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モダニスト(第1位)- ヘンケルスおすすめ包丁ランキング


ヘンケルス

モダニスト(オールステンレス編)

ヘンケルス
MODERNIST

オールステン包丁編の1位は、ヘンケルス モダニスト(MODERNIST)です

この包丁はヘンケルスUSAで販売されている製品で、実はまだ国内では正式に販売されていません
そのため、この包丁を1位に持ってくるのは、いささかレギュレーション違反的な部分もあります

ですが、いろいろと細かく見ていくうちに、「珍しくまともなオールステン包丁である」ということが判り、ヘンケルスJAPANを啓発する意味も込めて、この包丁を1位に挙げました

それでは、この「モダニスト」がなぜ「まとも」なのか、解説してみましょう

ハンドル形状や表面仕上が、「実にまとも」

モダニストのハンドル形状は、とてもオーソドックスで、実に「まっとう」です

オールステンにありがちな細身のスタイルとは傾向が異なり、力をかけやすい太さの、しっかりしたハンドルが付いています
日本で販売されているオールステン包丁は、どれもこれもグローバルのデザインに影響されすぎで、見た目重視のク○ハンドルになっています

モダニストのハンドルは、汚れが溜まりがちな溝も凹みも無く、グリップは「梨地仕上げ」で滑り易さの問題も解消されています

中子の通った新世代ステンレスハンドル

オールステン包丁としては珍しく、わざわざ無垢材の口金を設けているため、オールステン包丁にありがちな「重心バランス問題」や、「柄の前方向が細すぎる懸念」もありません

また、このモデルはハンドル後部には尻金(エンドキャップ)が当てられているのですが、このエンドキャップの厚み(重量)は、最適な重心バランスに寄与しています
他モデルを例に挙げると、HIスタイルの尻金がやたらと細長くなっていますが、これはハンドル後部が細身で重量が軽すぎるため、重心調整の意味合いが大きいです

また、一般的なステンレスハンドルは、「中空モナカ構造」であることが多く、柄の中にブレードが通っていないことがほとんどです
これは、オールステンレス包丁の発祥が、高級フォークやスプーンの中空ハンドルを模して造ったからなのですが、この構造は「形状的に細身になりやすい」ということと、溶接熱の応力歪に起因する「ブレード折損問題」が生じる懸念がありました

一方このモダニストは、構造的に「中空モナカ」とは少し異なり、内部に柄が通った構造になっています
商品説明には「hollow stainless steel handle」とあり、「中空」であることが判りますが、同時にハンドルタイプが「concealed tang」(コンシールドタン)とされています
つまり、中空ステンレスハンドルの内側に、ブレードの中子が通っていることが判ります

ヘンケルスUSAの HENCKELS MODERNIST のページで確認可能です

この「ステンレスハンドルに、あえて中子を通す」というのは、中子が背骨となって強度的中心柱を担ってくれますので、強度的に優れているだけでなく、歩留まりがよくなり、不良品の発生が少なくなります

旧来のステンレスハンドルは、中子が通っていないため、強固に溶接する必要があり、前述の溶接熱による歪がヒビを呼び、前触れのない突然の折損を起こすことがありました
ハンドル内部にブレードが通ることで、ブレード自体が荷重を担うため、ハンドル部材は単に「ロウ付け」で済むこととなり、熱による障害が発生しにくくなっています

「コンシールドタン構造」とまではいかなくても、内部に中子を通した金属ハンドルは徐々に増えてきています。例を上げると現行型の関孫六 匠創や、関孫六10000STは、ハンドルの中ほどまで中子が通っています

この構造には確実な優位性がありますので、おそらく他社も、徐々にこの構造を採用し、追従していく流れとなることでしょう
包丁を使う方としては、あまりその優位性は感じられるものではありませんが、製造側からすると、強度や耐久の向上、歩留まりの良さ(不良品率の低さ)、ハンドルデザインの制約の低さ、重心位置の調整が自在になるなど、多様なメリットが得られます
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ボッタクリ価格の並行輸入品に注意!

国内で販売されているMODERNISTは、おそらく並行輸入品です

日本ヘンケルスの正規品が無いことを良いことに、ボッタクリ価格で販売されているのをよく見かけます(お気をつけ下さい)
米国では30ドル前後で販売されている商品です

フルボルスターモデルは避けよう

また、モダニストには「フルボルスター(全顎)モデル」もありますので、うっかり買わないよう気をつけましょう
「西洋で育ったので、フルボルスターの方が使いやすい」と感じる人を除きます

「フルボルスター」は、口金がアゴまで伸びている西洋刃物文化に合わせたモデルであり、日本人には使いにくい代物です

口金がアゴの部分まで伸びているため、ブレードが堅牢で叩き切る用途(チョッピング)に向いています
アゴに刃が付いていませんので、アゴの角でじゃがいもの芽を取るといった作業はできません

また、砥石で研ぐ場合はアゴを避けて研ぐ必要があり、難易度が増します

オーステン包丁にしては、まっとうでおすすめできる

個人的にオールステンレス包丁は敬遠する方ですが、MODERNISTのような「まっとうな製品」であれば顕著なデメリットはありません

熱伝導率が高いため、低温時に冷たく感じてしまうことだけはどうにもなりませんが、セントラルヒーティングの家で暮らしている方や、沖縄のような亜熱帯地域で使用する分には問題も生じません

おすすめできる珍しいオールステンレス包丁です

国内の包丁市場について

国内で販売されている包丁の現状は、やたらと細身で握りくいハンドルのオールステン包丁や、積層側面材を貼り付けて価格を上げたダマスカス包丁、さらには派手な槌目を付けるために厚手に仕立てた包丁など、外観重視で機能やコストが犠牲になっている包丁ばかりが幅を効かせています

世界で最も素晴らしい刃物技術を持つ国が、このような状態では、誠に憂うべきだと思いますが、これというのも、そのような外観重視の包丁がよく売れるので、メーカー側もそれに合わせて作っているという流れになっています

そういう意味では、情けないのは消費者の方かもしれません
日本国内では、なぜこのような外観重視でデメリット満載のオールステン包丁が幅を効かせているのかと、常々思います(個人的な感想です)

その理由はただ単に、「売れ筋だから作る」というものでしょう
裏を返せば、旧態依然としたスタイルの包丁は、外観が地味なのであまり売れていないのです
なんとかして、包丁の買替需要を引き出したいのでしょう
包丁メーカーも営利目的で製造・販売していますので、致し方ありません


このページを書くために、諸外国で販売されているヘンケルスの包丁を調査しましたが、このようなク○みたいな包丁をしれっと販売しているのは日本くらいのものです


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ダマスカス包丁について(本当におすすめ?)

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ヘンケルス包丁の選び方(全モデル解説) 目次

  1. ヘンケルス包丁の選び方 - 鋼材で選ぶ必要はない
  2. ヘンケルスの鋼材 - 特殊ステンレス刃物鋼とは?
  3. 樹脂ハンドルは、どれも同じではない
  4. ケルン - (第6位)安っぽいPPハンドル
  5. HIスタイル エリート - (第5位)コスパ悪すぎ
  6. HIスタイル - (第4位)変なハンドル
  7. セーフグリップ - (第3位)滑りにくいムチムチ素材
  8. ベルリン - (第2位)ヘンケルスらしい
  9. ロストフライ - (第1位)定番ロングセラー
  10. 結論1(樹脂ハンドル) - ヘンケルスおすすめ包丁ランキング
  11. ケルンM(第4位) - すべてがパッとしない
  12. HIユニティ デイリー - (第3位)ツルピカ溝付で良いのか?
  13. ミラノα(第2位)弱点が少ない
  14. MODERNIST - (第1位)国内販売が望まれる
  15. 結論2(オールステンレス) - ヘンケルスおすすめ包丁ランキング