしょう
ブラックダイヤモンド
ビジョン
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ブラックダイヤモンド
スリング
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