エアコン(クーラー)の完全清掃(分解編 1/3)

最終更新日: 作者:月寅次郎



自分で行うエアコン清掃の方法(手順)です。

このページでは、プロ顔負け…というよりも、プロの清掃業者が手を出さない、細かい部分まで徹底的に洗浄する方法を紹介します。

プロの業者は、エアコンを可能な限り分解せずに清掃を行います
そのやり方が、最も労力がかからず、時間的にも早く済むからです(業者さんも、できることなら楽をしたいのです)

一方で、逆の見方をすると、「バラさずにきれいになるのは、表面だけ」とも言えます。
徹底的に綺麗にしたい場合は、分解可能な部分は分解し、パーツ単位でバラしてしまうことです。

ラインフローファン(円筒形のファン)も一旦取り外してしまえば、漬け置き洗いにして水中でジャブジャブ洗浄可能です。
高圧洗浄機でも届かないフィンの内側まで、完全に汚れを落とすことができるのです。

【 注意 】
「エアコンの完全分解洗浄」は、分解と清掃、そして組み立ての3工程が、問題なくこなせる必要があります。

このページを一読するだけで、「なるほど、だいたい判った。この程度なら自分でやれる」となる人と…、
「一通り見たけれど、まず専門用語が判らない。ブッシュって何? VVFケーブルって?」となる人に分かれます。

現在このページを見ているあなたが、どちらのパターンなのかは、筆者からは判りません。
このページは、やや前者よりの方を想定して執筆しています。(もしくは、まだDIY経験は浅いものの、未経験の作業に挑戦する意気込みのある方です)

なお、不注意による破損、分解・組立ミスによる故障は、自己責任です。
自信のない人はプロの清掃サービスに任せましょう。
また、汚れの程度が浅い等の理由で、そこまで完全に分解する必要性を感じない場合は、適宜工程を省略して下さい。

エアコンの機種 (このページに掲載の製品)
メーカー:シャープ
型式:AY-E22DH
製造年:2015年

エアコンの分解

分解作業の概要

分解した方が良い理由

分解することで、各パーツの細かい部分までしっかり洗浄可能となります。
電装パーツについても、外してしまえば、清掃時の水の飛び散りに気を使う必要もなくなります。

分解できない箇所

エアコンには冷媒が使われており、室内機と室外機の間には、冷媒の通る管が繋がっています。そのため、これらの配管は外すことができません。

配管を外してしまうと、冷媒が大気中に放出されてしまうため、『真空引き』『冷媒の充填作業』が必要となります。
真空引き用の専用機械も必要ですし、冷媒も購入しなくてはなりません。そしてなによりも、冷媒の大気放出は『フロン排出抑制法』に違反します。(フロン類の充填・回収は、第一種フロン類充填回収業者が行わなければなりません)

このような理由で、冷媒配管に関連する部分については分解できませんが、その他の部分は、可能な限り分解していきます。

分解作業の概要

  • 樹脂製の外装カバーを外す
  • プラズマクラスターユニット、前部ドレンパンを外す
  • コンデンサー(アルミフィン)の固定を緩める
  • ラインフローファン(円筒形の送風用ファン)を外す
  • 電気基盤の取り外し
 …と、おおよそこのような流れになります。

それでは、実際の分解作業に入りましょう。

外装カバーの取り外し


ここからスタートです。

電源を切って、コンセントを抜きます。


吹き出し口の風向きルーバーから始めます。


小型のドライバー使い、風向ルーバーの爪を外します。


奥に見えているのが固定用の爪です。


ルーバーが外れました。

このあたりは、まだ汚れもさほどではありません。


風向ルーバーを外すと、奥の吹き出し口の様子が見えるようになります。

黒い点々は、ホコリとカビの集合体です
そこそこ汚れていることが分かります。


部分的に拭き取ってみました。
どれだけ汚れていたかが、よく判りますね。

奥の方に円筒形のファンが見えますが、羽根の先端に汚れがせり出しているのが見えます。
なかなかの汚れ量です。

このエアコンを設置している部屋は禁煙ですので、この汚れの主成分はホコリとカビによるものです。
喫煙環境の場合は、さらにヤニ汚れが加わってきます。


手の入る部分は、雑巾を差し込んで簡単に拭いておきました。


固定ネジを外したら、外装カバーの下の部分に手を突っ込んで、手前に引いて外します。


カバーが外れ、エアコンの中身がむき出しになりました。


外したカバーは、風呂場に持ち込んで水洗いです。

食器用洗剤とブラシを使い、ジャブジャブと洗っていきます。


裏面もこのとおり、とても綺麗になりました。


風向きルーバーも、しっかり水洗いします。

取り外して分解することで、細かい部分まで洗えるようになり、徹底的な洗浄が可能となります。


ルーバーは柔軟性の高い樹脂でできており、このようにたわむことで、風向きを左右に変えるようになっています。


樹脂パーツのみでできており、ネジやボルトは一切ありません。
にも関わらず、きちんと移動と固定ができるよう設計されています。

なかなか興味深い構造です。よく考えたものですね


この切り欠きの部分を合わせることで、分解・組立が可能です。


風向ルーバーの裏面です。

分解の際は、バラす前に、一旦画像を撮影しておきましょう。

清掃前の汚い状態で構いません。
とにかくたくさん、さまざまな角度から写真を撮っておくのです。

後で組み立てる時に、どの位置と向きで取り付けられていたのか、どちらが表でどちらが裏だったのか、などなど、思わぬところで役に立ちます。

構造的に理詰めで考えて取り付けるのもありですが、その考えに誤りがあった場合、堂々巡りに陥って、「パーツが付かない」と悩むことになります。

「元々はこう付いていた」という物的証拠を残しておくということは、非常に重要です。

メーカーのサービスマンであれば、(非公開の)様々な資料を閲覧し、組み立ての詳細を後から調べることも可能ですが、そうでない一般の方の場合は、「バラす前はどうなっていたのか?」を後で判るように残しておくことが重要です。

バラした後で「あれ、どうだったかな?」では遅いのです

プラズマクラスター発生ユニットの取り外し・清掃

前部ドレンパンの取り外し

ドレンパンは、前面と背面の2箇所にありますが、今回取り外すのは、前面のドレンパンです。

このエアコンのプラズマクラスターユニットは、前面ドレンパンの中央下部に配置されています。

ドレンパンとは?

ドレンパンは、コンデンサーに結露して発生する水滴を受け止め、ドレンホースに流すための受け皿的な役割を持ちます。
(ドレン=Drain=排出、パン=Pan=皿)

背面・上面コンデンサーの水は、背面ドレンパンに…、
前面2つのコンデンサーの水は、前面ドレンパンで受け止めます。

エアコン 電装基盤取り外し
エアコンの左側

ドレンパンを左側で固定しているネジはここにあります。

エアコン 電装基盤取り外し
ドレンパンの左側固定ネジを外したところ。

左側がフリーになりました。
(少し下にずらしています)
プラズマクラスター 取り外し
右側の固定ネジも外します。

この穴はドレンパンの排出口。排出用ドレンホースに繋がっています。

プラズマクラスター 取り外し
左右の固定ネジを外したことで、ドレンパンがかなりフリーになりました。

ですがまだ、ドレンホースと繋がったいるため、ドレンホースとの接続を外さねばなりません。

プラズマクラスター 取り外し
排水ホースとドレンパンの結合部分です。

ドレンパンは90度傾けた状態です。
これはあくまでも、ネジを緩める隙間を設けるための、短時間で一時的な措置です。
(ねじりすぎたり、力をかけたりして、配管を傷めないようにしましょう)

プラズマクラスター 取り外し
不要画像?
プラズマクラスター 取り外し
ネジを緩め、ドレンホースとドレンパンを分離します。

ここのネジは一般的なドライバーで外すのは無理です。
(裏側から回さなければならないため)

筆者は、画像のように、板ラチェットと呼ばれる薄型のラチェットレンチと、ドライバービットを組み合わせ、ネジにアクセスしています。

(上の画像ではネジ溝とビットが合っていませんが、これは「ドライバー先端を差し込む隙間が僅かであることを示すためのイメージ画像」です。

板ラチェットを使ったとしても、ほとんど余裕はないということを示すために、ネジを外す直前の状態で撮影してみました。

(ドレンホースを手前に引き出せば、少しは隙間ができるかもしれませんが、ホースが痛む場合もありますし、ホースの固定状態によってはあまり引き出せない場合もあります。
このあたりは「こうすれば良い」と一概に言えるものではないので、エアコンの機種とその場の状況に応じて(工具の選択も含め)適宜判断するしかありません。

筆者のように、分解・修理の経験が豊富であれば、難なくこなせると思いますが、そういう方はあまり一般的ではありません。「誰でも簡単」と言える作業ではありません。

焦らずによく観察し、先に構造を把握して、どことどこを外せば分離できるのかを頭に入れ、適切な工具を使用し、無理な力を入れずに外しましょう。


プラズマクラスター発生ユニットの取り外し

この機種の場合、ドレンパンの固定ボルトを外し、ドレンホースと分離させても、それだけでは外れません。

プラズマクラスター発生ユニットのケーブルが本体と繋がっており、それも外す必要があります。
正直言って、「なんと面倒な構造なんだ!」と思いました。

「こんなに面倒なのであれば、プラズマクラスターなんか要らんわ」とまで思いました。

これは正直な感想です。

筆者はこれまで様々な分解修理をやってきましたが、改めて、機械はシンプルで余計な機能が付いていないものが良い」と思いました。

※ エアコンの上位機種には「自動お掃除機能付き」のエアコンもありますが、そういう複雑な機能が付いていない機種で本当に良かったです。

クラスターユニットだけであれば、まだ取り外しも難しくはありません(手がかかって面倒ではありませすが、一つ一つ丁寧に作業すれば確実に外せます)

プラズマクラスター 取り外し
これが、プラズマクラスター発生ユニット。

ドレンパンの中央下部に、嵌めて取り付けられています。

嵌めている爪の向きなどをよく視認して、じんわりと力をかけて取り外します。

古い機種の場合、経年劣化で樹脂パーツの弾力が失われている可能性があります。
そうなると、固定爪等が軽い力でも折れる場合があります(気をつけましょう)

プラズマクラスター 取り外し
プラズマクラスターユニットを取り外し、ケーブルのカプラーも抜きました。

ほぼケーブルだけになりましたので、これでドレンパンの分離も完了か?と思いましたが、さにあらず…。

プラズマクラスター 取り外し
このように、黒色の縁テープが邪魔をしてカプラーが通りません。

プラズマクラスター 取り外し
ケーブル配線はこのように通っています。

黒い縁テープは、恐らく2次空気を隙間から吸い込まないためのものだと思われますが、テープをすべて剥がして、再び貼り付けるのは現実的ではなかったので、カットしてカプラーを抜きました。
プラズマクラスター 取り外し
取れた! ドレンパンが取れました。

上の画像には、ドレンパンとドレンホースの固定用ネジ穴もきれいに写っています。
(このように1箇所のみでネジ止め固定されています。2箇所で固定されていないのは、あくまでも「抜け止め」的な役割なのでしょう)

プラズマクラスター発生ユニットの清掃

プラズマクラスター 清掃
こちらが、プラズマクラスター発生ユニットです。
(取付用カバーに嵌った状態)

プラズマクラスター 清掃
カバーから外します

よく見ると、左右2箇所にプラズマクラスター発生用の針があることが判ります。

プラズマクラスター 清掃
これが、その針です。

プラズマクラスター 清掃
清掃前の状態です。

よく見ると、針の先端に異物が付着しています。
これでは本来の性能が発揮できそうにありません。

プラズマクラスター 清掃
優しくブラッシングして、異物を取り除きました。

(ユニットの周囲にはまだ汚れが付着していますが、これは後で清掃しておきました)

コンデンサーの固定を緩める

ラインフローファンは、左右の軸受で固定されています。

左側は、ゴムブッシュを介してコンデンサー保持パーツに固定されており、
右側は、軸受ゴムを介して、モーターに固定されています。

ラインフローファンを取り外すには、コンデンサーの保持パーツをずらすことから始めます。

ラインフローファン 取り外し
この白いジュラコン(エンジニアリングプラスチック)樹脂は、コンデンサー(放熱用フィン)を固定するための保持パーツです。

銅色のパイプは、冷媒が通る管です。
黒い結束バンドを使って、樹脂パーツに管が括り付けられているのが判ります。
(これは上側を固定している結束バンドです)

ラインフローファン 取り外し
こちらは、下側のコンデンサーを固定している結束バンドです。

画像には写っていませんが、計3箇所の結束バンドで固定されていました。

ラインフローファン 取り外し
この結束バンドを切って外します。

コンデンサーを保持している白樹脂カバーの固定ネジも外します。

白樹脂カバーの上部には爪があり、これを外すと、白樹脂カバーがほぼフリーになります。

ラインフローファンの取り外し

ラインフローファン 取り外し
左側のゴムブッシュは白樹脂カバーとエアコン本体に挟まれるようにして固定されています。

そのため、白樹脂カバーをずらせば、左側ゴムブッシュの固定も緩くなり、ラインフローファンが抜けやすくなります。
(逆に言うと、白樹脂カバーの固定を緩めてずらさなければ、ラインフローファンの左側の固定が外れません)

白樹脂カバーを左方向にずらし、シロッコファンの左側を掴んで下方手前に引っ張ると、左側の固定軸が外れます。

白樹脂カバーの固定を外すことで、コンデンサー本体も(わずかですが)動かせるようになります。
ただ、冷媒の入った銅パイプはエアコン本体と繋がったままですので、必要以上に動かさないようにしましょう。
(動かす時は、慎重に!)

コンデンサーを必要以上に動かすと、銅パイプが破損して、中の冷媒が漏れ出します。
液体の冷媒が一気に噴出し、気体となって拡散します
(白く冷たい冷気が噴出するような感じになります。もちろん元には戻せません。思わず手で押さえようとすると、思わぬ低温に驚くと思います。)

そうなると、エアコンとしてはもう終わりです。(修理案件ではなく、買い直しが必要になるはずです。慎重に取り扱いましょう)

※ 遠い遠い昔の話ですが、筆者は小型冷蔵庫の冷却パイプを傷つけて、冷媒を噴出させた経験があります。もちろん、冷蔵庫は買い直しになりました。
超小型の冷蔵庫だったため、冷媒の噴出も短時間で終わりましたが、家庭用エアコンですと冷媒もそれなりの量となります。気をつけましょう。



※ コンデンサーの位置をずらさずにラインフローファンを取り外すことができれば、それがベストなのですが、大抵の場合は無理です。

ラインフローファンを抜き取る際の隙間を開けるため、やむを得ずコンデンサーの位置をずらす必要があります。

ラインフローファン 取り外し
左側のゴムブッシュを抜き取りました。

嵌っているだけでしたので、引っ張るだけで抜くことができました。

※ 装着時にまごつかないように、ゴムブッシュを嵌める向きは確認しておきましょう。
一つ前の画像のように、装着した状態で一枚撮影しておくと間違いがありません(後で見直すことで、間違いのない方向で嵌められます)

ラインフローファン 取り外し

右側の軸受を外すと、ラインフローファンが取り外せます。
(上の画像は取り外し後の状態です)

右側はモーターと繋がっているのですが、軸受に柔軟なゴムブッシュが噛まされているため、(右側を固定したままの状態でも)かなり自由に動かすことができます。

この(右側の)柔らかいゴムブッシュが曲者なのですが、いくら引っ張ってもなかなか抜けません。
かなりの力で引っ張っても、軸受ゴムが伸びるだけで、なかなか外れないのです。

これは「分解あるある」の一つですが、引っ張れば引っ張るほどゴムの内径が縮まることで、より一層強く軸受を咥え込むような作用が働いています。

この場合、いくら引っ張っても外れません。

マイナスドライバー等を使い、軸受とゴムブッシュの境界付近に押し当て、ねじ込んでこじるようにすると、いとも簡単に外れます。
(コンデンサーが邪魔をして、軸受付近が視認しづらいと思います。
適宜、懐中電灯やヘッドランプを併用して、上手に作業してください)

シロッコファンと、ラインフローファンの違いについて

エアコン内部にある円筒形の送風用ファンは、「シロッコファン」ではありません。
「ラインフローファン」です(クロスフローファンとも呼ばれます)

多翼型のファンですので、シロッコファンと混同しやすいですが、シロッコファンは筒の横方向から空気を吸引し、羽根の隙間から遠心方向に空気を吐き出します。

ラインフローファンは、一方の羽根の隙間から吸入し、反対側から吐き出すつくりになっています。
ファンを裸で回転させても、そのような空気の流れは発生しません。
これは、外側を囲むケースの形状によってエアフローを制御し、生み出された流路抵抗差によって空気を押し出しているものですす。

※ ネット上のエアコン清掃解説ページには、堂々と「シロッコファン」と書いてあるものも散見されます。
「シロッコファン」で検索でヒットさせるために、(断りを入れた上で)敢えて間違った表現を使っているのであれば良いですが、全く知らずに書いている場合は、執筆した人の知識や技術が稚拙な可能性があります。
(ネット上の解説ページは玉石混交です。気をつけましょう)

電装系パーツの取り外し1

エアコン 電装基盤取り外し
ほとんどのエアコンはそうですが、この機種の電装基板は右側にあります

エアコン 電装基盤取り外し
ルーバーを動かして風向きを変えるためのモーターです。

中央右にある「バツ」の付いた素子は、リモコンの赤外線を受信するためのものですね。

エアコン 電装基盤取り外し
電装系を右方向から見たところ。

基盤はこの黒い樹脂カバーの内側に隠れています。

エアコン 電装基盤取り外し
ルーバー用モーターの2箇所の固定ネジを緩め、モーターを外しました。

モーターの自重をケーブルで支えるのは、断線等を招く恐れがありますので、気をつけて下さいね。(画像撮影のため、暫定的にこの状態にしています)


エアコン 電装基盤取り外し
電源ヒューズボックスの固定ネジを緩めます

ネジを抜くのは、電源ケーブルを抜いた後です。

エアコン 電装基盤取り外し
黒・白・赤の3本は電源の線です。
(アース、プラス、マイナスで3本あります)

電気工事士の人にはおなじみの、太い単線の銅ケーブルで、知らない人にはどう外すのか、迷ってしまうところです。

これは、画像の白いバーの部分をグッと突いて押し込むと、固定が外れてケーブルを抜くことができます。

あくまでも固定がはずれるだけですので、勝手に抜けてくれるわけではありません。
上の画像のように、マイナスドライバー等を使って、白いバーを押し込めながら、線を引き抜きます。

(電源ラインは重要な線ですので、「何かの間違い」や、「子供が勝手に触った」、「何かを引っ掛けた」くらいのことでは絶対外れないくらいの強度で固定されています。
(銅単線に噛み込み跡が付く程度の強度です)

やったことのない人であれば、「ナニコレ?こんなに硬いの?」と思うかもしれませんが、そうです、そんなに硬いのです。
(ドライバーの先端を滑らせたりして、他のパーツを傷つけないように、丁寧に垂直にあてがうのがポイントです。真っ直ぐに当たっているのが確認できたら、ぐいっと力を入れて押し込みましょう。押してる間に線を抜くのも忘れずに)

※ 慣れてる人には何てことない作業ですので、解説不要かもしれませんが、初めての人にとっては戸惑いがちなポイントです。

エアコン 電装基盤取り外し
固定ボルトを外し、上の箱をお仕上げます。

エアコン 電装基盤取り外し
これで電装基板の下部分はフリーになりました。

まだ上の方には、コンデンサーのアース端子や冷媒温度を計測するプローブなどが残っています。

電装基盤の取り外し

ラインフローファンを洗浄液に漬け置きしている間に、電装基板を取り外します。

エアコン 電装基板 取り外し
エアコンの右側上の方を、上から覗き込むようにして撮影しています。

ここでポイントとなるのは、2つのパーツです。

● コンデンサーにファストン端子(平型端子)で接続されているケーブル(青/黄色)。推測ですが、コンデンサーとアースを接続し、静電気を逃すためのケーブルだと思われます)
● オレンジ色のケーブルの先にある、冷媒温度の計測用プローブ(推測)

それぞれのケーブルは、半透明の結束バンドで、配管に固定されています。

この2つは、電装系と繋がっており、ここを外さなければ電装系も取り外せません。

結束バンドは切って外し、端子とプローブは、抜いて外します。

※ 温度プローブは判りやすいように、挿入した状態から引き出して撮影しています。
(実際には、管の中に収められています)

エアコン 電装基板 取り外し
モーター側軸受(不要?)
エアコン 電装基板 取り外し
モータ用ケーブル(不要?)
エアコン 電装基板 取り外し
電装系の基盤カバーを外したところです。

右側に伸びる白色の並行線は、先端が電源プラグになっている「電源ケーブル」の根本です。

基盤にはいくつかのケーブル接続用カプラーが嵌められていますが、このうちブロアモーターに繋がっているものは、外す必要があります。

ブロアモーター本体を外すのは難しそうでしたので、モーター自体は室内機側に残し、カプラを外して基板側を分離させることにしました。

エアコン 電装基板 取り外し
反対面から見た様子。

電源ケーブル(白の並行2本線)は、このような配置で固定されています。

途中一箇所が、わざと蛇行した配置になっていますが、このあたりは興味深いポイントです。

これは、電源ケーブルが強い力で引っ張られた場合に、電装基板に直接力が加わって、基盤や接続コネクタが破損しないように設けられているものです。

エアコンに限らず、他の家電製品でも時折見られる設計で、簡単には壊れないようにするための構造です。

エアコン 電装基板 取り外し
電源ケーブルの末端部です。

エアコン 電装基板 取り外し
電源ケーブル末端部の拡大画像。

この末端部は、どこに繋がっているかというと…。

エアコン 電装基盤取り外し
先程外した、黒・白・赤の単線電源ケーブルに繋がるわけです。

この3色のカチカチに硬い電源ケーブルは何かというと、『エアコン室外機』の中にある、コンプレッサーや送風ファンを稼働させる電力を供給するためのものです。

エアコンは、室外機のコンプレッサーが最も電力を消費します。
コンプレッサーは、気体となった冷媒に圧力をかけ、液体に戻すために高圧をかけるための機械です。

一方、室内機の方は、風を送るためのブロアモーターと、送風口の位置を変える小型のモーター、後は制御用の電装基板を動かすくらいですので、大きな電力を消費するものではありません。
(そのため、室内機の基盤に繋がっている電源用のケーブルは、意外に細かったりします)

エアコン 電装基板 取り外し
コネクターを引き抜いた様子です。
プラスとマイナスで端子が別々になっているのは、誤接続の防止のためと思われます。

電源コネクターを抜き、(先程の画像にあった)うねうねした電源線の固定を、一つ一つフックから外していくと、電源ケーブルそのものが電装系の筐体から分離します。

(この部分を無理に外す必要はありませんが、外すことで電源ケーブル自体と、電装系のケースの清掃がやりやすくなります)

エアコン 電装基板 取り外し
これで、電装系の取り外しは完了です。

ここまでの段階で、外せるパーツは、ほぼすべて外したことになり、エアコンを清掃するための分解作業は、これで完了となります。

ここまで長かったですが、この段階で、「これは、どの場所にどの向きで付いていた、何のパーツ」と言えなければ、組み付け時に苦労することになります。

分解時に、取り外すことで精一杯だと、そうなりがちです。
外すことだけを考えるのではなく…、
「取付時はこの向きで、下面を先に合わせ、後から上側の爪を嵌めるんだな」という具合に、取り外し時に、取り付け作業のことまで思い巡らせるのが肝心です。

ネジやボルト、細かな形状のパーツ類は、散逸しないように、適切な容器もしくはパーツトレイに入れておきましょう。

ここではネジ類を一つにまとめてカップに入れていますが、できればそれぞれのネジが、何のパーツの固定ネジなのか、判るようにタグを付けたり、小さなビニール袋に分けて付箋するなどしておきたいものです。

家電製品の固定ネジは、径とピッチが同じで、一見同じ様に見えても、微妙に長さが異なる場合があります。
分解作業に慣れていない人ほど、「今外したネジが、何のネジなのか」あとで判るようにしておきましょう。

(ネジを外した順番に並べておくのも一つの方法です。ただ、どの順番で外したのかを、覚えておく必要があります。
「大丈夫、こんなの忘れるわけがない」という人ほど、後で「あれ、どうだったっけ?」と言うものです。

「忘れないだろうけど、念のために、スマホで画像撮影しておこう」という気持ちで望むと、いろいろと失敗しにくいものです。
ボイスメモ、手書きのイラスト・覚え書きなども、非常に有用です。
(重要なのは、自分の記憶力を過信しないことです)

エアコン 電装基板 取り外し
これは一つの例ですが、上の画像には切って外した結束バンドが保管されています。

再利用はしませんので、外した時点で捨てて構わないものです。

なぜわざわざ保管してるかと言うと、組み付ける際に、「結束バンドで固定されている箇所があった」ということを、忘れずにいるためであり、
同時に、「純正使用の結束バンドは、この太さのものだった」ということを、実物で把握するためでもあります。
(うっかり捨てると、固定そのものを忘れたり、最適な太さの選択に不要な時間を使ったりすることがあります)

電装系を外すのは面倒ですが、一旦外して別の場所で保管してしまえば、コンデンサー洗浄の際に水がかかってしまう可能性が完全に無くなります。

また、電装系を外すことで、コンデンサーの端に取り付けられている温度センサーやカバーも外すことができますので、コンデンサー全体をしっかり洗浄することが可能になります。

筆者はこのように、電装系を外す方法を選択しましたが、これを外さずに『養生作業』における防水を入念に行い、水の侵入を防ぐのも、一つの手段です。

そちらの方が手間がかからず、時間の短縮になりますが、外せるものは外した方が、より丁寧かつ確実に、隅の方まで洗浄することが可能となります。

電装系を外さずに洗浄する場合

電装系に水がかからないよう、ビニールシート等できっちりと養生し、テープ等で隙間を塞いで密閉しましょう。

もちろんその場合でも「水は、どこか気づかない隙間から侵入する可能性もある」ということを念頭に置いておきましょう。

モーターハウジングの合わせ目、ファンの軸受の穴などは、奥まって見えないくため、見落としがちな部分です。
ここもテープを貼るなどして、シールしておきましょう。
(筆者はこれを怠ったので、何箇所かに水が溜まり、キッチンペーパーで吸い取って処理する羽目になりました)

洗浄後は養生を剥がし、水の飛沫がかかっていないか、目視でよく確認します。
(とは言っても、電装基盤はケースに覆われていることが多く、基盤に水が付着しているかどうかまでは、ケースを開けてみなければ判らないことも多いです)

電源ケーブルを繋ぐのは、できれば1日以上おいてからにしましょう。
(万全を期して、細かい部分に残った水分が、完全に蒸発するまで待ちたいところです)

なお、電装系を外さずに洗浄する場合でも、コンデンサーのアース線と、温度プローブは、コンデンサーから外しておきましょう。
(難しい作業ではありませんし、付けたまま洗浄すると、接点や管の中に水が残りやすい箇所でもあります)

水濡れに起因する電装系トラブルについて

水濡れや水没、結露等、水分の付着で電装系が故障するのは、『濡れたから』ではありません。

濡れた状態で電源を投入した結果、通電と同時にショート(短絡)が発生し、電子部品に想定を超えた過剰な電圧がかかって壊れるのです。

スマホの水没もそうですが、濡れた状態で通電せずに、完全に乾燥するまで待ってから電源を入れれば、故障する可能性は極めて低くなります。
(完全乾燥しても復旧しないのであれば、それは電源投入状態で水没し、その時点で既に短絡が発生したためと思われます)

そもそも、基盤、抵抗、ICチップ、コンデンサー等の電子部品は、密閉構造になっており、単体では水濡れに強いものです。


DIYのページに戻る