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オールステンレス包丁の折損問題

最終更新日: 作者:月寅次郎
包丁 折れる

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オールステンレス包丁はハンドルが金属製で継ぎ目がないため、長持ちするというイメージがあります。
ハンドル素材の腐りや劣化、中子(※1)の錆などが、構造上発生しないからです。

ですが意外なことに、「ブレードがポキンと折れる」という、通常では考えられない折れ方をすることがあります。
このページでは「オールステンレス包丁の折損問題」について、
  • オールステン包丁の折損は、事実なのか?
  • 硬いブレードが、なぜ簡単に折れてしまうのか?
  • 対策済みの、折れにくいオールステン包丁はあるのか?
 …などの点について、独自に調査した結果を公表します。

※1:ハンドル内部を貫通している鋼材の事

オールステンレス包丁
の真実

多数のご閲覧ありがとうございます。
当サイトのオールステンレス包丁解説ページ…
 …は、内容を一つにまとめ、「オールステンレス包丁の真実」として書籍化いたしました。
それに伴い、当ページは一部の画像・文章を非公開としています。
恐れ入りますが、何卒ご了承のほどよろしくお願いします。
Kindle Unlimitedなら無料で読み放題です。未加入の方でも無料体験期間が使えます)

オールステンレス包丁の折損問題 - 目次

  1. オールステンは、構造的に無理がある

  2. 折れた画像を原因別に集計

  3. 集計結果(非公開)

  4. 最多はグローバルの5件(非公開)

  5. 包丁が折れる主な原因(非公開)

  6. オールステン包丁が折れる要因(非公開)

  7. 包丁折れ事例(Twitter編)

  8. 中空モナカハンドルから、半中子への流れ(非公開)

  9. あえて選ぶ「おすすめのオールステン包丁」(非公開)

合わせて読みたい、オールステンレス包丁の解説ページ

オールステンレス包丁は、滑る・冷たい・汚れが溜まる

グローバル包丁のレビュー - 海外での評価は?

● オールステンレス包丁 関孫六 10000ST

● オールステンレス包丁 関孫六 匠創

● 包丁ブランドの解説 グローバル(吉田金属)

オールステン包丁は、構造的にかなり無理がある

オールステンレス包丁は、そもそも構造的にかなり無理がある包丁です

本通し構造のように、ハンドル内部に鋼材が通っていないため、そもそも構造的に強くないというのもありますが、溶接時の熱が曲者なのです

ステンレス鋼材を溶接するには1100度前後の温度が必要です
この1100度という高温はステンレス鋼材に脆化(ぜいか)が発生する温度でもあります

溶接部周辺に残留応力が発生しやすく、歪が微細なひび割れを誘発し、徐々に広がって、ある日突然ポキンと折れてしまうことがあります
(もちろん、必ず起こるというわけではありません)


オールステンレス包丁の継ぎ目のない一体構造というのは、この構造的な脆弱性の上に成り立っています
このため、さして古くもないのに折れている包丁は、たいていの場合オールステン包丁です
「包丁 折れる」で画像検索してみると、これが事実であることがよく判ります

折れた画像を原因別に集計

下の画像は、「包丁 折れる」で画像検索し、原因別に集計したものです

わかりやすいように、オールステンレス包丁の折損ケースを赤で囲んでみました
そこそこの件数があることが判ります

錆びで肉痩せしている古い包丁が折れるのは無理もありませんが、オールステンの場合は、外観が新しいにも関わらず、通常では考えられないような折れ方をしています

画像は3枚に分けてキャプチャーしました。以下に1~3枚の画像を並べて掲載します
関連性が無い画像は、「関連なし」と表示し、灰色で塗りつぶしました
また、同一ページから複数の画像を引っ張ってきている場合は、「重複」と表示しています

画像1~3は、一部にモザイクを入れています。
モザイク無し画像は、書籍版「オールステンレス包丁の真実」にて公開しています。

「包丁 折れる」(画像1)

包丁 折れる
画像1は、一部にモザイクを入れています。
モザイク無し画像は、書籍版「オールステンレス包丁の真実」にて公開しています。

「包丁 折れる」(画像2)

包丁 折れる
モザイク無し画像は、書籍版「オールステンレス包丁の真実」にて公開しています。

「包丁 折れる」(画像3)

包丁 折れる
モザイク無し画像は、書籍版「オールステンレス包丁の真実」にて公開しています。


オールステンレス包丁
の真実

※ この部分は、非公開コンテンツです。

・ 項目2:折れた画像を原因別に集計
・ 項目3:集計結果
・ 項目4:最多は「○○○」の5件

 …については、右の『書籍版・オールステンレス包丁の真実』にてご閲覧下さい。
(本の表紙が表示されない場合は広告ブロッカーをOFFにしてみてください)


※ 不都合な事実は、あまり知らされない

この件は、包丁メーカーや販売業者の立場からすると「不都合な事実」に該当しますので、公表されることはありません
メーカーも対策を施した後継機種を作り、何食わぬ顔で「問題有り」と感じていた先行モデルを、しれっと廃盤にしたりしています。(リコールや製品回収されるわけではありません。また、製品品番を変えずに、製品ロットの切り替わり時にこっそり対策・改良を施すケースもあります)

少なくとも、包丁専門店や販売サイトは「オールステン包丁は(商品によっては)折損の懸念があるので、止めた方が良いですよ」とは、間違っても教えてくれません

商品が売れなくなるので、知っていたとしても教えられない」というのもありますが、そのそも販売員の方で、そこまでの専門知識を持っている人は、ほとんどいないのが現実です
嘘だと思ったら、「溶接時の残留応力が応力腐食割れを誘発し、包丁が折れるというのは事実ですか?」…と、訪ねてみてください。用語の意味すら判らない販売員がほとんどだと思います

また、「どうしてもオールステンが良いなら、このモデルが対策済みで強度が高いです」…とかを教えてくれることもありません
そんなことを教えたところで、損にはなっても何の得にもならないからです(わざわざ調べて教えてくれるのは、わたしくらいです)

なお、折損を除く、オールステン包丁が抱えている諸問題については、オールステンレス包丁は、滑る・冷たい・汚れが溜まる をご一読ください

また、「オールステン」か、「ダマスカス」か、それとも「ごく普通の包丁」が良いのか? …といった事も含め、自分にとってベストの包丁を選びたい場合は、月寅次郎のおすすめ包丁の記事一覧 を参考にしてください

包丁マニア目線で、「誰も教えてくれない裏話」を交えながら解説しています。(著者プロフィールはこちらです)


※ この部分は、非公開コンテンツです。

・ 項目5:包丁が折れる要因(普通の場合)
・ 項目6:オールステン包丁が折れる要因

 …については、書籍版にてご閲覧下さい。


追記:包丁折れ事例調査(Twitter編)

今回は、Googleの画像検索で「包丁折れ事例」を調査しましたが、Twitter内で検索するとどうなのか、改めて探ってみました

結果として、包丁が折れる原因の割合は、おおよそ同じ傾向を示していました(セラミック包丁と安物包丁の折損事例が幾分多いようにも感じました)

また、貝印(関孫六)、藤次郎、下村工業、ミソノ、ビクトリノックスについては、折損事例が一本も見当たらない件については、全く同じです(いくら探しても、全く見つかりません)

グローバル包丁折れ事例:1

通常、落としただけで包丁が折れることはありません(セラミック包丁や、本焼きの和包丁は別ですが)

典型的な応力腐食割れではないかと思われます
応力腐食割れ:溶接後の冷却過程で溶接部周囲に引っ張り残留応力が生じると同時に、溶接熱で延性低下が発生。脆くなったブレードに微細な亀裂が発生、次第に亀裂が進行し、ある日突然ポキンと折れてしまう。別名SCC(ストレス コリジョン クラッキング)

グローバル包丁折れ事例:2

「かぼちゃなら仕方がないか・・・」と、ついつい言いたくなるところですが、かぼちゃでも折れないのが普通です

グローバル包丁折れ事例:3

画像を見るかぎり、キャベツの千切りをしていてポッキリ折れたようですね
それほど荷重のかかる用途ではありませんので、やはり「応力腐食割れ」の疑いが濃厚です

グローバル包丁折れ事例:4

折れた包丁を回収すると同時に、新品の代替商品を送ってくれるのは、ありがたいですね
逆に言うと、メーカー側もそれだけ責任を感じているのでしょう

とはいえ、アフターサービスが充実している事よりも、最初から折れない事の方が重要です

グローバル包丁折れ事例:5

よくこれだけグローバル包丁の折損事例が見つかるものだと思います

これだけ折れていると、構造設計に無理があるとしか思えません

オールステンレス包丁折れ事例:1

口金の付け根ではなく、アゴよりも先方向で折れてしまうという、典型的な応力腐食割れのケースです

下の投稿も同製品と思われます(外観が同じです)
どこのメーカーかは不明ですが、ダメな包丁はダメという見本です

オールステンレス包丁折れ事例:2

構造的な問題により、特定の部位に脆弱性が潜んでいると、全く同じ不具合が出てしまうという見本です
(一つ前の投稿と、ほぼ同じ折れ方をしています)

Twitter上に投稿された包丁折れ事例は、まだ他にもあるのですが、全て上げると切りがないので、このへんにしておきます

投稿を見る限りでは、どなたも「包丁が折れた」という事実に驚いていますが、
溶接熱による残留応力の発生、それに起因する応力腐食割れなど、金属知識のある方であれば、これらは充分発生し得る事象だとお気づきになるでしょう。


※ この部分は、非公開コンテンツです。

・ 項目7:中空モナカハンドルから、半中子への流れ

 …については、書籍版にてご閲覧下さい。


各メーカーは、何もなかったかのように、しれっとモデルチェンジ

構造的なメリットは多いですので、オールステンレス包丁のハンドルは、この「新世代型の半中子タイプ」に、順次移行していくことでしょう。(他の包丁メーカーも、追従するものと思われます)

関孫六 匠創」や「ツヴィリング ツインフィン2」のように、オールステン包丁のモデルチェンジをしれっと行い、何がどう変わったのかをあまり公表しないメーカーもありますが、一番の変更どころは、この「新世代型・半中子オールステンハンドル」への変更ではないかと睨んでいます

この「半中子」の構造ですと、オールステン包丁であったとしても、折損が起こる可能性は極めて低くなります。(恐らく発生しないものとと思われます)

オールステン包丁の弱点を一つ克服したわけであり、立派な技術革新ではありますが、そもそのこの「弱点」は「もともと存在しなかった事」になっていますので、声高に宣伝されることはありません
「何食わぬ顔でしれっとモデルチェンジ」と書いたのは、このような訳です

合わせて読みたい、オールステンレス包丁の解説ページ

オールステンレス包丁は、滑る・冷たい・汚れが溜まる

グローバル包丁のレビュー - 海外での評価は?

● オールステンレス包丁 関孫六 10000ST

● オールステンレス包丁 関孫六 匠創

● 包丁ブランドの解説 グローバル(吉田金属)


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