オピネル分解 - ピンを抜く方向(旧タイプと現行品の違い)


ロックリングを外し、ピンを抜いて、オピネルを分解する

カスタム作業を容易にするために、オピネルを分解してブレードを取り外します
ブレードを取り外すことで、刃体全面を均一に加工することが可能となり、付け根部分まで丁寧に仕上げることができます

オピネルの分解は、DIYに慣れている方なら、さほど問題なくできると思いますが、工具を揃えるところから初めるような場合は、それなりに苦労するかもしれません
圧入パーツの脱着を何度かやったことがあるとか、頭の取れたボルトを抜くためにドリルで揉んで、タップを立ててネジ山を切り直したことがあるとか、そういう整備経験が豊富な方なら、全く問題ないと思います

注意:もともとオピネルは、分解可能なようには設計されてはいません。そこを無理やりバラすわけですから、実行する際は自己責任で、怪我をしないように気をつけてやりましょう!

追記:現行オピネルと旧タイプの分解時の違い(ピンを抜く方向)、ピンの外径実測値、分解に必要な工具についての説明、…を追加しました
旧タイプとは、ブレード収納時のロックがかからないものです。2000年以降に発売された現行タイプのオピネルは、収納時にロックが可能なように改良されています

補足 : 黒錆処理とオイル漬けについて

「黒錆処理」を行う場合も、オピネルを分解してブレード単体を漬け込んだ方がキレイに仕上がります
とはいえ、黒錆化は意図的な腐食なわけですから、刃先も腐食して切れ味に影響が生じます
自分で研いで、刃付けをすることが難しい場合は、不用意にやらない方が良いでしょう

また「油漬け」の場合は、そもそも「分解できないから、そのままドブ漬けしている」わけですので、正常に分解できた場合は、わざわざオイル漬けにする必要がありません

オピネルを長年使用しているわたしからすると、オイル漬けは、不具合の原因になるので、やらないほうがよいです (詳しくは、リンク先にてご覧ください)
真似をする人が後を絶たないようですが、オイルに漬けすぎるとハンドルの木材が膨張して取り返しがつかなくなります。絶対にやめましょう。

● 合わせて読みたい1:オピネルのオイル漬けは、最悪のカスタム

● 合わせて読みたい2:オピネルの隙間を削るのは、最後の手段

● 合わせて読みたい3:オピネルの刃が出ない時の対処法(サヴォワ打ち・コンコンとは?)

● 合わせて読みたい4:オピネルの扱い方と洗い方(刃の固着を防ぐ使い方)

● 人気のページ:オピネル 鏡面仕上げ

追記 : 分解作業全般について

オピネルの分解を解説しているページにいくつか目を通しましたが、あまりにも酷いものが多く、正直驚いています
ロックをかけたまま、ブレードを無理やり引き上げてリングを外すとか、センターポンチでピンを叩くとか、なんというかその、作業全般がド素人すぎて、見ていられません

ここでは、そういったページとは一線を画し、ある程度しっかした作業で分解を行っているつもりです(ピンポンチが手元に無く、ビットで代用した箇所を除く)

わたしも決してその道の専門家ではなく、素人と言えば素人なのですが、整備やメンテは好きな方ですので、趣味でDIYをやっています。これまでやった最大のDIYは、2Lエンジンのシリンダーヘッドのオーバーホールです(バルブのすり合わせ含む)

そのような重整備をこなしてきたこともあり、いろいろと判っている分だけ、注意の指摘も多く、言葉がきつい部分や、工具の解説が長い箇所もあるかと思います。何分きちんとした記事を書こうとした結果ですので、ご容赦いただければと思います

準備:刃引きとブレード面の保護

先に『刃引き』を行い、刃を潰しておきます
刃引きは、安全に作業するための、必須作業です

砥石の角にブレードの根本を垂直に当て、そのまま引くようにこすって刃を丸めます。こうすることで刃が潰れ、切れなくなります
それまでキレキレだったナイフも、ペーパーナイフのような刃になりますので、作業時の怪我を防止することができます

刃引き後は、マスキングテープ等を刃の全面に貼り付けて養生し、作業時の傷を防止します

注意:刃付けに自信がないため、刃引きを省略し、刃が付いたままの状態でカスタムする人も多いようですが、非常に危険な行為です。絶対にやめましょう!

セーフティリングリングを外す

セーフティリングを外した状態 セーフティリングの正式名称は「ヴィロブロック」といいます
ロックリングとも呼ばれ、回転させることでブレードを固定する、金属製の円筒パーツです

【 注意しましょう 】
ペンチでブレードを挟み、ブレードをロックした状態で、無理やり引き上げて外している人もいるようですが、非常に危険です。パーツの破損に繋がります。絶対にやってはいけません!

何でもそうですけど、ロックのかかったものを力ずくて外すと、壊れます
(分別のある大人の方は、真似をしないようにして下さい)

また、ペンチでブレードをはさみ、大きく握力をかけると、ブレード自体に噛み傷が入る場合も考えられます
ブレード自体はかなり硬めの鋼材ですが、工具も焼入れの入ったクロムモリブデン鋼ですので、ブレードに負けない程度の硬度が出ており、ブレード表面に傷が入る恐れがあります
(ちなみに、カーボンスチールよりもステンレスのブレードの方が硬度は低いですので、ステンレスのオピネルで作業する場合は、特にやめたほうが良いです

スナップリングプライヤーでセーフティリングを外す 1.スナップリングプライヤーの先端を、リング中央の膨らんだ部分に差し込み
2.プライヤーを握って、リングを少し開き、そのままの状態で上に抜けば
拍子抜けするくらい簡単に、リングを抜くことできます

スナップリングプライヤー は、本来はスナップリング(サークリップ)を脱着するための工具なのですが、握ると先端が開くようになっていますので、片手で簡単に操作可能です

注意:決して必要以上にリングを開かないで下さい。塑性変形を起こして、リングがバカになる可能性があります

スナップリングプライヤーが無い場合は、少しやりづらいとは思いますが、ラジオペンチでもできないことはないと思います
ラジオペンチの場合は、先端を開くためには両手を使わないと難しいと思うので、少々やりにくいとは思いますが、リングの隙間にラジオペンチ先端を差し込み、そのまま上手に開けば、リングが緩んで外すことができるはずです

画像に写っているのは、20センチを超える、大きなサイズのクニペックス製スナップリングプライヤーです
今回は、使いやすいので大きな工具を使用しましたが、ここまで大きなサイズのものを使わなくても、作業は可能です。通常のスナップリングプライヤーは、もっと小さく、ラジオペンチと同程度のサイズが一般的です


ピンの頭を、ヤスリで削り落とす

ピンの頭を削り落とす
セーフティリングを外すと、ブレードを固定しているカシメピンが現れます
ピンのお尻(かしめている方)をヤスリで削り落とし、ピンが抜けるようにします(旧タイプの場合)

わざわざダイヤモンドヤスリで削り落としている方もおられるようですが、軟鉄と思われる柔らかい素材でできていますので、普通の 平ヤスリ で容易に切削可能です

ピンを叩き出す

バイスプライヤーとピンを半分叩き出したオピネル
本来ならば、打ち抜き用の平行ポンチ(ピンポンチ)を使用するところですが、手元になかったため、ほぼ同径のトルクスビットで打ち込みました(※1)

ピンの長さと比べると、ビットの寸法が短いので、最後までピンを打ち抜くのには無理があります
ですが、ある程度ピンの頭を出すことができれば、バイスプライヤー(画像の工具)で抜くことは十分可能だろうと考えました

また、どうしても抜けないようであれば、その時点で平行ポンチを購入しようという算段でした(どうにもならないときは、ドリルで揉むという手もあります。ピンを自分で作り直す必要はありますが…)

※1:自分でやっておいてなんですが、工具を用途以外の使用法で使うのは、おすすめできません(トルクスビットではなく、平行ポンチを使用しましょう)
作業性が悪いだけでなく、安全性が低下するとともに、工具が壊れたり痛んだりしやすいからです
今回は、下記のように素材間の硬度差を考慮し、この程度なら問題ないであろうと判断した上で自己責任でやっております。このような作業や工具、素材に詳しくない方は、適正な工具を使用して安全に作業して下さい

  • ピン:熱処理無しの圧延軟鉄(かなり柔らかい)
  • トルクスビット:鍛造のクロムモリブデン鋼(非常に硬い)
  • 銅ハンマー:ヘッドが銅製(かなり柔らかい。叩くものを傷つけないためのハンマーです)

ピンを抜く

半分ほどピンを打ち出した後、バイスプライヤーを使ってピンを抜き取ります
打ち抜きポンチの長さに余裕があり、そのまま叩き出せる場合は、そのまま叩き出しても構いません

ただ、画像のように長さ的に余裕がなく、ピンが抜けるまで叩き込めない場合は、飛び出た頭の部分を掴んで引き抜くしかありません

今回は、ピンが半分出た状態から、バイスプライヤー(別名 ロッキングプライヤー ) で挟んで抜き取りましたが、しっかりロックを掛けた状態で挟んで、「なんとか抜けそう…」という手応えでしたので、同様の抜き取り作業を、プライヤーやラジオペンチで抜くのは、そこそこ難しいと思います
(これらの工具では、たいした力はかけられませんので、滑って抜けない可能性があります)

八割程度抜いた状態なら、プライヤーラジオペンチなどでもなんとかなるかもしれませんが、オピネルの個体差や、それまでの使用状況、ピンの固着具合にもよりますので、一概に言えません

ちなみに、バイスプライヤーほどの嵌合力は出せませんが、 ネジザウルス のような、ピンの頭部をしっかりホールド可能な工具なら、まだ太刀打ちできる可能性があります

今回使用したバイスプライヤーですが、バイス(万力)というだけあって、挟む力に強力なロックをかけることができます。このため、かなり強い力をかけることができ、安全かつ確実な抜き取り作業が可能です
これまで、車やバイクの整備などでも、ネジ溝が潰れた場合は、いつもバイスプライヤーで挟んで外していました(それくらい強力な挟む力を出すことができます)。高価なショックドライバーや、よくあるネジ溝用摩擦増強剤も持ってはいますが、低頭ネジや皿ネジなどで挟むことができない場合を除いて、バイスプライヤーの方が、早くて確実でした
バイスプライヤーのトリビア
映画「グラン・トリノ」の中では、クリント・イーストウッドが、「この3つが、(整備初心者にとっての)おすすめ工具」だとして、バイスプライヤーとWD-40(浸透潤滑剤)、ダクトテープを挙げています
整備をやってる人からすると、実にニヤニヤしたくなるセリフですが、字幕では単に「レンチ」としか訳されていないところが、実に残念です

ピンが抜けない場合 (追記)

「ピンをいくらポンチで叩いても、びくともしない、全く抜けない」という場合は、抜く方向が逆になっている可能性があります
その場合は、反対側の頭の方を削り落として、そちら側から叩き込んでみて下さい

わたしの所有するオピネルは2本あり、このページで主に紹介しているのは旧タイプの方なのですが、もう一本の「ブレードロックのかかる現行バーション」を分解した際は、テーパーが入ったピンが使用されていました

そのため、ピンのお尻方向からは叩き出すことができず、ピンの頭を改めて削り、頭方向から尻方向に叩き出して抜いています

ピンの頭とお尻については、現物を見れば分かると思いますが、丸頭の釘の形状に似ている方が頭です
「尻」と比較して形状的に大きいため、尻の方を削って抜こうとする人が多いと思います
こちらのほうがヤスリで削り落とす作業が楽なので、そう考えるのは無理もありません

ですが、一見削るのが大変そうな「頭の方」を削り、頭側から尻方向に叩き出さないと、テーパーのある現行タイプのピンは抜けません
ピンをいくら叩いても抜けない場合は、このように、ピンを抜く方向を確認し、逆側から試してみてください(これでダメであれば、ドリルで揉むしかありません)
ピンを抜く方向性について、わたし自信の経験を元に解説しましたが、オピネルのすべてのモデルにこれが当てはまるかどうかは断言できません
そのため、抜く方向については、「逆の場合もありえる」ということを念頭に置いて作業することをおすすめします(元々分解可能なようにはできていませんので、どうなっていても文句は言えませんし、オピネルが突然仕様や設計を変更する可能性もありえます)

テーパー入りのピン(分解したところ) ピン(テーパー入りタイプ)を抜いて分解したところ
もう一本のピンとは異なり、ピンにテーパーが入っており、わずかですが曲がっています。抜く方向を間違うと抜けないようになっています

旧タイプと現行タイプ、それぞれの分解における違いについては、ピン以外には大きな違いが見られず、基本的に同じように作業可能でした

ピンの外径を計測

カシメピンの外径を計測
現行タイプのピンをノギスで計測したところ、わたしの個体は「外径2.65mm」でした

打ち抜き用のピンポンチ(平行タイプ)を使用する場合は、 外径2mmの平行ポンチ が適していると思います
外径2.5mmでもいけるとは思いますが、サイズがほぼ同径ですので、打ち込みを開始する際に微妙なずれが許されず、作業的に難しくなります

正しくピンポンチを使えば、ピン全体を終端付近まで打ち出すことが可能ですので、わざわざバイスプライヤーなどで掴んで引き抜く必要もありません

ピンの側面部に「つかみ傷」が入ることもありませんので、こちらのやり方のほうがおすすめです

推奨: ピンを叩き出す場合は、ピンポンチ(平行ポンチ)を使いましょう
オピネル分解の解説サイトにいくつか目を通しましたが、センターポンチで叩いているものが多いです
いくらなんでもド素人すぎます。言葉が厳しくて申し訳ないですが、控えめに言ってもアホです

叩いて打ち出す場合は、工具の先端が平らである必要があります。先端が尖っているセンターポンチでは、ピンに食い込んでいくだけなのですが、それが分からないのでしょうか?(理解に苦しみます)

ちなみに、センターポンチは、ドリルで穴あけする際の下準備用の工具です
中心点に目印をつけるだけでなく、ドリルが回転を初めた時に、先端が滑って逃げないように、小さな円錐形状の凹みを作るためのものです
先端が尖っているため、無理に叩くと穴が広がります。あくまでも、穴(へこみ)を付けるための工具であり、叩いて抜きとるための工具ではありません(ピンをわずかに押し出すくらいはできると思いますが、形状的に叩き出すのは無理です)

完成:オピネルの分解完了

オピネル旧タイプの分解画像
こちらは旧タイプのオピネル。ピンにテーパーがなく、方向性がありませんので、ピンのどちら側を削っても叩き出すことが可能です

ピンさえ外すことができれば、ブレードは分離することが可能です
ブレードを取り外せば、オピネルの分解は完了です


オピネル現行タイプの分解画像(フィレナイフ)
こちらは、現行タイプのオピネルの分解画像です
フィレナイフ(スリムナイフ)ブレードのものですが、収納時にロックがかかる現行バージョンです
こちらは、ピンにテーパーがありますので、ピンの頭の方を削って叩き出します
ブレードが緑色に見えるのは、マスキングテープを貼って養生しているためです

 


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関連ページ:「オピネルのオイル漬け」は、最悪のカスタム

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